pixivでアップしているテイルズオブヴェスペリアの二次創作小説の2作品の統合版となっております。
ゲーム開始の25年前から始まる、「記憶持ちの時間逆行」と「ゲーム知識持ちの転生者」を含む、4人(オリ主、デューク、レイヴン、ユーリ)視点で繰り広げられるifストーリーです。
ゲーム本編、小説(主に奥田氏版)、劇場版の内容も含んでありますので、ネタバレ等ご注意ください。また本編等で本名やファミリーネーム、家族構成が明らかになっていないキャラクターの設定などを保管する形で、オリジナル設定多々含まれております。
ヴェスペリアの世界のパラレルワールド的な扱いにして頂けると幸いです。
全ての竜を統べしもの、人を統べしクリティア族の長との間に2子あり。兄たる勇者ヴェスペリア、妹たる賢者トリウィアなり。
混然たる世界を治めんがため、勇者と賢者の間に盟主が産み落とされる。名はオーマ。盟主オーマは人々の君主と成りて、多くの子を成し、満月の子の祖となる。
災厄訪れし時、勇者と賢者は生命を賭して力の源たる聖核を残す。ヴェスペリアが聖核、明星となりて星を護る盾となる。トリウィアが聖核、指輪となりて契約結びし証となる。
凛々の明星、契約の指輪。満月の子の生命の灯火をもって力を示し、災厄を退けん。契約の指輪を介し、時の操り人を従僕とす。一千年もの長き年月、従僕は盾と指輪の刻を留めんとす。
トリウィアの聖核の雫たる霊薬アムリタ、仮初の契約者を導くものなり。仮初の契約者、新たな霊薬を生みし糧となる。兄妹が帰還せしその日まで。
§
「これで全部ね」
そう言いジュディスはナギーグで珠から読み取った情報を伝え終えた。
この珠はテムザへ騎士団の駐在について交渉に行ったフレンとウィチルが、テムザの長老から借り受けた物。クリティア族のナギーグを使う練習に使われる古の記録媒体器の一つで、十数年前にソフィアがきた時に当時で最高峰の
ソフィアが隠した情報があるかもと期待して解読しようとしたが、読み取れた
「それにしても助かったよ。他の人は読み取れなかったから…」
「バウルとの会話のお陰で、ナギーグの扱いには自信があるの」
感心するフレンに対して、ジュディスは笑みと共にそう言った。
「ザウデにあった
「霊薬アムリタを飲む事で、ザウデ不落宮の
「あと、気になってたのよね。一千年も魔導器をどうやって維持してきたかって」
「時の操り人…ですね」
「おそらく精霊だと思うわ、魔導器の物理構造物の時間を止めて耐久性も固定化していた。って言うか、精霊を生み出せたんだったら、その時に星喰みを精霊化すればよかったのに!」
「そこまで頭が回らなかったかもしんないよ。精霊ができたのも偶然だったかも…」
「1000年も放置してバカじゃない⁈」
「で、唯一知ったソフィアが一人突っ走った。そう言うこったな」
ユーリの言葉に皆一様に推し黙った。
ミムラの語った、異世界で得られたこの世界での未来に関する情報。それによれば、エアルの消費を抑えられれば凌げると考えてもおかしく無かったし、おそらく当初はソフィアもそのつもりだったのであろう。
しかし、もう時間が残されていない事実をソフィアは知ってしまった。
「でも、霊薬アムリタなんていつ手に入れたのでしょうか?」
「そこんとこは、ちょっと聞いてるよ。昔ソフィアが子供の頃、船で遭難した時に使った蘇生薬が霊薬アムリタなんだと」
そう答えたレイヴンの言葉に皆は驚く。
「アレクセイの大将が救助したアイフリードに問いただして分かったんだと」
「アイフリードが飲ませたってこと? そもそもどうして持っていたの?」
「昔に
「眉唾だわ」
「それだけならそうなるわよね。だが、実はソフィアのやつ、残ってた霊薬アムリタの解析してんのよ。そのデータが残ってて、
既に自分は霊薬アムリタを飲んでいる。誰かに飲ませて押し付けるよりは、自己完結した方がいい。ソフィアがそう考えて行動したことは、容易に想像できた。
そして兄アレクセイを始め、デュークやレイヴン、キャナリと言った多くの者が反対するのは明白だから、内密でやったと言うことも…
「起きてしまったことはいいわ。それよりこれからどうするかよ」
仕切り直すようにそう言ったリタは言葉を続ける。
「考えるべきことは2つ。一つ目はザウデの地下に出来た封印の解除方法。もう一つは、ソフィアが地上へ出すのを阻止した化け物をどう対処するか」
「ヘルメスや大将が散々調べたけど、かなり古い術式だって、解く糸口が見つからないってぼやいてたな」
