透き通った世界に鏡を通して   作:紙吹雪

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ハッピーバレンタイン。
リンバスでもバレンタインイベやったりしないかな、クリスマスの時みたいなノリで。

ってことでエデン条約編……改め、章題『赦せない』開幕です!

それと注意です
今回のお話にプロムンサイドの根幹に関わりかねない重要なネタバレが含まれます
可能ならば最低でも先に夜明事務所フィクサーシンクレア又は家主候補イシュメールの人格ストーリーを見ておきましょう
それすらもネタバレなのでもし余裕があれば先にロボトミと図書館をクリアしておきましょう
なぁに、真っ当にプレイするなら1作品100時間、つまり合計200時間もあればクリア出来る筈です
49日目とか完全開放戦とかで沼らなければの話だけど




赦せない
キヴォトスの悪夢 〜希望は優しく降りしきり、暖かな声が側に座す〜


 

「……先生」

 

 狐耳の生えた子供が夢の中にて先生に向かって話している。

 子供の話し方は小難しい言い回しが多く、婉曲的な表現が多い。

 少し前までは幼馴染の二人によく言われてたみたい。

 話がよく分からない時があるって。

 

 

 エデン条約。

 

 

 それは今は失踪した生徒会長が残した、楽園の名を模した条約の名前だね。

 ゲヘナとトリニティの間に結ばれる平和の為の条約。

 素敵な包装が含まれているかもしれないけれど、少なくとも趣旨はそう。

 言葉を少し入れ替えるだけで印象を容易に変えられるんだ。

 

 それと、存在しない楽園について子供は話していた。

 もし完全な楽園があるのなら、そこに至った者は楽園の外で観測し得ない。

 故に、楽園の在処は他の誰かが知る事はない。

 簡単に纏めると大体そんな話だね。

 

 

 

『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』

 

 

 

 七つの古則にある問いの一つ。

 他にも人によって解釈はあるかもしれないけれど、子供はそう解釈しているみたい。

 甘露で魅惑的な快楽を知ってしまったらもう戻れない……人の欲望と同じだね。

 欲求に素直になると他が蔑ろになるのも良く似ている。

 

 何故この子供がそのような話をしたのか、先生はまだあまり分かっていないみたい。

 それは誰かを想うが為の言葉……一言で言えば、優しさが詰まっていた。

 だからこそ……いや、それ以前に先生は子供の事は疑っていないけれど。

 先生は大人の義務として、生徒を導く責任を持つ者として常に生徒と接しているから。

 

 

 

「もしかしたらこれから始まる話は、君のような者には適さない、似つかわしくない話かもしれない」

 

 忠告をするかのように子供は続けた。

 

 

 

「不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めるような……」

 

 

「前提を疑い、相手を疑い、思い込みを疑い、真実を疑うような」

 

 

「悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような……それでいて、ただ後味だけが苦い……そんな話だ」

 

 

「しかし同時に、紛れもない真実の話でもある」

 

 

「どうか背を向けず、目を背けず……最後のその時までしっかりと見ていて欲しい」

 

 

「それが先生……「この先」を選んだ君の義務だ」

 

 

 

 子供はそう言って話を締め括った。

 

 子供の望みが先生にちゃんと伝わったかな?

 残念だけど、先生の姿はまた居なくなってしまったから分からない。

 この微睡みの中から子供は訳があって殆ど動けない状態なんだ。

 

 確かめるには現実に戻ってから直接先生と話さなくちゃいけないから……

 つまり、子供がまた先生と会うにはまた夢に誘うしかないってことだね。

 先生を誘うには現実に戻らなくちゃいけないから、また今みたいに呼びかける機会を待つしかないんだ。

 眺めることしかできない心配している友人達にも詳しい事情を知らせてないんだ。

 

 こんな話し方しかできないけれど、友人が全くいないわけではないからね。

 今はとある部長に匿ってもらっているんだ。

 救護が得意な人だし、隠匿にはまだ他の誰にも気付かれていない。

 子供はこの手腕からかなり信頼を寄せているみたい。

 

 

 

 

 

 

「……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 酷い言い方だけど、本気で嫌がってはいないみたいだね。

 敢えて大袈裟に言うのなら……ひょっとすると、話し相手ができて少し嬉しいのかもしれない。

 子供は普段からこんな悪態をつく接し方を頻繁にするような性格ではない。

 白昼夢を見ている間独りぼっちなのが寂しいのなら、素直にそう口にすればいいのに。

 

「……この質問も何回目かな。何の目的でどうやって私と接触したのかは分からないが。君に何の用事があると言うんだ」

 

 子供は私が何らかの理由があってこうしてお話していると思っている。

 けれど、実際のところはまるで逆なんだ。

 お話をしようと近付いたのは私ではなく子供の方だから。

 

