【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ   作:日λ........

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緊急クエスト『ルシェの同胞を奪還せよ』

 

 

 

「いやー、まさかこんな身近な所でタイムトラベラーが居るとは思ってなかったよ。ほんと『俺ら』って人材の坩堝に過ぎるね」

「信じてくれたのはありがたいが……本当にいいのか?貴重なショタおじの時間を使わせてしまって」

「まあ今回は特別というか、滅多な事で何も言ってこない星霊神社の奉神からの直談判が来たからねぇ……むしろ神主として本業だからこっちのが優先度高いんだよね。まあそれは置いておいて、モモメノさん。ちょっとばかし君の縁を辿って占わせてもらうよ」

「分かりました。まじないに血なり髪なり何かしら必要なものがあるなら渡しますが」

「いやいやいや、そのままちょっとじっとしていて貰えればそれで十分だよ。だからその懐から取り出したたナイフはしまっておいてね?」

 

血なり髪なり必要なら差し出そうとしたモモメノを静止し、ショタおじは自身の術を起動させる。

そして垣間見えたものは、一つの滅亡であった。

 

 

「……これは、ああ、なんて言葉にすれば良いか……すまない。そこまで探るつもりはなかったが今僕は、君の過去を見ている。そうか、僕らが抗おうとしている終末ってのは、こういう言うものなんだな……!!」

 

縁を探る過程で、彼が見たものはモモメノ達の過去であった。この星に落ちてくる大量の隕石の数々と、地球すら破壊しかねない隕石と言うにはあまりにも巨大な星の残骸そのものが堕ちるその光景を見たのだ。

恐らく自分たちに降りかかるそれとはまた違った形のものであるが、それは間違いなく滅びの具現そのものであった。

 

抗いようがない絶望的な状況。だが、彼らは、ルシェの民達は最後まで諦めることはなかった。

 

それは巨大な塔。天高くそびえ立つそれは命を打ち出すための砲身であり、天より現れる大敵に対する 最後の手段であった。

放たれたのはあまりにも眩い光。人々の思い。人々の願い。この世界を滅ぼしてなるものかと足掻くもの達の咆哮。

あまりにも悲しい、命の輝きそのもの。放たれたそれは地球すら砕きかねない巨大な星の残骸を消滅させるほどの破壊力を発揮し、そして__千人砲の中にいた者達は誰一人として何も残らず弾丸として消費され、皆消えさった。

 

未来で、同じ星に生まれる生命達の為に彼らはその命を捧げたのだと、自分たちにバトンを託したのだと彼はその光景を夢見て、忘れない事を決めた。 彼らという先達が確かに存在していたことを。自分たちが抗う敵とは、ああいった理不尽であるのだと。

 

 

(……見えた。一つ、二つ、……いや、三つか。生きてこの時代まで逃げて来られた者は。まあ、アラカナ回廊なんてヤバイところを抜けてそれだけ残ってるだけ凄い話か。聞いた話じゃまだ原生のマモノとやらは居ても、悪魔は産まれてなかった時代から来たらしいし、悪魔を知らない状態でサンダルフォンやらリリスの分霊と会敵してそれだけ生き残ってるだけ奇跡みたいなもんか……さて、彼らは今どこの方向へいるか……)

 

失せモノ探しは占いの基本だ。星霊神社の神主ほどの霊能者の占いとなればそれは探し人の運命や因果といった縁からそれらを探すことなど造作もない事である。

 

__その失せモノが今この時間軸に存在していればの話であるが。

 

 

「これは……うん。現時点でこの時代まで来れてるのは君らを除くと一人だけみたいだ。他の、確認が取れたルシェの人達はもう少し未来に飛ばされている。ただ、幸いなことにそこまで先の未来ではない上、皆東京の何処かに飛ばされる事までは見えた」

「そうか。なら、東京に拠点を置いて活動を続けてればいつかは皆再会できるかもしれないってことか」

「……ただ、既にこの時代に来ているルシェの、桜色の髪の女の子なんだけど。なるべく早く助けに行ったほうが良いね、コレ」

「ハルカラに、何かあったのですか……?!」

 

苦虫を噛み潰したような顔つきになった神主に、それまでルシェの姫として毅然とした態度で神主に向き合っていたモモメノの表情に緊張が走った。

 

「彼女、運悪くメシア教の関連組織に捕まって身動きが取れなくなってるようだ。大まかな場所は分かったし、信用できる友人に連絡して彼女の正確な場所を探ることにしようか」

