仕事が忙しくて狭間の地の王になってたら遅刻しました。
お詫びの八千字です。
エクスキャリバーを取りに行ってみよう、と始まった今日の集まり。
キリトにアスナにリーファにクラインにリズベット、シノンとシリカというイツメンのなかに長ネギ丸はいない。
なぜならメールを見ていないから。
そのことに普通に前回のお礼を直接言おうと思っていたアスナが若干傷を受けそれを長ネギ丸の代わりにパーティインしたユウキが慰める場面もあったが、それはさておこう。
「ほ、ほらアスナ…元気出して?」
「うう…ありがとうユウキ…」
新メンバーというか代役で呼ばれたユウキも、その持ち前の明るさと人懐っこさであっという間にパーティへと馴染んでいた。
交流を深めつつ、トンキーという、なんか別のタイミングでテイムした動物型邪神を使ってエクスキャリバーを取りに行く道中。
そこでALOが崩壊するかもしれないグランドクエストが発生してることを知ったキリトたちは、ナビゲーションピクシーのユイのチートスレスレの案内を受けながら、最速で最深部へとたどり着いた。
平穏を望む湖の女王ウルズ。
そして、神話の再現としてニブルヘイムから侵攻してきてラグナロクを起こして世界を滅ぼそうとしている王スリュム。
プレイヤーは動物型邪神を狩り尽くすか、世界を守るかを選ぶことになる。
そんな構造のクエストは、ALOがアインクラッドで使用されていたカーディナルが持つ自己破壊プログラムのせいで、割合洒落にならない規模の話となっている。
おふざけをしてる場合ではなかった。
途中クラインがナンパしそうな檻もあったが、もぬけの殻だったためにそんなイベントも起こらなかった。
「ナンパしそうな檻ってなんだよ」
「いきなりどうしたんだよクライン」
「いや、悪い悪い…なんかとんでもない罵倒をされた気がして…」
…だから、その最奥にいた人物に全員があっけにとられたのは、きっと仕方のない話だったのだ。
「なんで…」
「よく来たな勇者諸君」
「…なんでお前がそっちにいるんだよ!!」
「ようこそ最後の間に。ここはこのダンジョンの最奥で、世界の終わりを決める場で、君たちの墓場だ。じっくり目に焼き付けていってくれ」
その男は、不遜で、美しく。
背後に全裸で巨大なおじさんたちがケツに剣を聳え立たせながら白目をむいて倒れているという意味不明な状況でなお、不敵に笑う。
「長ネギ丸!!!」
「羽虫風情が、不遜であろう。だから、ほら。…ゆっくり地に伏せてってね!」
長ネギ丸。
良くも悪くも有名なその可愛らしいアバターを隠すいつものバケツ頭を取り出し、槍と片手剣を構える彼は大仰に笑った。
●
数時間前。
飛行禁止エリアで身投げしたらどこまで落ちてどこで死ぬのかという、気でも狂ったのかと言われてもしょうがない実験をヒースクリフと共に行なっていた長ネギ丸は、スリュムと名乗るおじさんに勧誘された。
内容は、「妖精の国を滅ぼすのに協力しないか」というもの。
もちろんすぐに飛びついた。
飛びつかないわけがなかった。
それがすべての発端であり、それ以上の経緯は存在しない。
やりたいからやった、ただそれだけのテロリストである。
「今や世界は二分された。世界も滅ぼすか、今の世界を維持するか。そんな2つの選択肢に…」
テロリストは言う。
おもろそうじゃんやろうぜ、と。
とはいえ、バカがやる気を出してそのまま真っすぐゴールに向かうはずもなく。
四腕の巨人を味方につけて暴れ回れるようになった長ネギ丸がまずしたのは同士討ちの実験やら(3体の巨人がお亡くなりになった)、巨人たちに肩車させてアルムの街まで届かないか実験したり(百体がお亡くなりになった)、さらには最大限楽しむために動物型邪神を狩るプレイヤーたちを軒並みPKして遅延を図るというひどく非効率な方法でクエストを進めていた。
非効率というか、お前実は反乱分子?みたいな動きだが。
そんなことはない。
長ネギ丸は本気で、心の底から世界を滅ぼす側に回っていた。
フレネミーここに極まれり。
バカは敵でも味方でも騒動を起こさずには居られないのだ。
「あんたそっち側に立つ意味わかってんの?見下げ果てたわよ長ネギ丸!」
現状を鑑みて、ひどく真っ当な正論がリズの口から放たれ襲いかかるが、バカは心底わからないという表情を浮かべている。
