アクア「MEMちょのために高校を紹介したら彼女も着いてきた件」   作:ムテキング

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前話から引き続き、本編にいれるまでもない話を初投稿です。


閑話 年越し前の様々な一幕 その2

「あの・・・会長、部活新設の申請らしき書類が届いています」

 

 

橘秘書官が躊躇いがちに書類を差し出してくる。

ふむ、冬休み直前とは珍しいな。

 

その書類を見た堀北学は頭を押さえ、深くため息を吐いた。

 

申請者には愛しの我がアルテイシアの名が書かれていた。いたのだが、部活名が酷かった。

 

 

「ホモ部・・・正気か、鈴音よ・・・」

 

 

最近は綾小路清隆というダニ虫の部屋に転がり込んでいることは知っていた。同室の男達が同性愛者だと確認し、間違いが起こらない事が分かったため許していたが。

 

あいつがこの前、綾小路の部屋を勝手に隣の部屋まで拡張リフォームした件は、俺が500万ポイントを学校に払うことで問題にされることをなんとか防げた。

 

だが、今度は部活か。しかもホモ部とは。せめてBL・・・も不味いか。漫画研究会とかごまかしようがあっただろうが。幾らホモが好きでもストレートすぎるだろう、我が妹よ。女の子にホモが嫌いな人は居ませんと芸能部の佐倉愛里が熱弁していたが、我が妹まで染まってしまうとは。ホモとは感染するものなのだろうか。恐ろしい。

 

「どうしましょうか、会長。流石に会長の妹さんとは言え、この申請はちょっと・・・」

 

橘秘書官も困ったような顔をしている。

 

だが、愛しの我がラブリーマイエンジェル鈴音たんの頼み。叶えられぬはお兄ちゃんの恥。なんとか出来ないものか。

 

「ホモ・・・HOMO・・・H.O.M.O.・・・何かないか。Highest Orbital Movable Object(最高軌道可動物体)とかはどうだろうか。略してH.O.M.O.部だ。より高度な軌道を飛翔できるドローンの開発など、そんな感じの理由で」

 

「かなり無理がありませんかね・・・」

 

「適当にドローンでも買って与えておく。それで遊んで定期的にレポートでも出して貰えばいい。後は私が押し通す」

 

「本当に会長は妹さんの事になると倫理観が吹き飛びますね。でもそんな家族思いなところも素敵です」

 

 

こうして、堀北会長のゴリ押しでホモ部は正式に認可されることになった。

 

 

 


 

 

 

年末のモールは生徒達で賑わっていた。

 

 

俺は啓誠と一緒に年越しに向けての買い物に来ていた。

 

 

「もう年末か。今年は色々な事がありすぎてあっという間だった気がするな」

 

 

啓誠が年末の飾りつけをされたモールを見ながらしみじみと言った。

 

 

「その中でも芸能部に入ったことが一番俺の中で変わったことだな。芸能人なんて俺には一番縁がない存在だと思っていたのに」

 

「お前も、サポート要員と言いながら、実際殆ど芸能人だろう。俺と一緒に作った写真集、凄い売れ行きだぞ。モデルやバラエティの仕事も増えてきているしな」

 

「それは言わないでくれ。未だに俺の中で消化し切れていないんだ。言っておくが、俺は異性愛者だからな」

 

「知ってるさ。ちゃっかりクリスマスに佐藤とデートしていたんだろう。ちゃんと避妊はしろよ」

 

 

モールで佐藤とお高めのレストランでディナーをして、そのまま啓誠の部屋へと二人で入っていったのは芸能部の間では周知の事実だ。クリスマスに卒業できなかった池が悔し涙を流しながら啓誠の首を絞めていたな。

池のヤツ、篠原とデートしたはいいが、帰り際に彼女の部屋の前で「ジュテーム!」と叫びながらズボンを脱ぎ捨て、すぐさま殴られたらしい。外村の成功談を実戦したらしいが、どうして坂柳はそれでOKしたんだろうな。チョロすぎるにも程があるだろう。

 

「分かっているさ。そっちこそあまり女遊びは控えろよ。そのうち櫛田か黒川のどっちかに刺されるぞ」

 

「分かってはいるんだがな・・・。最近どうも性欲を持て余してな。実家にいた頃はそんなことはなかったんだが」

 

 

それに心の時はともかく、千秋の方はあっちから迫ってきたんだからな。それも軽井沢との3Pだ。此方も抜かねば・・・無作法というもの・・・。

ヤバいな、思考が完全に前世の20代の頃に戻ってやがる。あのときも女遊びしすぎて結局宮崎まで逃げることになったからな。

 

 

「刺されるにしても卒業後にしてくれよ。それにしても、みーちゃんはまだホモの事を諦められないのか?」

 