 

そう言って神主は袖の下からスマホを取り出すと、態々東京で終末を迎え撃つことを選択した変わり者の友人に連絡を入れた。

 

 

「__もしもし陽介?ボクだよボク。ちょっと急用が出来たんで調べて欲しいことがあるんだけど……うん、悪いけど結構厄ネタ案件だよ。君の会社の競合他社だった『カルマ・アソシエーション』ってあったじゃん??VR技術とか仮想現実の研究を行ってたけど、君の会社の持ってた技術のが優れてるって判断されて、支援金打ち切られて潰れたあの会社だよ」

 

カルマ・アソシエーション社。ノーデンス・エンタープライデスのエンタメ部門の主要産業である仮想現実やVR技術と同じような研究をしていたものの、SEGAと提携して作り上げたコックピットに乗り込む形式で再現されたVR版『バーチャロン』やおじさんの魔界ぐらしの経験をカルピス並みに薄めて作られた仮想現実体験型ゲーム『ヴィジョンクエスト』を既に出しており成果を出していたノーデンス社のほうが有用と言われ、哀れにも支援金を打ち切られ倒産した会社であった。

現在、その跡地は買い取られることもなく閉鎖されていた筈だが神主が今の占いで見た霊視では、確かにその会社の名が書かれた施設内で桜色の髪のルシェの少女が捕らえられているのを目撃したのであった。

 

 

「実はあの会社の跡地にメシア教の関連組織が隠れて活動してるかもって可能性が出て来てね。占った感じだと地下が怪しいから調べてくれると助かるなって。情報を探ったらこっちに伝えてほしい……いやほんと悪いね。お詫びに今度例の『華撃団構想』に使えそうな結界の資料と、技術部が作った霊子甲冑の試作品を送るよ。丁度使えそうな資料を恐山が隠し持ってたみたいでね……僕としてもあれが実現出来たなら是非とも見たいもの。うん、それじゃ悪いけどよろしくね?」

 

 

そう言って神主はスマホの通話を切り、目の前に座る三人へと話を続けた。

 

 

「さて、知っての通り悪いけども僕自身はまだこの霊山から離れる事は出来ない。だから、君達には僕の友人達と共に君らの同胞の救助に向かってもらうことになる。可能な限り、戦いの準備を整えて東京に向かうと良いだろう。……ああそうだ。一つ助言として言っておくよ。君らが今まで紡いできた縁を信じ、頼るといい。それがきっと、彼女を救う手立てになる。具体的にはそうだね……フリスビーニキは巻き込んだほうが確実に良い結果になる筈だ。それと……」

 

モモメノが常に持ち歩く人形を見て、神主はにっこり笑う。その中に隠された、神秘の金属の力を感じ取ったからだ。

 

 

「その『オリハルコン』は、肌見離さず持っていたほうが良い。今僕が言えることは、それ位かな?」

「……ありがとう、ショタおじ。凄く助かったよ。自分はフリスビーニキに話をしてくる。皆は準備をしておいてくれ。幸いにも装備はもう届いてるからな」

「貴重なお時間を割いて頂いてありがとうございました、神主様。……でも、東京かぁ。思いの外早く戻る事になったなぁ。やっぱりあの首都はなんかあるのかな??あそこにいるといつもボクすっっっごく嫌な予感がするんだよね……なんでなんだろう??」

 

そりゃメガテンの東京だからな……と転生者特有の共通認識を共感しつつも、ショタおじとナイトニキはメタ知識の無い筈のモモメノにさえそう感じ取られている事に戦慄した。

 

やはり東京は魔都である。彼らはその認識を改めつつも、その地に挑まねばならぬ事実にお互い警戒を強めたという……

 

 

(ホント、SEGAを守る為に全力で自分たちの会社の周辺地域だけとはいえメシア教と暗闘しながら要塞化を進めてる陽介には頭が下がるよ。東京ってだけで俺らの大半は逃げ出すもんなぁ……)

 

 

物好きな自分の友人に思いを馳せながら、星霊神社の神主は彼らの幸運を祈った。無論、この星にである。

神や悪魔に祈る事が無意味だと知っていても、人は何かを願うことを辞められない生き物なのだ。きっとそれは、祈る事が全ての始まりであったと無意識のうちに人は覚えているからだろう。

 

この世界は、誰かが祈ることで生まれた世界なのだと言う事を。

 

 




カルマ・アソシエーション、またの名をカルマ協会。
喰奴ってカッコイイよね()
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