そうだ、温泉ダンジョンをパクろう!!   作:マキシマムとと

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8.シミ消えの湯

 

 今回は少し、俺の事を語ろうと思う。

 

 俺の前世は日本人。

 会社ではそれなりに認められていて、給料も相応にあった。

 死んだ前後の事は覚えてないが、未練は番台にならずに生涯を終えた事なんだけど…まぁなんだ。

 前世の話はいいんだよ。

 終わった事を掘り返しても意味は無いし、俺の頭の中にある記憶が本当の事なのか妄想の類なのかもわかんないじゃろ? 大切なのは今だ。

 

 今の俺は魔族。

 名前はイヌイ。

 種族はパペドール。

 

 魔族ってのは北にある超大陸に生きてる知的生命体の総称…て、そうだ。

 説明抜けてたかな?

 

 俺にインストールされてる知識によるとこの周辺の地形は日本にかなり似てる。

 四国に当たる場所が離国で本州は字亞羽大国って名前(俺は温泉ジャバジャバ字亞羽大国って覚えた)北海道はシーゴク連邦って言う俺の製造元である超大陸国家の植民地。

 西の九州に該当する場所は殺魔帝国って言うらしい。

 ちなみに超大陸ってのは日本基準で見た中国とかロシア辺りになる。たぶんもっと奥行きがあるんだけどそこはデータに無いからわからん。

 

 んで、話を戻すと魔族ってのは超大陸に生きてる知的生命体の総称で、例えば他種族と合体しても子孫が残せない生態の種族でも、ある程度の知能が認められれば魔族に認定されるから魔族ってのはすげー広い範囲で使われてる単語として認識しておいてほしい。

 

 んで、俺の種族であるパペドールってのは字面からわかる通りのお人形さんです。なんでも秘術によってさまよえる魂を引き寄せて封じ込める事で擬似的に生命を再現するとかなんとか。

 (剣でミネウチ←? されて出血大サービスしたりゲロロン噴水炸裂したりしたのはその魂の定着を促すための仕組みらしい)

 

 まぁその辺のフレーバーテキストはね?

 別に香り付け程度の話だからどうでも良いんだ。

 問題は身体。

 

 俺のボディはさ、ホビット族って言うわりとメジャーな小人族が造ったんだ。

 メイドイン・シーゴク、メイクインホビット。

 

 小人の造った人造人間モドキだろ? だからホビット族と変わらず背が低くて小学生くらいのサイズしかない。

 ホビット族の感性が悪いのか、それとも何らかの意味があるのかはわからんのですが、性別が無いからオッパイもオチン○ンも無い。

 

 マスコットとしては悪くないと思うよ?

 顔の造形はエルフだし、スタイルも良好。

 男にも女にもウケるし、角が立たないってのは明確な強みだもの。

 けど、俺は不満でした。

 

 オチン○ンが無い。

 これを許容出来るなら、それはもう男では無い。

 

 DMとしての職務を全うし、いつか必ずおにゃの子のおパイパイちゃんを拝んでみせる! と意気込んではいたけれど、肉体的にはそのエチチなオチチに反応してくれる部位が無いんだ。

 これはキツい。

 もう本当にキツかった。

 

 前世でも少し感じたことのある焦燥感。

 加齢により、明らかに目に見えて元気が無くなっていく股間のジョニー。

 

 『大丈夫だ、俺のジョニーはまだ戦える、オシッコする為だけの器官じゃ無い、お前はまだ、まだ戦えるんだ…!!』

 

 そうやって励ましていたあの日々。

 そんな日々とは隔絶した肉体そのモノの違い。

 

 (俺は………本当に、女の子の裸を見たいのだろうか? 見たところで今の俺にはオチン○ンが無い。無いんだ、無いんだよ………ジョニーッ!!!)

 

 そう。

 俺は不安だった。

 常に不安だった。

 それでも未練を信じて走り抜けてきた。

 

 『神様………』

 

 泣きながら衣服を脱ぎ捨て【シミ消えの湯】に浸かるシブちゃんの、その美しい裸体。

 それを見て、俺は、この二度目の人生で初めて『許し』を得た気がした。

 

 「あったんだ…俺にも」

 

 タブレットの向こう側。

 シブちゃんからの感謝が伝わる。

 その、胸の美しいポッチが、どれだけ俺の魂を勇気付けてくれたか、彼女はきっと知らないだろう。

 

 「俺にもあった…あったよ」

 

 そう。

 

 「…心の、オチンチ○ンが」

 

 魂が起立する。

 俺は、俺の心は…!

