【完結】迷子の友人は羨望する   作:シキヨ

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燈の傍にいて欲しかった

「は!?燈に!?」

 

「ええ、そうですわ。最近男性の方とお帰りになられているところをよく見かけますわ」

 

 CRYCHICとして活動していた頃の私はあるとき、豊川祥子(とがわさきこ)、祥子から燈が男と帰っているという情報を聞いた。祥子曰く、あまり話しかけるのも良くないと思って話しかけなかったらしい。あまりの衝撃の事実に私は飲んでいた珈琲を溢しそうになっていた。

 

「燈ちゃん、そういう関係の子が居たんだー。少し意外だねー」

 

「と、燈に限って……そんなこと絶対あり得ないから……!!」

 

「ええ?そうかな?」

 

 畳み掛けるようなそよの言葉にコーヒーが入っていた紙コップを指から落とすと、テーブルの上にはまだ温かいコーヒーが零れて行き、テーブルがコーヒーまみれになったのに気づくのに遅れていると、若葉睦(わかばむつみ)、睦が「コーヒー……」と言っている声が聞こえ来て私はようやく気づいて、そよが持って来たテーブル用の布巾でテーブルを拭き終えてから、私はどうしても祥子が言っていたことが気になってその日は先に帰ることにしたが、帰り道私は燈を見かける。

 

 

 

 

「なっ!?」

 

 本当に偶々燈が歩いているのを見かけた私は燈の方に視線を向けると、燈が男と楽しそうに話しているのを見かける。この時点でもう私の中で祥子が後から付け足すように言っていた「ご友人の方かもしれませんわね」と言っていたことが頭から抜けていた。

 

「立希ちゃん……?」

 

 燈が私に気づいて、名前を呼んでいた。

 私はその場から逃げようとも考えたが、その場で腕を組んで……。先走った行動の末に私は後で後悔することになるというのも知らずに。

 

「お前、燈のなんなんだよ?」

 

 目の前にいる結人を睨みつけながらも私の問いかけに対する答えを待っていると、隣にいる燈が「え?え?」とおどおどしていた。結人も事態が分かっていなかったのか、困惑しているようだった。

 

「もう一度聞くけど、お前燈のなに?」

 

 それでも意志を曲げることなく結人に対して問いかけようとするが、燈が私が聞こうとしていることに対して気づいたのか、結人と私の前に立って「ま、待って……!」と言いながらも言葉を続ける。

 

「もしかして……立希ちゃん……結人君のこと……勘違いしてる?結人君は友達だよ……?」

 

 

 

 

「え……?」

 

 間抜けな声を出しながらも燈の言葉に反応をしてしまう。

 ここでようやく私は二人の関係を誤解していたことに気づいた。

 

 

 

 

 

 

「ごめん、燈……。てっきり私そういう関係かと思って……」

 

「大丈夫だよ、立希ちゃん」

 

 結人が三人分の飲み物を買いに行っている間に私は燈と話していた。

 

「あいつとは結構長いの?」

 

「うん、結人君とは小学校が同じだったんだ。六年間ずっと同じクラスだった訳じゃないけど、結人君はいつも私によくしてくれたし気を遣ってくれたんだ。この前も私の好きな物集めに付き合ってくれて帰りに運んでくれたりしたんだ」

 

「そうなんだ?それっていつも?」

 

「うん、結人君が暇なときはいつも付き合ってくれるんだ」

 

 燈の小学生時代……。

 今と同じぐらい可愛いのは間違いないだろうけど、燈に男友達がいたのは少し意外だったな……。燈は友達がいないって訳じゃないけど、そこまで深い関係の友達はCRYCHIC以外ではあんまりいなそうだと勝手に思っていて学校で馴染めているのか少し不安だったから。燈はいい意味でそこらの奴らと住む世界が違うから……。

 

「とりあえずあいつが燈にとって大事な友達なのは……よく分かった。本当にごめん燈、勝手に勘違いして」

 

「うん、大丈夫だから……」

 

「ありがとう……。ちょっとあいつの様子見て来るから」

 

