【完結】迷子の友人は羨望する   作:シキヨ

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俺はお前らのバンドが好きだ

「此処には……終わらせに来たの……!!なのに……なんで……!?もう分からないよ‥…!!私は……」

 

「みんなを利用してたんだよ!!」

 

「それでも……一生、やる……そよちゃんも離したくないから……」

 

 燈ちゃんがなんて返してくるのかなんて大体想像がついていた。

 想像がついていたけど、私は聞きたかった燈ちゃんがどう思っているのか、ちゃんと口から聞きたくて仕方なかった。

 

「……一生なんて、馬鹿みたい」

 

 返って来た言葉は私の想定していた言葉だった。

 燈ちゃんがしつこいこと、頑固だと言うことは知っていたからこそ私が燈ちゃんの口から発せられる言葉がどんなものなのか本当に心の内側から理解していたんだ。

 

 

 

 

 

 ◆

 

「あの……戸山先輩……!!」

 

「あれ?結人君、立希ちゃん達のところには行かないの?」

 

 俺が此処にいるというのが意外だったのか戸山先輩は目を丸くして俺の言葉を待っていた。

 

「その前に俺はどうしても戸山先輩にお礼を言いたかったんです。前に俺に言っていましたよね、キラキラドキドキって……。俺は正直抽象的でよく分からないと思っていたんです」

 

「そ、そんな風に思ってたの!?」

 

「すみません……。ですけど立希たちの演奏を聞いていて思ったんですけど、今になって分かったことがあったんです。その概念はきっと俺にとって五感を通じて感動するものだって……。肌で感じで耳で聞いて目で見て初めて実感出来て、感情を実らせてくれるものこそが俺の……」

 

 

 

 

「キラキラドキドキなんじゃないかって」

 

 俺は初めて戸山先輩にこの言葉を投げかけられたとき、頭に吹き出しが出ながらも『?』となっていた。山吹先輩は俺に「困らせてごめんね」と言っていたけど、俺には戸山先輩が言っていたあの言葉というものに何かが凝縮されているような気がしていた。

 

 戸山先輩が見て聞いて感じ取ったものがあったからこそ、そんな言葉が出て来たんじゃないのか?とまるで漫画の考察を深読みしているかのような気分になりながらも俺は燈達の二回目のライブを体感して俺はそういったものの意味が噛み締めることが出来た。

 

 父さんから教えて貰った五感を通じる、戸山先輩の口から偶々聞いていたあの言葉は俺にとって深いものへと昇華されていた。あのライブで俺をそれを紐解くことが出来て、燈が歌っているところを……四人の演奏をこの両目で……両耳で聞けたのが本当に良かった。

 

「なんか勝手に色々言いましたけど、解釈とか色々違うとか全然言ってくれれ…‥って戸山先輩どうかしましたか!?俺なんか泣かせるようなことしちゃいましたか……?」

 

 戸山先輩が膝から崩れ落ちるようにして泣き始めてしまっていた為、俺があたふたしていると首を横に振っている。

 

「私、結人君みたいな良い後輩を求めて良かったなー!!っってなってたところだったの!!」

 

「えっと……ありがとうございますでいいんですかね?」

 

 突然涙を流し出した戸山先輩に困惑していると、先輩は一人で立ち上がりながらも俺の手を握りながらもこう言ってくる。

 

「結人君だけのキラキラドキドキ大事にしてね!!それとね、結人君に一つだけ言っておきたいことがあるの……!!」

 

「俺にですか……?」

 

「自分だけのキラキラドキドキだけじゃなくて……立希ちゃん達のキラキラドキドキも大事にしてあげてね」

 

 

 

「…………はい!!」

 

 その言葉の意味を何を為すのかは察していた。

 深くは語ろうとはしていなかったけど、戸山先輩はきっとこう言いたかったんだ。俺自身のものも大事だけど、立希や燈達とのそういうものも大事にしてあげて欲しいと……。先輩が言うその概念が俺にはどういうものなのかを俺には理解している。

 

 

 

 

 俺にとっての繋がりこそが……そういうものなのだから……。

 

 

 

 

 

 

「結人……!!」

 

 戸山先輩と別れた後、俺はステージ裏で作業をしているとの名前を呼ぶ声が聞こえて振り返るとそこには立希がいる。

 

「今日のライブどう?」

 

「すげえ良かった……!!」

 

