ミニストーリーで魑魅一座周りの情報が出ましたね。
うーむ、ワカモの過去が気になり過ぎて午前3時13分から午前4時34分の間しか眠れないぜ!
私の苦しみに理由なんてない。
欲望を満たす為に動く大人を山程見てきた。
何度も手を結び、そして裏切り……そうして残ったものなんか悪名しかありませんでした。
でも、彼らのやった事の全てを恨む事はもうありません。
人が自分の欲望に忠実であるのは必然であるが故に。
イズナも目には目を、歯には歯を……同じようにしてやったのですから。
誰かを恨みたくても恨めないのです。
そうして何度も手を汚して気が付いた時には。
イズナは山のように積み上げられた恨みの影に一人立っていました。
後ろを見返そうにも何も見えず、前には暗闇が広がっているだけでした。
そんな時に主人様に出会い、そして少しだけまた光が見えるようになって。
でも、今更私が見るには僅かな光ですら眩しくて。
頑張って見つめようとしても、もう思うように笑えないんです。
もし、もし。
もっと早く主人様に会えていれば……
こんな思いをする事も無かったんでしょうか。
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
ふと気が付くと……空を天井、硬いコンクリートを寝床にしていた。
こんな経験をしたのは初めてではない。
寧ろ、昔はまともではない所で過ごした夜の方が多いだろう。
彼女……イズナが目を覚ましたのはスマホの着信音。
「……?」
知らない番号からだ。
何故自分の電話番号が知られているのが不気味だった。
先生くらいにしか教えていない筈なのに……
不思議に思っているど、いつの間にか電話取るタイミングを失いコール音が途切れた。
まあ、どうせ下らない相手だったのだろうイズナはすぐに意識を切り替えた。
それよりも今は状況を把握しなくてはならない。
何故自分が意識を失っていたのか、ここは何処なのか。
「……そう言えば、今は被っているみたいですね」
先生を含めて、他人の大多数は仮面を付けている姿の方が印象が強い。
なので普段は仮面を外す事で誤魔化しが効くのだけれど。
いつ、仮面を被ったのか全く分からなかった。
外した方が目立ちはしないだろう。
そう思って仮面に指をかけた、その時だった。
「……あら。あらあら」
「はて、どちら様ですか?」
この邂逅は偶然……いや。
もしくは、必然なのかもしれない。
他人から呼ばれる二つ名……同じ名前を持つ者として、惹かれ合ったのか。
イズナと同じお面を付けた生徒……ワカモが静かに歩み寄る。
ピリピリとした殺気を辺りに充満させながら。
お互いの事情は知らなくても、二人は心で分かり合っていた。
こいつは、自分とは決して相容れない存在だと!
「……うふふ、今日は偽者を用意したつもりはないのですが」
「偽者……ああ、そんな事もありましたねぇ」
あのバレンタインは今でも思い出せる良い思い出だ。
先生に注意はされたけれど……届け物ができた記念の日。
短い間だけど、愛しい人と二人きりになれた特別な時間だ。
「面白い事を聞きますね。どちら様でしょうか?」
「それはこっちのセリフですのに……質問するのは、私でしょうに」
——かくして、異なる世界の同じ『災厄』の二人の戦いの幕は唐突に切って落とされた。
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
「これは一体……どう言う事だ!?」
「さっぱり分からんが……とにかく、避難誘導を優先しろ!」
「これ以上市民に被害が広がらないよう注力しないと……!」
ワカモとイズナの争いは段々とヒートアップ。
遂にはヴァルキューレの生徒達が集結していた。
それどころかクロノス報道部まで駆け付ける大騒ぎにまで発展していた。
周囲は銃弾が穿った跡だけでなく、爆発して壊れた車など様々な惨事の形跡が残されていた。
それも……かなりの広範囲に。
たった二人でこの規模の被害を出したのが信じ難いレベルだ。
「いい加減、倒れてくださらないかしら……!」
「それは此方の台詞ですよ……!」
ワカモとイズナ、二人の戦い方は一部が似ていて細部がやや異なる。
ワカモは様々な銃器を多彩に操る。
通りすがりの持っていた物を強奪して使用してまで相手を追い詰める。
ロケットランチャーのような重火器から短銃まで何でもござれだ。
苛烈で一切容赦のない攻め方で、この攻撃に耐えられるのはキヴォトス全体で見ても僅かだろう。
しかし、イズナはその攻撃を9割以上も身のこなしで回避していた。
軽業師も真っ青な凄技で、行動の一つ一つが常人では真似できない域に達している。
マンホールを畳返しで盾にする、通りすがりと位置を入れ替える変わり身の術。
その姿はまるで忍者のようだ。
「ちっ、邪魔です!」
ワカモは身代わりにされた通りすがりを直接投げ付けながら今度は直接近付いて近接戦闘を挑む。
遠くからチマチマと(彼女にとっては)攻撃していたんじゃいつまで経っても終わらない。
幸い、まだヴァルキューレは避難を優先している為に確保には動いていない。
彼女達が介入してくる前にとっととケリをつけなければ!
