夢特典は皇帝竜の魔法? 作:流星群
今回も特訓回です。
ですが後半は…
「はあ、はあ…」
俺は肩で荒い息を吐いていた。服は破れてボロボロになり、身体も負傷していた。まさに満身創痍である。
対して目の前の大男ラクサスは確かに打撲等の傷はあるが、そこそこ余裕がありそうな表情だった。俺の目の前で雷が轟く。
「ふん、俺専用のフィールド魔法を短期間で作り上げたか…、そして強化された俺相手に戦って自分を追い込もうとするとはな…、悪くねえ、まさかてめえがここまでストイックだとは思わなかったぜ。
くくくっ…、そうだ、それでこそ
ラクサスは満足そうに周りを見渡した。
辺りには白い雷が迸ってる。空は暗く、黒い雲が渦巻いていた。俺が新たに生み出したフィールド魔法・雷鳴の谷・Lightning・Fieldだった。
雷のフィールドを展開されるだけで魔道士の大半は降り注ぐ稲妻を避ける事が難しく、回避を意識したり、或いはダメージを受けながら戦う事になる。
しかし雷の魔道士であるラクサスは違う。雷魔法の威力を何倍にも強化して途轍もない破壊力を生み出す。
更にラクサスの場合
現に、辺りの地面には破壊された大岩や、巨大なクレーターが数十にも出来ており、周囲の環境が破壊されていた。
「実感あるかどうか知らねえがここ数日だけでもてめえには変化がある。このフィールドの恩恵を受けずとも俺は速えが、更に速くなった俺の動きに反応出来るようになってる事だ。最初は何も出来ずに唯のサンドバックになってたのによう。拳で俺に触れられるようになるだけでも大きな進歩だぜ」
「あ、ありがとうございます…」
「誇って良い。拳と蹴りだけは馬鹿みてえに速くて重てえ奴だ。素の攻撃力はギルドの誰よりも高え。耐久が高い俺が数発くらっただけでこのザマだ。それにあり得ないスピードだ。雷になって軽減してるってのによう、ったく痛えな…」
「あ…、す、すみません」
「謝るんじゃねえ、これくらいしなきゃ強くなれねえだろ。てめえの潜在能力はまだ眠ってやがる。全部開花させた時は確実にフィオーレ最強の魔道士の一角となるだろう。まっ、強化された俺の雷を防ぎ切る事は不可能だがな、にしてもこのフィールド魔法は癖になるな…、確かルーシィ専用にもこのフィールド魔法持ってたな?」
「はい、
「成る程な、ならあまり使いすぎるな、ルーシィが自分の実力を勘違いして伸びなくなるかもしれねえ、確かに強いフィールド魔法だが、S級上位クラスの魔力がねえと発動出来ねえ以上、あの娘がこれに溺れたら意味がねえ、地道に強化してやれよ?」
俺は頷いた。厳しいが、ラクサスの言う通りだった。確かにやり過ぎるとルーシィの為にはならない。彼女は最強チームの一角なのだが、やはり他のメンバーとの実力差は大き過ぎる。
しかし、
「また2日後に稽古だ。てめえの回復力の異常さには驚いてる。ボロボロになっても1日経てば殆どの傷が治ってやがる。その化け物じみた身体が欲しいくれえだぜ。ここで待ってるぞ」
そう言うと雷となって空に消えて行った。
俺は座り込むとフィールド魔法を解いた。辺りが普通の荒野に戻る。まだまだフィールド魔法で強化されたラクサスの動きについて行くには大分時間がかかる。
ラクサスが雷となったあの変則的な動きが読めない。今日も両手で数える程度にしか攻撃を当てられ無かった。対して俺は十倍以上の攻撃を奴からくらっている。ここ数日で何が変わったかと言えば痛みに対する耐性が出来て来た事だった。
「上がるか…」
ボコボコになった荒野を見渡しながら、起き上がる。どうせまたここで修行するんだ。直すのも面倒だった。そのまま蒼光となって移動した。
エルフマンの
あれから俺はミラジェーンさんとの修行を手伝っていた。彼女は現役に戻りたいと言っていた。俺は彼女が暴走した時の為に前に立っていたが、中々全盛期の魔力が引き出せない様子だった。どうやらブランクで魔力や体力が足りないようだ。
そこで俺は魔力をミラジェーンさんに渡す事にした。これで様子を見て駄目経ったら魔力の底上げから初める予定だった。
しかし俺がミラジェーンさんに闇の魔力を与えて(手を繋いだので正直ドキドキした)、再度挑戦した瞬間に彼女は力を解放し、悪魔へと変身して、サタンソウルの発動に成功した。喜ぶ彼女から手を握られて、お礼に今度料理を振る舞ってくれるらしく、俺は喜んだ。
