みなさんこういった資料は大好きかと存じますので、余計なことは書きません。
どうぞ心ゆくまで蹄音ワールドの空をお楽しみください。
航空四十年史
ー情勢で見る航空機の発展と制度の変遷ー
【潜在的需要の発生】
◇明治十九年(一八八六)
開校:府中ウマ娘修練高等女学校
注:旧ウマ娘学問所の流れを汲み、「中央」の基礎が完成。
◇明治四二年(一九一〇)
結成:日本ウマ娘倶楽部
開校:札幌ウマ娘修練学園
注:現地組合によるウマ娘向け養成校の体系が成立。
【最初期の概要】
◇大正初期(一九一〇年代後半)
ウマ娘レース記録の音声記録・写真・フィルム輸送需要が発生。鉄道輸送は速度・路線制約から限界があり、船舶輸送が主流。黎明期の航空は船舶構造を流用した飛行艇が優位。
◇昭和初期(一九二〇年代前半)
無線機の普及がはじまる。長距離飛行での航法および通信のため、複座構造が標準化。単座機は練習機・試験機に限定される。
【国際レース時代の幕開け】
◇大正五年(一九一六)
設立:横須賀造船所航空研究室(現:木更津航空研究所/横須賀航空学校)
◇大正九年(一九二一)
設立:国際レース連盟
注:国際レースの枠組みが完成。日本は窓口として国際レース連絡事務局を設置→レース庁
◇大正十一年(一九二二年)
設立:海事保安庁
注:警察庁麾下の海上警察。
開港:立川訓練飛行場(現:立川飛行場)
開校:私立盛岡ウマ娘女学院
注:ウマ娘競争人口を確保する為に私立校を認可。
◇大正十二年(一九二三)
法律:レース庁設置ニ関スル法律(内閣府第四七号)
注:国内レースの体系化と、国による監督が始まる
◇大正十五年(一九二五)
開場:京都レース場
【航空機の勃興】
◇昭和元年(一九二六)
設立:独立研究法人木更津航空研究所(旧称:国立横須賀造船所航空研究室)
注:主に飛行艇を開発
開場:木更津水上飛行場
開場:霞ヶ浦水上機試験場
注:木更津水上飛行場の付属施設として
運用:この頃は企業が独自に調達した水上機や飛行艇が各地を連絡していた。
◇昭和二年(一九二七)
通達:航空機搭乗員養成ニ関スル通達(文部省令第三七号)
開場:名古屋訓練飛行場(現:名古屋飛行場)
開校:岐阜笠松ウマ娘女学校
注:地方レースの振興促進のため認可。
開場:笠松レース場
◇昭和三年(一九二八)
設立:日本石油精製公社(日精)
注:内燃機関用燃料の規格化を推進
設立:独立研究法人宇都宮航空研究所
注:主に小型機を開発。
開場:宇都宮飛行場
開場:中山レース場
政治:日本初の女性議員誕生
【航空ネットワークの発達】
◇昭和四年(一九二九年)
法律:航空機ノ運輸活用ニ関スル法律(運輸省第六号)
注:運輸省管轄の航空機を使用した地域間の連絡・連携システムの構築が始まる。
設立:運輸省航空局
注:航空機の監督官庁として。
設立:日本ウマ娘組合連合会
注:盛岡ウマ娘女学院を擁する東北ウマ娘組合岩手支部は準会員として参加。
◇昭和五年(一九三〇)
設立:独立研究法人岐阜航空研究所
注:主に多発機を開発。後に航法装置の開発に切替。
開場:札幌飛行場
注:千歳練習飛行場を含む。
開場:木更津飛行場
注:木更津水上飛行場の滑走場設置に伴う追加。
開場:岐阜飛行場
開場:盛岡飛行場
開場:羽田飛行場(民間)
開場:根岸水上飛行場(民間)
注:羽田飛行場の付属として。
開場:北九州飛行場
航空機:九〇式陸上連絡機『騮翔』運用開始→後に多数が水上練習機へ改装。
開場:園田ウマ娘鍛錬場
注:阪神ウマ娘組合管轄の広域鍛錬場。合宿施設完備。
◇昭和六年(一九三一)
法律:航空機ノ積極的開発ニ期スル技術及其ノ共有ニ関スル法律(内閣府第二六五号)
注:内閣府に「航空技術監理審査会」を設置。
開場:広島飛行場(官民共同)
航空機:試九一式双発水上機『駔洋』開発開始→客席を備える初の水上機。練習機型も生産された。
無線機:九一式航空無線機運用開始