「この、面倒な……!」
一方イズナも内心では焦っていた。
爆弾付きクナイや銃弾のリソースがそろそろ切れかけている。
車を巻き込んで爆発させても相手は倒れる気配がない。
ならば、と……考える事はワカモと一緒だった。
「「……」」
お互いに殺気を込めた仮面越しの視線をぶつけ合う——
そんな最中、イズナのスマホにコール音が鳴り響いた。
「(っ、こんな時に電話!? またさっきの相手なら、今度機会を見つけて痛い目に……)」
と、そこまで考えてから相手を確認したが。
「!!!?」
イズナはワンコールが終わる前に即座に電話に出る。
理由は非常に単純。
相手が
愛おしい人の着信を無視するなんて、今の彼女にはあり得なかった。
たとえこの怨敵を前にしている時だとしても……
「はい、主人様! 主人様のイズナです!」
いつも口にしている言葉の筈なのに、妙に距離を感じるのは気の所為だろうか。
話の内容もおかしかった。
忍術研究部なんて聞いた事のない部活だし、そもそも今は
知らない人の話ばかりされて……あんまり気分は良くなかった。
「……イズナにはよく分からないです。主人様はどうしてそんな話をなさるんでしょうか?」
自分の所為で、先生が悲しい口調に変わっているのを感じる。
全く身に覚えがないけれど……自分が至らない所為なのはきっと違いなかった。
「ごめんなさい、私が至らないばかりに主人様にご迷惑が……うぅ……」
そんな話をしている最中だった……イズナの近くで爆発音がしたのは。
爆発は事前に察知して避けた。
飛んで来た瓦礫などは軽々と躱したので怪我はない。
下手人であるワカモは舌打ちしながら今度は走り寄ってくる。
電話をしているのに大人しいと思ったら……機を窺っていたらしい。
それよりも、もっと重要な事があった。
「っ……!? 生中継の所為ですか! 違うんです先生、これにはちょっとした事情があるんです!」
不味い、バレた。
しかもそれだけじゃない。
「え、あ、はい……え、来るのですか!? 凄く危険なのに——」
どうやら、この場に行くつもりらしい。
——いや、その……嘘でしょう?——
イズナの顔色は真っ青になる。
「……っ!」
電話をしまい、銃剣をそのまま殴り付けて来たワカモをクナイで応戦する。
キヴォトスでは非常に珍しい、刃物と刃物がぶつかり合う金属音が鳴り渡った。
二合、三合と斬り結ぶ中二人は言葉もぶつけ合った。
「今電話していたのはまさか……!」
「その通り、イズナの主人様です」
ワカモは嫉妬のあまり強烈な回し蹴りを繰り出した。
鋭い角度の蹴りに反応が微かに遅れ、イズナの髪房が一切れ宙に舞った。
あまりに込められた殺気で、流石のイズナも少しだけ冷や汗をかいた。
「あなたのような痴れ者に、あなた様を……先生を渡すわけには行きません!」
「その先生が、ここに来るんです!」
「っ!?」
先生がここに来ると聞いて、ワカモも一瞬動揺を隠せなかった。
また問題を起こしたのかと失望されたら……!
「っ、ヴァルキューレですか……」
「どうやら、市民の避難をようやく終えたようですね」
二人の言う通り、ヴァルキューレの生徒達が辺りを完全に包囲していた。
流石に二時間ほどドンパチしていると腰の重い彼女らも準備が整ってしまうらしい。
装甲車の数も動員されている生徒の人数もかなり多い。
……その程度では二人を止める事は難しいだろうが。
「おい、狐坂ワカモ! また影武者とはな……どっちが本物かは知らないが、両方捕まえてしまえば問題ないだろうさ!」
そんな声が上がり、自分達を捕らえようと徐々に包囲が縮んで行く。
「……面倒ですね、これ以上暴れると先生に怒られるかもしれませんし」
「かと言って捕まるのは論外と……ふぅ」
二人は先程とは一転し背中を預け合う。
そこには先程までお互いに向け合っていた殺意は既に霧散していた。
……喧嘩の理由も単純ならば、手を結ぶ理由も単純らしい。
「……後で先生の元へ集合です」
「私まで怒られるのは納得行きませんが……まあ、いいでしょう。先生に会える機会は中々ありませんので」
短い会話の中で最低限の打ち合わせを終わらせた二人は合図もなく一斉に別々の方向に走り出した。
「なっ、真っ向勝負で逃げるつもりか!?」
「しかし、これだけ人数が居れば……!」
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
生中継はスマホからでも確認できた。
先生はワカモとイズナの脱出劇を始終見ていた。
ワカモはロケットランチャーで爆発を起こし、その混乱の影に隠れて悠々とその場を離脱。
イズナは跳躍でヴァルキューレの生徒の頭や装甲車を踏み台にしながら離脱していた。
ここまで来ると最早、大道芸みたいで見ていてちょっと楽しいくらいだったが……
"……えっと"
「申し訳ございませんあなた様! その、私の真似をする奴が居たので!」
「ごめんなさい主人様! その、イズナは悪くないんです!」
二人とも頭を下げながら何度も謝罪(とほんの少しの弁明)を繰り返していた。
ここまで全力で謝られると少しだけ罪悪感が湧いてくる。
まあ……お説教は最初からする予定ではあったが。
さて、まずは何から話すべきだろうか。