 あの()()()に子供の意識が迷い込んだのが切っ掛けなんだよね。

 本当に全くの予想外だったけれど。

 蒼白の司書……と呼ばれていたあの子も困惑していたようだし。

 

「図書館……まさかとは思うが、この前のアレの事か?」

 

 あそこはキヴォトスとは異なる世界。

 今はもう外郭に放逐されてしまっていて、その実情を知るのは極一部の人間のみ。

 そんな場所から放たれた光は都市を再び照らしたんだ。

 

 まさか鉱石が振り撒く病の偏見がこびり着いた、あの世界以外にも届くとは思わなかった。

 こんなことになるなんて、後輩も想定していなかったけれど……

 

 

 

 始まりがどうであれ、この世界にも(私の意志)は届いた。

 

 

 

 この世界に現れた都市の影響の大半は噂から生じた産物。

 誰かさんの言葉を借りるなら、「崇高」と呼ばれるものなんだ。

 つまり、良く似ているけれど実質的には別の物。

 神秘が存在する世界だからこそ……()()()()()()()()()可能性だね。

 

 でも、私の意志だけは本物だよ。

 おっと、私の後輩も一緒なのを忘れちゃいけなかったかな?

 だからこうして子供に話しかけている……

 と、言いたいところなんだけど。

 

 私にはこの子供と話す理由なんて全くない。

 この子供もだけど、学園都市の生徒の大多数は自我はかなり安定しているんだ。

 本当にほんの一部……片手の指で足りそうなくらいの数の生徒が不安定なだけで。

 

 他の住民に関しても同様だね。

 都市みたいに悲劇が溢れている世界ではない。

 全くないわけではないんだけど。

 

 なのに今、こうして私と子供は話をしている。

 

 恐らくだけど、子供の特別な体質が理由だろうね。

 先生にした……紅茶の大好きなあの人みたいに小難しい忠告。

 それは子供が未来予知のような能力を持っているからできたことなんだ。

 尤も、それも万能な物ではないみたい。

 

「……」

 

 自分の事を覗かれるのは初めての経験だったのかな?

 子供はだんまりを決め込んだみたい。

 色んな子供がいるこの学園都市の中でも、子供はどうやら恥ずかしがり屋な方なのかもしれないね。

 普段は煙に巻くように難しい話し方をしているのに。

 

「君はそんな話をしていて楽しいのかい? 用がなければ立ち去るのが礼儀だと思うが」

 

 ……うーん、どうやら今度は本気で怒っちゃったみたい。

 幼馴染以外と話をした経験はあまり多くないようだし。

 立場上、友人が少なかったのも原因かな。

 

 やや難解で遠回しな喋り方も子供なりの処世術なんだね。

 それでいて本来の性格を押し隠している。

 触れられたくない部分を見られないように。

 まあ、よくある話ではあるね。

 

「っ……はぁ」

 

 言っても聞かないのを察した子供はため息を溢した。

 長い付き合いになるのだからと、自分に言い聞かせているようだね。

 勿論、自分について知られているのに驚いてもいる。

 

 

 

 でも、子供の予想と異なる事が一つあったんだ。

 

 

 

 それはこの場を離れる理由ができた事。

 ()()()に……いよいよ機会が巡って来そうなんだ。

 しかもこの子供にとっても()()()()()でもある。

 

「……あの子?」

 

 これはひょっとしたら偶然ではないのかもしれないね。

 誰かがそう望んだのかも。

 

 ……なんて、少し白々しかったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、画面の前の君?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……? 君は一体誰に話しかけて……」

 

 残念ながら、すぐにあの子の色を塗ってあげる事はできないだろうね。

 光はここだとまだ薄くてか弱いから。

 病と偏見に塗れてしまった世界と同じように。

 

 でも、声は届けられると思うんだ。

 

 また今度があるかは分からないけれど。

 もし、自分の大切な世界が崩れ落ちそうになったのなら……

 その時はまた会うかもしれないね。

 

 短い間だけど話せて良かったよ、セイアちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

「待て、()()()()。君は、一体何をしようとしているんだ……?」

 

 

 

 セイアの問いに対して、返答は帰って来なかった。

 

 






この作品は私の「こんな生徒達も見てみたい」という欲望をエネルギーに書かれています。
読者様方も見たいと思って頂ける限りこの作品は続きます。











ところでガチャ20連目で臨戦ユズ引いちゃったんだけど、どうすれば俺っちの命だけでも助かるんや?(震え声)

いやまあ多分読者兄貴達の大半が「臨戦エイミガチャも引け、天究星がやったように」って言うと思うんですが……
先日学マスで赤裸々ガチャで大爆死したんでそれで手打ちにしてください。
無理ならば……はぁ、首を差し出さないとな。

リンバスとブルアカのプレイ経験はありますか?

  • リンバスだけプレイしている
  • ブルアカだけプレイしている
  • 両方プレイしている
  • 両方プレイしたことがない
  • プロムンの過去作はプレイしたことがある
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