ただ今回ちょっと短め
この前の金剛の一件のおかげで、俺の心はだいぶ軽くなった。
ようやくこの鎮守府内で俺が素で、心を置ける関係の人物ができたからだ。
たった一人ではあるが、この鎮守府で半年近く一人で生きてきた俺にとっては最高の一人だ。
そのため秘書官はできれば金剛固定にしたいのだが、募集した手前それはできなかった。
辛い。
だが今日は丁度出かける予定の日なので、秘書官の子と二人きりとかいう地獄ではないはず。
それに今日の秘書官は大淀だ。
大淀はこの鎮守府で最初にあった艦娘で、話している感じは比較的温厚……というよりは、社会性が高く、おそらく合理主義的な性格なので、俺を排除しようとは行動しないはず。
ただ、腹の内はいまだ読めないので、警戒は必要だ。
「提督、失礼します。本日の秘書官を務めさせていただきます。大淀です。よろしくお願いします。」
お、噂をすればだ。
「こちらこそ、本日はよろしくお願い…します……」
え、は、え!?ちょ、これホントに大淀!?
いや、見た目は大淀だし、口調も大淀だけれど!
「提督、どうかされましたか?」
「……いえ、とくには何もありません。気にしないでください。」
一体大淀に何があったのだ?以前とは見違えるほどに目が死んでいる。
いや、死んでいるというよりはこれは濁っている?
………あ、この目、あの時と同じだ。
中学の頃、俺の友人を刺し殺したあの女と全く同じ目だ。
…………………やばいじゃん。
俺、これ、刺し……殺される?
「そうでしたか。それでは提督、早速行きましょうか」
逝きましょうか!?今逝きましょうかっていった!?
は、ハハ、艦娘が……艦娘が一対一で現役自衛官の俺に勝てるわけが……ない……よね?
多分、きっと、maybe
そ、それに今この場で殺すなんてことはないよね……?
とりあえず、早く車に……いや、車は良くないな。密室だし、車で山まで運ばれる可能性がある。
安全なのは……公共交通機関か。
「えぇ、今日は電車を利用しましょうか。」
「いえ、車にしましょう電車だと提督の身を守れません提督の身の安全が最優先です電車ではいつだれが提督を刺し殺そうとするかわかりませんしたがって車にしましょうそれとバスもだめですバスではいつハイジャックを受けるかわかりませんし爆破される可能性もありますので大変危険ですまた車も私が用意したものにしましょうレンタカーなどではいつだれが細工しているかわかりませんし私と明石でしっかりと点検した車で向かいましょう運転手はもちろん私が行いますし提督と私以外は乗らないように調整しましょうまた車に向かうまでの間は決して私の側を離れないでください車から降りたあとも同じです決して私から離れないように提督の身の安全が最優先ですから」
一息でよくしゃべるなこの子。
あと話長いし何言ってるか分からん!
とりあえずわかるのは今の大淀は狂気的だということ。精神系の病気を患っている可能性が高い。
確か俺の友人を刺し殺したあいつは
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彼がね、私の事を好きなのに、他の人と話すの
彼がね、私のことしか見ないって言ったのに、他の人の顔を見ていたの
彼がね、私と遊ぶって約束したのに、他の子と遊んでたの
だからね
私としか話せないように
私しか見れないように
私としか遊べないように
閉じ込めたの
そしたら彼、私のことをひどく言うの。
『お前は人じゃない、化け物だ!俺に近寄るな!』って
だから、黙らせたの。
ナイフを突き立てたとき、彼は始めて私を見てくれたわ
ナイフで切り裂いた時、彼は初めて私と話そうとしてくれたわ
そうして静かになった時、初めて私と遊んでくれたの
なのに、どうしてお兄さんたちは私と彼を突き放すの……?
ねぇ
ねぇ
ねぇ
ねぇ
ねぇ
ど う し て な の ?
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とか言ってたな。別に付き合ってるわけでもないし、何なら普段話してなかったのに。
あの子と大淀を同じとするならば、大淀は俺への好意的感情が大きすぎるということだが……いや、あれは愛が大きすぎるというより、独占欲、いや所有欲に近い何かな気がしなくもないが、少なくとも俺への何かしらの欲が大きすぎる可能性は高い。
つまり俺はその欲求を減らせばいいんだろうが……その欲の対象が不明な今では手の打ちようがない。
なので不干渉が良いだろう。できる限り警戒はしたままで。
「わかりました。では車でお願いします」
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大淀の運転する車
大淀と俺の二人きり
大淀は俺に対し何かしらの強い欲を持っている
何も起きないはずが……
「提督、着きました」
あった。何も起きなかった。
薬飲むときも大淀がちゃんと前見て運転してくれていたからバレなかったし。
え、逆に怖い!
ただ、何も起きなかったというのは僥倖だ。
この分なら用事も早く片せそうだな。
「運転、ありがとうございます」
さて、ここが舞鶴鎮守府か……横須賀とは随分と雰囲気が違うな。
まぁ、横須賀鎮守府は米軍の横須賀基地を流用したものだからな。そもそも赤煉瓦じゃないし。
それに対し舞鶴は昔の舞鶴鎮守府を流用してるから、建物の作りがかなり古いな。ただ趣はある。横須賀も赤煉瓦にできないかな?