 燈にとってある程度大事な友人だということが分かった私は一旦燈の傍を離れて、結人の様子を見に行っていた。あいつにも少し聞きたい事があったから。会計を済ませ終えて燈がいる方向へと戻って来ようとしている結人を追いかけて、私は結人から聞くことにした。

 

「燈って……小学生のときどんな奴だったの?」

 

「……目立つような奴じゃなかったし人よりも自己主張が弱い奴だったよ。必死に周りに合わせたり、合わせるのに失敗してあたふたしている所なんて何度も見かけた。それでも自分の意志をなんとか持とうと必死に頑張っていた。俺はそんな燈を見て好きだったよ」

 

「は?好き?」

 

 途中まで燈に関して当たり前だけどいいことを言っているように聞こえていた為、尚更結人が言っていた最後の言葉が私の言葉が引っ掛かっていた。

 

「……悪い、勘違いさせるような言い方した。それに燈は自分の世界を持っている奴だ。人によっては独創的に感じるかもしれないけど、俺は燈が持っている世界が好きだ。燈のノートを初めて読んだとき、早く人間になりたいって言葉を見て俺は心が揺さぶられたような気がしたんだ。そのとき実感したんだ、俺は燈のああいう芯がある部分が好きなんだって……友人として。だから燈が中学に入ったとき、一人でやれるか結構不安だったけどあいつならやれるだろうとは思っていた。まさかバンドまで組むとは思ってもいなかったけどな、本当に凄い奴だな……」

 

「は?燈が凄いのなんて当たり前だから……でもこれではっきりとした。お前がそんなに悪い奴じゃないってこと……。燈の良い所ちゃんと分かってるから……」

 

「椎名……」

 

 勘違いから始まったこととは言え、私はこの日結人と出会えたことは良かった。

 燈のことを理解してくれる奴がちゃんといるってことが分かったし、燈の良い所をちゃんとわかってくれている奴が居てくれたことも少し嬉しかった……。

 

 

 

 

 

 

 それから少し経った後ぐらいだった。

 私は雑貨屋に来ていた。その理由はパンダ関連のグッズが入荷されてきたという話を聞いていたから。最近じゃパンダ関連のグッズが流行っていて買うのも難しい日々が続いていたけど、こうやって近場で買えるってのは凄く有難い。なによりパンダ可愛いし……。

 

 

「う、売ってなかった……」

 

 駄目だ、何処を見てもパンダの関連グッズが置いてなかった。

 店員さんに聞くの恥ずかしいし、他に在庫があるかどうかなんて聞けないし、仕方ない。今日はもう帰ることにしよう。少しガッカリしながらも帰ろうとしたとき目の前のお客さんが手に持っているパンダのストラップが目に入る。欲しいという欲求が湧いてしまいそうになるのを抑える為、目を瞑ろうとしたとき一瞬そのお客さんの顔を見ると、結人だった。

 

「星乃?」

 

 私の前を通過しようとしていたのは結人だった。

 結人もまた私のことを「椎名?」と呼んでいると、私はどうしても結人の手に持っているパンダのストラップが入った袋が気になってしまっていた。

 

「これ気になるのか?」

 

「は?い、いや……別にそんなんじゃ……」

 

「やるよ、別にそんなに急いで欲しかった訳じゃないからな」

 

「……いいの?」

 

 既に購入し終えているのか結人が私にパンダのストラップを手渡してきた。

 

「こ、この借りは必ず返すから……」

 

「そんなの気にすんなよ。パンダ好きなのか?」

 

「す、好き……。あ、あの……白くて黒くてあの丸くて柔らかそうなフォルムが好き……。それに、ちょっと不器用なところも可愛くて……。小さいパンダとかも見ているだけで凄く可愛くて本当に癒されて…………あっ……このことは……燈に言わないで」

 

「別に誰にも言わないぞ、でもパンダ好きなんて普通の女の子っぽくていいじゃないのか?」

 

「うっ……そうかもしれないけどあんまり言われるのは嫌……だから」

 

