∀pヨ‪✕‬~想いを乗せた弾丸~   作:JAIL

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今年もあとわずか…


第6フェーズ

壁が狭まる前に目の前にある建物に入った3人。

周りにはもう入れる所が無い事からその1チームもこの建物にいる可能性は十分にあった。

 

「どうする?またあの方法でも使うか?」

「…」

 

満月の問いに金斗は珍しく黙り込む。

そして何かを思い付いたのか、金斗が口を開く。

 

「満月さん、怜菓さん、ちょっと賭けになるんだけど───」

 

金斗が思い付いた作戦を話し始めた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「お前、それ正気か?変にタイミングを外したら即終了で負けるぞ?」

「あぁ、分かってる。だからこの作戦を実行するかは2人が決めてくれ」

 

金斗が自分の作戦実行を2人の決断に託す。

満月としては安全に行きたいから自分の方法を推していたが先程の様に別の所からまた来られたらその作戦は無駄に終わる。

だが今現在、外から走って来ても襲撃は無かった。

その為、相手のチームは中で籠城してる可能性の方が遥かに高い。

だが…

 

「この作戦って言わば怜菓さんが鍵って事だよな?」

「まぁな…でも俺の考えの通りにいけば相手は間違い無く騙される。1回限りの賭けだけど俺はこれに賭けた方がいいと思う」

「確かに相手の不意を着けるのはいいが…」

「私はやる」

 

突然怜菓が自分の意思を示す。

 

「…怜菓さん。分かってるのか?」

「分かってる」

 

怜菓は震えていた。

傍から見たら無理をしてるのは明らかだ。

だが…

 

(…止めるだけ野暮か…)

 

怜菓が怖いのを押し殺して仲間を助ける為に動こうとしている。

ならその勇気を汲むべきだろう。と満月も覚悟する。

 

「分かった。やろう。それと必要なのをお互いに交換しよう」

「うん」

「オッケー」

 

お互いがお互いを庇い合い、出来る限りの努力をする。

3人は必要な物を渡し合い、準備は整った。

 

「いいか?泣いても笑ってもこれが最後だ」

 

満月の言葉に2人は黙って頷く。

 

「よし、タイミングが来たら作戦開始だ」

 

ようやく、帰れるか、帰れないか、その全てが決まる戦いが始まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

壁が狭まり始める。

2階にいた別のチームは狭まる壁を見て他のチームは追い付けなかったか?と予測する。

そしてその壁がとうとう────壁をすり抜けてきた。

その直後だった。

 

カァン!

 

銅色に輝く円盤が1つ投げ込まれた途端に膨らみ始め、提灯の様な形になる。

その円盤が膨らんだ瞬間、階段がある方からAPEXのキャラの1人、コースティックの姿をした金斗が飛び出してきてその後ろに続く形でパスファインダーの満月が走ってくる。

するとすぐに緑色の煙が吹き出し始めた。

その様子を見てすぐに投げたのはコースティックだと勘づいてコースティック目掛けて相手の3人が集中砲火する。

金斗はグレネードを投げ込むが集中砲火を浴びたせいか、体力が底を尽きて倒れてしまうが相手の1人を毒ガスとグレネードの爆発に巻き込み、共倒れをした。

 

「金斗!!!!!!!!!!!!」

 

だが倒れる直後、満月は金斗の口元が何かを発している事に気付く。

 

 

『行け』

 

 

間違い無く言っていた。

そしてここで立ち止まってしまえば金斗の覚悟が無駄になる。

 

「おおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

満月は叫び、金斗から受け取っていた最後のテルミットを自分と相手の間に投げる。

壁はもう階段を超えていた。

その瞬間だった。

 

「怜菓ぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

満月が再び叫ぶ。

その声を聞いた瞬間、階段で隠れていた怜菓が飛び出した。

それと同時に満月は────コースティックの毒ガスを投げた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

それは第2フェーズでの出来事だった。

 

「それとさ────」

 

金斗が何か気になったであろう質問を2人に投げかける。

 

「使ってるキャラと能力めちゃくちゃじゃない?」

「あ、だよな?」

「だよね?私もそう思った!」

 

そう、3人が話し合ってる時の事だ。

満月と怜菓はオクタンからの襲撃の際、そのオクタンが煙幕を使った事でその疑惑が生じたのだ。

本来そのオクタンと呼ばれるキャラクターは煙幕の能力を使う事は出来ない。

出来る事と言えば───

 

移動速度が6秒間30%上がる【興奮剤】

 

時間経過で体力が回復する【高速修復】

 

仲間を空中へ射出するジャンプパッドを展開出来る【ジャンプパッド】

 

この3つがオクタン本来の能力だ。

だが遭遇したオクタンは"バンガロール"と呼ばれるキャラクターの能力の一部を使っていたのだ。

その為、怜菓も満月も金斗も本来のAPEXとは違う違和感を感じていた。

 

「ちょっと今、お互いの能力見てみない?」

「それいいな。確認してみよう」

「うん、そうだね」

 

3人は立ち上がり、お互いに距離を取る。

 

「じゃ、まず俺からな」

 

金斗が手を挙げて準備をする。

すると金斗の左腕からワイヤーが伸びて壁に付いた途端に収縮する。

 

ゴツン!!!!

