▼設立4周年を、悪魔軍団の来訪と共に迎えたダイビート。記念式典は中止され、浮かない表情の中、気丈に振る舞うレガリアの神騎たち。▼一方、アカリの表情も沈む。戦い続け、市民の期待を背負い続けた4年間、その意味を見失い…未熟を恥じる超昂戦士。▼そんなアカリを訪れる旧知の仲間。もたらすのは笑顔か、それとも…?▼超昂大戦4周年、勇敢なる戦士たちの前途に幸あれと、小さな物語をここに残す。

1 / 1
第1話

ダイビート旗揚げから間もなく4年。

だが…毎年恒例の市民感謝イベント開催は、今年は難しそうだ。

 

「ウォーグリム…!」

「ええ、神騎が聖魔戦争で幾度も刃を交えた、不倶戴天の敵。」

「ならば、次にどう出てくるか…」

「街にも大きな被害を出しているし…イベントを心から楽しめる状況じゃないわよね…」

 

「…いいの? そんな状況で、私の歓迎会なんて。

 ましてや魔王サマ、この臨戦態勢ってある意味、私の不徳の致すところ、ってヤツじゃん…?

 呑気に楽しめないのは、こっちもなんだけど…?」

 

 ぎゅっ。(?)

 

「私『たち』の歓迎会だよ、マヤ。

 きっとこういうのって、戦勝祈願の意味もあるんだ。

 あなたを歓迎することで、魔王さんも先輩たちも、元気が出るんだから。

 だから…歓迎会、心から楽しもう?」

「ユリカ…?」

 

 くすっ。

(ああ、俺が言いたいこと、ユリカに全部言われたな。)

 

……

 

「よっし、続きは明日にしましょっ!!」

「うん、うららちゃん、ヒビキちゃん、お疲れさまっ!」

今日は午後からずっと、中止になった4周年感謝イベントのアイテムの片付け。

続いてユリカとマヤの歓迎会用の装飾品をチェックし、あとは明日、手際よく飾るだけ。

 

…だが、ヒビキは懸念する。

「…アカリ? ちょっと元気が無いな。」

「…ゴメンね。」

「どうした?」

 

 ふう…。

「また、平和が遠のいちゃったのかな、って…。

 ダイビート4周年感謝祭、街のみなさんに心置きなく楽しんでもらえれば、良かったんだけどね…。」

顔を曇らせるアカリ。

 

「…抱え込むなよ。いつ誰が攻め込んでくるか…それは私たちじゃ、どうにもならない。」

「うん…わかってるつもり。…でも…」

(?)

 

「私…空回り、してないかな、って。

 みんなを護るんだ、って…がむしゃらに突っ走って。

 エスカ・ルビーになって、いっぱい応援してもらえて…それは嬉しいし、頑張れる。

 でも…それって、みんなの受けたマイナスを、少し引き戻せただけ。」

「それは…」

「欲張りかもしれないけど…私、まだまだ非力なんだと思う。

 もっとみんなを笑顔にできる…プラスにできること、私…何かできないのかなあ、って…」

「アカリ…!」

 

 戦いは、終わらない。

 ダイビートがどんなに勝ち続けても、4年前までの…何者にも脅かされない静かな日々を、完全に取り戻すことは未だ叶わない。

 

 ぽんっ。(えっ?)

背の高いヒビキが、うつむき気味のアカリの頭を撫でる。

「アカリらしい、立派な志だ。

 だが…一人で叶えようとするな、相棒。

 お前が力不足なんじゃない。私たちみんなの非力なんだ。」

「ヒビキちゃん…!」

アカリは戦友に…親友に感謝し、顔をほころばせる。

「今すぐは無理でも、いつかみんなで…若頭領と共に、実現しよう。約束だ。」

「…うん、一緒に…!」

 

……

 

「…あれっ?」

ヒビキたちと別れ、戻ったアカリの部屋の前。

「うっすうっす、ただいまアカリ。」

「イノリちゃん!」

夜更けの来訪者に、顔をほころばせるアカリ。

 

怨玉の欠片を回収し、ノロイの予兆を未然に塞ぐ閃忍たちの旅は、今なお続いていた。

談話室でお茶を4杯用意し、長旅をねぎらうアカリ。

「世界中くまなく旅してるんだよね? 楽しそうだなあ!」

「ご冗談を。貧乏旅行の珍道中ですよお。

 飛行機はぜんぶエコノミー、なけなしのマイレージも企業契約チケットでぜんぶダイビートに召し上げられますし、こないだはホテルのグレードちょっと上げたら、ユーノさんからすぐ警告メールが来ましたから。」

「忍びとはー、心の上にーやいばを置いて-。」

「あんたがその都度チクって小遣い稼ぐからでしょうがっ!」

ライカがボヤく程度には、節制の効いた清貧ツアーのようだ。

 

「…時々、何の因果でこいつらと旅してるのか、疑問が頭をもたげるわ。」

「なにおう! お前がバッグ盗まれた日だって不満などひと言も言わずに赦した、このイノリちゃんの寛大さ!

