私はミ=ゴ、個体名は無い。
我々の種族の絶滅の瀬戸際にこの文書を残す。
我々の種族は太陽系第三惑星……通称地球と呼ばれる星で鉱石採掘や現生人類の研究を行っていた。
だが、ある日、一匹の現生人類の捕獲に失敗し同胞が1人連れ去られた。
我々の存在はすぐに明るみになった。
人類は我々を攻撃し始めた。
だが所詮は人間、科学力の差で我々に勝てるはずもなく我々は侵略戦争を仕掛けた。
ほとんどの国が我々との戦いを避けた。
だが、あの国だけは違った。
日本と呼ばれる小さな島国、あの国だけは我々を襲い続けた。
なぜなら奴らは酷いことに我らが同胞を食していたのだ。
曰く「頭部のヒダは松茸、胴体はズワイガニに似た味で大変美味である」、と。
そこから人類の叛逆が始まった。
我々の武器を研究し、我々の科学を盗み取り、我々の美味なる調理方法を研究しだしたのだ。
たった数ヶ月で地球に派遣されたミ=ゴのうち半数が死亡。
調理され、亡骸は冒涜的にも可燃ゴミとして捨てられた。
私の兄も戦争に参加したが、殺された。
その最後は生きたまま甲殻を剥かれ高温の湯につけて食されると言う拷問じみた最後だった。
生き残った半数は母星に帰還した。
しかし、人類の脅威はまだ過ぎ去っていなかった。
奴らは星間航行技術を作り上げ。
我々の星に侵略を開始した。
たった数ヶ月で全体の50%が殺された。
これほどまでの大規模ジェノサイドはミ=ゴ史始まって以来だ。
我々は侮っていた。
人類の狂気を。
今の我々は奴らによって生かされている。
我々ミ=ゴを養殖する為に奴らは星を制圧した。
いずれ私も奴等に食べられるだろう。
あぁ、なんたる悲劇だろうか。
我々は失敗した。
手を出してはいけないものに手を出した。
ミ=ゴの文明は崩壊したのだ。
憎き地球人類よ、いつの日か貴様らに叛逆してみせる。
それまでの間、我々の雌伏の時は終わらないのだから……
我々は話し合いによる戦争の終了を人類に提案した。
結果は惨敗だった。
奴らは年間二万匹のミ=ゴを差し出せと要求してきたのだ。
しかも子供のミ=ゴを優先的にと付け加えて。
奴らは狂っている。
奴らが恐ろしい。
奴らに話は通用しない。
我々は祈ることしかできない。
今日もミ=ゴたちが連れていかれる。
助けを求める悲鳴も、恐怖から発狂する声も奴らの耳には届かない。
所詮、奴らにとって私達は食材なのだから。
我々は侮った。
侮った結果、種は絶滅したも同然だ。
同胞たちよ、どうか安らかに眠ってくれ。