無線機:九一式地上無線局運用開始
運用:この頃から政府の航空機は連絡機=風/嵐、貨物機=雲、貨客機=空、水上機/飛行艇=洋/海の名を用いることが定められる。ただし試作機はこの限りではない。
技術:国産星形エンジンが四百馬力を達成。
◇昭和七年(一九三二)
法律:航空機ノ搭乗員ニ関スル法律(運輸省第一一八号)
注:航空機搭乗員の身分を公務員に限定。階級は警察における警部補〜警視相当。
通達:無線機搭載航空機ノ飛行場ニ於ケル管制業務ニ関スル通達(運輸省令第一〇号)
注:一定以上の飛行場に無線を用いた「管制部」の設置が義務化。
航空機:試九二式陸上連絡機「騠風」(仮称)開発開始
航空機:試九二式陸上旅客機「驪空」(仮称)開発開始→陸上機の需要縮小のため試作機のみで開発中止。
開場:伊丹飛行場(官民共同)
開場:小倉予備飛行場
注:小倉レース場を転用
【拡大する航空産業と民間】
◇昭和八年(一九三三)
法律:航空開発事業団設置ニ関スル法律(内閣府第三一号)
注:政府主導の合弁会社を設立し、航空産業に巨大トラストを形成。各地の研究所も参加。
設立:特殊法人航空開発事業団
設立:特殊法人航空技術振興会
設立:航空発動機開発合弁会社
設立:財団法人航空開発共済会
設立:横須賀航空養成学校→横須賀造船所から独立し、航空開発事業団教育部の傘下に入る。
設立:日本海上航空(民間)
法律:陸上航空機ニ於ケル旅客搭乗者ノ分離ニ関スル法律(運輸省第七二号)
注:ウマ娘及びレース関係者を除き、民間人の陸上航空機への搭乗を禁止。
法律:航空従事者ノ民間登用ニ関スル法律(運輸省第一〇六号)
注:操縦士資格保有者が民間に雇用された際の公的な身分を「警察官警部補相当」に固定し、拳銃の所持を合法化。
航空機:九一式双発水上機『駔洋』が民間航路にて運用開始
航空機:試九三式四発陸上連絡機『震空』開発開始→電波監査機として採用。三発以上の大型陸上機開発は、これ以降完全に頓挫した。
無線機:九三式航空無線機運用開始
技術:追加燃料タンク(増槽)が開発される。しかしエンジンパワーが足りず搭載は先送り
開場:東京レース場
◇昭和九年(一九三四年)
航空機:試九四式陸上軽輸送機『驃雲』(仮称)開発開始
航空機:試九四式陸上連絡機『駃風』(仮称)開発開始
技術:宇航研単座高速度試験機『駿風(はやて)』が水平飛行で170ktを達成。
◇昭和十年(一九三五)
法律:民間航空機ノ港湾使用ニ関スル法律(運輸省第27号)
注:水上機と飛行艇の民需関連法規を整理し、飛行場指定の無い小規模港における水上機取扱を合法化。
設立:瀬戸内航空組合(民間)
設立:琉球航空組合(民間)
開場:函館飛行場
開場:帯広飛行場
開場:石巻水上飛行場
開場:大阪水上飛行場
開場:門司港水上飛行場
開場:鹿児島水上飛行場
航空機:九五式陸上連絡機『駃風』運用開始→主に郵便機として日本中に配置。民間では水上機仕様の『駃洋』が各地を結ぶ。
航空機:試九五式四発飛行艇『騱洋』開発開始
運用:日本海上航空により、初の国際線となる羽田-上海便が就航。
◇昭和十一年(一九三六)
航空機:試九六式特殊試験機「駻風」開発開始→航続距離目標が達成できず計画変更、民間用水上機へ転用。
◇昭和十二年(一九三七)
設立:東北航空組合(民間)
航空機:九七式陸上軽輸送機『驃雲』運用開始
無線機:九七式航空無線機一型運用開始
無線機:九七式地上無線局運用開始
経済:真空管の国産化が進み、無線機の性能が劇的に向上。
技術:VHF帯を使用する無線電話の基礎技術が確立する。
技術:超ジュラルミンの安定生産が確立する。
開場:新潟レース場
◇昭和十三年(一九三八)
法律:ウマ娘総動員法(内閣府第55号)
注:ウマ娘の移動制限に伴い、関係者の輸送量が増加。陸上輸送機の開発が加速。
航空機:九八式救難飛行艇『駮洋』運用開始→九州を中心に配置