 

「いっで!!!!」

 

ワイヤーが出て収縮した事で金斗の身体は壁に打ち付けられた。

 

「金斗さん大丈夫!?」

「いつつ…だ…大丈夫…」

 

フラフラしながらも立ち上がる金斗。

 

「金斗はパスファインダーの能力か。よし。じゃあ次は俺か」

 

満月が次に能力を使う。

すると銅色の円盤が出て来た。

 

「え?待ってお前それ…」

「っ!?」

 

満月は咄嗟に外へその円盤を放り出した。

地面に落ちた円盤は膨らみ始め、提灯の様な形になる。

 

「なんでお前がコースティックの能力使えてるんだよ?」

「いやだから知らんて…あ、次怜菓さんだよ」

「はーい。じゃあいくよー」

 

怜菓の見た目はホライゾンだ。

だが使える能力は────

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

パスファインダーがコースティックの能力である毒ガスを使い、後ろからホライゾンの怜菓が走ってくる。

相手は戸惑いながらも2人に連射し続けていた。

そしてとうとう満月も体力が無くなったが満月も相手の1人と共倒れになり、その場に倒れてしまう。

残りは怜菓と相手の1人ずつ。

その怜菓も無言で走り、銃を構える。

だが…早かったのは相手のプレイヤーだった。

怜菓の身体を何発もの銃弾が貫通する。

 

勝った───そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ──────俺達の勝ちだ」

 

ホライゾンの怜菓が消えた瞬間、同じ怜菓が壁の外だった階段から現れる。

 

「っあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

怜菓は叫びながら飛び出し、銃を撃ちながら駆け出す。

そう…先程まで撃っていた怜菓は偽物だったのだ。

これが金斗の考えた怜菓の能力を最大限にまで利用した作戦。

そしてその能力が使えるキャラそれは──────

 

 

 

 

 

 

 

──────ミラージュのデコイだ。

 

 

 

 

 

 

突然の襲撃に相手のプレイヤーは混乱する。

そして体力も毒ガスとグレネード、先程倒した満月の銃弾にやられ体力は既に4分の1を切っていた。

だが怜菓はまだ3分の2はある。

このまま行けば勝てる。

だが相手も黙って負ける訳にはいかない為か、毒ガスの中で怜菓に撃ち続ける。

怜菓の頬を、腿を、脇腹を銃弾が掠める。

 

 

 

痛い。

 

 

 

怖い。

 

 

 

逃げたい。

 

 

 

「っあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

その全ての負の感情を自身の叫び声で叩き伏せて自身を鼓舞する。

 

 

 

勇気なんて無い。

 

 

 

 

度胸なんか無い。

 

 

 

 

覚悟なんか無い。

 

 

 

今の自分の中にあるのは唯一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の手で仲間を助けて一緒に帰る──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今はその思いさえあれば十分だ。

 

 

それを心の支えにして怜菓はひたすらにトリガーを引く。

 

そのトリガーの衝撃は雷管に伝わり、火花が散る。

 

その火花は薬莢の中にあるパウダーに移り、一気に燃える。

 

一気に燃えた事で薬莢の中の圧力は高まり、弾丸を押し出す力となる。

 

銃口から怜菓の想いを乗せた弾丸は空気を割いて飛んでいく。

 

 

2発、3発、4発、5発。

 

 

連続で銃口から飛び出す銃弾。

だがそれら全てが相手に当たる訳では無い。

 

不安、恐怖、震えと走りながらのせいか、様々な所に飛んでいく。

 

窓を割り、柱を砕き、床を抉る。

 

それでも怜菓は撃ち続けた。

 

金斗は自分と満月を護ってくれた。

 

満月は心が折れそうになってた自分を再度奮い立たせてくれた。

 

そんな2人に自分は何を返した?

 

まだ何も返せてない。

 

自分は護られてばかりだった。

 

だからこそ、2人が私に託してくれたからこそ────

 

 

ここで逃げるわけにはいかない!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

その中の1つの弾丸が怜菓の想いを"託された"とばかりに相手へと突き進む。

そして毒ガスの中からも1つの弾丸が怜菓目掛けて飛んでくる。

 

 

そして──────




さて、次週が最終回となります。
ここまでご覧頂いた皆さん、最後までどうぞお付き合い下さい。
また来週~♪
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