【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ 作:日λ........
リマスターと言いつつゲームシステムも改善してたり戦闘もアバドン王式の2体召喚だし剣合体もあるしで色々楽しみ過ぎる……!!
「第一統合体『カルラ』に続き、第二統合体『ベーオウルフ』の反応……ロストしました」
「……電脳世界上の演算結果とはいえ、大天使や魔王すら葬ったアバタールチューナーを、こうも次々と……!!ガイア連合の実力は嘘偽り無い事実、という事ね。ああ、忌々しい……!!」
研究施設の最深部にて、試作の兵器として調整されていた実験体。開発していた戦闘用AI用のシミュレーションをベースに作り出した電脳世界『ジャンクヤード』にて演算を繰り返し、蠱毒のように戦わせ、生き残った者達のデータを収集し、その中でも特に優秀な者達の生存したデータを統合して作り出したのが、迎撃に出した三体の統合体__アバタールチューナーであった。
全てのアバタールチューナーの肉体のベースとなった少女の遺伝子と、彼女が持っていたペンダントの中に保管された魂の情報を組み合わせる事で、無機質な行動しか取ることが出来なかったAIはまるで生きているかのように高度な行動を取るように発展した。そしてそれとは別に研究されていた悪魔化ウィルス__悪魔の力を人間が手に入れることを目的としていたものの、計算上は問題ない筈が、実際に人間に使用すると弾かれて消えてしまう失敗作であったソレを、その改良したAI達に植え付ける事で動作させる事に成功したのだ。
そこまでやってようやく、電脳世界上で神や悪魔、天使さえ狩り、喰らう力を持った兵器を作り出す事が可能になったというのに!!人間に使用できない理由も、もう少しで割り出せる所まで来ていたというのに!!
「現在、第三統合体『シグルド』 が交戦中!!状況はよろしくありません……撃破されるのも時間の問題です!!」
「侵入者は現在、防衛設備を突破し、こちらへ向かってきております!!どうするのか指示をください、ナツメ主任!?」
……先程の交渉からして、話し合いが通じる段階では既にない。こちら側の戦力であるセントリーボットは既に全機無力化されており、虎の子の統合体__三体のアバタールチューナーの内二体は既に撃破され、最後のシグルドが相手を撃退できる可能性も望み薄であろう。
はっきり言おう。詰みだ。私が切れる札は既に存在して__
【__これは奇縁というものか。真逆、第三の残滓を持つ者がこんな所に存在しているとはな】
声が、聞こえた。深淵から聞こえてくるような、恐ろしい声が。聞くだけで正気がガリガリと削れていくのを感じるようなそれは__
【ふむ?そうか、この被っている悪魔とやらのガワの性質が悪さをしているのか。まあ良い、聞くが良い■三■■の眷属よ。オレは■六■■■■■
__いや、もはやこの宇宙ではこの名は使えなかったな。こう名乗るほうが今は通りが良いか。我が名は、ハスター。邪神ハスターである!!】
カカカカッ
【邪神 ハスター】【■六■■ ■■■】ジジジジジ……
が、現れた!!