レイヴンの言葉を聞き、ユーリはフレンからアレクセイが団長職を退いて、研究に専念したいと言っていたことを思い出した。
「トリウィアの術式ってことは、1000年以上前かしら? と言うことは、地下から這い出てきた者も、同じくらい古くに封印されたと言うことよね?」
「時の操り人…だっけ? その精霊も多分同じくらいから居るよね。だったら、何か知っていないかな?」
「でも何処に居るか分からないわよ。ザウデには居なかったよね?」
カロルの提案に対して素気無く反論し、エステルに確認するようにリタは尋ねる。
「オリジンたちに聞いてみたのですが、他に精霊の反応は無かったそうです」
「だったら、凛々の明星にいるんじゃねえの?」
ユーリの言葉を聞き、リタは考え込んだ後に口を開く。
「可能性としてはあるわね」
「でも、お空のたっかいトコにあんのよね? どうやって行くわけ?」
「流石にバウルで行くのは無理よ」
「ちょっと気になったんだけど、凛々の明星もその精霊の力で今まで保っていたってことだよね」
「そうね」
「だったら、いつ壊れてもおかしくない状況ってことだ。壊れた凛々の明星はどうなる?」
「そりゃあ重力に従って落ちて…」
フレンに問いにリタがそう答えようとしたその時、エステルに精霊達の声が届いた。
凛々の明星が堕ちる。
ユーリらから連絡を受けてヘルメスらが解析したところ、自由落下では無く明らかに誰かが操作しているように、徐々に減速していることが明らかになった。
そして推定された着地地点…デズエール大陸へと、キャナリが率いるヒスーム隊が向かうことになり、そこへユーリらも同行した。
そして現地へ到着する少し前に、空からの飛来物が眼に入り、そしてその形状をほとんど留めたまま砂地に着陸する様が見えた。
中に入るか様子見するか議論していたその時、エステルの側にエルシフル…源の精霊オリジナルが姿を現した。
「我らが同胞がいる」
「それって精霊か?」
肯定するオリジンを見てユーリの脳裏にあることが浮かぶ。
自身らが探していた、1000年間凛々の明星とザウデを維持し続けた精霊。
皆も同じ結論に至ったらしく、ヒスーム隊を周辺の警戒に残したキャナリと共に、ユーリらは凛々の明星の中へと入ることにした。
凛々の明星に入って程なく、入り口付近にいた一人の青年が、オリジンを見るなり声を掛けてきた。
「久しいな〈偉大なるもの〉」
「〈暦を織るもの〉か⁈」
「今は時の精霊『クロノス』だ。来たまえ。マスターのところまで案内する」
そう言い背を向けるクロノス。
他にやれる事はなかったため、ユーリらは後に続いて奥へと進んでいく。やがて少し広い空間があり、その中央には焔のような朱色の光を放つ
「これってもしかして…凛々の明星の魔核になってた
リタがそう呟いた直後、
真昼の陽の光を彷彿させる金糸の髪。
焔を切り取ったような朱色の瞳。
そして朱色の瞳は自然とキャナリの方に向けられた。
「え……」
色が全く異なると言うのに、浮かべる表情はあまりにも見覚えのあるもので、キャナリは思わずその名を呼ぶ。
「フィアレン…兄上?」
「息災で何よりだね。キャナリ」
その応対は、目の前に居る者がフィアレンであると裏付けるものであった。
「
「似ているわね。テムザの
驚くカロルと冷静に過去の事象と照らし合わせるジュディス。それを脇目に、クロノスが歩み寄って深く一礼をした。
「御復活を心よりお喜び申し上げます。ヴェスペリア様」
名を聞き、エステルは驚き声を上げる。
「ヴェスペリアって……御伽話の兄弟の
「勇者とは大袈裟だな。命を賭けても星喰みをどうすることもできなかった。彼らを解放した君たちの方が、よほど勇者の称号に相応しい。いや、寧ろ救世主か。それはともかく…」
そう言うフィアレン…ヴェスペリアの視線は、ラピードが背負っている道具袋で止まった。
「魔装具を持っているのではないか?」
ヴェスペリアに指摘され、ユーリはミョルゾの長老から預かっていた魔装具アビシオンの存在を思い出した。
「マジで魔装具だったのかよ…」
「知っていたのか。ならば話は早い。それを渡しなさい」
「…理由を訊いていいか?」
「それが揃えば、トリウィアが施した封印が解ける危険性があるからだ。それは彼女の望むことではない」
だから寄越せというヴェスペリアに対して、ユーリは不適な笑みを浮かべた。
「だったら尚のこと渡せねえな」
「何?」
「私たちは、ソフィアを救いたいのです」
