女性恐怖症の提督   作:針葉樹

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あれ……もう菊月?
え?しかももう30日?
うそでしょ………


違和感と拘束

作戦は順調に推移している。

敵大島駐屯部隊は航空水上打撃艦隊と水雷戦隊により相模灘にて包囲することに成功しているし、敵増援艦隊は洲崎に待機させていた部隊により足止めしている。敵大島駐屯部隊は殲滅できるだろう。

しかし……やはりおかしい。

敵司令官は俺が着任する前とはいえ横須賀鎮守府相手にヌ級やタ級で大島まで攻略するほどの指揮力を持っているはず。

だというのにこんな分かりやすい罠に掛かり、増援を送るような指揮を執っている。

真正面から殴り合った場合、こちらが勝つのは明らかだ。

それに補給の観点から見ても敵からしたら大島に戦力を集中させて戦う理由はないはず。

だが敵は大島に部隊を集めている。

空母機動部隊からの報告が真であれば、それこそ伊豆諸島全域の部隊を大島に投入しようとしている。

 

………何故だ?

 

逆に考えよう。

俺が相手ならどうするか。

 

1,味方に増援を呼ぶ

 戦力比が圧倒的に違いすぎる。いくら戦術に長けていようとも、敵が一斉攻勢に出ている状態では流石に対応しきれない。そのため援軍を呼び、既存戦力で増援到着までの時間を稼ぐ。

 

2,撤退する。

 味方の増援が望めない場合、深海側は軽空母6隻、戦艦4隻(推定)を有しているとはいえ、相手は横須賀鎮守府。空母数、戦艦数共に2倍近い。勝てるわけがない。そのため殿を用意し、それ以外の艦隊は撤退させ、戦力を温存する。

 

3.潜入を試みる

 味方の増援が絶望的かつ撤退が不可能な場合に行う手段。一部精鋭を除く全戦力をもって大規模なおとり作戦を実施。敵がそちらに目が行っているうちに敵中枢部まで浸透し、攻撃。敵首脳部の破壊を試みる。

 

まず1だが、あり得ないだろう。

時間稼ぎであれば、真正面から殴り合うのではなく、伊豆諸島という立地を生かしたゲリラ戦術を行い、遅滞戦闘に努めるべきだ。

真正面からの殴り合いは戦力を消費するだけで、大した時間は稼げない。

また、2もないと言えるだろう。

仮に2が狙いなのであれば、最初にこちらの罠に掛かった後、戦力を大島に投入する必要がない。

そのまま撤退すればいいのだから。

つまり敵の狙いは残る選択肢、3だ。

3であればすべて納得がいく。

あえてこちらの罠に掛かり、その上で増援を大島に送ることで我々の注目を大島に集めさせる。

その間に精鋭を率いて鎮守府に潜入。

まさに灯台下暗しともいえる作戦だ。

この場合であれば敵の行動にも納得がいく。

普通なら自分の作戦が刺さったことで油断し、気付かないところだろうが、相手が悪かったな。

そこまで考え至った俺は通信機を手に取り、待機中の空母機動部隊に命令を下す。

 

「こちら司令部より第四艦隊へ。鎮守府正面海域の偵察をお願いします」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

大島で大規模艦隊戦が起きているおかげで何とか相模湾に忍び込めた。

しかしこのまま真正面から横須賀鎮守府に向かっても奇襲の効果が薄いだろう。

何故なら今回潜入したのは私一人のみだからだ。

そのため鎮守府正面海域を突破して上陸するなど愚の骨頂。

故に人気の少ない場所から上陸し、陸路で鎮守府に忍び込む。

幸い私の服装は世間一般ではゴスロリ?というものにあたるらしく、艤装をしまえばコスプレした一般人に見られるだろうから、街に忍び込むのは可能だろう。

敵も流石に海からではなく地上から攻め込んでくることは予想できまい。

 

「シカシ、ナカナカドウシテキズクノガハヤイ」

 

先程まで静かな海だったのに、気が付いたら艦載機の音が聞こえる。

恐らくこちらの目論見がばれたのであろう。機影はまだ確認できていないが、このままだと見つかるのも時間の問題だろう。

………急ぎ陸地まで行かなくては。

ん?艦載機の音?私の予測では敵はまだ大島にて戦闘を継続しているはず。

だというのに艦載機で内海を偵察している?

