【完結】迷子の友人は羨望する 作:シキヨ
今年もよろしくお願いします。
いきなりですが報告があります、MyGO!!!!!単体の章はこの章が最終話になります。
つまり、この後エピローグとしてMyGO!!!!!とAve Mujica両方の話をやる予定です。いつもの章ごとのように話数をかけていくつもりはないので、出来る限り話数は少なめで終わらせる予定です。つまり、エピローグを持って『番外編』を除けばこの小説は本編完結となります。
それではどうぞ
『立希がMyGO!!!!!のリーダーだから』
ステージを上がる前に、睦が言ってくれていたことを思い出す。
あれは客観的に見れば、MyGO!!!!!のリーダーは私に見えて当然だと思う。
『燈がバンドのリーダーがいいと思う』
燈がこのバンドのリーダーだからこそ意味があった。
バンドが生まれたのは燈がまたバンドをやりたいという一声。続けられたのも燈のおかげだから功績とかそういう意味もあったけど、本当はもっと違う理由がある。
『燈の詩、心の叫びがあってこそのバンドだから私は燈に任せたい』
詳しく話すことはしなかった。
最初こそは気弱そうな奴としか思ってなかったけど。燈の詩に惹かれていった。叫びは痛みでしかない。苦しそうな声を叫び続けているだけでしかない。それなのに、私は自分が此処にいていいと肯定してくれたような気がしてならなかった。
『燈と一緒にバンドをやって行きたいから……!』
本心だった。
未完成だった楽曲を貰った段階で私は行けると判断したのには理由があった。燈が生み出してくれた詩はほとんど完成品だった。野良猫の祖母も燈の歌い方や詩を否定していなかった。もし、燈に足りないところがあったとしたら、それは叫び過ぎていることよりも自分を隠してしまうことじゃない。
もっと重要なこと……。
完成したこの楽曲にはそれが詰め込まれている……。
「熱いというよりも泳ぎ方を知らないんじゃないの?』
頭の中でそよちゃんの声が今も残っている。
手にはマイクが握っている感覚……。このステージという場所でこれから、私は自分の思うまま歌う。
「泳ぎ方を知らないペンギンはいつも空を見上げる」
個の光が集まって、散り散りになることはない。
「飛べなかった後悔ばかりがいつも紆余曲折してばかりで瞼から出る熱を拭う」
小さくて響く声じゃない。
淡々とした口調で私は反響させて行く……。
「誰も悪くない、キミも悪くない。道が違うだけだった、僕は知らなかった」
「ただ見えている世界だけが違うだけだと……」
この詩は……私が結人君の隣を歩いて来ていたばかりの頃の詩。今みたいに照らされて、この松明を手に持っていれば胸を張って生きられるのかもしれない。呼吸の仕方も、泳ぎ方も教えてくれて隣で笑ってくれる、彼がいてくれれば全てが上手く行くかもしれないと思うときもあった。
『どうして依存……しなかったの?』
睦ちゃん、否定しないよ。
もしかしたら、依存していたかもしれない。かつての結人君は綺麗に見えていたから、私はもう草むらを手で払って歩かなくて済む。足に泥をつけなくてもいいと思えていたけど、それじゃあ意味がなかった。私が此処にあり続けられているのは……。
乗り越えられたから。
足の裏が泥だらけで歩くのも遅くて、動けなくなることもある。
『これが俺の本性だよ!?だから俺はお前とは友達じゃないんだよ!!』
痛みは消えない。
汚れを取っても、消えることはない。だけど……。
だけど……進むことはできる。
『そよちゃんの為にも完成……させたい』
『私も考えてみるね』
そよちゃんとの会話が過る。
私の答えを探し出せたよ、そよちゃん。何度も反復して、疑問を覚えて、不安で怖くなって正しいのか?どうかすら分からない日々で怯える毎日。億劫になる毎日を乗り越えるのは街灯のない場所と一緒……。