その日帰って来たら扉の前にルーシィが立っていた。
「あたしにも特訓つけて」
俺の目の前でルーシィがむくれていた。
「待ってたよ。けど急にどうした?」
「どうしたじゃないわよ。ミラさんにあんなにデレデレしてっ、この女たらし、ま、あんたがそうなら別に良いけどっ」
「えっ、見てたの?ま、待ってくれっ、あれはあくまで特訓なんだ!」
「本当に〜?」
どうやらルーシィは俺とミラジェーンさんの特訓を見ていたらしく、それで俺が彼女を女性扱いし、ミラジェーンさんに赤面する俺を見て気に入らなかったらしい。
正直嫉妬?してくれるルーシィを見るとこうなるくらいには特別に見られてると思うと嬉しくなってしまう。
俺は本棚から一冊の本を取り出した。ギルドの書庫から借りてきた本だった。
「ルーシィ、これギルドの本だけど、見るか?」
「えっ、何これ、星属性の魔法図鑑?」
「ああ、
星霊の召喚など基礎的な事から、高度な天体魔法まで多種類の魔法が載っていた。超強力な魔法、ウラノメトリアまで載っている。
天体魔法も数多く、載せられていた。
高速移動魔法である
天体魔法の中でも特に強力な破壊魔法、
「フィールド魔法…あったっ、天体空間・
ルーシィは俺が
「星霊及び、天体魔法等、星属性の魔法を強化する。へえ〜、あたしにぴったりじゃないっ!」
「……」
「えっと…、あっ、発動に必要な魔力量が書いてある…えっ…S級以上の魔道士…、具体的には…、聖十中位クラスのレベルの魔力がないと発動できないの〜!!」
今の自分じゃ使えない事を知ってガクりと項垂れるルーシィ。確かに今の彼女には遥か遠すぎる魔力だった。
本に顔を埋めるルーシィを見て、トントンと彼女の肩を叩いた。
「この際だから魔力あげてみないか?」
「えっ、そりゃ上げたいけど、普通は簡単に上がるものじゃないでしょっ、そんな簡単に言わないでよっ」
「魔力の器を大きくすれば上がるらしい、魔法アイテムの魔力を身体に流し込んで強引に上げるのも1つの手だけど、他人から魔力を貰うのも有効らしい、俺の魔力で良ければルーシィに分けるけど」
俺がそう言うとルーシィは顔を上げた。
「良いの?」
「ああ、ルーシィには無事でいて欲しいからな。一緒に依頼に行ける時は良いけど、ナツやエルザと依頼に行く時は後方で見てるだけになる事も多いだろ?
ルーシィの性格的にそれだと依頼達成した気にならないと思ったけど…」
「良く分かってるわね…」
「それに俺も少しでも早くルーシィと一緒にいたいから、ラクサスさんの考えに賛成するわけじゃないけど、ルーシィが成長すれば彼を満足させた上で堂々と2人で仕事出来ると思う。だから俺の我儘だけど乗ってくれると嬉しい」
「クスッ♪あんたも堂々と言うようになったわね、ちょっと前はあんなに初心だったのに」
「もう隠せないから//正直に言うよ」
「ふふっ♪ならよろしい♪」
俺は彼女に魔力の籠もった手を差し出す。ルーシィはそれをじっと見ると手を乗せた。凄く柔らかい手だった。
「リンの手大きい…//」
「一応男だからな」
「ねえ、本当に、良いの…?魔力を渡したらリンが疲れちゃうんじゃない?あたしばかり貰っちゃって…リンに迷惑じゃ…」
「迷惑なわけないって、俺は前みたいにルーシィと一緒に仕事行きたいから、流すよ」
一度好意がバレた事もあって隠す必要は無かった。俺はルーシィに普通に接する事が出来た。
「そこまで言うなら…、うん、来て…」
「OK」
ルーシィからの了承も貰い、彼女にそっと魔力を流す。流し過ぎてルーシィの身体が壊れないように上手く加減しなければならない。彼女の体内の反応を見ながら魔力を流していく。
「辛くない?」
「だ、大丈夫よ…」
魔力を流す度にドクンドクンと彼女の魔力の鼓動が伝わって来る。目標としてはルーシィの魔力の器の最大容量よりも少しだけ多いくらいの魔力を意識して彼女に流し込んだ。ルーシィの身体が悲鳴をあげないか良く見てないといけない。
「痛くない?」
「へ、平気よ//」
「手が熱そうだけど本当に平気?」
「だ、大丈夫…、気の所為よ//」
握ってるルーシィの手が熱い。ルーシィの顔を見ると頬や首が真っ赤に染まっていた。身体にあまり馴染みのない魔力を流されて強く反応している様子だ。手汗が凄い。やはり無理があるのだろうか?
