女性恐怖症の提督   作:針葉樹

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久しぶりに提督視点じゃないです。
でも艦娘視点でもないです。


艦娘と会議

上原が鎮守府に戻ってから2週間、大規模作戦実施の一週間前のこの日。

鎮守府のとある一室にて艦娘らによる第七回目の議会が執り行われていた。

この会議は毎月行われていて、その目的は鎮守府の治安維持としているが、実際は……

 

「これは由々しき事態だわ」

 

第七回の議長を務める霧島が口を開き、そう述べる。

この場に出席している多くの艦娘は、唐突にそう述べた霧島の意味するところが分からないという顔をしている。

霧島は続けて「この問題は鎮守府の風紀にかかわる」とも強く主張する。

「風紀にかかわる」とまで評する鎮守府の問題とは、皆が疑問に思うだろう。そしてそのタイミングでスクリーンに映された”それ”を、霧島は力強く指示した。

 

「その問題がこれ!最近金剛お姉さまと提督が異様に仲が良いことです!」

 

霧島が指し示したスクリーンには、鎮守府の廊下と思しき場所で金剛と提督が親しげに会話している写真である。

その後、数枚の写真が写されたが、どれもこれも金剛と提督が親しげに会話をしてる写真である。

周りの艦娘達はその議長の言葉を聞いて、心の中で『どうでもいい』と、そんなことを思っていた。

勿論あの提督と親しげに話せるのは羨ましいという感情はなくはないが。

 

「議長、それがどう鎮守府の風紀にかかわる問題なんでしょうか」

 

霧島の発言に対し、朝潮がそう問う。

 

「お姉さまが提督とイチャついているのよ!このままだと提督に私たち皆のお姉さまが提督に取られてしまう……お姉さまと話せる時間も一緒に紅茶を飲む時間も、何もかも少なくなってしまうのです!」

 

心底どうでもいい。確かに羨ましくはあるが、いちいち会議の議題にするほどの事だろうか?というか、「私たち皆のお姉さま」ではない。

しかし例外はいるようで、艦娘の中の一人が反応する。

 

「そ、そんな……私たちのお姉さまとの時間が………」

 

比叡は虚ろな目をし、膝から崩れ落ちながらそう発した。

確かに他の娘達からしたらどうでもいい案件だが、彼女たちのような金剛大好きな娘からしたら重要な案件だろう。

それに比叡は金剛お姉さま大好きクラブ(非公認)のリーダーを務めるほどに金剛のことが大好きなので、その衝撃はでかいだろう。

ちなみに金剛お姉さま大好きクラブの参加人数は4人と非常に少ない。

 

「議長、具体的にはどうするんですか?」

 

霧島の主張に対し名取がそう問う。

 

「そうですね、私の計算によれば金剛お姉さまは提督の有能さに惚れ込んでいると思います。そのため、提督のダメな要素を金剛お姉さまに伝えればなんとかなるかと!」

 

百発一中くらいの精度の計算ばかりしている霧島はそう述べる。

いや、普段はしっかりしているし、まともなのだが、金剛が絡んだ瞬間ポンコツになるのだ。

 

「で、でも提督さんは仕事できるし指揮も上手だし、私達の意見も聞いてくれるしそれに……かっこいいし………とにかくダメなところなんてないと思うわ!」

 

霧島の話に対し、瑞鶴がそう返す。

確かに提督の秘密を一切知らなければ、瑞鶴の言う通り上原は有能極まりないだろう。

艦娘達からすれば、上原はまじめに職務に取り組み、出撃もローテを組んでいるため疲労もたまらない。意見箱の設置により艦娘の声もしっかりと聞き、生活の質も確実に向上させている。作戦も敵をしっかりと分析したうえで行っているため、未だ轟沈数はゼロで、大破するほどの戦闘に陥ったことはただの一度もない。

そう言った評価を受けている上原に、何の欠点があるのか。

 

「ふっふっふ、安心してください!秘密兵器三銃士を連れてきました!」

 

「ひ、秘密兵器三銃士!?」

 

瑞鶴の問いに対し、霧島は不敵に笑いながら、秘密兵器があると大きく自信に満ちた様子でそう述べる

 

「まず一人目!お相撲さんではないほうの曙!」

 

「はぁ?なんであたしがここにいるの!?ありえないから!」

 

「二人目、このクズ提督に叱責を!霞!」

 

「ちょっとぉ!あたしが呼ばれるってどういう事よ!」

 

「三人目、なんで私がこの鎮守府に……。満潮!」

 

「なによ!私に何かあるの?」

 

「この三人が居れば、提督の欠点も見つかるはずです!」

 

曙、霞、満潮。この三人は確かに提督に対し不満があるような発言をよくしているという。

他の鎮守府では提督に対しとてもあたりが強いという。

確かに彼女らなら提督の欠点も見つけられるかもしれない。

 

「まず曙さん。提督のことをどう思いますか?」

 

「え、えぇええええ!?ど、どどどどうおもっ、想ってるかってどういう意味よ!?」

 

「文字通り!提督のことをどう思っているか、です!」

 

「ど、どどどどう想ってるかって………」

 

な、なんであたしがあんなクソ提督のことをどう思っているか答えなきゃいけないのよ!

しかもこんな大勢の前で……は、恥ずかしい。

それに何なのよこの会議は!金剛さんと提督の仲がいいからってそれをわざわざ断とうなんておかしいじゃない!