航空機:試九八式陸上双発輸送機『騚空』(仮称)開発開始→発動機が定まらず開発遅延
無線機:九七式航空無線機二型運用開始
◇昭和十四年(一九三九)
航空機:九九式陸上連絡機『驔風』運用開始→関東から東海にかけて配置
航空機:九九式大型飛行艇、通称『九九大艇』運用開始→民間向け初の全金属製四発飛行艇
航空機:試九九式陸上連絡機『駭風』開発開始→国内初の全金属製単葉陸上連絡機
無線機:九九式地上無線局運用開始
◇昭和十五年(一九四〇)
航空機:零式飛行艇「驗洋」運用開始→海事保安庁向けの武装飛行艇
航空機:零式水上連絡機「駉洋」運用開始→島嶼部向けの長距離水上機
無線機:零式航空無線機一型/二型運用開始
無線機:九七式航空無線機三型運用開始
事故:試九九式陸上連絡機『駭風』試作一号機が離陸に失敗し墜落。計画見直しのため、以降の機体更新が停滞する。
経済:世界の鉄鋼生産量が三五百万トンに到達
◇昭和十六年(一九四一)
航空機:試一式陸上軽輸送機『騅藍』(仮称)開発開始→イギリス製郵便機の設計を輸入。基礎設計を岐阜航研が行い、実地試験は宇航研が担当。
航空機:試一式陸上連絡機『駸風』開発開始→ 『駭風』の予備案として図面のみ作成。
◇昭和十七年(一九四二)
航空機:試二式陸上連絡機『騂風』(仮称)開発開始→既存の木金混合胴体をベースに積載量の大容量化を計画。
政治:日本ウマ娘倶楽部の酉越・T・ユラナス以下六名、衆議院議員に選出
◇昭和十八年(一九四三/物語現在)
運用:立川から盛岡、新潟、名古屋、岐阜にウマ娘専用便を運行
注:昭和十三年公布のウマ娘総動員法を根拠にレース庁が航空機を徴用。
事故:坂井東一飛行士の操縦する騂風9024号が府中町の畑に墜落。全治半年の大怪我を負う。
■補助資料:航空機の運用について
【機体番号】
全ての航空機は、主翼、胴体下面、垂直尾翼または機胴側面の三箇所に所属および最大四桁からなる機体番号を掲示しなければならないと定められている。また、隣接する区域では同一番号は登録できない。この機体番号とは船籍に相当するもので、運用地とは一致しない場合もある。
■所属記号一覧
Cチト=千歳
Mモリ=盛岡
Uミヤ=宇都宮
Tタチ=立川
Kキサ=木更津
Fフ=岐阜
Hヒロ=広島
Yユ=北九州
JP=日本の国際識別符号
Nニ=日本海上航空(民間)
Sセ=瀬戸内航空組合(民間)
Rリ=琉球航空組合(民間)
Eエ=東北航空組合(民間)
【国籍標識】
例え国内でのみ運用される航空機であっても、その所属は常に明確にする必要がある。日本においては、両翼の上下と胴体側面に白縁取りの日の丸を掲げることが定められている。救難機の特例として、赤十字章が国際保護条約の保護を受ける点に鑑み、翼には国籍標識を掲示し、胴体側面には赤十字を掲げると規定されている。
【カラーリング】
日本国内で運用される航空機においては、外観から所属を推測することができるよう、標準機体色が定められている。
◇運輸省:濃緑白ツートン
◇政府直属:白地に赤帯
◇海自保安庁:濃青白ツートン
◇救難機:白地に赤十字
◇試作機:橙/橙帯
◇練習機:翼端/尾翼のみ黄
◇民間機:赤帯を除き自由(要審査)
【パーソナルマーク】
機体ごとの個体差が大きいこの時代、航空機はパイロットと一対の存在として扱われている。そのため尾翼や胴体には、操縦者を示す固有のシンボル、いわゆる「パーソナルマーク」が描かれることが多い。
無電の発達により搭乗者が事前に共有されるようになった現在でも、この文化はなお受け継がれている。
この風習は、江戸時代の火消しが死亡時に身元を判別できるよう、刺青で個人を識別していたという故事に由来する。
※例
坂井機:白丸に「雷」の文字
船崎機:赤縁取り黄色矢印