そんな場所でも輝くものがある。
夜空に輝く星座……。手を掴めば、握ったり見えなくなる。不思議なものが私達の身近を安心させてくれていた。暗がりで此処だよと教えてくれていた。
でも……。
星々は散り散りになってしまった。
咀嚼するにも時間がかかってしまう。
そんなときに変わらないで居てくれている声が聞こえて来る。
『ともり、ゆいとの
MyGO!!!!!最初のライブの当日の朝……。
楽奈ちゃんが言ってくれた一言が私の背中を押してくれた。春日影を歌いたい、出来なかったリベンジをしたい。そう感じさせてくれたのは楽奈ちゃんだった。今も昔も楽奈ちゃんは変わらないで私の隣でいてくれている。
マイクを力を込めて握りながらも、楽奈ちゃんの方を見ると不意に笑ってくれる。
楽奈ちゃん、楽奈ちゃんが此処まで連れて来てくれたよ。一生も、そう。楽奈ちゃんがヒントをくれたから私は此処まで来れた。楽奈ちゃんだけじゃない、みんなが私の力をくれた。
『逃げて、見ないふりするのはもう辞めようって思うの』
そよちゃんの声が頭の中で聞こえてくる。
そよちゃんとの出会い、本音を語ってくれたからこそこの詩がある。振り返れば、そよちゃんはいつものように穏やかな顔を向けてくれてる……。
『力を貸して欲しい!!』
立希ちゃんとの出会い、一時的な別れ。
語り合うことが出来たから今の自分達がある……。なによりも、自分のままで歌ってていいと言ってくれたのが自分の肩の荷が軽くなっていた……。視線を交えれば、立希ちゃんの口元が緩んでる……。
『楽しいに決まってるじゃん!』
立ち向かった愛音ちゃんの言葉。
逃げないで前を向き続けた愛音ちゃんの言葉だからこそ、私はあの場で嬉しいという感情。愛音ちゃんは私が振り向く前に歩み出してくれて、「大丈夫!」と笑顔を向けてくれる。此処にはみんなが居てくれている。観客席には結人君がいてくれている。
言葉で言い表せない……。
これまでたくさんのことがあった。付箋やノートで書き記すだけじゃ、果てしなく感情を表すことができない星々があったからこそ今、私達はここにあり続けることができている。飛び方を知らなくても、傍にいていいと言ってくれた人達がいるから……こそ。この楽曲の最後の一つのピースがようやく埋まってしまう。
進むことでしか、変わることはできない。
それは私達だけじゃない。祥ちゃんや睦ちゃんだってそうだからこそ、私はこの最後の詩を届けたい……。
「傷ついても、もしまた傷つけたとしても……」
「僕はここで歌っているから……!」
震える手……。
マイクを握る手が徐々に弱まって行く……。声も徐々に弱々しいものになっていく……。視界が朧気で自分の瞳を大きく開く……飛び方を知らない私ができる最大限の力……。
だった……。
ライブを終えて、私の額は汗だらけだった。手には痛みが残り続けてる。
ステージ裏に戻ってから、私の手が汗まみれだったことに気づく……。最大限出し切ったという余韻に浸りながらも、その実感をタオルへと移し替えて行く……。
「ゲホゲホ……!!」
「燈、大丈夫!?待ってて、今水持ってくるから!」
すぐ水を持って行こうとすると、愛音がペットボトルを持って来る。
それを受け取って、燈に渡すと燈は最初の方はゆっくりと飲んでいたが徐々にペットボトルの量が減っているのが目に見えるほど……。
「燈、自分のままで叫んでくれてありがとう」
「私は……やれてた?」
「やれてた、燈はほんっとうに……最高だった」
「立希ちゃん、語彙力なくなってるけど?」
瞼から出ているものを手で拭う。
そよにまで指摘されてしまう始末だった。
「うるさいんだけど、そよ」
「……よかったね、立希ちゃん。燈ちゃん」
そよも燈が持っていたペットボトルを一旦回収して、汗を拭いてあげている。
「私の役目……」
「りっきー、顔赤い?」
