透き通った世界に鏡を通して   作:紙吹雪

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最近、冗談抜きで動いてないのに暑いですね。
炎天下で作業をする時はこまめに水分補給をしましょう。

















おじさんには暑い日がくる度に「ああ、今みたいな暑さの中ユメ先輩は……」って思い詰めていて欲しい




アリスが目撃したものの説明と僅かな間失踪していた双子について

 

 入って来た生徒は一安心と言った風にため息を吐きました。

 怒ったユウカはとても怖いですからね!

 アリスにもその気持ちはよく分かりました。

 

 しかし、安心できたのは束の間でした。

 

「む……気配からして近くにいるな」

 

 部屋の外から足音が聞こえて来ました。

 間隔からして足音の主が走っているのは明白でした。

 そして、話の流れからしてそれが誰なのかも。

 

「ま、まさかユウカ……!?」

「なんだかいつもよりも音が大きい気がする……もも、もしかして、怒ってる!?」

「お、落ち着いてお姉ちゃん、ユウカが部室に来る時は怒ってない時の方が少ないでしょ!」

「とにかく、静かにしないと見つかっちゃいます……!」

 

 アリス達は段々と近付く足音に震えながらひっそりと息を潜めました。

 でも、ユズは知らない人が部室に入って来た時点でロッカーに隠れていました。

 アリスもその時だけは隠れたかったです。

 ……今度からはダンボールを部室に複数個用意しておこうと思います。

 

 やがて、足音は部室のドアの前で止まりました。

 そのまま無音の時間が数秒間流れました。

 緊張のあまりにモモイは声を上げるのをミドリと一緒に必死に我慢していました。

 

 しばらくして、足音が段々と遠ざかって行きます。

 足音が聞こえなくなった後、アリス達はやっとまともに息が出来るとばかりに荒く息を吐き出しました。

 

「はあぁぁぁぁ〜……助かったぁ」

「うぅ、なんで急にホラーゲームみたいな展開になるの……!?」

「すまないな、巻き込んでしまって」

 

 そう言ってその生徒は部屋の壁に寄りかかりました。

 強い安堵感を感じていたようで、この人もとても緊張していたのがよく分かりました。

 それも、下手したらアリス達よりも震え上がっていたんじゃないかってくらい。

 

「お礼したいのも山々だが、なるべくこの場を早めに脱出したい。またあのユウカと言う者に見つからないようにな」

 

 その人は一息吐いた後、サッと壁から離れて部室の窓を開けました。

 

「では、また会えれば何処かで……っ!?」

 

 窓に手が掛かったその瞬間。

 

 細い剣みたいなのが芸術家風の人の右眼があった空間に突き出されていました。

 ギリギリで首を傾けて躱していましたが……明らかに敵意の籠っているようでした。

 顔を掠めていたのか、剣には僅かながら血が滴っていました。

 

「やっぱりこの部屋だったわね。完璧〜っと」

 

 剣を突き出した人物……ユウカは軽やかな動作で窓から部屋に入って来ました。

 緑色のコートを羽織っていたりと、いつもと全く違う服装をしていました。

 それどころか雰囲気もまるで別人で……

 

 異なる世界に生きている人を見ているみたい。

 アリスはそう思いました。

 

「……ちっ、バレていたか」

「セブンから逃れられると思うなんて二流も良いところね。薬指とはあまり関わり合いたくなかったけれど……それでも上手く行きそうで何よりだわ」

 

 切先をその人に向けながらユウカは氷のように冷たく言い放ちました。

 

「……別に恨みがあるわけじゃないけれど、疾く始末しないとね」

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

"……それは、本当にユウカなの?"

 

 そこまでアリスの話を聞いた先生は困惑していた。

 先生の知るユウカは、少なくともそんなにキレた言動はしていない。

 かなりしっかりしている良い子だった筈だ。

 

「見た目は間違いなくユウカでした。声も容姿も適合率99%……間違えるなんて絶対ありません!」

 

"……そうなんだね"

 

 アリスは嘘を付くような生徒ではない。

 と言うか嘘を言っている姿が想像できない。

 先生を騙しているわけじゃないのは分かっている。

 でも……信じたくないのが先生の本音だった。

 

"C&Cと戦闘になった過程は?"

 

「偶々アスナ先輩達が前の廊下を通りがかって……生徒に襲い掛かるユウカを見て、戦闘になりました」

 

"ユウカを止める為?"

