【完結】迷子の友人は羨望する   作:シキヨ

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普通に本編でやった方がいい話のレベルしか思いつきませんでした
すみません!!

そよりん誕生日おめでとう!


変えたのは結人君だから(長崎そよ生誕記念)

「結人君、いつものね」

 

「あーえっと、アールグレイか?」

 

「今日はダージリンの気分かな」

 

「分かった、ダージリンな」

 

 注文を受け取ると、自分の気持ちを当ててくれてなくて不満だったのか、なにやらご立腹の様子なそよ……。あいつの気分は正直、偶に分からんときがある……。他にお客さんが居ないということもあって、俺はあいつに話しかけるということはしていなかったが俺がそよのテーブルの上にティーカップを置いた後に……。

 

 

「ありがとうございました!」

 

 都合よく、他のお客さんは去ってくれたのと同時に俺はそよに話しかける。

 

「そういや、お前なんで愛音にそよりんとかそよ・ザ・デンジャラスとか呼ばれてんだ?」

 

 そよが目を細める。

 どうやら、俺にこの呼び方をされるの嫌らしい。とはいえ、愛音にもこの呼び方をされるときムッとしているから誰にされても嫌なんだろうな……。

 

「……私が知ってると思う?」

 

「……だな」

 

 単純に暇だったから始めた雑談は早くも終わりを告げることになる。

 まるで秒針みたいなものに俺は何も感じることはなく、お会計を済ませたお客さんのお皿を片付けていた。

 

「そういえば、そよはバイトとかしないのか?」

 

「別にお金に困ってるとかそういうことはないからしないかな。結人君こそ、どうしてバイトしてるの?」

 

「バイト中なのにこんなことを言うのもアレなのかもしれなけど、単純に金が必要だからだな。俺は旅とキャンプとかするから金は幾らでも掛かるんだよ。車とかバイクとか持っていれば移動費はマシになるかもしれないけど、俺はまだ高校生だからな」

 

 そよとの会話では付け足してはいなかったが、俺は16歳だから普通二輪とかは一応免許は取れるが今はまだ金が溜まっていない。どうせ免許を取るなら、バイクが買える金もちゃんと集まっている状態で買いたいからな……。

 

 最近はRINGと思金のバイトを並行してやっているから割と給料自体は入りそうな気配はあるが、それも楽奈の食事代に消える可能性があるだろうな……。

 

「結人君って今何歳だっけ?」

 

「16」

 

「へぇ……16なんだ?じゃあ、バイクの免許は取れるんじゃないの?」

 

「その辺はまあ色々あるんだよ」

 

 敢えて濁すとあまり興味無さそうに生返事をしながらも紅茶を飲んでいるそよ……。

 そんな日常的な会話が続きながらも、運んでいた皿を洗い終えながらも俺は頭の中でMyGOの奴らがバイクを乗っている姿が頭の中で思い浮かべる。偶々、暇でそういう妄想をしていたが一番イメージが湧きそうなのが……。

 

「立希しか居ねえな」

 

「なにが?」

 

「あーいや、バイク乗ってる姿イメージできそうなのがまあ良くて立希ぐらいだなって思ってな」

 

 なんというか印象的にバイクにまたがっている姿があるのは立希しか居なかった。

 燈と愛音は全然違うだろうし、楽奈は……意外と様になりそうだけどなんか違うような気がするしそよはなんか乗るとか以前にそういうのは乗りたがらないという拒絶反応が起きてしまっていて、消去法で立希ぐらいしか居なかった。

 

「なんかこうライダースーツ着てちゃんとバイク乗ってる姿が思い浮かべるの立希ぐらいしか居なかったってことだよ」

 

 あまり興味がないのか、そよはまた生返事をする。

 特にそれを気にすることもなく俺はこう切り出す。

 

「バイク買ったら、後ろ乗るか?」

 

「……いやらしい」

 

「おい、待てなに勘違いしてやがる。俺は別にそういう意味で言ったんじゃねえぞ」

 

「そういう意味ってどういう意味?ナンパ?それとも何か期待してたから言ったの?」

 

 自分の発言が失言だと思い知らされて、シンクには自分の顔がりんごのように赤くなってしまっている。本当に余計な発言をしたと後悔しながらも、俺は荒く声を出しながらも自分のストレスを軽減していた。

 

「お前こそ変なこと考えてんじゃねえのか?それとも、期待してんじゃ……悪い、俺が変なこと言った……」

 

 そよに思いっきり睨まれる。

 やり返そうとしていたが、どうやらそれは叶わなかった……らしい。

 

「意外と利口なんだね結人君って」

 

「お前のこと別に不機嫌にしたい訳じゃねえからな、大事だからな」

 

「また変なこと言ってる……」

 

 いつものが始まったと言わんばかりに俺のことを睨むのを全く止めない……。

 逆にこれ不機嫌にさせてないか?と疑心暗鬼になりながらも、俺はそよとの会話を続けていた……。

 

「なんだよ?俺そんなに変な話をしてるか?」

 

「してる、本当に結人君って人のことを巧みに騙すのが上手いなって……」

 

 こちらの方が有利、そういう表情をしているそよ。

 

「本当のこと言ったまでなんだけどな、俺は本気でそよのことを大事だと思っ「はいはい、もういから」」

 

 速攻、俺に言い任せされそうになってすぐにお手あげようと言いたそうに顔を赤くしている。

 俺はそれに対して自分でも意味が分からないテンションでガッツポーズを決め込みながら、俺はあることを思い出していた……。

 

 

 

 

「ダージリンの花言葉って確か……」

 