 途中でパンダについて夢中になってしまっていた私の話を遮ることもなく結人は話を興味深そうにして聞いてくれていたのを気を良くして本当にパンダについてよく喋ってしまっていた。こんなところを燈に見られたりしたら恥ずかしい……。

 

「そうか、分かったよ。他人に言われたくないことの一つや二つは誰だってあるもんな。じゃあ俺もう帰るから……」

 

「う、うん……今日は本当にありがとう。このお礼は絶対返すから……結人」

 

 

 

 

「別に返さなくてもいいんだけどな……まあいいや。ああ、じゃあな立希」

 

 あいつがどうしてパンダのストラップを買っていたのかと気になっていた。私と一緒でパンダのことが好きだったりするのかなという疑問を投げたかった気持ちもあるけど、あのときは恥ずかしくてあの場をすぐに出てしまった。あの日のことや燈のいい所をちゃんと理解してくれているのもあって、私は正直あいつになら燈のことを任されるような気がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 でも……あいつは燈のことを裏切った。

 燈は楽しみにしていた。あいつがライブに来てくれるのを……。なのにあいつはライブに来なかった。それでも燈は歌い続けてくれて最高のライブにしてくれたけど、結人が来てくれなかったことを残念そうにしていたし、なによりあいつはあれ以降燈に連絡を返してくることはなかった。

 

「燈、結人から連絡来た?」

 

「来てない……」

 

「あいつ、本当に信じらんない……。燈がライブに来るの楽しみにしていたの知っていたくせにその上連絡も寄越さないなんて……」

 

 私の言葉を聞いて、燈は結人のことをあまり悪く言わないで欲しいそうにしているように見えて小さく「ごめん」と言いながらも私はベンチに座り直していた。

 

「祥ちゃんが練習に来なくなったのも……結人君が連絡してくれなくなったのもきっと私が悪いから……」

 

 もう祥子はCRYCHICの練習には来なくなっていた。

 私達の中で亀裂が生じる中で私は祥子と結人に対して苛立ちを覚えていた。

 

「燈は……燈は悪くないから……」

 

 それ以上、燈のことを支えることも出来ず私はただ燈に傍にいることしか出来なかった。

 

 

 

 

 結局……CRYCHICは解散した。

 それ以来、燈は来なくなり睦も練習には来なくなっていた。そよは最後までCRYCHICをなんとかしようとしていたみたいだけど、もう修復することは出来なくなっていた。私は燈が練習に来なくなってからというものの、いつか来てくれるかもしれないなんて馬鹿な期待を抱きながらも待っていたが来ることはなかった。

 

 そして、結人からの連絡も完全に途絶えていた。

 あいつのことを許せなかった私は自分から連絡することもなく、ただ時間だけが過ぎて行くのを待っている内に私はまたバンドをすることになったけど、このまま行ってライブをすることになるとして成功するかどうかの確率は正直かなり低い。でも、此処まで来た以上確実にやって行くしかなかった……。

 

 

 ただ、一つだけ問題があるとすれば昨日のこと……。

 

 

 

「燈は?」

 

「先に行って欲しいって言われた。なんかりっきーの話したらちょっと暗い表情してたけどなんか言ったの?」

 

「別に……」

 

 そよの後からやって来たのは愛音。野良猫(楽奈)は今日も来ていないか……。

 此処最近はずっとライブに向けてステージを予約して練習をしていることが多かったけど、それにしても……。やっぱり、昨日の今日じゃ燈が来づらいに決まってるか……。私も今日に関してはRINGに来るかどうかかなり迷ったけど、此処で悠長に構えている時間はなかった。もう時間がないから……。

 

「別にって……りっきーはそれでいいわけ?」

 

「お前には関係ないでしょ」

 

「関係ないは……そうだけど……。でもこのままなのは不味くない?楽奈ちゃんが来ないのはいつものことだけど、燈ちゃんが来ないのは流石に……」

 

「うるさい、分かってる……!燈がいないと意味なんてないこと……!!」

 