一方で、乗員が流動的である民間航空会社や、生活インフラを担う島嶼部の水上機組合などでは、同じ文化が異なる進化を遂げた。これらの機関では、機体自体に固有名詞を与える慣習が根づいている。船舶の「命名式」と同様、機体に命を吹き込むような儀式が行われることもある。
※例
日本海上航空の「銀龍号」
瀬戸内航空組合の「ひうち号」等
【エンジンの種類について】
航空機用エンジンは、内燃機関の中でも最先端の技術がふんだんに使われている。出力が頭打ちになっているのは、低オクタン燃料によるノッキングや燃費悪化の問題を解決できていないからである。もちろん、これでも飛行のたびにオーバーホールをしなければならない頃に比べたら大変に進歩している。なお、五千米を超える高高度を飛行する需要から、初歩的な機械式過給機(ターボチャージャー)はすでに実用化され、たいていのエンジンには装備されている。
◇鳳(おおとり)シリーズ
航空発動機開発合弁会社の設計した星形発動機。縁起を担いだ名前が多く、練習機から水上機まで幅広く採用されている。各地の企業でライセンス生産される発展型の他、現地改修された一点ものの改造機も多数存在する。
・翠鳳(すいほう):生産終了。練習機に転用されているので部品のみ生産されている
・彩鳳(さいほう):軽量な星形9気筒エンジン。
・寿鳳(じゅほう):単発機向けの普及機。機械式過給機付きの星形9気筒。
・煌鳳(こうほう):寿鳳の選別部品使用モデル。一部の要人輸送機に搭載。
・試製瑞鳳(ずいほう):寿鳳を大型化し、試作の機械式二段過給機を搭載。現在は初期ロットが試験中。
・仮称祥鳳(しょうほう):現在設計が進められている、国産初の星形副列14気筒エンジン。
・仮称龍鳳(りゅうほう):構想が進められている、祥鳳を18気筒に増強したエンジン。
◇隼(はやぶさ)シリーズ
航空発動機開発合弁会社の設計した中・大型機向けの水冷V型エンジン。ブロック構造を採用していないため整備ができる飛行場が限られているが、出力重量比の高さが特徴。
・隼100型系(軽量型)
・隼200型系(出力型)
◇富士式発動機
富士発動機KKが手がける水冷エンジン。ユニット化によるメンテナンス性の高さが特徴。気筒数と出力を減らしたトラック用エンジンも展開している。
・富士ハ-30系(直列8気筒)
・富士ハ-50系(直列12気筒)
・富士ハ-80系(V型12気筒)
◇NK・NVシリーズ
瀬川発動機KKが展開する航空機用エンジン。鳳シリーズの保守部品製造から始まった瀬川発動機は、後にライセンスを取得して独自開発に着手。瞬間的にカタログ値を超える水噴射装置を持つNKシリーズが仮採用となり、航空発動機業界に一石を投じた。
・空冷星形『NK』シリーズ
【航空燃料】
石油の99%を輸入に頼っている日本では、国内での石油流通が統制されている。精製技術が未発達なため、一般航空燃料のオクタン価は70前後にとどまり、運輸省の連絡機に優先配分される燃料でもせいぜい80オクタンである。 90オクタンを超えるものは要人輸送機や高速度試験機など、一部の特別な用途にしか配分されない。
【主要な燃料】
◇日精六五号:65オクタン一般燃料。白帯のついた一斗缶またはドラム缶詰めで、通称は「ロクゴー」や「白ガス」。品質のばらつきを気にしなければ、飛行機からトラックまで何にでも使える万能ガソリン。全国どこでも手に入るため、民間だけでなく、田舎を飛ぶ官庁の小型機も使用している。
◇日精七〇号:70オクタン航空燃料。赤帯のついた一斗缶またはドラム缶詰め。飛行機関係でただ「燃料」といえばまずこれを指し、大半の航空用エンジンはこの燃料を使用するように設計されている。宇都宮飛行場では、70オクタン以上73オクタン未満の品質検査証明書付きのものだけを備蓄している。
◇日精「興国」:80オクタン超の鉛添加ガソリン。真っ青なドラム缶に入っていることから、通称は「青精」や「青ガス」。運輸省特別通達便や政府指定旅客便に使用されるほか、多数の試験機を擁する宇都宮にも少量が備蓄されている。