 必死に思い出そうとする……。

 俺の専門は基本的に星か動物だから植物に関してはあまりだが、それでも人並み以上には知っているほうだった。そして、ダージリンの花言葉を頭の中で思い出していると……。

 

「あっ、そういえばダージリンは花じゃねえか……」

 

 余計頭が混乱してきた為、俺はそよに見えないようにスマホを弄って検索を掛ける。

 それはダージリンの原料となるチャノキの花言葉についてだった……。

 

「謙虚ねぇ……」

 

 出て来た花言葉に俺は首を傾げそうになる……。

 そよがどういう意図があって今日はダージリンが頼んだのかは知らないが、少なくともそよを謙虚だと思ったことがあんまりねえなと記憶の本棚から色々と思い出していると、冷たい視線を再び送られていることに気づいて、俺は咳払いをする。

 

「なに、一人で盛り上がってるの?」

 

「いや、別に盛り上がってた訳じゃねえんだが……。お前、なにか悩みでもあったんじゃないのか?」

 

「悩み?私が?」

 

「ああ、だからダージリン頼んだじゃねえのか?……ダージリンの原料のチャノキには追憶ってのがあるんだよ。人々が昔を懐かしむ行為と結びつくことからな」

 

 持とうとしていたティーカップの取っ手を持つのを止めて自分の膝に手を戻すそよ。

 

「深読みし過ぎじゃない?」

 

「まあ、俺は流石にそうだろうなとは思う。そよも流石にこんな遠回しに自分が悩んでいるって感じを出すとは思えないしな」

 

 俺達の間で無言の時間が出来上がり始める。

 ただ無心に近い時間が続くなか、俺はこう話題を切り出す。

 

「そうそう、チャノキの花言葉には向上心ってのもあるんだよ。個人的に俺はそよにこれはピッタリだなと思う」

 

「謙虚は違うんだ?」

 

「その……いやでもほら……そよって向上心あるだろ?過去に囚われてでも前に進もうとしているって言うか、そういうのがあるからさ」

 

「……そうかも、ね」

 

 これは多分、複雑そうにしつつも自分が謙虚ではないということを否定されてないことへの抗議の目も向けられている……。それでも、俺はそよへのフォローを止めたりしなかった。

 

「本当に俺はそう思ってるからな、そよは向上心もあるし勇気もあるって」

 

「どういうところが?」

 

 何かを期待しているのか俺に問いかけて来る……。

 

「どういうところって……前に進もうとする意志だよ。普通の人間はそれが出来ないんだよ」

 

「出来ない?」

 

「ああ、そもそも勇気を出すことって難しいことなんだよ。一歩を踏み出すのに相当な体力を使わなくちゃいけない場合もあるし、進めない人だっている。それでも、そよは前に進むことが出来た。それって立派なことに違いねえだろ……。普通の人はそれが……」

 

 

 

 

「難しいことなんだからな」

 

 一歩を踏み出すということにそれ相応の努力が必要という話をしていたが、俺は本当にその一歩を踏み出すことが出来たそよは賞賛できるとなっていたのは本当のことだった。そよの場合、CRYCHICという過去に永久に囚われ続けていた。もしかしたら、今もそうなのかもしれないがそれでもあいつは前に進むという選択を選んだ。迷子になりながらも……。

 

 

 そんな選択を掴み取ることが出来た、そよを心の底から凄いと思っているからこそ俺はそう話を済ませているとそよは指先を触れさせた後に紅茶をゆっくりと飲んでいた。不快にさせてしまった、そういう気分になりそうになっていたがそよの表情はそれと裏腹に……。

 

 

 

 

 緩んでいた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 私は結人君のことを本当に馬鹿みたいな人だと思ってる。

 これは彼のことを嘲笑しているとかそういう訳じゃない。本当に馬鹿というのが相応しいから私は彼のことを馬鹿だと思っている。そう実感できるのがこういうところ。躊躇いもなく、こうやって人のことを褒めたりしてくる。それも悪意なく……。

 

 そういうところのせいで勝手にこっちの心が温まって来る。本当にそういうところが彼のことを馬鹿だと思う。でも自分でも分かってる。言われて嫌じゃないと、だから私はこう彼に告げる……。

 

 

 

 

「バイク、楽しみにしといてあげる」

 

 実際のところ、バイクなんて育ちが悪くて五月蠅いものに乗るなんて願い下げだけど結人君の後ろに乗って景色を楽しんだりとかするのは案外悪くなさそうだなとなってしまっていた……。これも彼のせいと責任転換しながらも、私は彼の言葉を待っているとこう返って来る。

 

 

 

 

「ああ、期待してろよ」

 

 彼はそう笑いかけてくれていた……。

 彼の笑顔はいつも荒々しい口調の彼とは違って、無邪気な笑顔そのもので私は決して嫌いじゃなかった……。見ていて安心できる、そんな気持ちにさせてしまうものを感じながらも私はダージリンの方を見る。

 

 

 

 

 チャノキの花言葉……。

 最後の一つがある、それは「純愛」というもの……。

 

 

 

 

『もしお前が進むのを怖がったり拒みそうになったら燈達だけじゃなくて……俺も一緒に進んでやるから』

 

 こういうときに限って誰かの言葉を思い出すということは……やっぱり私が最近悩んでいることは間違いなく結人君のことだった……。そう、そうだね。私は結人君とかいう不誠実な男の子のせいで色々と壊された。

 

 向こうはきっと私達のせい、だとか思っているのかもしれないけどそれに引き込んできたのは間違いなく……。

 

 

 

 

 

 

 

 結人君……だから。

 

 

 

 

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