 いま完全に勃起していた。

 

 

 

 ◆冒険者ギルド支部長◆

 

 

 

 俺はシルヴァ。

 シルヴァ・フレーブ。

 『染痣(ソマザ)』てぇ名のケチで卑しい一族の長であり、今は離国へ島流しされた一大政争の敗北者、イツカ・フォルの監視役として冒険者ギルド支部長の役職を与えられた現龍神の犬っころだ。

 

 俺らの一族は第二次神龍大戦とか言うおとぎ話の生き残り。大昔に敗神として離国に封じられた『地なる焔龍神アグナ・グナル』を崇拝していた邪教徒の末裔。

 大戦の勝者である『天なる水龍神ペリア・ナハル』により戒めを受け『人なる現龍神トゥル・フォル』の血族に管理され、体良く使い潰される為だけに存在する人類の家畜…笑えもしねぇコレが現実。

 

 知っての通り俺達の一族は生まれながらに呪われてる。世間では聖痕だの、愚かな一族へ対する神罰の顕現だのと持ち上げられてやがるが、当事者からすれば呪い以外の何物でもねぇ。

 生まれながらの咎人。罪人の証。それが呪いでなくてなんだってんだ。ある者は顔、ある者は身体に青黒いシミを持って産まれる。

 

 このシミのある箇所が目なら視力を無くし、耳なら聴力が無くなる。

 俺は生まれつき左目と左耳が使えねぇ、けど魔術…特に焔龍神を崇拝した愚か者の末裔にしか扱えねぇ『死霊術』に関しては10年に一人と呼ばれる程度には才能があったし、餓鬼の頃から魔術の身体強化を用いれば並の男程度は歯牙にもかけなかった。

 一族の呪いも右の目と耳があるだけ他の奴らより格段に優位。誰もがこの俺、シルヴァ・フレーブこそ呪われた一族の宗家を継ぐ者として、その闇を払う者として期待を抱いてやがった。

 

 ーーーけど、所詮この世は地獄だ。

 

 俺が十二を迎えた頃。

 子を孕み、一族の血を後世へ繋げるための腹の上に呪を発現した。

 

 『染痣』は一枚岩なんかじゃねぇ。

 卑しく貧しい家畜如きに、好意や畏敬なんざ無意味。

 獣が群れとして機能する為には武力と安定が必要で、その安定を分家のカス共に示すため。

 

 ただそれだけの為に『妹』は生み出された。

 

 俺の妹、エルヴァ・フレーブは魔術の才に恵まれていた。

 内包するマナの量は莫大で、その質は焔龍神の祝福に満ちていた。この俺など足元にも及ばない鬼才。

 

 だからこそ、なんだろうな。

 

 妹への呪いは首に出た。

 幸い、呼吸や飲食には問題が無かった。

 しかし魔術の発動に必要不可欠な。

 そうで無くとも、ただ日常の他愛ない会話を行うための『声』を奪われて産まれた妹。

 

 不憫だった。

 理不尽に震えた。

 世界の残酷を、俺の無能を押し付けられた妹が、無邪気に笑い、泣くだけの小さな生き物に、ただただ如何しようもなく胸が苦しかった。

 

 『母』から押し付けられた命を大切に育て。

 妹はそんな俺によく懐いた。

 俺は、妹を愛していたのだろうか。

 それは今でもよくわからない。

 

 それでも俺は、妹を守るために全霊を投じた。

 外敵は排し、長物には巻かれ。

 せめて妹に夢を見せようと、愚かにもまともな男を宛てがって。

 そうして生ませたのが頭に呪を受けた子だ。

 

 俺達の血は穢れている。

 交われば即座に呪われ、男は200日と生きられない。

 愛する男を殺し、その屍の上に抱いた子供がその様で。

 

 「………殺せ」

 

 真っ当に育つ訳が無い。俺らの歴史が、その絶望を証明している救えない子供。

 ただ乳を飲み、息をするだけの…赤ん坊。

 