そこまで怒ってないから安心して欲しいとでも伝えようか。
「大体、何故あなたは私の真似をしているのですか?」
「真似をしてるのはそっちでしょうに……盗人猛々しいとはこの事ですね」
「面白い冗談を言いますね。そんなに撃たれたいのですか?」
「撃たれるのはあなただけでしょうに」
「「アァ……?」」
殺気の籠った睨み合いは先生でも見てて少し怖かった。
幸いにも、ここは狭い路地の奥の方なので道行く人はこの脅威を知る事はない。
"……二人とも、私の話聞く気はあるのかな"
「「っ、すみません先生!!」」
ガンを飛ばし合っていた二人は、先生の溢した言葉を聞いて同時に背を伸ばした。
それどころか尻尾や耳もピンと伸びている。
ここだけを見たら一応仲良しに見えなくもないだろうか。
……これ以上、それが原因で喧嘩をしないように事情を早く説明しよう。
先生はそう思いながらイズナの身に起こっていると思われる事態について説明をした。
「別の世界の自分、ですか。噂は聞いておりましたが……まさか真実とは」
「小耳に挟んだ程度のホラ話が自分の身に降りかかるなんて、思ってもみませんでした……」
二人の反応は大体似たり寄ったり。
そっくり過ぎて仮面を被ったらきっと見分けが付け難いくらいだ。
今は二人とも仮面を外しているので問題はない。
しかし……イズナの顔付きを見て先生は内心疑問を覚える。
普段の快活な彼女の面影はあるが……それよりも、何かがおかしいのだ。
それは、一緒に並んでいるワカモと見比べたら分かる事だった。
「つまり、この者は異なる世界で私と同じ立場になっているだけの別人……と言うわけですね」
ジロリとワカモがイズナを見つめる。
……なんでまだ敵意があるんだろう?
「この世界の私がどんな人なのかは知りませんが、まあそれはこの際どうでもいいですね」
イズナもまた、ワカモを見つめていた。
……だから、なんでそんな憎むような視線なの?
"それと、イズナにもう一つ聞きたい事があるんだけど"
「はい! 何でも聞いてください、主人様!」
話しかけられるとご機嫌になるイズナは……相変わらず狐と言うよりも犬に近い気がする。
こう言うところは変わらないんだなと、先生は内心で呟いた。
なお、ワカモの機嫌は急降下していた。
また何か起きてしまう前に聞きたい事は聞いておかなければ……
先生は言葉を続けた。
"その、私の知っているイズナよりも少し成長してるみたいなんだけど……今、何年生かな?"
「三年生です、主人様!」
マジか。
アルは同じ年齢みたいだったから今度もそうかなと思っていたら……全然違ってびっくりした。
道理でワカモと背の高さが揃っているわけだ。
顔付きも幼さが抜けて美人度がかなり増していた。
「思えば、あなたの目の前にいる先生はあなたの知る先生とは別人なのではありませんか?」
イライラしているのが一目で分かるワカモはイズナに対してそんな問いを投げかけた。
話し方からして威圧感が込められたそれは、普通の一般人なら萎縮して喋れなくなりそうだった。
イズナは何の躊躇いもなく答える。
「姿を見れば、声を聞けば……分かりますよ。先生はどんな世界でも変わらず先生なのだと」
自信満々にそう語るイズナを見て、ワカモの苛立ちのギアは更に上がったように感じられた。
これ以上ワカモを放っておくと妖怪にでもなってしまいそうだった。
連鎖的にイズナも妖怪になってしまってもおかしくはない。
"取り敢えず二人とも、もう喧嘩は辞めてくれるかな"
「……あなた様がそう言うのでしたら」
「……主人様がそう言うのなら」
"(えぇ……どうしてこの二人はこんなにも仲が悪いんだろう?)"
先生は困ったように苦笑したが。
生徒達の何名かが今の先生の内心を知れば……
きっと、白い目をするに違いなかった。
ヤンデレ(?)の生徒×2に死ぬほど愛されて眠れない先生
因みにですが仮にヒナ*ミラーとかキサキ*ミラーとかを書くとしても大人版の姿を描写する事は神に誓ってありません
今回みたいなちょっぴり成長した姿はまだ許容範囲とします
大人が幼女になるのは……まあいいでしょう(すねいる)
しかし、イズナ(155cm)の身長がワカモ(161cm)に並ぶのはちょっぴり成長と言えるのだろうか?
うーん……年齢的にはまだまだ子供なんだしそのくらいなら現実的な可能性に収まってるかな
リンバスとブルアカのプレイ経験はありますか?
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リンバスだけプレイしている
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ブルアカだけプレイしている
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両方プレイしている
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両方プレイしたことがない
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プロムンの過去作はプレイしたことがある