交信が、聞こえた。聞こえてしまった。
その存在が声だけからすら発する威圧に気が狂いそうになる恐怖に耐えながら、ナツメは言葉を選びその邪神を名乗る存在に対して問を投げかけた。
私に、何の用があるのでしょうか。と。
【何、ほんの戯れよ。貴様らが作り出す兵器は中々素晴らしい力を持つものばかりであったからな。それなりに美味かったぞ?それに__僅かな断片とはいえ、かつての我らの力を残す者であったからな。貴様の望みを叶えてやろう。まずは力__失われし■の力を貴様に与えよう。そして、オレが座すこの世界へと来い。貴様らがジャンクヤードと呼ぶこの世界で、一番高い塔の上にだ!!そのための手段も用意してやる……】
追い詰められた者は藁にも縋る。明らかに人をなんとも思っていないであろう邪神のその声に、ナツメは従ってしまった。
天使からの声には耐えれた。メシア教徒の中で全てを使って生き足掻く為に何でもすることにも耐えれた。だが、この声には逆らう事が彼女には出来なかった。
当然だ。何故なら彼女が教団や天使の洗脳に耐える事が出来たのは__かつての世界で、彼らの声を聞いてしまっていたからだ。
生命という種を、後に刈り取り喰らうために星に撒いた者達のその声を。
法の神を創造主として崇め奉る者達のことを滑稽に思えていたのはこのせいかと、ナツメは彼らと、彼らの事を恐れていた自分自身を嘲笑った。
「__全員聞きなさい。今ここに残っている者はシステムのメインフレームブロックまで移動するのよ。私に考えがあります」
そんな内心を無表情の仮面で覆い隠し、この場に残る部下達に指示を出した。幸いにも、先程指定された人数には届いていた。
三つ子の魂百まで。幾度生まれ変わろうと__『日暈 ナツメ』という女には追い詰められた時、自身を信じてくれた者たちを最悪のタイミングで裏切る。
この女は、そんな女であった。
「COOL!!来いデカラビア&フォルネウス」
『征くぞ我が友よ!!【アイスブレス】!』*1
『やるぞブラザー!!【ヘルズアイ】!!』*2
デビライザーから二体の堕天使を召喚し、脳缶ニキはまず手数を増やした。そしてまずは耐性チェックとばかりに呪殺と氷結をブチかますが……生憎とどちらも弱点属性では無かったようだ。
まあ反射と吸収では無かっただけ良しとして脳缶ニキ本人も【ダークスピア】*3を投げつける。
「月属性*4も普通に通るっと。参考にする?」
「んな希少属性のスキル使えるのこの場じゃ脳缶ニキだけやろ!?ええい、耐性チェック継続や!!ドロー!!召喚、【雷のマモノ】!!」*5
「アタシは自爆するのも非効率にされたからサポートに回るわ。疑似ランダマイザならまかせろー(バリバリ)」
「そのセリフでホンマにマジックテープ剥がしとる奴おるぅ?!」
デュエリストネキはボケ倒す二人にツッコミを入れつつ、引いたカードから雷のカードを使用し雷のマモノ__妖獣 ライジュウを召喚し、フェイクシグルドに雷撃を放った。が、どうやらこれも弱点属性では無かったようだ。放たれた雷は命中したものの、大したダメージは与えられていない様子であった。だが、その攻撃によって作られた隙に差し込むようにカス子ネキはその特注のボロマントの中からバリバリと音を立てながら様々な楽器が歪な形で取り付けられた奇妙な人形を取り出し、指から伸びる糸を接続した。
__【ラクンダ】
__【スクンダ】
__【タルンダ】
三重奏が響き渡る。どこか不穏なその旋律は敵対するフェイクシグルドを包み込み、その攻撃力、防御力、命中、回避率を弱体化させていく。
カス子ネキお手製のデバフ三点セットを一つの手数で掛けられる疑似ランダマイザ人形の旋律は続く。それはカス子ネキが強敵相手に戦う際に欠かせない手札の一つであった。今回はまだ他にも戦力がありそうだと思い、そのときになって壊されていては困るので手元で手動発動しているがやろうと思えば一度起動させた後は停止させるか供給したMAGを使い切るまで動き続ける自動人形モードにする事も出来る機能も搭載されている。色々な意味でカス子ネキの力作であった。
しかしこの程度で止まるのであれば、大天使や魔王を討ち取り自らの糧にしたことで希少な生体マグネタイトを使用して統合体として現実世界に肉体を製造される事も無かったのがこの場にいる敵__夜叉鬼 フェイクシグルドであった。
『__……』
呼吸を潜め、フェイクシグルドはその2m超えの巨体をどこに隠したのか暗闇の中に姿を潜め姿を消した。
「うげっ、コレだけ集中して見られてるのに目の前で姿消えるとかマジ??」
「なんか仕掛ける気やな……警戒してくで二人とも」
「見た目よりもトリッキーな戦い方してくるな……忍者か暗殺者か何かか??」
そしてその状態で姿を見失った3人とその仲魔や人形に対して、フェイクシグルドは奇襲攻撃を開始した!!
「__ッ、二人とも後ろだ!!」
「うっげぇ!?バックアタックは勘弁!!」
「アカンわコレ!?カイリューモモちゃんに貸しとるから自力で全力で前に下がるしかあらへん?!」
隊列の後ろからの奇襲攻撃に、三人はそれぞれ大きく動いてその攻撃を回避するが、その代償としてその鋭い爪による攻撃を堕天使 フォルネウスがまともに受けてしまった。
『グァァァ!?』
『き、兄弟ー!?ぬ、ぬわぁァァ!?』
そしてソレが繋がるように奇襲攻撃が成立したことで致命打が発生し、発動されていた【トリックリアクト】の効果が起動する。爪による通常攻撃のみであるが、【ハンティング】の効果により奇襲攻撃が成立すると再行動権を得るのである!!
