透き通った世界に鏡を通して   作:紙吹雪

20 / 30


なんと、スズミとレイサが魔法少女になるみたいですね。
みんな、引こう!
そして一度だけ天井しろ。私が憎しみドンキにやったように


以前憎しみE.G.O.をレイサに着せたいと書きましたが、まさかスズミまで着るとは思ってもみないサプライズ。
スズミに別衣装来るのをずっと待っていた先生には朗報でしたね。
マジで待っていた人は5年近く待っていたのでは……?

-追記-
何気にラブまで実装されててそっちの方が嬉しかったかもしれない。性能もユニークだし。
マジカルスズミとレイサはなんか80連で両方来ました。
明日死ぬのか私は……???




ここでは黒幕に利用された哀れながらも許されはしないであろう生徒について語られる

 

 唐突にネルのスマホに着信が入る。

 相手が誰か聞くと、なんとあのヴェリタスであるらしい。

 あまり詳しくはないけれど、既に知り合いの生徒は何人か所属している。

 

「あいつら、頼んでおいた仕事が完了したみたいだな」

「え、ネルったら何頼んでたの?」

「……呼び捨てに未だに違和感が拭えねぇな。いや、今はどうでもいいが」

 

 ネルによると、見失った生徒……薬指の生徒を探してくれるよう依頼していたらしい。

 先生は疑問を覚えてネルに質問をした。

 

"ヴェリタスとは仲が悪いんじゃ?"

 

「ああ、まあな。だが……普段ならともかく今は非常事態だからな。手を借りる必要がないのならそれでいいが、そうも言ってられなさそうだからな」

「そこら辺、ネルは意外と機転効くよね〜」

「……調子狂うぜ、全く」

 

 普段のモモイなら絶対にしない口調でネルに話しかけている。

 怒ったネルがとても怖いのはミレニアムの生徒なら誰もが知っている為、彼女に軽い口を叩ける者はそういない。

 ……口では嫌そうにしているが、先生の目にはあまり嫌そうには見えなかった。

 指摘したらきっと怒るだろうから口にはしないでおいた。

 

 ネルはスマホに添付されたメールを読む。

 途中までは普段通りの様子だったが……

 メールを読み終えたネルが焦った表情でスマホを仕舞った。

 

「……不味いかもしれねぇ」

 

"ネル、どうしたの?"

 

 

 

「件の生徒……薬指って奴の居場所が分かったんだが、ヴェリタスの部員の一人がそこの近くを通った後に連絡が取れなくなってるらしい!」

 

 

 

「えぇ!?」

 

 それを聞いた生徒と先生は驚きの声をあげた。

 もし本当なら事は一刻を争うかもしれない。

 先生の表情にも隠しようのない焦りがあった。

 

「……まさか、生徒を画材にしている?」

「決してあり得ない話じゃないわね」

 

 ユウカだけは落ち着いた様子で焦燥感は見当たらなかった。

 言い換えればとても冷たい人間性であるとも取れたが。

 文句を言う暇は残念ながら無いので、誰もユウカに何も言わなかった。

 

「ネルって言ったかしら。私の武器は?」

「あれか。ちっ……もしそれをあたしらに向けたら問答無用でまた気絶させるからな」

 

 苛立ちを隠し切らずにネルは取り上げていた剣をユウカに投げて寄越した。

 細い剣身で鋭い切先にキラリと光が反射する。

 剣を受け取ったユウカは軽く検分する様に見つめるとすぐに鞘にしまう。

 

「くそ、とにかく急ぐぞ!」

「正直な話、まだ上手く飲み込めてないけれど……ミレニアムの平穏に関わる話なら、私達も放って置けないよ!」

「お姉ちゃん……うん、そうだね。現場に居合わせてしまったし、手伝おう!」

 

 ネルは勿論、モモイとミドリも付いて来てくれるらしい。

 アリスも行きたそうに……と言うよりは、既に行く気満々の顔でいる。

 寧ろ、何故行かないのかと逆に理由を聞かれそうな雰囲気だ。

 

「勿論、アリスも行きます!」

「貴女は危険だから来なくても良いのよ?」

「そうそう、こう言うのはネルに任せとけば大体どうにかなるんだから!」

 

 そう言ってアリスを留めようとするが、アリスはその程度で止まるような性格ではない。

 