もしや、大島の部隊は殲滅されたのか……!?

だとしたらまずい!

敵はおそらくこちらの作戦に気付いているはず。

ゆえに大島攻略後は一部の守備隊を除き部隊を鎮守府に帰還させ、防衛を固めるだろう。

そうなるとさすがの私でも一人でその部隊を相手しつつ敵司令官を殺せるとは思えない……

クソッ、やられた!

どうすればいい……どうすれば敵司令官を殺せる?

………そうだ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『こちら第四艦隊旗艦、赤城。指定エリア全体を一時間ほど索敵しましたが、未だ敵影を見ず』

 

「わかりました。一応、索敵はあと数時間ほど継続してください。何かあれば報告を」

 

『了解です』

 

敵がいない……?そんな馬鹿な。報告を疑っているわけではないが、敵が見つからないというのは妙だ。

大島での戦闘が始まって4時間。敵が増援を送ってきてからは3時間だ。

敵鎮守府と目される八丈島から大島までは大体100海里。

高速戦艦が最大船速で航行しても3時間はかかるはず。

だというのに未だ大島周辺から鎮守府近海まで潜入してこようとしている敵が見つからないだと?

敵がまだ内海に入ってきていないなら問題はないが……

潜入作戦は時間との闘いだ。敵に作戦が感づかれた時点でほぼほぼ失敗する。

それに敵からしたらこちらの作戦目標が大島のみか伊豆諸島全域かわからない状態、そんな状況で悠長にしていられるだろうか?

いや、あり得ない。敵の指揮官もそこまで馬鹿ではないはずだ。

だからほぼほぼ最大船速でこちらに向かってきているものとばかり……

……もしかしてもうすでに鎮守府内に侵入している?

しかし八丈島から鎮守府までは4時間近くかかるはずだが……

 

上原が思考を巡らせていると、突如執務室のドアがノックされる。

今日は来客の予定はないはずだし、今は大規模作戦中だ。

よほど緊急のようでない限り訪問はあり得ないし、それほどの緊急の要件ならノック後すぐに入ってくるはずだ。

一体誰が来たのだろうと思い、入室を促す。

すると入ってきたのは背丈の低い、自衛官の服を着た女性だった。

 

自衛官?階級は……海士長?自衛隊であれば鎮守府にくるなら事前に連絡を寄こすはず。

緊急であればノックの後すぐに入ってくるはずだ。

つまり緊急の用があったわけではない。それに海士長クラスがわざわざ俺に会いに来る理由が分からない。

顔も俺の知らない顔だ。肌は白く、眼は赤い。これほど特徴的なら、同期に居たら忘れるはずが無い。

つまり俺の同期である可能性もない……

それにあの服………

 

「本日はどういったご用件でしょうか」

 

「タズネタイコトガアッテ、ソレヲキキニキタ」

 

あぁ、確定だ。そりゃあ、いくら探しても見つからないわな

 

「オマエガコノチンジュフノシレイカンカ?」

 

「そうだと言ったら、お前はどうする?」

 

こいつはおそらく深海棲艦。

自衛官の服を奪い、鎮守府内に潜入したのだろう。

それほどの実行力と決断力を持っていることから指揮官クラス。

索敵網に掛からなかったのはこいつが単騎で潜入したがゆえに、味方と船速を合わせる必要がなかったから、短時間で航行できたのだろう。

 

こいつの目的は明白、俺を殺すこと。

 

室内かつこれほどの近距離。

艤装を展開し、砲を放てば即座に俺を殺せるだろう。

仮に主砲ならば、当たらずとも風圧で致命傷は喰らうだろうし、風圧をかわしたしても床板や天井などが崩壊し。大怪我は免れまい。

しかしそれは”艤装を展開され、攻撃をされたらの話”敵はおそらく俺個人の戦闘力は皆無だと思っているだろう。しかしそれは違う。

これほどの近距離であれば………

 