 

「はい……」

 

 なるほど。

 経緯は分かった。

 その分謎も増えてしまったが……それでも前進したのは変わりない。

 

「それで、C&Cとユウカが戦闘をしている間にモモイとミドリが……」

 

"……その、芸術家っぽい生徒は?"

 

「あれ……そう言えば姿がありません」

 

 もしかすると……その生徒の仕業なのかもしれない。

 この勘が正しければその生徒が犯人になるが、まだそうであると言う証拠は無い。

 疑うには証拠が全く足りていない。

 

 流れを整理しよう。

 

 まず、ユウカの狙いは例の芸術家風の生徒だ。

 ターゲットを狙っていた時にC&Cと交戦になった。

 つまり、この場からユウカが離れた原因はターゲットを見失ったからだろうか。

 

 通りすがりにカリンを攻撃した、と。

 カリンの服装からして仲間だと思われたのか。

 多分、アカネとアスナとは別行動していたのだろう。

 

"それにしても、アカネとアスナの二人はなんでユウカが逃げ出した時に追わなかったんだろう?"

 

「大きな爆発があった時、いつの間にかユウカが居なくなっていました」

 

 ……アカネの爆発物を逆に利用して逃げた、と。

 先生はふと最後に爆発音が聞こえたタイミングを思い出す。

 もしかしたら、カリンは割と怪我してから時間が経っていなかったのかも。

 

 あの時、もっと注意を払っていたらユウカを見つけたかもしれない。

 過ぎた事を言っても仕方ないのでそれについては一旦忘れる。

 とにかく、今優先すべきはモモイとミドリの安否だろう。

 

 場所の特定は自体は以前にやったセリカの時と同じ方法で可能だ。

 バレたらちょっと不味いが、こう言うのに厳しそうなユウカは幸か不幸かこの場にいない。

 そうと決まれば早速。

 

"アロナ、できる?"

 

『はい、この前と同じですね。このスーパーアロナちゃんにお任せください……って、あれ?』

 

"どうしたの、アロナ?"

 

 アロナが言い淀む。

 まさか、見つからなかったのだろうか。

 そんな馬鹿な……!?

 

 不安な気持ちが湧き上がりそうなのをどうにか抑えて。先生はアロナに聞いた。

 

『見つけましたけど……その、二人ともすぐ近くにいます』

 

"えっ?"

 

 見つかったのなら別に問題はない。

 おかしいのはアロナが示した位置。

 それは……すぐ近くの廊下を曲がった先だ。

 

 失踪したのはアリスの勘違いでしかなかったのかとも思った。

 だけど、モモイやミドリは勝手に何処かに行くような性格では……多分無いと思う。

 

『あっ、こっちに近付いて来てますよ?』

 

 ……どうやら探す必要は無くなったようだ。

 なのに、先生は嫌な予感がするのを拭えなかった。

 様々な事件に巻き込まれて培った感覚がそう叫んでいる。

 

 

 

 

 

 

 そして残念な事に……先生の嫌な予感は見事に的中していた。

 

 

 

 

 

 

 廊下を曲がって姿を現したモモイとミドリは明らかに先生の知る姿とは異なっていた。

 普段よりもやや落ち着きのある雰囲気に加えて背が微かに伸びている。

 それでもまだ少女と言える身長だがそれでもたしかに成長はしていた。

 更に服装は何処かで見た事のある物だった。

 

 

 

 ……そう、ユウカによく似た服装をモモイはしていたのだ。

 

 

 

 パッと見た感じはセミナー役員らしい……そしてモモイらしからぬキッチリとした服装だ。

 流石に計算機を手にしていないが、そこ以外はユウカにそっくりだった。

 いや、体型はまるで似ていないか。

 

「先生、その……二人が帰って来ましたけど、何かおかしいです」

 

"うん……でも、任せて。先生は似た様な事件も解決して来たから"

 

 思わず膝を突きたくなる衝動を耐え、先生はアリスを安心させるようにそう言った。

 ユウカよりも先にこの二人がこうなっているのを把握する事になるとは……

 ただ、予想もしていなかった事態に頭が痛くなって来るのは抑えきれなかった。

 

 最初はユウカが今の二人のようになっているんだと思っていた。

 でも様子が想像よりも異なっていて……

 それだけでも厄介だったのに、まさか二人までもがこうなってしまった。

 

 

 