「アリスは見習いですが……勇者ですから。お願いします!」

「でも、貴女みたいな可愛い子を連れて行って怪我でもさせたら……」

「そうだよね、やっぱり危険だから……」

「おい、お前ら。そいつの持っている武器を見てみろ」

 

 え、と。

 ネルの言葉にアリスの背負っている物をモモイとミドリはマジマジと見つめる。

 うーん、うーん。

 少しの間唸って。

 

「プラスチック製のプラモデル?」

「大きめのクーラーボックス?」

「ぜ、全然違います!」

 

 的外れな答えにアリスは慌てて否定した。

 ……普通ならあんな巨大な鉄の塊、持てるわけないだろうから。

 勘違いするのもまあ仕方ないのかもしれない。

 

「え、これが武器なの……?」

「触ってもいい?」

「はい、どうぞ」

 

 アリスの許可を得てからミドリがアリスの武器……『光の剣:スーパーノヴァ』を持とうとする。

 当然、うんともすんとも言わない。

 

「わ、これ本物!?」

「えぇ、嘘ぉ!?」

 

 二人は驚いた様子でアリスを見ている。

 こんな馬鹿みたいに重い物を背負って平然としているのだから当然の反応である。

 寧ろ、これに慣れている方がおかしいのかもしれない。

 

「誰が作ったのよこんなトンデモ武器!」

「どうせエンジニア部じゃない?」

「ああ、あいつらなら作りそうね……」

 

 ……二人の元いた世界でも、エンジニア部は相変わらずらしい。

 

「でも、これを扱える勇者様が来てくれるなら百人力じゃない?」

「うーん、関係ない生徒を巻き込むのはちょっと気が引けるんだけど……」

「アリスなら大丈夫です!」

 

"……いや、アリスには他に頼みたい事があるんだ"

 

「えっ」

 

 思わぬ先生の一言に、アリスの動きが止まった。

 

"アリス。それにユズ。二人はアスナとアカネを頼める?"

 

「先生? 私達は平気ですけど……」

「いや、ここは先生の方が正確だな。ユウカが思ったよりも抵抗した所為で疲れてる筈だ」

「あはは、先生とリーダーにはバレてたか〜」

 

 疲れている様子なのは一目で分かるけれど、割と限界は近かったらしい。

 見た目よりも余程タフなネルが凄いだけでユウカの捕縛はかなり厳しかったようだ。

 ふらつく身体を見るに立っているだけでもやっとなのだろう。

 

「先生、アリスも勇者として……」

 

"でも、二人を頼めるのはアリスとユズしか居ないんだ。どうか、頼めるかな?"

 

「うっ……先生が、そう言うのなら……今回は勇者ではなく回復役として頑張ります!」

「あ、アリスちゃん……近年の勇者は回復魔法を覚えたりする、から」

 

 ユズのよく分からない励ましを受けて、アリスはアスナとアカネに肩を貸す。

 実は怪力を誇る彼女にとっては生徒二人分くらいの重さは全く平気な様子だった。

 華奢な体格なのに、人は見た目によらない——

 

 そんなアリスを見ていたユウカは他に聞こえないくらいの小声で先生に話しかけた。

 

「……ねぇ、あの子は機械なのよね」

 

"……"

 

 返答に窮して口を閉じる。

 どうして分かったのか、それとどうしてそんな事を今聞くのか。

 色々と考えなければならない事が思い浮かんだからだ。

 

 なんて返せばいいのか迷ってしまい。

 数秒程沈黙が続いた。

 やがて、ユウカは一人納得したように先生から視線を逸らした。

 

「……その表情、答えは聞かなくても分かるわ。最初は妙に感情表現が豊かに見えて困惑したけど……どうせ貴方の影響でしょうね。まあ、いいわ。本当に……ここは都市じゃないみたいね」

 

 先生の話を聞いても半信半疑な様子だったユウカがあっさりと意見を翻してしまった。

 どうして信じる気になったのかは気になるけれど……今はそれどころではなかった。

 

 早くマキや他の生徒達を助けに行かなければ!

 

"みんな、行くよ!"