予算の無駄って言われそうだな、やめておこう。
門の作りもだいぶ違う、まるで過去にタイムスリップしたみたいだ。
そんなことを思いながら門をくぐり、数歩歩いていると、遠くから近づいてくる人影
「ようこそ!横須賀の提督だね、僕は最上さ。今日はよろしくね!」
「上原海路と申します。こちらこそよろしくお願いします」
「大淀です。よろしくおねがいします」
最上か。横須賀にはいないから見るのは初めてだ。
髪型はショートで、黒髪黒目。胸部のふくらみも少なく男のような見た目。
だが女だ。
一人称は僕、話し方のフランクさは女子というより男友達と話しているような感覚になる。
だが女だ!
服装は上はセーラーだが下は短パンであり、それだけなら旧欧州海軍の制服にも見えなくない。
だが女だ!!
「それじゃあ執務室まで案内するから、着いてきてね!」
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「この鎮守府は旧日本軍が使用していた舞鶴鎮守府を流用した施設だから、前は居住性は良くなかったんだ」
まぁ、だろうな。
建物の古さから言って空調などは完備されていないだろうし、照明だってLEDとかないから蛍光灯だろう。
それに横須賀鎮守府と違い、管理はされていても使用されていなかったのだから、寝具や冷蔵庫、食堂なども旧式、居住性は良くはないな。
今はだいぶ違うようだが。
というか廊下に空調まで完備とか、横須賀より環境いいじゃねぇか
「ただ今の提督が来てから見ての通りかなり居住性は向上したんだ!特にすごいのは工廠なんだ、時間があったらあとで紹介するね!」
「ありがとうございます、時間がありましたらお願いします」
やっぱアイツの仕業か。
毎度毎度どうやったらこんな事ができるのか。
俺が同じことやろうとしても[予算の無駄]で一蹴されるのに。
「そういえば上原さんは提督と同期なんだっけ?」
「えぇ、そうですね」
「やっぱり!あ、じゃあ提督って昔はどんな人だったか聞いてもいい?」
「勿論大丈夫ですよ。昔はたしか」
アイツは確か昔からストイック、超が付くほどの努力家だったな。
いっつも成績で一位になろうと努力していた。ただ自分の努力を周りに誇示するタイプでもないし、付き合いも悪い方ではない。
自分にはひたすら厳しい、周りには優しい、いつか倒れそうなやつだったな。
「そうですね、一言で表すなら”完璧主義”でしょうか」
「完璧主義?」
「はい、完璧主義です。しかも私が見る限り、かなり内向的な完璧主義です」
「へぇー、そうなんだね!ちょっと意外だな~。今の提督からは想像つかないや」
まぁ、だろうな。
アイツの完璧主義は、一般的な物とはかなり違うし。
「あ、ちなみに提督の昔話とかある?」
ふむ、昔話か。面白い物はさほどないが……
「そうですね、では彼の当時流れてた噂話でも」
「う、噂話?」
「はい、噂話です。曰く複数人いるとか 曰く人でないとか 曰く彼だけ一日48時間あるとか」
「えぇ……どういう噂なのそれ」
そんなこんなアイツの昔話をしていると、執務室についた。
「ここが執務室だよ!じゃ、僕は扉の前で待ってるから。また提督のお話聞かせてね」
「勿論です。案内ありがとうございます」
いやー、他の鎮守府の子とはほとんど会う事なんてないだろうから気楽に話せるわ。
なんせ印象が悪かろうと、俺にかかわることがほとんどないんだからな!
「では、大淀さんもこちらで待っていてください」
「!?で、ですがそれでは提督を護衛できません!」
「大丈夫ですよ。ここは鎮守府ですから」
「ですが万一があったら!」
やっぱり大淀、何かおかしいな?
以前までの大淀ならここで反発することなんてありえない、合理的主義の塊だったはずだ。
一体何があったのか……後で調べた方が良いか?
いや、かかわらないほうがよさそうだな。距離を置こう。
「お気持ちはうれしいのですが、機密事項ですので……」
「わ、わかり……ました……」
一応納得はしてくれた……のかな?まぁ、考えるのはやめよう。
それよりも仕事だ、さっさと終わらせるとしよう。
伊203を求めて最近ずっと1-5を周回してるのに全然泥しない
始めたときは練度一桁だった海防艦が50を超えたのに、まだ来ない……
次回は舞鶴の提督との会議?だと思います(断言はしない)
どうでもいい話
横須賀、舞鶴、呉、佐世保の四大鎮守府の提督は全員同期。
理由は2015年の全力出動で優秀な人材がいなくなって、提督職をできる人材がいなかったため、今までは専門家や一般人(管理職)からの起用などで動かしていたので、提督適性のある上原達の卒業後は適性のある人物に任せた方が良いだろという安直な考えによる。
だからといって鎮守府とかいう大規模施設の管理をワンオペさせるのは謎。