しかもそのためにあたしが提督をどう想ってるか答えろだなんて!

た、確かにあたしは日頃クソ提督の事をクソ提督呼ばわりしてるけど、だからと言って嫌いなところがあるわけじゃ……

 

脳内で考えを巡らせる曙。

しばらくすると脳内の整理が終わったのか、口を開きしゃべりだす。

しかし頬は赤く、目は涙目でつぶやくようにしゃべる。

 

「ぁ……あたしは……く、クソ提督の……ことは……いい人…だと……想ってる……わよ………」

 

「おぉ!ぼのぼのがデレた!潮ちゃん、朧さん、ぼのぼのがデレたよ!」

 

「ーーーーッツ!漣あんた後で覚えておきなさいよ!!」

 

漣の発言に対し、曙がそう言い放つ。

しかし顔は先ほどよりも赤く、今にも泣きだしそうな顔をしているため、照れ隠しで発言したことが見え見えである。

 

「何故にッ!?」

 

「そりゃそうなるよね」

 

「ま、まさか曙さんが提督に対し好意的だったとは……」

 

「フッ、所詮ぼのぼのは裏提督love勢最弱……」

 

「漣ちゃん、あとでぼのぼのにボコられるよ」

 

「し、しかし秘密兵器はまだ二人います!では霞さん、提督のことをどう思いますか」

 

霧島は曙の提督への思いが好意的なものだったことに驚いたが、気を取り直しそう問う。

霞はやれやれといったような態度で又はくだらない茶番に巻き込まれたような態度で喋りだす。

 

「あたしがあのクズをどう思っているか、ですって?決まっているじゃない、アイツはクズよ」

 

初めて出た否定的意見に霧島は歓喜する。

やった、これで金剛お姉さまと提督の関係深化を防げる!

しかし続けざまに霞の放った言葉にその歓喜はすぐに消え去ってしまう。

 

「アイツは人に休みを取らせるくせに自分はちっとも休もうとしない。仕事を手伝おうとしても『これは私がやらなければいけませんので』とか言って断るし、自分のことを大切にしようとしなさすぎるのよ!」

 

霞の出した回答は確かに提督への批判であり、欠点の指摘だ。

しかしこれを金剛に伝えたところで、『それなら私が提督の事をしっかりcarryしなければだめデスネ!』というだろう。

その場合はcarryではなくauxiliaryだろう。そのcarryの使い方はゲーム用語であり、正しい使い方ではない。

 

「クッ、曙さんのみならず霞さんでも駄目でしたか……こうなってしまってはもう、頼れるのは満潮さんしか……」

 

「私?私はアイツのこと………そうね。信用ならないと思うわ」

 

「し、信用ならない、ですか。具体的に聞いても?」

 

「勿論。アイツは人に弱みを見せないのよ。どんな時も誠実で、どんな時も優しくて、どんな時でも謙虚で。

それって一見するといい人や、優しい人という印象を受けるけど、逆に言うとアイツは私たちに弱みを見せない。つまり提督は私たちを信用できていないって考えることができるのよ」

 

霧島に電流走る。

満潮の言う事について考えてみると、確かにそうだ。

提督は決して私たちに弱みを見せない。以前の食堂の時や、インタビューの時もそうだ。

絶対に何かしらの不調を抱えていることは明らかだというのに、提督がそれに関して話したことはないし、質問しても『いえ、特には無いです』『大丈夫です』『心配下さりありがとうございます』というように返されるがけ……

満潮の言う事は正しいのかもしれない。

 

「なるほど……確かにそうですね!ありがとうございます!では今度金剛お姉さまに満潮さんのお話を話してみます!では次の議題に移りますね!」

 

どうやら霧島の中で話はまとまったようで、議題は次の物に変わる。

その後ろでは漣が曙に関節技を決められており、金剛型二番艦は未だ地に付したままで、『お姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さま』とつぶやき続けている。怖い

 

「次の議題はサニーサイドアップにかける物、です!」

 

スクリーンが切り替わり、画面には醤油やソース、マヨネーズやケチャップ、塩や無など、多くが映っている。

いや、心底どうでもいい。絶対的に鎮守府の治安維持に関係ない話題だが、普段の艦娘会議はこういった話題が多い。

そして大体結論が出ずに終わることになる。はっきり言って開く必要はあるのだろうか?

 

「はい!議長!ラー油がありません!」

 

出されたスライドにラー油がなかったことに不満を持ったのだろう白露型いっちばーん艦が勢いよくそう発言した。

それがきっかけとなり、他の艦娘達も次々にスクリーンにあれがないこれがないと文句を言いだす。

 

「海苔がないのね!」

 

「ブラックペッパーが無いにゃしい……」

 

「ポン酢!ポン酢!」

 

そしていつも通り議論はまとまることなく、結局議決が出ることはなかった。




ちょっと書く時間が確保できなくなりつつあるので7月中はあと一話投稿できるかできないかだと思います。

次回は大規模作戦編か、それ以外かだと思います。

どうでもいい話
艦娘の大多数は上原に対し好意を持つものが多いが、一部の娘たちは大淀のようなヤンデレ?と言っていいのかは分からないけど病みを抱えている。
今は出ていないけど他にも病みキャラは出ると思います。
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