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

 件の場所はミレニアムの地下道。

 暗くてジメジメとした雰囲気であまり長居したいと思えない場所だ。

 しかも、歩いて来た通路はお世辞にも分かりやすくはなかった。

 だが、そこまでやって来た先生達一行は目的地の近くまでどうにか辿り着く事ができた。

 

「……血の臭い。暗くて見え難いけど血痕があるわね。出血自体は少ないから、致命傷ではなさそう」

 

 ユウカは慣れた様子で状況を分析していた。

 先生には荒事よりもどちらかと言えば調査の方が得意なように思えた。

 

"まるで探偵だね"

 

「……探偵、ね。そう言えばセブン直属の事務所にもそんなのが居た気がするわ」

 

 ちょっと興味が引かれたが……詳しく聞いている暇はない。

 それに……目的地らしき場所へと辿り着いたようだ。

 

 

 

 そこにはミレニアムの実験室よりも実験室らしい、しかし決してあってはならないだろう光景があった。

 

 十数人の気絶した人達がカプセルのような物に入れられている。

 民間人が大半を占めていて、生徒の姿はあまり見当たらない。

 カプセルにはチューブが接続されており、それが奥の方にある機械と繋がっていた。

 その中には……ヴェリタスの言っていた通りマキの姿もあった。

 

 皆が同様に苦悶の表情を浮かべていて、耳を澄ませば微かな呻き声が聞こえる。

 

 部屋の隅には沢山の機材が置かれていた。

 だが、隅に置かれていたもので最も目に入るのは機材ではなく。

 

 映る景色に違和感のある……不可思議な鏡だ。

 

 そして……部屋の中央に、アリスが言っていたらしき生徒が立っていた。

 右目の下には黒い菱形のペイント。

 その生徒は恍惚した笑みを浮かべながら振り返った。

 

「ふふふ、バレてしまいましたか。所詮私程度ではマエストロ様のようには上手くは事は運びませんか」

「大物振りやがって……おい、てめぇはここで何をしてやがるんだ!」

 

 ネルが威圧的な大声でそう言った。

 一般的な生徒なら震え上がりそうなその声を耳にしても、その生徒は飄々としている。

 

「我が師の跡を継がんとしている。忌々しき()()()()に殺され……中途半端になった実験を続けているのだ。こんな閃きに乏しい世界に至ってしまった私にできる芸術はこれくらいだろうからね」

「赤い視線……その名前が出るって事は」

 

 ユウカは眉を顰めながらそう口にした。

 

「赤い視線って何?」

「なんかこう、格好良い二つ名みたいな感じがするけど」

「……ハナから色を授かった、特別なフィクサーの事よ」

 

 ユウカはそれだけ言うと口を閉じてしまった。

 これ以上何かを言うつもりは無いようだ。

 

「ふむ、もしかして貴女は赤い視線からの依頼で私を追っていたフィクサーですか?」

 

"依頼人だったの……!?"

 

「……うっ、私がバラしたわけじゃないから契約違反じゃないわよね」

 

 自分に言い聞かせるような口調でユウカはそう口にした。

 仮にその契約を破ってしまったらどうなるのだろうか。

 物凄く不安そうにしているけど、おおよそ事情は理解できただろうか。

 

「しかし……ここまで来るのに苦労しましたねぇ。幸い実験のレポートなんかは大体覚えていましたし、機材の購入も叶いましたので」

「え、嘘でしょ? そこの鏡とかも含めて、何に使うのか皆目見当も付かないけど……絶対個人で易々と買える範疇じゃないよね?」

 

 モモイの指摘に先生は機械をよく観察してみる。

 どれも見覚えのない物ばかりだが、どれも新品ばかり。

 全て買い揃えるのは骨が折れるのは言われてみればたしかにそうだ。 

 

「……何処から資金を調達した?」

「それを教えるわけがないでしょう……と、言いたいところですが。ふふふ、感謝の念も込めてお教えしましょう」

 

 くくっ、と。

 ずっと愉快そうに笑い続ける薬指の生徒は続けた。

 

 

 

 

 

 

「実は、とある協力者がこの学園の名義で大量の債権を買ってくれまして。偶然それを知った私は見逃す代わりにその一部を借り受けたのですよ」

 

 

 

 

 

 

「……えっ?」

「……はあ?」

「……ほへ?」

 

"……へっ?"