◇日精「隆国」:90オクタン超の鉛添加ガソリン。大きな日の丸のついたドラム缶に入っていることから、「赤精」や「ヒノマル」とも呼ばれる。政府指定特別旅客便専用の最高品質燃料で、天皇・皇室をはじめ、国賓や国政議員の搭乗時に使用される。
【日精について】
昭和三年に設立された、石油の精製と船舶・航空燃料の製造を担う国策会社。正式名称は「日本石油精製公社」。
通産省の監督下にあるものの、その扱いは優遇ではなく厳格な制度的制限の下に置かれている。議会によって『前年度の実績を基準に総輸入原油量の五十五㌫までしか日精に配分してはならない』という法律(公正な石油開発に関する法律)が定められており、過度な市場支配を回避するための上限措置となっている。
この枠を超えた分については、民間各社が自由に輸入・精製・販売を行うことができるため、競争と多様性が一定保たれている。
【その他の石油企業】
日本鉱油、昴菱石油、山光興産などの民間の石油系会社は、日精も含めて監督官庁である通産省の価格統制を受けている。これは日精を守るためではなく、各会社の不当廉売や低品質品の流通防止のためである。
【民間航空について】
一九四三年現在の民間航空はまだ発展途上で、水上飛行場を拠点とした飛行艇による小規模な人員・物資輸送が主となっている。これは燃料の質の悪さと、発動機の信頼性の低さに原因がある。一九四三年現在は羽田-名古屋便、羽田-伊丹便、羽田-大阪・門司経由鹿児島便、羽田-伊丹・鹿児島経由台北便などがある。主要な民間水上飛行場として、羽田(根岸水上)飛行場、名古屋港水上飛行場、大阪湾水上飛行場、門司港水上飛行場がある。
また地方では自治体の出資する組合によって、医薬品・現金・郵便の輸送に特化した水上機網が発達している。
【運用体系と補助装備】
1.航空管制
全国の航空機を集めても四千機程度なので、常に飛行機を追いかけるという意味での航空管制は概念自体が無い。ただし一定規模以上の飛行場は、離着陸の管制を行う管制部の設置が義務化されている。飛行中の機体との通信は各飛行場の管制部のほか、各地に設置された航空観測所を経由して、司令所が総合して取り扱う。
1-2.航空無電受信所
【北海道管区】
函館司令所
【東北管区】
仙台司令所
郡山航空無電受信所
【関東・甲信管区】
品川司令所
松本航空無電受信所
【中部管区】
岐阜司令所
【関西・四国管区】
広島司令所
高知航空無電受信所
【九州管区】
門司司令所
鹿屋航空無電受信所
2.航法装置
機体には羅針儀、気圧高度計、方位磁針が装備されている。地上設備としては通信装置を備えた航空観測所、機体位置測位装置、無電中継装置等がある。
3.航空観測所
「〇〇(山)物見台」と通称される、主に飛行機との通信を行うために建設された塔。
おおむね標高五百米以上の山頂に設置される。どの観測所にも無線機と電話が設置されていて、大型のものは機体位置測位装置や無電中継機といった機器のアンテナや照空灯が取り付けられている。中央部には双眼鏡に連動した赤青黄の信号灯と設置されていて、モールス信号による通常の通信にも対応する。
3-1.航空灯台
航空機に危険な箇所や進路、飛行場の方位を示すためのもの。常時点灯しているものや周期的に色を変えるもの、点滅するものなど、示したい対象によってパターンが異なる。
4.自機方位送信装置
各機体は自機方位送信装置(Aircraft Direction Transmitter)と呼ばれる一種のビーコンを搭載している。これは方位磁針と連動した装置で、機体の個別符号と絶対方位を示す三桁の信号を五分毎に自動発信する。空路の各所に設置された受信装置が得た情報から三角測位を行うことで、機体のおおよその位置と進路を知ることができる装置。現代でいえばLORANに近い方式にあたる。ただし、この仕組みでは機体の高度を知ることができないという欠点がある。また観測所の都合から、三角測位が機能するのは郡山無電受信所〜広島無電受信所の間のみとなる。