 私達のバンドをやっていくのには燈の存在は必要不可欠だ。もうライブまで時間がない。燈に昨日のことを謝りに行くのは確定として結人との関係も此処で修復しておかないと今後に絶対に響く……でも昨日のこともあって謝りに行くのもちょっとアレだし私はやっぱり燈のことを悲しませたあいつを許せないことには変わりない。

 

「ねぇ、立希ちゃん落ち着こう?そういえば……昨日結人君と燈ちゃんが一緒に帰ってるところを見かけたけど二人って仲直りしたの?」

 

「したと……思う」

 

「そっかぁ……、あの二人仲直り出来たんだね」

 

 あの二人に本当に仲直りしたのかはよくは分からないけど、燈の昨日の感じや今までの感じを見た限りじゃ多分仲直りはしたんだろう。愛音が「結人?」と言いたそうにしているが、私は愛音を無視していると、そよが愛音に結人のことを説明をしていると燈に男の友達がいたことを少し意外そうにしていたが何か心当たりがあるような顔をしていた。

 

「立希ちゃん、結人君の連絡先教えてくれないかな?」

 

「なんで?」

 

 スマホを鞄の中から取り出して私に結人の連絡先を聞いて来たそよ。

 こいつなんで結人の連絡先なんて……。

 

「もしものときの為に結人君の連絡先教えて欲しいなー」

 

「……勝手にすれば」

 

 私もスマホを取り出して結人の連絡先をそよに教えるとスマホで誰かに連絡を取っていた。

 こいつ、間違いない……。私と結人の関係を取り持とうとしている。そよのことだからこういうときは適当に流すと思ったけど……。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

「久しぶりだね、結人君。元気にしてた?」

 

「そよ……まあ俺は元気にしてた」

 

 RINGでの練習は結局燈ちゃんが来なくて今日は自主練という形で終わって私はさっき立希ちゃんから教えてくれた連絡先で結人君に前もって連絡をしていた。少しの時間だけ会うことは出来ないかと……。

 

「結人君、燈ちゃんとまた連絡取ってくれるようになったんだね。良かった」

 

「俺が燈を傷つけたことには変わりない……」

 

「でも、こうやって燈ちゃんとまた仲良くしてくれているってことは少なくともまた仲良くしようって気持ちがあるってことだよね?それに立希ちゃんと喧嘩したのかな?」

 

「なんでそんなことまで……」

 

 あくまでも予想だったけど、やっぱり立希ちゃんは結人君と喧嘩していたんだ。

 そうだよね、立希ちゃんとしては結人君のことを許せる訳がないよね。立希ちゃんにとって燈ちゃんのことを裏切ったも同然だもんね。

 

「今日RINGでね、練習するとき結人君の話をしたらいつもより少し複雑そうな表情をしていたから」

 

「そりゃあ当然だろ……」

 

「そうだね、私も立希ちゃんと同じ立場だったら結人君と喧嘩していたかもしれない。あんなことがあったから許してもらうって言うのは難しいかもしれないけど、結人君にとっても立希ちゃんにとっても二人が友達だということは変わらないと思うの。だからね……きっと二人だったら仲直りできるはずだよ。それにその方が燈ちゃんもきっと喜ぶと思うよ」

 

「燈が喜ぶ……。そうだな、俺は……あいつ(立希)のことを友達だと思っている。きっと許してもらうのは無理でも友人であることは変わらない。俺はあいつと友人で居続けたい。だから俺は……頑張ってみようと思う。許されなくても許されても俺にとってあいつは友達だから……。それにこのままじゃ、きっと燈も立希もバンドに居づらいだろうしな……」

 

「うん、応援しているね」

 

 笑顔の裏で私はあることを隠していた。

 それは結人君すらもCRYCHICを取り戻すために利用しようとしていること。立希ちゃんと燈ちゃんの関係がぎくしゃくとしたもののままじゃCRYCHICを復活させることなんて到底難しい。でも、此処で三人の関係を取りもって関係修復すればきっと結人君は燈ちゃんの精神的支柱としても役立つはず。