 先生は何かしらの悪意が混在しているかのような感覚がした。

 ここまで立て続けにこうなるのは、幾ら何でも流石におかしい。

 最早、偶然と考えるには先生の周りで頻繁に起き過ぎている。

 

 

 

「あれ、先生? それに横に居るのは……誰?」

「制服からしてミレニアムの生徒なのでしょうが……顔に見覚えがありませんね」

「と言うかこの廊下の荒れ様は何? まーたC&Cが何かしらやらかしたの?」

 

 先生とアリスを見て自然と会話をするモモイとミドリ。

 しかし、先生の悪くなって行く顔色を見て不安そうな表情へと変わった。

 普段生徒の前では暗い顔を見せないのに。

 

「ちょ、先生大丈夫? なんか顔色悪いけど……」

「早く保健室に行った方が良いんじゃないかな?」

 

"……いや、大丈夫だよ。ところで聞きたいんだけど、本当にこの子に見覚えが無いの?"

 

「うん。私は多分見た事ないよ。お姉ちゃんはどう?」

「私も一緒。だとしたらおかしいなぁ……こんな美少女、一度見たら忘れないと思うのに」

 

 割と最近、何処かで聞いたような事を言うモモイにアリスは身を震わせた。

 アリスにとっても聞き覚えがある発言だったらしい。

 これは……そう言う事、なのだろうか?

 

 ガラ……と、静かながらもはっきり聞こえるロッカーの音がこの場にいる全員の耳に届いた。

 

「ふぇっ!?」

「だ、誰!?」

 

 明らかに驚いた様子のモモイとミドリ。

 普段なら驚いたりは……いや、割と驚いてたか。

 でも、ここまで取り乱したりはしなかった筈だ。

 

「二人とも……アリスやユズの事を覚えてないんですか?」

 

 泣きそうな顔をしたアリスとユズ。

 それに加えて先生も何処か物悲しそうにしていた。

 三人の悲しそうな雰囲気を受けたモモイは申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「ご、ごめん! よく分からないけど、悲しませてごめん!」

「お姉ちゃん……自分の何が悪かったのかも分からないのに謝るのは逆効果だよ」

「た、たしかに!? とにかくごめん!」

「結局謝ってるじゃん……」

 

 はぁ、とため息を吐いたミドリも頭を下げた。

 

「すみません、私にも彼女が誰なのか分かりません。先生、教えてくれますか?」

 

"うん。えっとね……おっと"

 

 ネルからの連絡だ。

 モモトークにメッセージが来ていたので先生はすぐに確認する。

 

 

『ユウカを捕まえた。今からそっちに行くから待機しててくれ』

 

 

 流石ネルだ。

 仕事がかなり早い。

 周辺の被害さえなければ完璧だが、果たして今回はどれ程壊れたのやら。

 

 先生もアリスから聞いた話とモモイとミドリを一応見つけた事を簡潔にまとめて送った。

 返信はこっちに到着した後で良いと付け加えておいた。

 そうでなきゃ、多分モモトークと直接とで二回は説明する事になりそうだ。

 

 ……こんな状況、初めてだとしたら混乱して当然だろうから。

 

「どうかされましたか、先生?」

「モモトーク弄ったりなんかして。もしかして忙しかったりする?」

 

"ネルがここに来るって"

 

「え、ネルが?」

「何か仕事を任せたりしてたっけ?」

 

 二人して同じ角度に首を傾げる。

 何気に呼び捨てにしているのは、きっと立場の違いだと先生は自分を納得させた。

 それはそれとして、絶対本人がそう呼ばれたら怒るだろうけど。

 

 どうにかネルが怒り出す前に説明できるよう、心の準備を済ませながら先生は待機した。

 

 

 

 およそ10分後。

 

 

 

 メッセージ通りにネル達は両手を縄で縛ったユウカを連れて来た。

 ユウカは気絶しているようだが……どうやって捕まえたのだろうか。

 やたら建造物の破片が付着しているのを見るに、荒っぽい方法なのは間違いない。

 でも、案外あっさり捕まえられたのは良いニュースだ。

 

 アカネとアスナは疲労感が抜け切れてないように見える一方、ネルはピンピンしている。

 戦闘力の違いもあるだろうが……戦闘時間の差も有意にある。

 

"よくユウカを見つけたね、ネル"

 

「それはヴェリタスの連中に手伝って貰ったからだよ。あたし達だけじゃ……ちょっと悔しいが難しかっただろうな」

 