「オマエヲケサセテモラオウ」

 

離島棲姫から黒いモヤのようなものが出て、離島棲姫の体を包んでいく。

足から徐々に見た目が変わっていき、それと同時に艤装が構築されていく……が、それよりも早く離島棲姫は上原により拘束される。

人が艦娘に力で勝てるわけがないというのは常ではあるが、それはあくまでも艤装を展開している場合、艤装未展開時であれば、そこらの人と同程度の力しかない。

それに対し、上原は一般人よりも身体が発達しており、自衛隊で学んだCQCの技術もある。

そのため、艤装の展開しきっていない離島棲姫がこうなるのは自明の理だった。

 

(クッ、艤装を展開しきるまで約1.5秒程……だというのにその短時間でこの私を拘束するとは……それにしっかりと関節を占めてきている。この状態で艤装を展開しても関節を折られるだけ……敵司令官の戦闘力を見誤ったか!)

 

「危ない危ない。あと少しで死ぬところだった」

 

「クソッ、ハナセ!」

 

「すまないが、それはできない。君には聞きたいこともあるし」

 

といっても、このままだとどうすることもできないし、一度気絶してもらった方が早いか。

 

「とりあえず、眠ってもらうね」

 

「イ、イタイナニオッ゛………」

 

さて、どうしたものか。

残念なことにこの鎮守府に牢屋はない。以前はあったが、俺が夜な夜なそこに艦娘を連れて行っているとかいう変な噂が立ちそうだと思って解体したので無い。こいつ女だし艦娘寮に拘留場所作るか?いや、こいつは彼女達の敵にあたる。自分たちのテリトリーに敵がいるというのは居心地が悪いだろうし、女性はそういう気に食わないやつに対して過剰に反応する節があるらしい。であれば俺の目の届く範囲に置くのがいいだろう。となるとこの指令部が置かれているこの棟のどこかになる。

といっても空いてる場所なんて……あるわ。俺の部屋の隣だけど。

後で掃除して生活環境を整えなきゃな………。

雑多な扱いをすると俺が捕虜相手に手荒な真似をするカスとか思われそうだし。

とりあえず第四艦隊に連絡して索敵の停止を指示して、大島方面もそろそろ終わっているだろうし、そのまま伊豆諸島全域の奪還のための指揮も取らなくては。

あ、その前に一応縄で縛っておくか。

 

コンコン

 

上原が離島棲姫を気絶させ、縄で拘束していると執務室にノックオンが響く。

返事をすると、向こうから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

どうやらノックの主は大淀のようだ。

上原は大淀に入室を促し、話を聞こうとする。

………自分がいま傍から見たら女性を縛り上げているという状況であることを忘れて。

 

「失礼します。提督、先程第一艦隊か…ら……え……?」

 

「どうかしましたか?」

 

動揺する大淀を見て、上原は何かあったのだろうかと思い聞き返す。

しかし、大淀の返答が返ってくるより早く、上原は今の自分の状況を理解した。

 

俺今気絶した女性を縛り上げる変態になってるじゃねぇか!!!




えー、前回の投稿から、二カ月近くが立ちました。
前回の投稿で、本編の投稿は8月の中旬になるといっていました。
そして現在、9月30日と。
はい。またなんだ、すまない。
自分もまさかここまで投稿が遅くなるなんて思わなかったよ。
まぁ投稿が遅れた原因は、リアルの仕事と、法事がダブルパンチで時間削ってきました。
あとナイトレイン。
次は……次は頑張って早めに出そうとするから……次は!

次回はたぶん本編になるかな?IFを投稿するかもしれないけど、多分本編のはず……!

どうでもいい話
作者はあきつ丸以外の大型建造で出る娘は持ってます。
あきつ丸は出ません。
どうしてですか………
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