「は?お前私が言ってたこともう忘れたの?そういう簡単な感想言ったら許さないって言ったで「ちゃんと最後まで聞けよ。燈は感情のままに必死に歌っていて、まるで心の奥底に眠っていた思いが一気に解かれたような気がしていたんだ。愛音は自己顕示欲強めな奴だからもっとわがままなギターでも弾いてるのかと思ってたけど、全然そんなことなくちゃんと演奏に沿ったものを歌えてて驚いたよ」

 

「楽奈は本当に楽しそうにギターを弾いていて見ているこっちもまで明るい気分になれそうだった。そよはベースだからあんまり目立つことはないのかもしれないと思ってたけど、それでも全然バンドにとっての心臓部分だなって思えたし、泣きじゃくりながらも演奏しているそよを見て俺は来るものがあったの事実だった。立希のドラムは聞いていてなんというか自分の鼓動を掴まれそうなぐらいいい音だなって思えたし、なによりも曲との相性も抜群だったと思う。なによりも俺が感じたのは……」

 

「感情を出してみんながみんな一緒になって進もうとしているこのバンドのことが俺はこのバンドが好きだって思えた……!!だから本当にすげえ良かった!!!」

 

 ありのままの感想を立希に伝えた。

 この感想が立希にどう受け取られるのかはなんとも言えなかったけど、俺は自分が五感で感じ取ったものを立希に伝えていた為、俺は悪くない気分だった。誰かに感想を言うと言うのは……。

 

「そう……なら、いいから……。お前の感想ちゃんと聞けて良かった……最初の方はぶん殴ろうとしたけど…………それじゃあ、もう行くから」

 

「ああ……」

 

 立希は楽屋の方へと戻って行く……。

 本人に言ったらマジで殴られそうだったから言わなかったが、自分のことを褒められたとき……いや自分のバンドを褒められていたとき立希の表情が少し赤くなっていることに気づいていたのを俺は指摘することはなかった。

 

 

 

 

「ライブか、いいもんだな……」

 

 またあいつらのライブを実感したい。

 そう思わせてくれるほど素晴らしいものだったと俺は認識していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ライブから数日ほどが経った後だった……。

 

「結人君知ってた?立希ちゃん達の次のライブを組んでるって」

 

 山吹先輩がテーブルの上を拭きながらも俺に立希達の次のライブのことについて話をしてくる。

 

「ああ、それなら楽奈の奴から聞きましたよ」

 

「あれ?結人君、楽奈ちゃんと連絡取ってたの?」

 

 俺の隣にいた凛々子さんが意外そうに言って来ていた。

 ああ、この言い方だと俺と楽奈が連絡取り合っているように聞こえるか……。

 

「あーいや違うんですよ、凛々子さんがいないとき偶々RINGに来てライブやるから絶対来てって言われたんですよ」

 

「なんだ、そうだったんだ」

 

 凛々子さんが何故こんなふうに言うのかは知っている。

 それは要楽奈という人間は連絡を送っても既読を付けるどころか未読無視のようなことをしてくるのだ。俺は前に楽奈に「つまんねー男」と言われたこともあって何か気に障るようなことを言ってしまったのではないのかと少々不安になっていると、その次の日に楽奈と偶々会ってその話題、要は猫の話なのだが二人で盛り上がっていた為、見てはいるのだ。ただ本人は使い方を知らない。今度、ちゃんと使い方を教えないと駄目かもしれない……。

 

 楽奈がスマホの使い方をちゃんと理解してくれるのかはかなり不安だが……。

 でもちゃんと教えておいた方が後々役に立つこととか多くなるだろうし、悪くないはないだろう。

 

「あっ、結人君……。そろそろ上がりじゃない?」

 

「そうですね、ありがとうございます凛々子さん。それじゃあお疲れ様です」

 

「うん、お疲れ様」

 

 関係者の方の扉へと入って行ったのと同時に、合間良く俺の携帯が鳴り始める。

 急ぐようにして更衣室に戻りながらも電話に出ると、相手は……。

 

 

「ゆいくん、ゆいくん大変なの!!」

 

「……どうした愛音、そんなに慌てて」

 

「衣装が全く作り終わらないの……手伝って!!」

 

「…………そのぐらい自分でなんとかしろ馬鹿!!」

 

 愛音の「お願い!!」と言う声が聞こえて来て、俺は舌打ちをしながらも……。

 

 

 

「ああ、もう分かったよ……!!場所教えろ!!!」

 

 

「ありがとう!!流石ゆいくんやっさしいー!!」

 

 

 

 

「るっせえ!!!ったく本当に面倒な奴だな……」

 

 

 

 

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