と思ってたけどその瞬間「あ!投稿日だ!」と気付いた。
危なかったぁ…
怜菓と満月を庇い、身体に幾つもの穴を空けられた金斗。
「金……斗…さん……?」
怜菓は恐る恐る手を伸ばす。
すると金斗は顔だけを振り向かせ、フッ…と笑みを残して倒れ、シュン!とその姿が消える。
そしてその場に残ったのは金斗自身が持っていたアイテムを纏めたボックスだった。
金斗さんが死んだ────
怜菓はボックスの前でしゃがみ、ボックスを撫でる。
嘘だ───
先程までいい連携をしてチームの士気も上がっていた矢先だったが故にそのショックも大きい。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ────────!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その怜菓に再び銃口を相手が向ける。
すると満月がすぐにテルミットを相手の前に投げ、ボックスの一通り漁った後に怜菓の手を引き、その場を離れる。
向かった先はトライデントだった。
「怜菓さん!しっかり掴まってて!!!!」
その声にハッ!と我に返った怜菓は急いで空きスペースに乗り、しがみつく。
満月は怜菓が乗った事を確認してからトライデントを走らせた。
◇◆◇◆◇◆
金斗が倒された所から少し離れた場所でトライデントから降りて怜菓の手を引き、建物に入る。
少し荒く息をしながらも外の様子を伺っていた。
「一旦は大丈夫みたいだな…怜───」
満月が振り向いてみると怜菓は部屋の隅で両膝を抱え、顔を埋めて縮こまっていた。
それを見た満月は少し気落ちしながらも怜菓の横に座る。
さすがにショックが大き過ぎた。
ここまで順調に勝ち進んで意気揚々としてたのに一気に落とされた。
無理もないな…とフゥ…と息をつく。
「…ねぇ…満月さん…」
「…どうしました?」
「金斗さん…元の世界に帰れた…っていうのはありえる…?」
「…」
満月には答える事が出来なかった。
仮にこの問いに頭を縦に振ったら怜菓がやろうとしてる事なんか目に見えている。
だが死んで元の世界に帰れるという保証は無い。
「正直…帰れる保証はどこにも…」
「でも…でもさ!仮に倒されたら元々のAPEXなら他の人の画面になって全滅したらリザルト画面になるじゃん!?そしたらその戦闘は終わりな訳で最悪帰れるって事も───!」
「…!」
満月は怜菓の言葉にカッとなって怜菓の襟を掴み上げ、壁に押し付ける。
「いつっ…!」
ドン!という衝撃をマトモに受けたのか、怜菓の顔が一瞬だけ痛みに歪んだ。
「死んだら帰れるかも…?そんなんなら最初から全員で死んでるだろうが!!!!!!!!!!!!」
満月の言葉にハッとする。
「少なくとも金斗は死んでほしくて壁になった訳じゃない…!あいつは自分の命を盾にしてでも俺達を守ろうとしたんだ!!!!!!!!それは俺達に生きて欲しいからで死んでほしいからじゃねぇ!!!!!!!!!!!!そんな言葉は命張って俺達を守った金斗の死を無駄にする言葉だ!!!!!!!!!!!!!!!!」
満月はポケットからスマートフォンの様なものを取り出す。
「…それは…?」
「怜菓さんなら知ってるだろ?バナーだよ」
バナー───仲間のリスポーンには必須なアイテムで、仲間が倒されると必ずボックスに入っているアイテムだ。
これさえあれば持っている自分が死なない限り、専用のリスポーンビーコンと呼ばれる所に行って使えば仲間を復活させられるのだ。
「俺はあの時、これをボックスの中から見付けて使おうとしたんだ。でも今の怜菓さんを見て、復活させるのは俺じゃ無いと今思った」
そう言って満月は怜菓の手を持ち、そのバナーを乗せて掴ませる。
「金斗さんを復活させに行こう。怜菓さんの手で」
「…私が…?」
「あぁ、自分を護って死んだと罪悪感があるならその罪悪感は自分で振り払った方がいいでしょう」
満月にそう言われ、怜菓はバナーを見る。
出来るのだろうか…?
私に…
だが、満月の言う通りでもある。
仮に倒されて戻れるのなら今までのように様々なプレイヤーには会わなかったはずだ。
だとすると金斗はこの世界に取り残される可能性の方がずっと高い。
怜菓は気を引き締め、バナーを力強く握る。
「金斗さんを復活させたい…満月さん、協力してくれる?」
「あぁ、最初からそのつもりだ」
2人の意思は固まり、リスポーンビーコンを探しに行くのだった。
◇◆◇◆◇◆
外の様子を見る。
幸いにも敵は追って来て無いようだ。
「そういえばリストバンドのマップにリスポーンビーコンとかって表示されてたりする?」
「…確かに」
試しに見てみるか…と満月はリストバンドのマップを見るとそこには緑色の四角の縁に緑色のハートのマークがあるアイコンを見付けた。
リスポーンビーコンだ。
その距離はここから約200mダメージを受ける壁ギリギリにあった。
「あった!ここから200mの地点!」
「!壁はまだ狭まって無いよね!?」
2人で壁と制限時間を見てみると残り1分と表示されていた。
2人で走って復活させられて安全な中に進むにはギリギリの時間だ。
間に合うか?そういう問題では無い。
もう間に合うか間に合わないか関係無く即行動しないと二度と金斗に会えなくなる可能性の方が高い。
「トライデント使う!?」
「いやここは走りで行こう!ここまで狭くなった時に走らせたら逆に見付かったらいい餌だ…!」
満月の言う通りにし、2人は一斉に駆け出した。
◇◆◇◆◇◆
道中では運良く他プレイヤーからは見付かる事は無く、無事に赤いメタグロスの様な形をした装置に辿り着く。
これこそがリスポーンビーコンだ。
「俺が警戒してるんで怜菓さんは復活を」
「分かった」
怜菓は急いでリスポーンビーコンにあるコンソールの様な所に満月から受け取っていたバナーをセットする。
すると真ん中の分厚い円盤の上から徐々に人の足が現れ、5秒経った頃にはそこにはボックス化して消えたはずの金斗が立っていた。
「…ん?あれ?お!お二人さん無事だったのか…で怜菓さんはどしたの?」
復活した金斗の足元には両手で顔を覆い、蹲る怜菓がいた。
「ま、色々あってな…」
「お…おう?」
怜菓の背中にを優しく叩く金斗。
「ごめんなさい…金斗さん…本当にごめんなさい…」
復活した喜びと金斗が身体を張って自分を護ってくれたのにそれを無駄にするような発言をした罪悪感が一気に押し寄せて涙を流す怜菓。
「ま、2人が無事ならそれで良かったわ。で状況は?」
「壁もかなり狭まってるからな…恐らく終わりは近いだろうよ。一応この武器持っとけ」
ガチャ…と満月は自分が持っていた武器やアイテムを渡す。
「!私のも使って!」
怜菓も急いで自分のバッグから使えそうな物を金斗に渡した。
満月がリストバンドの画面にある数字を見ると"3"という数字が表示されていた。
「2人とも、これを見てくれ。数字の残りが3になってる」
「て事はもしかして…」
そう、怜菓の予想通り、残り3人…つまり1チームを倒せばチャンピオンになれるまで近付いていた。
「ここまで来たらお互い腹を括ろう」
「おう」
「うん」
そして3人は歩き出す。
帰れるか帰れないかも分からないこの世界でこの"3"という数字は決着が近い事も意味していた─────
そろそろ終わりも近くなってきました。
感想等もお待ちしております。
またお越し下さいm(_ _)m