 崇められこそすれ、呆れられる覚えはないぞ! ここをキャンプ地とする!」

「あ…あははっ…。」

なしくずしに同行が決まったアルファだったが、喧嘩するほど仲よくなった…のだろうか。

 

 すっ。

「なけなしの旅費から捻出したので、アカリは涙にむせびながら食べるがいい。」

「あははっ…ありがとう。

 えーと…のどぐろふりかけ、ゴー◯ーカレー…」

「というわけで今回は国内、能登半島でした。

 今年は元日に大地震、復旧は進まないのにこの前は集中豪雨…。

 ぶっちゃけ、住民の中には、苛立ちや絶望で限界ギリギリの人も結構いましたね。」

「…そうなんだ…」

「地震で潰された自宅を半年がかりで修理したのに、こんどは豪雨で土砂に埋もれた、とか…。

 ぶっちゃけ、あの地域は…見放されたと感じる人々の怨念のるつぼ。

 怨玉を育てるには絶好の環境でした。」

「政治家は無能かー! 与党も野党も自分の株を上げるのに被災地を利用するなー!」

「イノリ…あんた、人類アウト判定するハラなの…?」

トリオ漫才のような掛け合いだが、中身は重い。

 

「そうだね…私も、心が痛むなあ…。」

「あ、でも救助の皆さん、やることはやってますよ。

 行政とかボランティアとか、災害初期は自衛隊とか、ちゃんとベストを尽くしてます。

 民間団体も住居や自家用車を無料で貸したり、家の片付けを手伝うボランティアも毎週たくさん来ていますから。

 何だかんだで、ほっとけない、私も何かしたい…

 そう思って動き出す人、結構たくさんいるんですよ。」

「むう…捨てる神あれば拾う神あり。人間も捨てたものでなし。」

「だから何じゃい、その上から目線。」

 

……

…………

 

「そっか…、そうなんだ…!」

「…アカリ…?」

ライカの被災地助け合いレポートに、アカリはひどく心打たれる。

 

(…ちゃんと、困っている人を助けたい、って人が…

 この国のあちこちに、ちゃんといて…

 みんな動いているんだ…!)

 

4年前。

理不尽な侵略に脅かされた。何も出来ない悔しさに唇を噛んだ。

でも、エスカレイヤーたちの戦いに、希望の光を見つけた。

トキサダの呼びかけに矢も楯もたまらず、ダイビートに身を投じた。

 

 自分に出来る何かをしたい。

 護れる誰かを、護りたい。

 そのために、この力を…!

 

…エスカ・ルビーは、そんな真っ直ぐな思いから誕生した。

 

だけど、時々自分が恥ずかしくなる。

こんな気持ちを持つ私は…ズレているのかな。

私が特別おせっかいなだけで。

困っている人を何とかしたい、なんて…ただの傲慢なのかなって。

 

だから、イノリたちの見聞き語りは、アカリの心の渇きにスッと沁みた。

この気持ちは…私だけのものなんかじゃない。

誰だって、困っている人たちに、自分ができる何かをしたいと思う。

みんながお互いに、護りたい人がいる。

 

だから。

 

「私も…」

「…アカリさん?」

「私もきっと…みんなに護られて、エスカ・ルビーとして戦えているんだね…!」

一方的に助けているんじゃない。

助けたいと思える人に、心の力を貰っている。

アカリは、自分の原動力に気づかされていた。

 

もっとも…

(…はあ?)

今やダイビート最強クラスの超昂戦士が、みんなに護られている…?

(うわ~、無い、無いわあ…)

…アカリの真意が見えないライカには、気持ち悪い謙遜にしか聞こえなかったようだ。

 

 

 ぴーっぴーっぴーっ。

 

《アカリさん、アカリさん! 観てください!》

「【〔『わああっ!?!』〕】」

談話室のモニターに割り込んだ、先日着任したばかりのダイビート公式広報。

 

「フェ…フェリニちゃん?」

《今度のダイビート公式チャンネル、打ってつけの素材が貯まったんデスよ!

 早速ながら、簡単に編集してみまシタ!

 このフェリニア・クレアライズ謹製、渾身のダイビート広報PV最新作パイロット版!

 刮目して見よ、デス!》

 

 ぱっ。

 

 (DIE-BEATロゴ)

 

(列車が迫る線路から少女を救出した青年)

【Q.なぜ、危険を冒してまであの子を救ったんですか?】

『エスカ・ルビーなら、きっとそうしてましたから。』

 

「……ほへっ?」

 

(戦闘で荒らされた住宅地の復旧ボランティアに従事する青年)

【Q.東北から来て下さったんですか?】

《引っ越したけど…やっぱり地元だから。

 エスカ・ルビーみたいに戦えるわけじゃないけどさ、

 せめて、もとジモッティーの俺も、これくらいは…なんて。》

 

「は…はわっ…!?」

 

(幼稚園でけんかを仲裁した園児)

【Q.勇敢だねえ。どうして止めに入ったの?】

〔わたし、エスカ・ルビーみたいに、みんなをまもりたいの!〕

 

「……~~~~~!!!(赤面)」

 

~届いています、超昂戦士の「護りたい」思い。

 もっと伝われ、次の小さな戦士たちに~

        ダイビート公式チャンネル

 

……かああああ……っっ!!

「や…やだあっ…!

 恥ずかしいよおおおーーーーーっっ!!!」

 

 

あなたが護りたい誰かを、あなたが護る。

あなたを護りたい誰かが、あなたを護る。

 

超昂戦士が伸ばした手は、少女を護る盾。

かばわれた少女は、次の戦士を志し…今日も誰かに手を伸ばす。

 

これは、少女たちが差し伸べ合う手と手が紡ぐ物語。

次の伝説が…また始まった。




改めて、超昂大戦サービス4周年、おめでとうございます!
筆者こと超昂大戦SS書き・環藍河よりささやかながらお祝い申し上げます!
実際のサービスイン4周年記念日はもう少し先の11月25日なのですが…フェスが始まったので、もう上げていいですよね?
(実は半分しか書き上げてなくて、慌てて夕方2時間で仕上げ…
2周年記念SSは午後4時ぴったりアップで大好評だったのですが…あれから2年で私もヘタレたものです。反省。)
ともあれ、まだまだ楽しませていただきますよっ。いちユーザー、いちファンとして、今後も勝手に応援して参ります!
Nov.13th.2024 環藍河 拝

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。