【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ 作:日λ........
カエレルダイコンで入り口まで帰還して早々、俺達はショタおじの指揮する一反木綿型式神に運ばれ温泉漬けにされる事となった。メガテン原作で言う所の回復の泉と同じ温泉の効能により回復したもののその上でバイナルストライクのせいで霊的にガッタガタのボロボロだった為、ナイトニキとトーコさん共々2日間の休養を言い渡された。回復魔法は傷と体力を癒やしてくれるが霊的疲弊までは回復し切れない為である。幸いにも星霊神社は霊地としてとても優れた場所である。ここで休んでいるだけでだいぶ治りが早くなるのは幸いな事であった。
今は全員温泉から上がり、ガイア連合山梨支部の空き部屋を借りて今回のPTメンバー全員で集まり今回の事実上の全滅について反省会をする事となったのであった。
「と言う訳で反省会をするぞ皆。まずオレから。予想以上にシュテルの育成が捗ったからとはいえ、階層をどんどん進めていったのはやり過ぎだったな。何事も限度ってものがある。今度から進む階層はある程度事前に決めて全員で共有しておこう。勢い任せに進んでもろくな事にならんのは今日痛い目見て学んだからな」
「自分からは、一気に階層進めすぎたせいで装備品の更新が間に合ってないことを言っておこうかな。せめて1回帰って傷んだ防具の予備への交換はしとくべきだったね」
「全体的に準備不足だったよね……元々今回はそこまで大きく脚を進める予定じゃなかったからね。ああそうだ、今度シキガミ武器にスキルカード指して属性攻撃を自力で出来るようにしておくよ。前衛メンバーが基本物理しか使えてない現状だと耐性抜けないこと多かったし」
「やろうと思えば戦闘中皆の武器にエンチャントも火炎と氷結属性なら出来なくも無いけど、自力でやってもらったほうがこっちの手数も使わなくて済むからそっちの方がありがたいなって」
そう言うと、トーコさんはまるで珍しい物を見るように自分の顔に指を指してこちらを向いてこう言った。
「……思ったんだけどさ、ジュンさん逆に何が出来ないの?回復も蘇生もバフもデバフも出来て、ハッキングで悪魔を操れて、味方全体の武器にエンチャントまで出来る人とか私初めて見るんだけども。PTの指揮官も自然に出来てるし、東京のガイア連合でもここまで色々やれる人は見てないよ。あ、神主さんとうちの社長は例外ね」
「ショタおじは例外な。むしろオレの出来ないことは分かりやすいぞ。今でも直接的な攻撃手段は手に持ったこの歯車以外は一切持ち合わせてないからな!!間接的な手段はめちゃくちゃ増えたけども」
「フリスビーニキの手札も増えたよな。スレで話を聞いた時の、鍋の蓋装備だった頃からは考えられん位戦えてるの感慨深い物があるね」
「アタシとしては鍋の蓋で餓鬼相手に殴り合ってる変な人と、まさかここまで付き合いが深くなるとは思わなかったわね。というか聞いてる話だけじゃこんな事できるなんて思わなかったわ」
兄とロザリーさんのそのつぶやきに、モモメノさんはきょとんとした顔になった。
「鍋の蓋?……何で鍋の蓋なんて武器にしてたの??」
「やむを得ない事情がありまして……まあ参考程度に見せておくか。シュテル、杖を貸してくれ」
「? はい、どうぞマスター」
シュテルから借りた杖を『装備』する。すると、全身から自らの異能の力が全て抜け落ちるのを感じた。
「!?嘘、なにこれ!?アナライズ上のジュンさんのレベルが0に、未覚醒者になってる!?」
「ええ?!大丈夫なのそれ!?」
「ああ、すぐ装備を解くから大丈夫だよ」
そう言ってシュテルに杖を返して『装備』から外した。不活性化していた異能の力が元に戻っていくのを感じる。
「まあ、ご覧の有様でね……体質的にフリスビー位の大きさ以上の円盤上の物とか、回転するものとかしか武器として装備出来ないんだオレ。幸いなことに武器として使わず、荷物として持ち運ぶだけならこうはならんが」
「ああ、だから鍋の蓋か……素手や未覚醒状態で殴り合うよりは確かにマシかもしれないね」
装備適正の不一致による覚醒不良が起きるという問題もあったが、それを踏まえても何で長い事鍋の蓋で武器を妥協していたのかというと、単純にレベルが上がらなかった時期は重さの都合でそんなに重い物は持ち運びが出来なかったからである。ナイトニキと組む前辺りでようやく最低限、レベル的にも肉体的にも鍛えたからそこそこ重たい『モーターギア』を四六時中持ち運んでいても問題なくなった。
それまでは肉体的にそんなに無理する訳にも行かず、軽くて薄くて神主が一応強化してくれたから武器として使える頑丈さはあった鍋の蓋に頼らざるを得なかったのである。流石にもうショタおじに返したが、オレの一番付き合いの長い戦友は未だあの鍋の蓋であった。
敵に流し込むデーモンの性質上相手の肉体の構成を勝手に書き換えることで間接的にダメージを与えたり、相手を操って自滅させたりは出来るようになったから多少マシにはなったが、根本的に攻撃手段に欠けてるのは変わっていない。PTを組んでいる今は良いが、単独での戦闘が厳しいのはレベルが上がっても解消されることはなかった辺り、自分に攻撃系のスキルの才能が無いのは本当なのだろう。なにせショタおじからの嫌なお墨付き貰ってるからな。
何でも普通のムドやアギ覚えるにも某NINJA漫画の主人公が普通の忍術使えるようになるくらいの時間と努力が必要になるという話である。終末前に覚えるのは無理だねぇ……(十数年後の本編後、息子が主役になってる作品で火影になってようやく使えるようになってる姿を見つつ)