「あんなに頑張ってきたのに、地下で一緒に封印されるなんてあんまりじゃないか」
拒否されると思っていなかったのか、不可思議な表情でヴェスペリアはユーリに続いて口を開くエステルとカロルを見る。
「それしか方法はなかった。それを承知の上でトリウィアは判断した」
「わかんねえかなあ? トリウィアじゃなくて、ソフィアが納得してんのかって話よ」
「今の状態、トリウィアがソフィアの身体を乗っ取って復活している状態よね? 巻き添えにされた方は、えらい迷惑だわ!」
レイヴンとリタの言葉を聞いて、ヴェスペリアはようやく納得できたようであった。
「ああそう言う事か…君たちは勘違いしている。ソフィア・ディノイアは25年以上前に亡くなっている。そしてその身体に入って…所謂成り代わって今まで君たちと居たんだよ。トリウィアは。私と同じようにね」
「それは一体どう言うことですか?」
「そこに居るクリティア族のお嬢さんなら、分かるんじゃないかな?」
彼に言われるまでもなく、ジュディスは先ほどからナギーグを駆使してその正体を突き詰めようとしていた。そして…
「そんな…そんなことって…」
「ジュディス教えて。ヴェスペリアから兄上を救うにはどうすれば…」
「……今のフィアレンにはマナが一種類しか見当たらない。つまり…今の状態が本来の姿ということ。そして確かにあの時も…」
言いにくそうに言葉を止めるジュディス。代わりに穏やかな視線をキャナリに向け、ヴェスペリアが口を開く。
「つまりね、キャナリ。君の兄のフィアレン・フォン・エングリスは仮の姿。今のこのヴェスペリアこそが私本来の姿。そしてそれは、トリウィアも同じことだ。何故なら時の精霊である彼、クロノスの力でトリウィアの魂を私が呼び寄せたのだから」
「っ⁈」
ソフィアとフィアレンの正体。
突然突きつけられた事実に、一様に絶句する。
しかしその中で、いち早く立ち直ったのは、ユーリであった。
「へぇーそれは大層なこって…で目的は?」
「そうだね…私や妹が命を投げ打って繋いだ世界の行く末を見るだけだったが…私が見てきた世界は全て終末を迎えてしまってね」
「見てきた世界⁈ 〈暦を織るもの〉よ。時の精霊となったお主は、何度も刻を逆行させたと申すのか⁉︎」
「契約を結んだ故、マスターの意に従うのが定め。それに、そのおかげでお主は消滅せずに精霊になれたのだから、責められる理由などない。〈偉大なるもの〉、貴殿が精霊となる時間軸はここが唯一無二だよ」
クロノスが語った内容を聞き、オリジンは絶句する。確かに〈暗きもの〉と戦った時に真の意味で共倒れとなっていたら…
そしてクロノス達がいうには、そんな未来があったと言うのだ。
「私一人で何度もやったが、満足がいく結果にならなかった故に、トリウィアの協力を願った。霊薬アムリタを介する以外引き寄せる方法しか無かったから、私がフィアレンとして居る時間の中で機会は一度きり。本当に上手くいって良かったよ」
「……つまり僕たちと関わりがあったのは、貴方の言うトリウィアと言うわけで間違いないんだね」
「その通りだ。フレン中隊長」
「だったら話は早い。俺たちは、俺たちがソフィアとして知っているヤツを解放する。ただそれだけだ」
ユーリの言葉で一同は落ち着きを取り戻す。今まで自分たちを助けてくれた人を救いたい。その事は何も変わらないと言うことを、皆は再確認したのであった。
「…トリウィアを解放するには、君たちが言う『化け物』をどうにかする必要があるが、
化け物が何を指すのか、ユーリらには理解できた。星喰みを精霊へ転化後に現れ、即撤退を決断するほどの力を持った化け物の事であると。
それを思い出し、ユーリは即座に返事を返すことができなかった。
「だから封印した。トリウィアは」
「……だろうな」
「それを無為にして未来を捨て去る行為ならば、私は全力で阻止しよう」
「俺は欲張りなんだ。誰か一人でも欠けた未来は、熨斗付けて返品してやるぜ」
「………」
「マスター?」
不安気に声を掛けてきたクロノスに苦笑したのち、ヴェスペリアはユーリの方を見た。
「気が変わった。君の持つ魔装具は最後に回収するとしよう」
その言葉だけ残して、フィアレン…ヴェスペリアは転移魔法でその場から姿を消したのであった。
精霊関係はTOEとも迷いましたが、TOP、TOS、TOX、TOX2をベースに設定しました(複数のシリーズで一番矛盾が少なかったので)。そのため時の精霊はクロノスで、オリジン(エルシフル)と旧友という形にしてあります。