「いやさぁ、なんかパークの危機なのだって言ってる女の人にも会ったけど、先におじさんにお使い頼まれてたし。おもろいかなって。ぶっ壊れたらどないかなって」
「そんな…長ネギ丸さんなら確かにそういうことしそうだけど…!」
「しそうなの!?実はプレイヤーの皮をAIが使ってるとかじゃなくて!?」
「ああ、あいつなら一言一句言うだろうなって納得があるぜ…」
「あるんだ…」
リズベットの言葉にいけしゃあしゃあと言い放つバカに向かって、シリカが思わず頭を抱え、それに同意するようにアインクラッドからの付き合いの全員がユウキを置き去りにしたまま首を縦に振った。
「だろ?ぶっちゃけそんな不謹慎なこと…しようぜ!って思った。即思った。めっちゃ裏あるなと思ったけどそういうのもゲームの醍醐味かなって」
「騙されてるの理解してるうえでとかたち悪すぎますよね?」
騙して悪いが。
それはは古来よりRPGゲームの醍醐味であり、同時にプレイヤーたちを阿鼻叫喚に陥れてきた古典的なトラップである。
「平常運転すぎて突っ込みきれない!!そうだよなぁ!お前ってばそういうヤツだよな!」
「わくわくしてきたなぁ」
わくわくしてこないでほしかった。
切実に。
「嘘でしょ…ボクの恩人テロリストなんだけど…」
「見なさいよ、私の彼氏を」
「意味わかんないよ…」
せっかく前回いい感じで見直したりしてたのに、ユウキの中で加速度的にバケツ頭の評価が下がっていく。
あまりにも堂々とした敵対宣言は揺るがし難いと確信を抱かせるには十分だったが、一応、念のため。
最後の慈悲もかねて、クラインはおずおずと疑問を口にした。
「お、おい…でも長ネギ丸よぉ…それ。そのキラキラの剣は偽物なんだぜ?そんな偽物掴まされて腹立たねえのかよぅ…」
「んー?」
この状況にあってなお刀を抜かずに説得を選ぶ神的にいい人なクラインの言葉にバカは左手に掴んだ片手剣を見つめ直す。
華美な装飾。
鈍い刃先。
豪華絢爛なだけで特別な力は何も持たない偽物の剣。
「あーこれ?この偽剣カリバーンも別にそんな悪くないよ。僕ザクとか好きなんだよね、量産機はロマン」
バカはどこまでいってもバカであり、もはや返事なのかどうかすら怪しい言葉の羅列についにリズベットとキリトは頭を抱えた。
「ねぇこいついつも以上に話通じないわよ!」
「嫌な予感しかしない…!」
「でもムカついたからヒゲのジジイは死ぬほどケツの穴にカリバーンぶっ刺して向こうの部屋に転がしてるよ」
「…え、てことはなに?お前単独でボス攻略した?」
「流石にこの規模のクエストのラスボスを単独は無理だって。いくら僕でも。そう、アインクラッドボス単独討伐という未曾有の、超すごい記録を持つ僕でも」
「人の攻略横取りしただけじゃん!」
「はーいそこうるさい。メスガキうるさい。だとしてもボス部屋に一人で入ってボス攻略したのは僕の実力なんで」
「ぐぬぬ…」
ドヤ顔の長ネギ丸とユウキのじゃれ合いはさておき、バカは続ける。
「ま。単にスリュムに毒入りの酒飲ませて、牢屋に入れられてたTS巨大おじさんにも毒入りの酒盛っただけで。ほんと大したことはしてないよ。その酒だってなんか別のクエストで神も酔わせる酒を造るみたいな…胡散臭いクエスト報酬のやつだし」
「やってることが北欧神話のロキなんだけど…」
「というかTS巨大おじさんってなに?なんのジャンル?」
「そこは僕に聞かれてもさ。なんかハンマー渡したらある程度言う事聞くっていうから渡したら、女の人が急に巨大になってスネ毛とかぼうぼうのおじさんになったんだよね。怖くね?」
「あなたが関わるとほんとロクなことにならないですね」
「閃光さんもやめてくれる?僕だって困ってんだよ周りに変態おじさんばっかり増やされてもさぁ!持て余すって!いらねえって!こっちはホモじゃねーんだぞ!!絶対このクエストが最初からそういう仕組みだったって!僕は悪くねえよ!!」
「はいはいそうですね」
「信じてくれよ!誓ってそこは何もしてないんだ!!人は殺してるけど!」
長ネギ丸の解説にまわりがドン引きする中、キリトだけはこっそり協力NPCがいたってことは相当な難易度のクエストなんだなと認識を改めていた。