……いっそデモニカスーツでも技術部で集まって作るか?他にも資質的に戦闘が厳しいメンバーも居るだろうしな。作ろうとしてるメンバーに心当たりあるし、他にもロボ作ろうとかしてる人も居るから行けるはずだ。自分は装備制限が厳しいから作るにしてもそれ含めて専用設計しなきゃ駄目だろうけども。
「覚醒してるとはいえこんな有様だからな。寄生行為も嫌だし、他の人と組むとしても何とか自力で強みを持てるまで鍛えようとなった結果、長い事ガキと鍋の蓋で殴り合うハメになった訳だ」
その合間にショタおじからPC作成の依頼受けれたおかげで今も収入源になってるパテント料を受け取れていたり、技術部の面々と仲良くなれたから遠回りであっても悪い道のりでは無かったと今でこそ思えるが、当時はずっと内心焦燥感に駆られてたものだ。
「さて、話が逸れたが問題点の洗い出しに戻ろうか。自分の場合、というかこれはナイトニキにも当てはまると思うんだが色々出来る事が強みにはならん場合もあると思うんだ。手札が多く持てることは良い事だが、それを切れる手は一人につき一度に一つだけだ」
「ああ、たしかに役割分担は必要だね。とすると自分は壁役に専念した方が良いかい?」
「現状だと兄さんとトーコさん以外は割と脆い構成だからそっちのが良いかもしれないね。後、下手に攻撃するよりそっちに専念したほうが兄さんへの負荷が軽くなるかも」
「今までは攻撃力に欠けたメンバーばかりだったから、前衛として何でもやれる事を求められてたけども人数増えたから本業に専念出来るわね。キドウとしてもお望みのシチュエーションじゃない?」
そう言ってロザリーさんは温かいお茶をお盆からみんなに渡していった。どうやら自分たちが話し込んでいるうちに淹れてくれたようだった。一見キツい性格のように見えて細かい気配りがよく効く人である。
姉さん女房気質というか、意外と抜けてる所のあるナイトニキにはピッタリのシキガミであった。
「なら、火力役は私に任せて。今回はあまり見せられなかったけども、私の戦い方は自由に動いて敵全体に攻撃を与える遊撃手としての抜刀型と、刀を鞘に収めて一撃の威力に特化する居合型があるから今後は後者に切り替えていくわ」
トーコさんの戦闘スタイルは刀型シキガミ『星眼』を活用したサムライスタイルだ。元々家業の都合で習っていた剣術を実戦でも使えるように設え直した代物であるとの事だ。古くから続く軍人家系で、今でも年の離れた兄が陸上自衛隊で働いているとの事である。
「まあ、なんにせよここから二日は休まなければならないし、休みが明けても色々と準備し直さなきゃいけないのは皆一緒だから、とりあえず2週間程皆各自で自由行動って事にしようか。その後一回集まって異界攻略については考えよう」
「そうだね……とりあえず自分は新しい鎧を用意しないとなぁ。完全に駄目になってしまったし」
「私も技術部の人達と相談してみなきゃ。とりあえず手持ちのに火炎と氷結系のスキルカードがあるからコレが使えるか確かめてくるよ」
「そういう事なら、シュテルを作ってくれたエドニキの事を紹介しようか?まんま見た目が鋼の錬金術師な技術部のメンバーなんだが、シキガミに関しての技術は知る限りだと随一の人だよ」
例の邪神セイバー暴走事件とかたまにポカやらかす時もあるけども。オレはその言葉をロザリーさんが淹れてくれた茶と共に飲み込んだ。
「オレも色々アイディアが溜まってきてたし、やりたい事も出来たからこれを機に色々準備してくるよ。ナビタイプのペルソナ使いの支援を受けた状態での戦闘は貴重な経験だったからな」
とりあえず今回の経験で感覚が掴めたので、作っていたものの未完成だったバックアタック対策の『百太郎』やターゲットの防御相性を表示する『ギボ・アイズ』辺りは少し時間を掛ければ完成する筈だ。
後、今回の異界攻略でフォルマだけでなくスキルカードもそこそこ手に入ってデータも十分集まったので前々から構想を練っていた計画をそろそろ実行に移すとしよう。皆高ランクのスキルカード入手に手間取ってるというのはスレを見てて思う事だからな。そろそろマッカの収入も欲しいところだったから丁度よいであろう……
「それじゃぁ、反省会はこれで終わりにしよう。そろそろいい時間だし、ガイア連合名物の料理屋があるから皆でそこに食べに行こうか。今回はオレが奢るよ」
「お、いいのかフリスビーニキ。でも大丈夫か?たしかあそこの名物ってマッカ払いの筈じゃ」
「ヘーキヘーキ。この前の依頼で脳缶ニキからたんまり報酬としてマッカもらえたからね。トーコさんはまだ一度も食べた事ないだろうし紹介と身体を癒やす為にも行きたかったんだよねジャンニキの店。あそこの店のガイアカレーは絶品なんだよなー……」
そう言って、駄弁りながら借りた部屋から皆で出る準備をして、部屋の鍵をちひろさんに返して皆でジャンニキの店へと繰り出していった。
それから三日後、前々からコツコツと作っていた力作の新作インストールソフトをシュテルに家事や身の回りの事を任せる事で集中して完成させ、意気揚々とそれをスレで発表し、ガイア連合専用チャンネルで動画も上げた。インストール版をガイア連合限定のHPで購入出来るようにもしたし、ちょっと割高だが複数人インストール可能なソフト版も購買に箱で送ってある。準備は万端だ。
さあこれで、ある程度マッカが儲けられたらいいが……