Re:ゼロから始める騎士団生活〜TSラインハルト&TSユリウスを添えて〜 作:リゼロ好き
俺だ。性能がパチモンみたいな写輪眼を持っているシャリン・アイズだ。
奇跡と運によってTSラインハルトことアリシアを撃破したのは良いものの、もう一回やれって言われたら俺は尻尾巻いて逃げるね。だって彼女、完全に吹っ切れて立ち直っちゃったんだもん。
それ自体は俺の発破が効果あったのかな、って感じで嬉しいっちゃ嬉しいんだけども、立ち直った=《剣聖の加護》がフルで効果発揮するってことなのね?
まあ、つまりは戦えば戦うほど加護を手にしてチューニングが完了していく、どこぞの11番隊長みたいなイカれた強化が施されるわけで。
所詮は真似事+写輪眼による予測しかできない俺じゃとてもじゃないが敵うわけがない。
「シャリン〜! わたしと戦お!」
「気が向いたらネ!!」
君誰?(二回目)
完璧に吹っ切れたアリシアは最初に見せた冷徹な表情をどこかに置いてきたようで、今や天真爛漫な笑顔を振り撒く美幼女と化していた。
やったね! 可愛い女の子が俺とのデート(死闘)を望んでるよ!
逃げるに決まってんだろうがよォ!!
はい、ここまで全部本音です。
ただし尻尾を巻いて逃げることは許されず、結局俺はあの後アリシアと何度も戦っているのである。
忘れてるかもしれないけど、ここは騎士学校。
当然模擬戦の授業ってもんがあってだな……同年代じゃ相手にならない俺と、もっと相手にならないアリシアがいる時点で確定でペアを組まされるのである。
今のところは防御を主軸に時間切れまで粘りまくって事なきを得てるものの、これが本当の戦いなら俺は確定で死んでる。
しかも次の模擬戦の授業にはアリシアver2的な感じで必ず強くなってくるので、俺も負けないように死ぬほど鍛えているのだ。
「ふぅ……逃げ切れたか……そんじゃ修行でも……」
戦おうと迫ってくるアリシアから今日も逃げた俺は、学校の裏手にあるこじんまりとした空間に来た。
普段は家で修行をしているが、このままのペースだと俺の成長速度をアリシアが上回ってしまう。
少しでも空いた時間を修行に回さねば……。
ちなみにだけど、剣聖だし諦めて傍観者に徹すれば良いじゃん、というコメントにはNOを突きつけてもらうぜ!
アリシアに関わって……それに発破をかけてしまった俺に逃げるという選択肢は許されない。できるだけ戦いたくないのはマジだが、模擬戦を断る度にアリシアは酷くショックを受けた顔をするのだ。
そんなもん放っておけばいいじゃん、と言うには俺はアリシアに関わりすぎた。
男のプライドと写輪眼に掛けて、俺はアリシアに挑み続ける。
だからこその隠れて修行──
「シャリン、見つけたよ」
「うひゃぁっ!」
──したかったんだけどなぁ……。
ひょっこり現れたアリシアが、トコトコと満面の笑みで俺に近づいてきた。
「どうしたの? そんなに大きい声出して」
「いや……なんで俺の場所分かった? 結構痕跡消したり迂回したりしたはずなんだけど……」
「ついさっき《探し人の加護》を授かったんだ。これでいつでも会えるね!」
「ウン、ソウダネ」
何でもありかよ《剣聖の加護》ォ……!
俺がぐぬぬぬと唸っていると、アリシアはふと俺に問いかけた。
「でも、なんでわたしから逃げたの?」
──コテンと首をかしげるアリシア。
表面上は笑顔だが、その瞳はまったくと言っていいほど笑っていなかった。あの、普通に怖いっす……。
「修行してるとこ見られるの恥ずかしいだろ。それも勝とうしてる模擬戦の相手のための修行をさ」
半分本当である。
本音としては修行シーンを見られて事前に対応されるのが嫌なだけである。見取り稽古ってのがある通り、俺が新技を開発したところで事前に見られたら多分普通に対応してくると思う。
そんな内心があるとは露知らないアリシアは、俺の言葉にパッと顔を輝かせて喜色満面の笑みを披露した。
「そっか! じゃあわたしは見ないほうがいいよね?」
「まあ、そだね」
「わかった! 次の模擬戦楽しみにしてるね」
「あ、ハイ」
アリシアはルンルンとスキップで消えていった。
納得させることができたけども、これって結局今の模擬戦地獄からは解放されないのでは……?
まあ、アリシアが俺のことをライバルだと思ってくれているうちに頑張るとするか……。
☆☆☆
「一緒に授業受けよ……?」
「あいよ」
上目遣いでお願いしてくるアリシアをどう断れと。
騎士学校には当然一般常識や算術、読み書きを学ぶための座学があるのだが、アリシアに懐かれて以降俺の隣は固定である。
ここでお忘れではないだろうか。
アリシアが1個下という事実を。
なのに俺と授業を受けている理由は何か。
単純である。
──コイツ、俺と授業受けるためだけに飛び級しやがった。
「なんでアリシア様があんなコネ入学のやつと……!」
「またお得意のコネで擦り寄ったに違いないわ!」
「アリシア様から離れろ!」
これが俺に寄せられたクラスメートたちのお気持ちである。
どのみちクラスメートには死ぬほど嫌われているので、アリシアと授業を受けることについては吝かではない。というかむしろ助かる。
唯一の良心であるアズ・リバティーくんはコネ入学関係なしに嫌われているからどうしようもない。俺は好きだけどな。
「にしてもアリシアさ……」
「どうしたの?」
「距離近くない……? こんなくっついて授業受けることある??」
この子距離感バグってるのかピッタリと俺にくっつくようにして授業を受けているのだ。しかもさも平然としている。
俺はロリコンではないので、今のアリシアにくっつかれたところで別に何とも思わないけれど、これがおかしいという事実は分かる。
だからこその疑問であるが、アリシアは依然として首を傾げた。
「だめ?」
「……だめ…………ではないけどさァ……」
断れない俺が悪いのか? コレ。
いや、無理だろ。こんな純粋な笑顔のアリシアの頼みを断るとか普通にできんわ。
俺は結局、居心地の悪さを感じながら授業を受ける羽目になった。
☆☆☆
──帰り道。
「すまない。ちょっと良いかな」
野生のヴィルヘルムさんが声をかけてきた。