お使いクエストと言うか、どこか気軽なダンジョン攻略のつもりの自分がいたのだが、よくよく思い返してみれば、門番もいない、自然に湧く高レベルな敵モブしかいないこのダンジョンがここまでスムーズに攻略できたのは、すべて長ネギ丸が手を回していたからなのだろう。
どういう意図なのかはまだ分からないが。
「で、まぁ。あとはあれだよ。妖精カヤバーンと偽剣カリンバーンの夢のコラボというか。酔ってバカになったAIたちを戦わせて共倒れにしてそこに転がしてるって感じ。AIってちょれーわ。普通のボス戦より楽だったぜ」
AIが人間さまに勝とうなんて100年早いわガハハと、何か盛大なフラグを立てながら長ネギ丸はふんぞりかえり、同時にとんでもない真実を口にした。
「AIって
「……なんて?」
「ケツバトラーさせたって言ったんだよ。鈍感系主人公かてめーは。一回で聞き取れよな」
「ケツバトラー!?」
「尻に剣をはさんで戦うのかアインクラッド流だって嘘吹き込んだらマジで信じてやんの。ケツにエクスキャリバー挟んだ自称王様のおじさんと、ケツに電動ハンマー挟んで喘ぐTS巨大おじさんと、ケツに偽剣カリンバーンを挟んだムキムキ妖精おじさんの三竦み。見ものだったね。伝説の三忍って感じ」
「暁だろむしろ。というかお前ら何?二人そろって全ゲームでテロでも起こそうとしてんの?」
「あいつもデートがなきゃまだいたんだけどさぁ。残念。結構ノリノリだったんだけど」
「二次会に来れなくて残念みたいな言い方やめてくれる?」
「実質SAO二次会みたいな?」
「このメンツの前にナビゲーションピクシーヒースクリフとか出てきたら大事故だろうが…!」
「素敵だね」
「どこがだよ!!」
全員からの批判もどこ吹く風で、満面の笑みを浮かべるバカは両手を広げて叫ぶ。
それは、キリトだけは何度も見てきた長ネギ丸の極まった、というかキマった状態の仕草で。
「ていうかさぁ…何度でも言うけどむしろALОがぶっ壊れるところは見たいだろ。え、見たくね?絶対面白いじゃん!あれかなー?やっぱ神話的な感じで炎の地獄に一回なんのかな?それともテクスチャが変わる感じ?灰都になったりするならもう最高のゲームだなってなるけども!あとこれ滅んだらプレイヤーってどうなんだろうな!?データは?ステ振りは?新生アインクラッドも巻き込まれる感じ?…おいおい楽しくなってきたなぁ!」
「このっ、エンジョイ勢が!!」
「ド派手な展開大好物です!VRでも一回やってみたかったんだよなぁラスボスって!ヒースクリフが羨ましかったんだよ本当は!画面越しよりヒリヒリすんねぇ!!」
この決別が、もはや避けられないことをキリトは十二分に、改めて理解した。
なんか昔別ゲーで多くのプレイヤーの拠点が唐突に長ネギ丸に更地にされたのを思い出す。
あの時もこうしてハイになってる長ネギ丸を滅ぼすべく、討伐レイドが組まれていたのが懐かしい。
確かいっぺん地平線ってやつをみてみたかったんだなどと意味不明な供述をしており動機は不明。
とりあえず、これはSAОでは封印されていた長ネギ丸の発作なのだ。
破滅願望と言ってもいい。
世界で一番核兵器のスイッチを持たせてはいけない男。
それが北原静空という人間だった。
「妖精の国とか洒落臭えよ!全部滅ぼして巨人の国にしようぜ!!」
「こいつ…人が死ぬ心配ないゲームだとここまでやるのかよキリトぉ!?」
「そうだよこいつは世界一バカなんだよ!むしろアインクラッドではまだ大人しかったくらいだ!命に対する責任感とかあったから!」
「はた迷惑すぎる!」
「さぁ来いすぐ来い今すぐ来い!!お前らの敵は此処にッ!!!いるぞおおおおお!!!」
頭を抱えるキリトとクラインを差し置いて、ドーパミンドバドバのドパガキレベル100みたいな顔をした長ネギ丸が槍と片手剣を構えて雄叫びをあげる。
「あぁぁいしてるんだぁぁぁぁ君たちをぉぉぉぉ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「あーもうやってやるよ!!!」
「殺します」
「デスナさん!?あーもうしず…長ネギ丸が煽るからみんなすごいやる気じゃん!殺さなきゃいけないじゃん!?えへへ、しょうがないなもー!!」
「リーファも物騒具合でいうと人のこと言えないから…これ収集とかつくわけ?アスナもリーファもめっちゃ笑顔で怖いんだけど…」