 なるほど……

 

「で、先生。あいつらも見つかったそうだが……ああ、実際に見た方が早いってのは納得できたな」

 

 モモイとミドリを鋭い視線で見つめるネル。

 顔付きは険しいが長い付き合いならば、その中に戸惑いが紛れているのが分かるだろう。

 二人を見て困惑を隠せていないのは何もネルだけではない。

 アカネとアスナも同じだ。

 

「……雰囲気が完全に別人に見えますね」

「何これ、実は何かのドッキリだったりする?」

 

 ジロジロと視線を集めるモモイとミドリまでも困惑していた。

 しかし、それは見られている事に対してではない。

 モモイとミドリは……気絶しているユウカを見ていたのだ。

 

 まるでドン引きしているような目付きで。

 

"……?"

 

 少し妙に思ったが、状況の説明を優先するべきだろう。

 ユウカの事も放っておけないが……そっちは目が覚めたからでいい。

 

"今、モモイとミドリの今の状況について説明するよ"

 

 生徒達は先生の言葉に耳を傾ける。

 何人かは上手く飲み込めないままではあるが、説明を終えた時には納得の行った表情にはなっていた。

 信じ難い話だけれど目の前の事実を鑑みれば……辻褄は合ってしまうから。

 

「……少し前にユウカが言っていたな。奇妙な鏡の噂について。学園の外で先生から実際に遭遇した報告があるのは知っていたが、実際に見ると……チッ、愉快な気分じゃねーな」

「えっと、ネルが不機嫌そうなのはいつもの事だけど……先生の言っている事が本当なら、ここは私達の居た世界とは別のキヴォトスって事なの?」

 

 モモイが恐る恐る先生にそう聞いた。

 無言で頷く先生も見て、ミドリは憂鬱そうに頭を抑えた。

 

「うぅ……ただでさえ仕事で忙しいのに、とんでもない厄介事に巻き込まれちゃった」

「誰よそんな技術を開発した奴は……作るのはもう別に構わないけど、報告書くらいは出しなさいよ!」

 

 何処に向けているんだかよく分からない怒りを吐き出しながらモモイは憤りを隠さないままでいた。

 ミドリも聞いた事のないくらい深い溜め息を吐いている。

 普段はゲームに関する事でもなければかなり温厚な二人がこうなるなんて……

 やはり、セミナーの仕事をしていると性格がこんな風になりやすいのだろうか。

 

 それと、なんだか所々仕草がユウカに似ている気がするのは気の所為だろうか?

 先生はそう思ったけれど、口には出さないでおいた。

 

 今の二人に面と向かってそう言ったら……何だか怒られそうな気がしたから。

 

 






ほらほら、モモイに言われてんぞイサン君。


そうそう、イサン君と言えば最近筆者はN社人格凶弾イサンの使い方を研究しています。
リンバスを知らない人向けに簡潔に説明すると、
《味方を殺すことで敵にクソ強ダメージを撒き散らす》
という癖の強いスキルを持つキャラです。
上手く行けばたしかにとんでもない火力が出せるんですが……

・味方を殺すので当然生贄が必須
・バフを溜めないと上手く火力が出せない
・味方を殺すスキル以外はそこまで強くない
・そもそも別の強キャラ(騎士ロージャや終止符の二人)で殴った方が手っ取り早い

などの課題があるんですよねぇ……耐久力もないので下手すると簡単に沈むし。
鏡ダンジョンならある程度問題は克服できるけど、TA勢でもなければそこまでする必要性が……
速さを追求するなら大人しく炎の片鱗先輩を頼るのが楽チンだからなぁ。
という訳で彼が一番適しているのは採光だと私は勝手に考えています。

弾の用意(主に囚人シンクレア)も容易だし(激うまギャグ)

ブルアカに凶弾E.G.Oがあったらドレスアルやセイア辺りが生贄に適してるかも。
これは是非ともカヨコやミカに使って欲しい。ミカならどうせ確定会心だし
皆さんはブルアカのキャラだと誰が一番凶弾装備が似合うと思いますか?
あ、おじさんは優勝候補筆頭なので除かせて頂きます。

リンバスとブルアカのプレイ経験はありますか?

  • リンバスだけプレイしている
  • ブルアカだけプレイしている
  • 両方プレイしている
  • 両方プレイしたことがない
  • プロムンの過去作はプレイしたことがある
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