◇真空管構成
発振回路:UY-227 or UX-171A
中間・終段増幅回路:UX-112A×2
符号送出回路:UY-227 (タイミング制御用)
※方位・符号変換は真空管を使用せず、機械式計算機による
電鍵変調回路:UX-201A
電源整流回路:UX-280
5.通信装置
乗組員同士はマスク型、または咽頭マイクとヘッドホンを着用し、無線機に内蔵された機内電話で通信を行う。無電制御盤や帰投方位測定機の制御盤などが取り付けられているため、後席は制御盤で占められている。無線の機器類、アンテナ、バッテリーを含めると総重量は二百kgにものぼり、この世界の航空機の航続距離の短さの原因となっている。アナログな装置として回光信号機や信号銃なども搭載されている。
5-1.航空無電
航空機間や地上と通信するための装置で機内電話も兼ねる。後席は航法の他にこの無電機を操作できる技術が必要となる。双発以上の大型機の場合は操縦士兼航法士、副操縦士兼無線士と業務が分けられるが、専属の無線士や機関士が搭乗することもある。
一九四三年現在は零式一号/九七式三号航空無線機が主力。
5-1.帰投方位測定器
地上に設置された無指向性電波標識(NDB)の誘導を受けるための装置で、初歩的なADFにあたる。有視界飛行による操縦士の負担軽減のために開発された。任意の周波数を指定し、計器盤に付けられた誘導針が指す方位へ機首を向ければ目的地へ飛行することができる。
◇真空管構成
RF増幅回路:UX-112A
混合・検波回路:UX-201A
位相差・電流変換回路:UX-112A or UX-171A ×1
出力メーター駆動:UX-112A
5-2.回光信号機
光の点滅を利用した通信機。
直径四寸程度の大きさで、要するに引き鉄のついた懐中電灯。引き鉄を引くとシャッターが開く仕組みになっていて、点滅によるモールス信号を用いて通信を行う。船舶信号と同じ略符号を採用することで、アルファベット数文字で通信が可能。
5-3.信号銃
口径一インチ。中折れ式の二連銃身を持ち、装填後に安全装置を外して引き金を引くだけで発射できる。赤、青、黄、緑の煙弾と白、赤の星弾があり各2発以上の搭載が義務化されている。また後席の搭乗者は、ベークライト製の使い捨て三連赤色煙弾発射器を携帯している。
5-3-1.信号弾の用途
煙弾は原則、航空機からの緊急通信に使用される。
特に異常を表す黄色、墜落の危険などを表す赤色については、航路周辺住民にも発見の際には通報の協力を要請するチラシが配布されている。
星弾は薄暮における照明や遭難の際の通報に使用される。
ただし、天候に関する緊急の情報がある場合には物見台から打ち上げられることもある。
5-3-2.信号弾の組み合わせ
【自機に関する信号】
緑:我に異常なし。
黄:我の機体に異常あり。
赤:我に墜落の危険あり。
青:我の燃料はわずか。
赤-赤-赤:救難信号
【相手に対する信号】
解読には原則、「貴機の進路上に」の接頭辞がつく。
緑-緑:支障なし。安航を祈る。
緑-黄:気流に乱れあり。
緑-赤:積乱雲あり。
緑-青:我と通信せよ。
黄-黄:雨に注意。
黄-青:強い雨に注意。
黄-赤:乱気流に注意。
赤-赤:その他の危険あり。
赤-青:天候不良退避せよ。
6.生命維持装置
航空機の飛行高度が五千米を超えるようになると、酸素濃度の低下から低酸素症を起こす。これを防止するため、大型機や一部の小型機にはインテークから取り込んだ空気を圧縮し、高圧酸素瓶に蓄えた酸素と混合してマスクやキャビンへ供給する装置が搭載されている。ただし、機内丸ごとを与圧する構造・機構は一九四三年現在ではまだ開発されていない。
次回、昭和十九一月五日