「まぁまぁリズさんも切り替えていきましょう。たぶんもう止めても無駄ですし…さぁいくよピナ…!恩人相手でもまけないんだから!」
「ふふ、こんな熱烈なプロポーズされたらしょうがないわよね。たっぷり負け癖つけてあげる…!今夜はパーティよ!!大晦日オールナイトパンパンよ!!」
「うわーこれがボクの命の恩人かぁ…うわぁ…」
───結論から言うなら、長ネギ丸は討伐され、世界はギリギリで救われた。
シリカとシノンとリズベットは倒され、全員回復アイテムを使い切っていたけど。
これは単に長ネギ丸が強かった、というよりは上手かった。
ソードスキルを食らわない距離感と常に味方を射線に巻き込むように位置を常に見極めた立ち回り。
そうして動きが止まったところに、投げすぎてもはやバグみたいな挙動と早さに鍛え上げられらている投槍が放り込まれて、HPを的確に削られると言うクソゲー仕様。
『おいボス戦で遠距離チクチク戦法とか聞いたことないぞ!!』
『リオレウスくんを見習った僕の華麗な立ち回りを見よ!』
『そういうボスって嫌われるっていうか静空兄が普通に嫌いなやつだったじゃん!』
『自分がされたら嫌なことをする。それが対人戦ってそれ一番言われてっから』
『ちょ、ダメージ軽減スキル使いながら回復薬は犯罪でしょ!!』
『勝てばよかろうなのだ〜!!!というかみんな使えるスキルなんだから文句言わずに使えばいいんでございますわよ〜!』
『こいつほんとムカつく…!!』
かと思えば普通に近づいてきてHPが低めの遠距離ジョブの2人は的確に葬ったり、魔法を使って絨毯爆撃してきたり。
お前だけなんかアーマードコアしてる?みたいな長ネギに苦戦すること実に1時間。
最後はアスナの援護で無理やりインファイトまで近づいたキリトとリーファの連携に対応しきれずにバカは敗北した。
「つーかヒースクリフいたならもうちょっとお前好みのラスボスにもなれたんじゃないか?ほら、ステージとかステータスとかいじったりして」
「やだよチートとか。そういうのが一番冷める」
「うん…そこは真摯なんだよな…わかんねえぜ…」
一応最後の良心なのか。
気絶させられたラスボスの隣で大人しく繋がれているフィールド最後の動物型邪神…トンキーの仲間がいて。
ようは長ネギ丸とのバトルが終わるまでは世界が滅びないように配慮はしていたらしい。
世界を滅ぼす側に回るか!と思い立ったあと、直後に最大現楽しみ切るまで時間を稼ぐために、あえて討伐対象を生け捕りにしてわざわざラストダンジョンまでそれを運ぶという。
あまりにも非効率でバカ丸出しな遊び方を長ネギ丸とヒースクリフは楽しんでいた。
「あーあー!せっかく動けなくなったお前らの前で、さらばだキリトくん…(ヒースクリフ風)って殺そうと思ってたのになー!」
「殺す予定の動物に俺の名前つけんじゃねえよ!」
「…うわぁほんとにラスボスつぽいでかいおじさんが白目剥いて倒れてる…」
最後の慈悲でHP1で生かされ拘束されている長ネギ丸は、ドン引きしたようなユウキの言葉に胸を張る。
「AI調教師とは僕のことよ」
「すごいね、尊敬と軽蔑が交互に来て逆に整いそうだよ…メンタルサウナとか初めてだよ」
「生きてる実感してくるだろ?これがメンタリズムです」
「意味わかんないかな…」
ここで終わってたらまだ良かったかもしれない。
「ちなみにさぁ…」
「ん?」
「みんなが最短で駆け抜けてきたダンジョン。ほかの部屋見てないと思うんだけど」
「あーたしかに…ボスらしいボスもいなかったし。…そういえばユイちゃんに最短経路を連れてきてもらったけど、見てない部屋いっぱいあるね」
「マップの踏破率は、二十七・二パーセントでした」
リーファとユイの言葉にやっぱり、と。
胸をなで下ろすバカに対する違和感をもっと早く突き詰めとくべきだったのだ。
いやもうこの時点で手遅れだったんだけど。
ダンジョンなのに中ボスがいないことにももっとしっかり疑問を持つべきだったし、長ネギ丸がラスボスとして立ち塞がった時点で罠を疑うべきだったのだ。
「まぁ寄り道の部屋の宝箱はもう僕とヒースクリフが半分こしてもう空っぽなんだけどさ」
「できる限りの悪さするじゃんお前…」
「ちゃんと『スカ』って書いた紙と