「汗だから!」
そよがしていたことを羨ましくなっていることに野良猫に気づかれた私は急いで誤魔化す。
それよりも最悪でしかなかったかも……しれない。いつも最高だとかよかったとか抽象的なものを嫌うくせしてこういうときだけ自分の語彙力のなさを呪いたくなってしまうこともあるけど、私は燈に自分の感情を出来る限りぶつけるようなことをしたくなかった。特に燈へ抱えている感情だけは……。
誰も彼もが喜んでいる中である人の声が聞こえてくる……。
「どういうことか、説明して貰ってもいいかい?」
ステージ裏で立っていたのは……。
野良猫の祖母……。
これで一件落着とは行かない。
まだ答えを示せていなかった。もしかしたら、楽奈ちゃんのお祖母ちゃんはもしかしたら気づいて私達に答えを問い掛けようとしてくれているのかもしれない……。
「さっきのライブ、前のライブと何処が違うんだい?悪いが、変わっているようには見えなかったね」
「迷子でもいい、迷子でも進みたい」
呼吸をしないで、前へと出る。
「私達は……迷子を迷子にしないことを選びました」
「頭痛が痛いみたいな言い方だね。で?」
「迷子のままでいることの不安……。みんなを見たら、自分を持っている人達ばかりでこのままじゃダメだと気づいたら……合わせてしまう」
そうだった……。
結人君が目の前から消えてから、ずっと私は誰かを傷つけてしまうなら、みんなが話していることが普通のことだから、合わせなくちゃいけないと思い込んでしまうときもあった。自分を押し殺して、自分の首を絞めて生きて行くことが当たり前だと感じてしまう。
自分に押し付けた「普通」という生き方が自分に呼吸をさせてくれなかった。
「バンドをして、バンドが解散……」
「バンドを始めて、結人君とまた出会って……また別れそうになってバンドが解散しそうになってバンドが繋ぎ止められて分かった……んです」
「私達が私達らしくいられるのはバンド……だった。替えが効かない迷子だったから私達はこの場所で息が出来ると思うことが……できた。羽が無くても、ここにいてもいいんだと信じることができる……私が言いたいのは……」
「迷子でいることを肯定すること……です」
辿り着くまでにかなりの時間がかかってしまった。
震えそうな体を抑え込むことで私は言い切った。周りも後ろも振り返らない、みんなの意見が一致しているからこそ楽奈ちゃんのお祖母ちゃんの方を見つめる。突き付けられるのは低い点数でも、受け入れようとする姿勢を貫き通そうとする……。
迷子でいるということを肯定する……。
これは驚いたもんだね。
技術的なもので補う。
心を改めるとかそういう方法で来るつもりなのか?と想定はしているつもりだったんだがね。
なによりも、高松と名乗っていたボーカル。
気の弱そうな子だが、意志だけは見事なものだとは認めているつもりだったが、まさか此処までちゃんとしたものをお膳立てできるなんて全く……これだからバンドを見るというのはいつまで経っても悪いものじゃない。
「楽奈」
自分の中でも孫のバンドだからなのか、此処まで尖ったバンドを久々に見たからなのか悪くないと高揚感すら湧いてしまう始末。
「なに?おばあちゃん」
「いいリーダーを見つけたじゃないか」
そのまま砕けたような笑顔を向けて来る。
バンドを始めてからというものの『SPACE』へと心を取り残していた頃とは見違えてるよ、今のお前は……。
「うん、おもしれー女」
それもこれも……今目の前にいる子達のおかげなんだろうね。
状況がよく分からず、戸惑ってしまう。
楽奈ちゃんとの会話を聞いている限りだと、緩い感じのは分かる……かもしれない?でも、二人の話している内容がさっきまでの空気感と違い過ぎることもあって、私は戸惑ってしまう。
「どういうことですか?」
立希ちゃんが質問をしてくれる……。