 

 この場にいる薬指の生徒以外の全員、開いた口が塞がらなかった。

 

 そんな馬鹿な事するような奴がいるのか。

 このような人物に協力してしまうとはどれだけ考えが浅慮なのか。

 そもそも、学園の名義で好き勝手にできるものなのか。

 

 先生の頭の中で様々な疑問がぐるぐると巡っていた。

 

「中々面白い試みでしたので、私も一枚噛ませて貰ったのですよ」

「……どうかしてるわね、この世界の住民も」

 

 今のユウカに激しい誤解が生まれた気がした。

 

 しかし……そんなヤバい事を考え、実行するなんて一体何者なのだろうか。

 モモイとミドリ、それにネルは何かしら心当たりがあったのだろうか。

 三人揃って頭を抑えて重い溜め息を吐いた。

 

「……アイツだな」

「……アイツだね」

「……アイツだね」

 

 全員が問題児に頭を抱えているのは何となく見ているだけでも理解できた。

 だが、ミドリだけ少しおかしい。

 表情こそ微笑んでいるけれど、奥底から黒い何かが漏れ出ているかのように。

 

 まるで……何処かの誰かさんのような怒り方だった。

 

「……コユキちゃん。今度捕まえたら、二度と事を起こさないように『お話し』する必要がありますね」

 

 

 

「おや、お知り合いの方ですか? 丁度ここに居られますよ、ほら」

 

「!!?」

 

 

 

 薬指の生徒が指差した端の方を見ると……そこには気を失って気絶している、小柄な桃髪の生徒がいた。

 ネルやモモイの反応を見るに、おそらく横領した張本人なのだろう。

 まだその生徒の事を知らない先生は自然と目付きが鋭くなった。

 協力者だった生徒がこの中に入っていると言う事は、つまり……

 

"……協力者を実験台にしたって事?"

 

「光栄でしょう? なんたって、彼女のようなチャランポンな阿呆が我が芸術の一部になれるのですから」

 

 それが当然な事だと心から信じているかのように迷いなくそう言い切った。

 悪意すら介在しない、その薬指の生徒が抱いた純粋な欲望だった。

 所業の残酷さの中に……悪意ではなく善意すら感じられた。

 

「ピィピィと騒いでうるさかったのですが……他の者共と同じで、結局何の役にも立ちませんでしたね」

 

 はぁ、と吐かれた溜め息には隠しきれない失望があった。

 勝手に実験材料にしておいて、この言い様である。

 

"……"

 

「先生……と言ったかしら。アイツの発言は気にしなくてもいいわ。五本指の人間なんて、大抵あんなものだから」

 

 ユウカは感傷に浸っていなかった。

 他者を傷付ける事に何の躊躇いもなければ、気にする事もない。

 それが当然の世界に生まれて来たかのように。

 

 先生は、それが本当に恐ろしくて仕方がなかった。

 

 都市の人間が称える狂気の片鱗に触れ……先生はふと、とある感覚に襲われた。

 以前、アビドス高校の件で奔走していた時に出会ったあの黒服。

 今目の前に立っている生徒は、黒服と同じく自分とは決して相容れないのではないのだろうか。

 

 でも……それはあくまで今の印象だけの事。

 あくまで今は異なる世界の人格を着せられているだけ。

 元の彼女には何の罪もないだろう。

 

 しかし、可能性の世界の自分がこうなるのだとして……ここまで人が変わるものなのか?

 先生はこの生徒の以前までの人となりを知らない。

 こうなってしまう素質があるのかも分からない。

 

 仮に、そうではないとしたら。

 希望的観測かもしれないけれど……

 つまり、アルやイズナ達とは違って鏡が原因ではないとしたら。

 

 

 

 

 

 

 この薬指の生徒は、今までとは異なるアプローチで今の人格へと変化した……?

 

 

 

 

 

 






地下……実験施設……薬指……何事も起きない筈もなく。

アリスの出番は後程ちゃんと考えておりますのでご安心を。
私、メインディッシュは後から頂く派なので。

《お知らせ》
他作品含めて、またしばらく更新が滞りそうです。
再開は12月頃になりそうです。
詳しくは近日活動報告で……

リンバスとブルアカのプレイ経験はありますか?

  • リンバスだけプレイしている
  • ブルアカだけプレイしている
  • 両方プレイしている
  • 両方プレイしたことがない
  • プロムンの過去作はプレイしたことがある
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。