 

 ごめんね結人君、キミのことを利用する形になってしまったけど三人の関係を壊すつもりはないから。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「お前、マジでなんなの!?いい加減しつこいんだけど!!」

 

「りっきーが止まれば終わる話じゃん!!」

 

「は!?お前が追いかけて来るから逃げてるんだけど……!!」

 

 私は今愛音に追いかけられていた。

 ステージ練習を終わった後、この後どうやって結人と燈とも関係を戻そうと考えていると愛音が何かに気づいたのか私にこう言って来た。

 

『もしかしてその男の子とりっきー喧嘩したの?』

 

 と……。

 別にそれだけなら軽くあしらえばいいだけ。問題なのはそこに燈が関係していることも気づいたのか、私はあいつから逃げたけど私のことを追いかけて来る。ギターも下手の上にそのくせ仕切るのだけは一丁前にやろうとしてくるくせに……こういうことにも首を突っ込んでくるとは本当に思いもしなかった。

 

「燈ちゃん、そのことに関係してるんでしょ!?だったら謝ればいいじゃん!」

 

「何も知らないお前が口出してくるな!本当にウザい!!」

 

 周りの人達は何かあったのかと言わんばかりに私達のことを見て来る。

 あいつが大声を出すせいで本当に最悪……!なんでこんな状況に……!!というか私はなんで走ってるんだろうか。あいつのことなんて適当に撒けば今日は帰れると見ていたのにあいつが全然諦めようとしないから帰り道からどんどん離れて行ってる。

 

「はぁ……はぁ……!!此処まで来ればあいつも流石に……」

 

 息を切らしながらも周りを見ると、ビルの中に囲まれているのは事実だけど此処が何処なのかあんまり分からない。後で検索かければその程度のことはどうとでもなる。問題はちゃんと撒けたかどうかだけど……。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……マジでなんなの……。人のことに首突っ込んできたと思ったら私のこと追いかけて来て……!」

 

「はぁ……はぁ……!燈ちゃん、前に言ってた。昔男の子の友達がいてその子に勇気を貰っていたって……。その子はいつも明るくて元気で燈ちゃんのことを気を遣ってくれたって……後、私にも少し似てるって」

 

 結局追いかけられた私は逃げ切ることも出来ずに愛音に追いかけられて、体力が切れた私はまた知らない場所で立ち止まって休憩しながらも愛音と話を始めていた。

 

「は?お前とあいつじゃ天と地の程の差があるから」

 

「意外と気に入ってるんだ?でもりっきーにとってもその子は友達だったんだから当たり前か」

 

 愛音がニヤついたような表情で私のことを見ている。

 余計なことを言ってしまったと溜め息を吐きながらもバッグに付けてあったパンダのストラップを一瞬眺める。

 

「そう……だよ。私にとってもあいつは友達だった。あいつになら燈のことを任せられると思っていたのに……。なのに……あいつは燈のことを裏切った。それなのに今更燈の前に現れて……本当に許せなかった……!!」

 

「だったら、その想いちゃんとぶつければいいじゃん。そうすれば、きっとその子も燈ちゃんもちゃんと理解してくれると思うよ」

 

「お前……」

 

 意外だった、見栄しか張っていなそうな愛音からそんな言葉が出るなんて……。

 愛音が調子に乗りそうだから言わなかったけど一理あるとも……。私はあのとき、まだ結人に本音をぶつけていない。その本音は私にとっても誰から見てもエゴの塊でしかないけど、でもあいつに言いたい──。

 

 お前だけでも燈の傍に居て欲しかった、と……。

 だから、私は決めた。明日、結人と会ってちゃんと話をして私のエゴをぶつけると……。

 

 

 

 

「お前に言われて連絡するんじゃないから」

 

「はいはい、とっとと送っちゃいなよ」

 

「お前本当にムカつく」

 

 スマホから結人の連絡先を開いて私はこう結人に送った。

 

 

 

 

 

 

『明日、動物園行かない?』

 

 

 

 

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