 それを育てる余裕なんざ、俺達には無い。

 絶対の規律(しきたり)に、フレーブの当主たる俺の命令に。初めて逆らったあの子を、俺は離国へ連れ出した。

 

 この地獄で、魔術どころか声すら出せない非力な女が乳飲み子を育てる? 命を繋げるだけでも奇跡だ。

 その奇跡を積み重ねた妹が、俺は恐ろしかった。

 何がお前をそこまで駆り立てるか、それを聞いてみたかった。

 

 

 「神様………」

 

 

 祈りだ。

 心も、身体も、俺のマナも魂も。

 あらゆる全てが神に触れていた。

 

 温泉の奇跡に赦された事も、トルマリオンと和解した事も、ギルド支部の不穏分子を鏖殺した事も。

 驚いた表情の妹と、その子供を抱えて叫んだ事も。

 すべてが嘘のように思える。

 まるで遠い記録版に込められた映像を見るように、遠くて、薄くて、粉々で。

 

 今、目の前の現実に、何もかもが追いつかない。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 超早いんだが…え?

 外の街ってそんな近くにあるん??

 

 ピンク&ピンクをご披露してくださった俺のファースト女神たるシブちゃんタン。

 なんでも子持ちの妹がいるらしくてな?

 その子も結構デカいシミがあって人生苦労してるらしいんだわ。頭蓋骨をカチ割る勢いで頭を地面に打ち付けて妹の入浴をお願いして来たんだけどさ、そんな事しなくてもへーきに決まってんじゃん?

 

 

 

 『ガンガン来い! なんだったら親戚一同呼んで来るくらいの気概を見せてくれないと逆に困るぜッ!』

 

 

 

 なんて、格好つけた看板をポイ(直接行ってシブちゃんのピンクちゃんを拝みたかったけどコーちゃんに止められたから仕方なく看板で対応)したのってついさっきだぜ?

 

 「困ったぞ!? まだシュチュエーションが微妙ッ!」

 

 超高速でタブレットを操作する。今映し出された第3階層はダンジョン開通当初の1階と似てる。

 つまり、超狭くて小さな構造。

 

 だけど部屋のど真ん中に配置された【シミ消えの湯】はそれはもう1階とは比べ物にならないほどにチョー☆ゴージャス☆

 その原因はまるでオーロラのように光を揺らめかせる謎の柱! 地面から天井まで一文字に貫いてやがるこのクソデカオブジェクトが温泉の大半を占拠してるせいで、もとの温泉の広さはそれなりに大きいのに実質は頑張って2人くらいしか同時に入浴出来ないようになってる。

 (メチャクチャ邪魔)

 

 更に、もともと【シミ消えの湯】は地味な普通の温泉なんだけど、この柱と化学反応してるらしくてまるでジャクジー風呂のように細かかったりデカかったりする無数の泡がボコボコボコボコ沸きまくってる。

 

 わかるかな?

 この部屋のイメージ、君に掴めるかな??

 

 暗い洞窟の中。

 光源はオーロラ色に変幻する謎の柱だけ。

 ジャクジー風呂がその光を浴びて怪しく揺れる。

 

 (完全に、ラブフォ………ッ!!)

 

 ラブラブいちゃちゃのえっちち空間に酷似した第3階層が俺のハートを滾ら(ドゥキドゥキさ)せる。

 正直、最初は無いなと思ったんだけど、シブちゃんの入浴シーンで完全にその違和感も消し飛んだ。

 

 30前後の妙齢の女子がさぁ…怪しい光に照らされつつ、オドオドしながら入浴したんだぜ? フツーによだれ垂れたしww 謎のFPとやらを借金して【シミ消えの湯】を作るにあたり、条件として設定されたのがこの柱への接続だったんだけどさ、このエチチ映像が見れたならそれはそれでーーーて! 違うッ!!

 

 デュフデュフ言ってる場合じゃねぇわ!?

 シブちゃんはたまたま問題にしなかったけど、マトモな感性の人が見たら「ヤバ〜〜〜ぃ! ここのDMどんだけ溜まってるのw ひょっとして童貞? どぅお〜ティ〜なのぉぉぉぉぉ??」なんて、ドン引きされちゃうに決まってるッッッ!!