「ああ、そうだったね……」
「合格だね」
誰も口を開くことはしなかった。身体を動いた素振りも……なかった。
空気が凍り付いたみたいで動くことができなかった。あまりにも合格の理由が分からなくて、喜んでいいの……かも。
「えっ!じゃ、じゃあ楽奈ちゃんのお祖母ちゃん認めてくれるってこと!?」
空気感を壊してくれたのはあのちゃんだった。
一瞬で、氷が解けてあのちゃんの声が後ろからして、そのまま楽奈ちゃんのお祖母ちゃんの手を握っている。楽奈ちゃんのお祖母ちゃんは驚いた様子だったけど、面白そうに笑みを浮かべる。
「ふっ、そういうことになるだろうね。但し、点数は低いままなのは変わらない。受け入れたとしても、模索しているというのはもろに見えているからね。まっ、これは今後の課題って奴さ」
「えー?厳しくない、お祖母ちゃん?」
「こんなのは当たり前なことさ、そっちのベーシストとドラマーは分かっているんだろ?」
「それは……分かってます」
立希ちゃんとそよちゃんを名指しする楽奈ちゃんのお祖母ちゃん。
立希ちゃんだけが応じて、同意していた。そよちゃんの方は声を出してないけど、納得しているような感じがする。姿を確認しなくても、私は分かっていた。
「分かっているなら、これ以上は野暮ってもんだね。楽奈、その気の弱そうな子のことしっかりと支えてやりな」
「わかった」
楽奈ちゃんの声がまた聞こえてくる。
楽奈ちゃんのお祖母ちゃんはそれ以上何かを語ることはせず、去って行ったけど何処か私達に期待を示してくれているような気はしていた。楽奈ちゃんへの反応を見れば、明白だった……から。
「随分とあっさりしてたね、楽奈ちゃんのお祖母ちゃん」
楽奈ちゃんのお祖母ちゃんが去って、すぐそよちゃんの声がして振り向く。
意識がようやくそよちゃんの方へと向いていた。
「あっさり……」
楽奈ちゃんのお祖母ちゃんはかなり早めに引いてくれたようにも見える。
やっぱり……そうだったのかな。
「分かってたのかな?どういう答えを出してたのか」
「妥協するような人じゃないから、割とあると思う。そよと同意見なのは嫌だけど、なんかこう釈然としないのはあるかも」
「へぇ、意外と意見が合うんだね立希ちゃん」
「は?偶々だから」
二人の間で微妙な空気感が出てしまって、あのちゃんの方を見ると苦笑いをしてる……。
何処か二人の間ではお互いがお互いに好きなことを言っているみたいで私は喧嘩を止めるべきか止めないべきか悩んでいると……。
「ともり」
「楽奈ちゃん……?」
「今日のライブ、すげえおもしれーライブだった」
「私もだよ……?」
二人の間でお互いに意見を一致させると、頷き合う。
小さく笑みを浮かべながらも……。
「またライブやりたい」
「やろうね……」
「それで……」
「ゆいとのことをまた泣かせよ?」
「また……?」
楽奈ちゃんの含みの発言に私は違和感を覚えてしまう。
ずっと無我夢中で叫び続けていたせいで観客席の方へと意識を向けることが、全くできていなかった。そっか、そうだったんだ。
結人君、泣いていてくれていたんだ……。
ステージ裏へと行こうとする足が動き出すことができない。
涙を流すということが止まらなかった。嬉しくて堪らなかったんだ。
最高なんてもんじゃなかった。
泣かされたのだから、感動したのだから。瞼を通じて、熱いものを感じさせてくれたのなら俺はあいつらを尊敬するし、一緒について来てよかったと確実に言える。なによりも……。
「泣き虫ゆいくーん!私達のライブを見て泣いてくれたの!?ねえねえ、私のギターで泣いてくれたの!?」
無意識に息が出る。
馬鹿が俺の背中を強めに叩いてくる。痛みを我慢しながらも、俺は振り返って口元を頬の方へと傾けていく……。
「うっせー馬鹿!誰がお前のギターで泣くかよ、燈に決まってんだろ」