「クリスマスに誘っても綾小路と一緒に居たいからって断られてたな。だがあれで逆に燃えてたみたいだぞ。私が平田君を真っ当な人間にしてみせるって」

 

 

みーちゃんは入学時からホモに気があるようで、度々ホモ部からホモを引き離そうとしている。だがホモ部からホモを抜けたらホモ部ではなくなるのでホモは抜けられないだろう。ホモが先かホモ部が先か。随分と哲学的な問題だ。

 

だが、みーちゃんはアイドルデビューしたのだし、ホモが相手ならスキャンダルの心配もなくて良いだろう。本人にとっては不本意だろうがしばらくは叶わぬ恋であってほしい。

 

 

そんな事を話しながら俺たちはモールで色々と買い物をしていた。

高度育成高等学校の制服は夏冬兼用のため、夏でも快適に過ごせるように見た目より通気性が良く、冬場では非常に寒いのだ。

なので中にヒートテックなどは必須だし、外に出るときはコートなどの上着も必要になってくる。

俺はまがりなりにも芸能人なので、恥ずかしい格好は出来ないため、服装にはそれなりに良いものが求められる。

 

 

「このモール、ブランドものとか高価な物も最新の流行の物が揃っているが、売れ残らないのか。こんなのが買える生徒なんてほんの一部だろうに」

 

 

啓誠がショーケースに飾られているコートの値札を見て目を丸くしている。

確かクリスマスの時に見かけた南雲先輩が着ていたのと同じコートだ。100万もするのかよ、これ。

南雲先輩の寮室には実物の虎の敷物や鹿の剥製、謎の壺あれはいいものだなどがあるらしく、成金趣味が酷い。

 

 

「流石にこのレベルのは買えないが、それでも割とハイブランドな製品が揃っているよな」

 

 

俺は手頃ながら質の良い物を選び購入していく。

 

 

「芸能人になってしまったのは不本意ではあるが、芸能部に誘われたのは本当に幸運だったと思っている」

 

「いきなりどうした」

 

「いやな、もし芸能部に入らなければ今頃ポイントで苦労していただろうと思ってな。ホモ部とかを見ていると特にそう感じてな」

 

 

そして啓誠は見てみろと、外を歩く奇抜な格好をした生徒を示す。

上着が肘の部分が別布で補修された随分と着古された赤いちゃんちゃんこ、その下から覗く胸元には東京オリンピック2020と記載された上着。

ズボンは星条旗デザインでプリントされたスラックス。靴は草履だ。

そして顔面には赤い2000年メガネを装着している。

 

 

「あれは・・・何かの催し物か?」

 

「いや。あれは全部無料商品を着ているんだ」

 

 

そしてショップの片隅に置かれている無料商品の棚を見ると、彼の着ていた服が置かれていた。

東京オリンピックで売れ残った服や、鬼島総理と「選挙に行こう!」いう文字がデカデカとプリントされたシャツなどはまだ恥ずかしいが着れるレベルだ。

だが普通の服に関してはダメージジーンズとは名ばかりのボロボロになりすぎてお尻に穴が空いているジーンズなど、補修しきれないようなゴミが置かれている。

 

 

「俺もこの前メガネレンズの度を変えるために眼鏡屋に行ったんだがな。無料のレンズは度がバラバラで、自分の使う度のレンズが無料落ちになるまで待たないといけないし、フレームに至ってはあの2000年メガネか髭付きパーティーメガネの2択だ。だから上級生では恥ずかしすぎて授業の時しかメガネを付けないっていう生徒もいるらしい」

 

 

この学校の試験ではメガネが壊れるぐらいの危険な試験も多いらしく、Dクラスの目が悪い生徒は3年に上がる頃にはだいたい無料フレームのお世話になるらしい。

 

 

「食べ物も、無料食材は基本的に産地不明で消費期限ギリギリの物ばかりだし、医薬品もこの前無料のを調べたところ、どれも与党がゴリ押し承認した怪しげなジェネリック医薬品ばかりだった。無料で最低限の生活が出来るってのはどこ基準の最低限なんだろうな」

 

 

芸能部でも最初は無料商品を使用していたが、あまりにも質が悪すぎて使わなくなってしまった。

無料食品に至っては、ポイントがないなら食堂で山菜定食を食べていた方が100%健康に良いだろう。

 

 

「あんな高級な服を揃えるよりも、少しは無料商品の質を上げることに金を使って貰いたいな」

 

 

次の理事長はまだ決まらないが、その人はまともな理事長である事を祈るしかないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り際、ホモ部4人が赤いちゃんちゃんこを羽織って歩いていたのを見て、俺たちは思わず吹き出すのだった。




今年最後の更新になります。
みなさま、今年一年ありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします。

モチベ維持の為にも感想、評価お待ちしております。

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