魔力が流れなくなった。ここからは慎重にやらなければならない。ルーシィはチラチラと俺の顔を見ていた。もしかしなくても駄目そうかな?
一旦離すか…そっと手を離した。「あっ…」と切なそうな声をルーシィは漏らした。
「一旦、止める」
「はっ…、あたし何を考えて…、えっ、リン…、お、終わり?」
「いや、これからが本番だ。ルーシィが保有出来る魔力を確かめたんだ。今の状態がルーシィの魔力の限界値だ、魔力の器を大きくするにはここから強引に流さないとならないけど一旦今日は終わりにして様子を見よう俺の魔力に身体が拒絶反応を起こすかもしれないからな」
「あ、うん…」
「今日は泊まってくれるか?ルーシィの様子を見たいんだ、もし何かあった時には直ぐにルーシィに流した魔力を俺が吸い取るから」
「あ、うん、分かった、久しぶりね♪リンの家に泊まるのも」
「ナツもいないし、寝る時はベッド使ってくれ、好きな布団使って良いから」
「分かったわ」
ちょっぴり残念そうにルーシィは手を戻した。俺は暫くルーシィの様子を見ることにした。魔力が体内で暴走する危険性があるからだ。
風呂に入って寝る時間になった。
ルーシィはと言うと、布団を厳選していた。やがて1枚の布団を取り出した。あ、俺がいつも使ってる布団だ。欲しかったのかな?
「リン、これ使って//」
そう思ってるとルーシィが布団を渡して来た。いつも彼女が使ってる布団だった。えっ、良いのかこれ。でもルーシィが言ったんだから全然ありか、
「あ、ありがとう//」
「ふふっ♪リンは変わらないね。少し安心した」
ルーシィはそう言うとベッドに寝たが、1人分近いスペースを空けていた。そして、トントンとベッドを叩いた。
えっ、来て良いのか?
「おいで、あたしの事見てるんでしょ」
「ほ、本当に良いの?」
「うん」
「え、遠慮なく//」
ルーシィの横に身体を寝かせた。ルーシィがじっと俺を見ている。凄く可愛い。
「もっと近くに来て良いわよ♪」
「け、けど…」
目のやり場に困っているとルーシィが俺の腕を引っ張った。
そして俺の腕を枕にした。
「良いの、ナツなんかリンがいない日は勝手にあたしの部屋に上がり込んであたしのベッド使ったりしてるんだから…、
それに…リン、あの日あたしの事抱きしめてくれたじゃない。それに今のあたし、リンの魔力を凄く感じてるの…、凄く、嬉しい…、だから…今更よ。もう…遠慮しなくて良いんだよ…」
そう言って俺の熱くなった頬に触れる。ますます紅くなる俺を見てルーシィは凄く愛おしそうに俺を見つめた。「やっぱり…、リン、可愛い…」と言って耳の裏を指でなぞった。
ルーシィの顔がこんなに近くにあった。女の子の匂いが伝わって来る。俺の心臓はバクバクだった。ルーシィは頬を赤らめながらも腕に頬ずりをしたり、俺の手を握ったり頬を撫でたりして俺の反応を楽しんでいた。距離を縮めて俺の懐に深く入って来た。
その夜はルーシィの寝顔?を見て興奮して眠れなかった。
特訓…?
因みにラクサスはフィールド魔法で何倍にも攻撃力と回避能力、そして魔力が上がった状態なので主人公の上位互換と言うわけではありません。