「えー?バンドって全体の音じゃん?」
「お前が言うのかよ、それ」
いつもいつも周りに合わせる気がない。
周りを無理矢理でも自分のための引き立て役とさせようとしてくる奴が言えたことかよと細めで見つめていると、そよと楽奈が俺の隣に立ってくる。
「ゆいと、泣いてる」
「そりゃあ、泣くだろ」
「じゃあ、次はもっと泣かせる」
楽奈は満足そうにしている。
こいつにだけは多分どうやっても取り繕うことはできねえ。絶対に俺がなんで泣いてたのかなんてバレてるからな。そして、そよも……。
「目赤いし、肌腫れてる。結構、ギャン泣きしてたんだね結人君」
「は?だからしてねーって」
「さっきはしてたってほとんど言ってなかったっけ?」
こういうときは必ず突っ込んでくるそよ。
いつも面倒そうなことは何もしてこないし、顔には正直に嫌だと書いていることが多いはずの奴がおもちゃを見つけて喜んでいる。いつものことだが……。
「結人」
「ゆいくん……」
「お前の感想聞かせて」
「感想聞かせて欲しい……」
燈と立希が俺のことを見つめながらも、俺の反応を待ってくれている……。
ああ、そうだよな。こうやって俺が休憩するためにわざわざ店の入り口の方へといるから、こいつらは此処に来た。みんなで支え合うと決めたんだもんな。
「MyGO!!!!!が五人のバンドでよかった。お前らでよかった」
「俺が今回のライブで得たのは言うまでもねえよな……この有り様だもんな」
この心が知っている。
言葉、行動の数々。記憶、記録の数々が知ってる。
一時期、俺は練習を見たらどうのとか言っていたが、反則級のものをこいつらから貰っている。攻略法を知りたくないとか意味分からない理由を掲げようとしていたが、俺はこいつらとの繋がりが出来た時点でもう純度とか関係ない話でしかなかったんだ。こいつらから貰ったものが今の俺を作り上げてくれている。
だったら、俺から送る言葉なんてものは一つだけだ……。
「お前らの傍でこれからもバンドを見続けることが出来るのが……」
「俺は何よりも嬉しい、だから言わせて欲しい」
「ありがとうな、一緒にいてくれて」
言い切った。
何度も伝えて来た感謝だが、今となっては羞恥心だとかそんなものはどうでもよかった。言いたいから、言う。それを実行したまでだった。そして、その結果どうなるのかも知ってたんだ。
「じゃあゆいくん!打ち上げ代お願いね!私、スイーツ食べたい最近この近くでさ!」
「それは……奢るってことか?」
「そうだね、いつも私達に感謝してるならそれぐらいはしてくれるでしょ?」
「はぁ、分かったよ」
軽快で重くさせてくれない愛音が俺の背中を押しながらも、言ってくる。
顔はりんごみてえに真っ赤になってるのは指摘してやらない。そよの方はもう知らん、何を言っても俺はこいつに勝てねえんだから。指は弄ってもいなかった。
「抹茶」
「あればな、無ければ蕎麦でいいよな」
楽奈は無言で頷いている。
こいつは本当にもう分かりやすい奴だよな……。感情は顔に出したりはあんまりしねえけど……。
「ゆ、ゆいくん……私が払うよ?」
「いや、流石に燈に払ってもらうのは悪いしいいって」
三人からほぼ財布みたいな扱いをされている俺を憐れんでくれているのか財布を取り出そうとする燈。燈に払ってもらうのは流石に心が痛むし、なんかこう燈に払ってもらうのは違うだろとしか思えなかった。
「は?お前、燈に払ってもらおうとしてるわけ?」
「お前、俺の話聞いてなかったのか立希……」
燈のこととなると、暴走列車になる立希が指摘してくる。
今にも目線だけで俺のことを殺そうとしてきているが、最早慣れてきていて何も動じることはなかった、なんで?なんてのはもう答えが出てる。
「ったく……しょうがねえな。行くなら店ぐらいちゃんと決めておけよ」
俺は……。
この居場所が好きだ……。