「なにもセーフじゃありませんからね?」
「うるせえ閃光だなぁ…」
「だから先公みたいに言わないでくださいって前も言いましたよね?きやっ!?」
「ひゃぁ!?」
「ぬわっ!」
───爆発音がした。
「……おい」
ぐらり、と揺れ始めたそのダンジョンの振動に、キリトは思わずバカの胸ぐらへと掴みかかる。
「僕からの最後のプレゼント♡」
宝箱に仕込んだプレゼントとは。
ここまで来たら隠すまでもない。
爆弾である。
長ネギ丸はせっせと宝箱にありったけの爆弾を詰め込んでいた。
しかもご丁寧に、他のプレイヤーが走り抜けたくなる程度の強モブを配置して、逆に報酬を匂わせる中ボスは廃して、一本道へと誘導するというおまけ付き。
仮に宝箱に仕込んだ爆弾に気づいても、それをいちいち解除しているうちに時間切れになってしまうと言う。
普通に悪意マシマシなトラップだった。
「お前はなんでそう最後まで悪意たっぷりなんだ!犬夜叉の奈落がてめえは!!」
「全部屋真面目に攻略してたら爆発しないルートもあったよ!ラスボス前の選択でエンディングが分岐するって定番だけどやっぱ必要かなって!」
「余計なお世話すぎる!」
「余計なおせワイファイ?」
「はしゃぎすぎだろ!」
「せっかくラスボスやるなら完璧にしたいじゃん?楽しかったぁ…超満足」
「こ、こいつホントに…!」
あばよ!
と当たり前のようにペナルティのあるデスポーンをしてその場から離脱する長ネギ丸に釣られるように、エクスキャリバーを抱えたキリトたちの必死の逃亡でこのクエストは幕を閉じる。
バカがダンジョンの中まで動物型邪神『キリト(命名長ネギ)』を連れ込んでたおかげで、あと人数を減らしてたおかげでキリトがエクスキャリバーを捨てなくて良くなったりしたのだけど。
「ねぇアスナ!これホントにいい思い出になるやつ!?ねえ!ボクの恩人テロリストすぎるんだけど!!」
「いい、ユウキ。あの人はね、いいことを一つしたら、そのあとに100やらかすと思いなさい」
「100!?相殺とかじゃなくない!?」
「そこがいいのよ…」
「シノンもなんか変だし!ある意味お似合いのカップルだよ、ボクのヒロインルートは夢と消えたよ!」
「あらそう?褒め言葉ね」
「褒めてないよ!!!」
少なくとも。
数多のバタフライエフェクトを生み出した一連の騒動はとりあえず形ばかりのハッピーエンドへの着地を見せた。
「なんかキリトくんからちょっと…凄い臭いするんだけど…」
「ほんとだくせえ!?どうしたキリト!?」
「…そういやあいつスリュムがこれをケツに挟んでたとか言ってたっけ」
「…え、それが?」
「じゃあその剣からする臭いって…」
「おいみんな。なんで俺から距離を取るんだよ。一緒にクエストクリアした仲だろ?もっと近くでもいいんだぜ…」
「キリトくん来ないで。臭いから」
「泣けるぜ…」
なお、その後の忘年会でバカは普通にバチボコに説教されたし、長ネギのバケツで隠されていた素顔を見たユウキが赤面してシノンがブチギレるシーンがあったりはしたのだが、それもまぁいい思い出だろう。
「ステイステイ…ステイシノン!相手は病み上がりの中学生だから!」
「なによ、単に分からせようってだけじゃない」
「大人げないですよ!」
「べ、別に素顔見たくらいで揺らぐようなチョロい女じゃないやい!」
「でもユウキ、長ネギ丸さんのおかげでいい思い出ができたってすごく嬉しそうに…」
「アスナぁ!?」
「このカレー美味」
「……お前自分の話題でよくそんな平気な顔してられるな…」
「だって別に僕浮気しねーもんお前じゃないから」
「キリトくん?」
「俺も別にしねえよ!!アスナも落ち着いてくれ!」
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。
これにて夏休みスペシャル()のマザーズロザキャリバー編は終わり、たぶん長ネギ丸の冒険も終わりだと思います。
キチガイゲージを発散するのが楽しい作品でした。
できる限りいろんな部分の感想をください。
ケツバトラーとかさり気なく喘いでるTS巨大おじさんとか、カヤバーンとカリンバーンとか、メスガキユウキちゃんペロペロとか、フレネミー長ネギ丸への罵倒とかAI調教師とか。
たくさんよろしくお願いします(乞食)