 

 どうにかせねば!

 今手元にあるDPでどうにか、このインビ&インビでツインビーな空間をほっこりまったりもっこり温泉に改築しなくてーーー!?

 

 「コモチ? モチモチ??」

 

 シブちゃんが召喚した妹とやら。

 白いローブ姿でよく見えなかったんだが、フードを取り払って見せたそのご尊顔。

 

 明らかに、JK………!!

 JKだと?

 いやでも………JKだぞ?

 明らかに17歳前後の肌と骨格。

 

 この世界唯一のプロ番台DMであるこの俺の眼力は完璧。それはつまり、シブちゃんの妹は子持ちJKであると言う完全なる推理…!

 

 いや、てか。

 メッッッチャ好み。

 儚げな雰囲気とか、目のこぅ…ジト目? ジト目っぽい感じの青い瞳とかがドストライク。

 まつ毛長すぎじゃね?

 ツケマか?

 懐かしい歌が脳内に過るが、つけまつ毛付けてんのか?

 オシャレさんか!?

 

 目の下のクマとゲッソリし過ぎな痩せ体型、他にもガサガサの唇とか、ボロンボロンになった髪の毛とか爪とか、とか、とか、いたる所に美的マイナス要素は散見されるものの、この素材、正にダイヤの原石……!!

 そして、そんな原石JKの腕の中にはかなり体調が悪そうなガリガリの赤ん坊が一人。

 

 寝てるから表情が掴めないけど、顔の造形とか見ると本当に実の子供っぽい。

 

 オゥ………マジか。

 この世界の貞操事情はどうなんだ? 普通なのか? 大昔の日本ならこの年頃で子持ちってのは割と普通だったと聞いた覚えもあるし、現代でも国によっては当たり前だったりするらしいけど………マジかぁ。

 

 なんか………興奮してきた………!!

 

 気合い充填率120%!!

 やるぞコーちゃん!

 シブちゃん家族が第3階層に到達するより早く! このワクワクエロチックステーションをリピーター率150%の素敵ジャクジー温泉に改築するのだ!

 ついでにお粥かなんかも用意して。

 

 いざ!

 

 「えいえいおー!!」

 「グーグーポン!!」

 

 

 

 

 ……と、叫んだんだけどね。

 いや、間に合いませんでした。

 

 第3階層の改築な?

 なんか知らんうちにロックがかかってて(たぶん俺が気付かずに設定したんだと思う)それの解除に手間取ってる間にシブちゃん一家が第2階層の海水温泉迷路を抜けてた。

 

 ほんと、困るんだよチートはもぉホント!!

 

 水を殺すとかなんなん?

 意味わからんのですが、シブちゃんがね?

 

 「ここでなら、今の俺なら…!!」

 

 とか呟いた後、死霊術で水を殺して使役する事で温泉を押しのけ(モーセかな?)子持ちと赤ちゃんでも安全に隠し通路を通り抜けられる空間を確保して、あっと言う間に第2階層をスキップしちゃったんだもの。

 

 これ、俺悪くないよね?

 明らかにシブちゃんが悪いよね?

 なのにリピーターの評価は最悪。

 

 たぶん『私と私のお姉様をこんなえっちちなラブフォ空間に閉じ込めて、嫌らしい視線で舐め回すようにしてくるなんて、ここのDMは絶対に童貞だわ! 私がしっかり殺さないとッ!!』みたいな決意をさせてしまったんだと思う。

 

 翌日妹ちゃん(妹ちゃんはエルヴァが本名で、シブちゃんはシルヴァだったらしいけど面倒だから今後もシブちゃんはシブちゃんと呼びます)がダンジョンの外の墓地から人類どもの骸骨を死霊術で蘇らせて、俺の現住所(犬小屋)の周りをぐるぐる取り囲んでフォークダンスするように仕向けて来た。

 

 まずは精神攻撃から…か。

 流石はシブちゃんの妹。

 容赦ないぜ…!!

 

 まぁでも、エチオピアな光に照らされたエルヴァさんの裸体には俺の心のオチン○ンも大満足。

 ちょっとくらいのオイタには目を瞑るのが、男の甲斐性ってやつなんだぜ…へへッ。

 

 

To Be Continued !!⇨

 

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