コレによって肉体を加速させたフェイクシグルドはフォルネウスのみならず隣に居たデカラビアにも攻撃を仕掛け、奇襲攻撃が成立し更に加速。
堕天使 フォルネウスに対してトドメとばかりに相手のHPを吸収する効果がある技である【ヴァンパイア】を発動し、貫手でそのエイのような胴体をぶち抜こうとした次の瞬間__
忽然と、堕天使フォルネウスとその隣のデカラビアの姿が消えた。振るった腕が空振りした事でフェイクシグルドの加速は止まる。
「あっぶな……油断もスキもありゃしないな。こりゃ間違いなく強敵だわ。ちょっと気を引き締めなおそうか皆」
『す、すまぬ契約者よ。助かったぞ。我が友諸共危うく三枚おろしにされて刺し身にされる所であったわ』
『え、縁起でもない事を言うな兄弟!!ヒトデとエイの盛り合わせなど需要がどこにあるというのだ!?』
消えたように見えたフォルネウスとデカラビアは、いつの間にかその契約者である脳缶ニキの元に呼び寄せられていた。
デビライザーによる悪魔召喚は見た目こそハイテクに見えるが実態は古典的なソロモン式悪魔召喚術そのものである。故に、ソロモン式悪魔召喚術以外にも神道式悪魔召喚術も習得している脳缶ニキであるならばかの帝都最強で名を馳せた悪魔召喚師である14代目葛葉ライドウも多様していたという契約による縁を利用した、仲魔の呼び寄せと一時的な霊体化も使うことも可能であった。
「まあ、種も見えたし対策方法も分かりやすいわこりゃ。デカラビア、『十八番のアレ』を貼るの頼むわ」
『うむ……?ああ、アレか!!分かったぞ契約者よ!!』
「フォルネウスは__一旦交代で。送還、そしてCALL!」
『またいつでも呼んでくれー!!』
『うふふ。私を呼んでくれてうれしいわ、坊や』
堕天使 フォルネウスと入れ替えで召喚するのは、黒いレオタードとレザーに身を包んだ、いかにも悪魔然とした黒い翼を持つ美女__淫魔の代名詞としても知られる夜魔 サキュバスを召喚した。
「戦いの場に来れるまで鍛えて来た新人さんの為にも、ボクなりに先輩らしい事でもしておこうかな。いいかいデュエリストネキ?悪魔ってのは、その伝承や姿形に縛られる傾向にある。炎で焼かれて退治された悪魔は大抵の場合火炎属性弱点になるし、霊鳥や妖鳥なんかの鳥型の悪魔は鳥は銃で狩られるという人々のイメージから大抵銃属性弱点だ。まあ例外もあるからそうだと決めつけるのは危険だけどね」
「確かにセツニキからそういう話聞いたことあるわ。悪魔相手に戦うならその伝承とかの知識は頭に入れてて損は無い、やったっけか」
「あー、セツニキの所で鍛えられてたんかデュエリストネキ。確かにセツニキはギャンブル好きだからデュエリストネキのスキルは色々と教え甲斐があると可愛がられそうだね」
「まあ、色々と可愛がられはしたなぁ……地獄のショタおじによる覚醒ハードコースの後に即セツニキの元に送られたんや。おかげでかなり早いペースで強くなれたけどめちゃスパルタやったわ……」
そう言って早急に目が死んでいくデュエリストネキを尻目に見つつ脳缶ニキはサキュバスに指示を出す。邪竜を打ち倒した北欧の大英雄シグルド。その要素を持つ存在であるというのであれば__
「伝承考えると弱点属性は多分これだと思うんだよねぇ!!まあ、根拠は単なる個人的推察と勘だけど!!」
『お姉さんサービスしちゃうわよ〜。それ、【マリンカリン】!!』
サキュバスが手を合わせ、ハートの形を作り出すとその合わせた両手からハートマークの桃色の光が放たれた。その光をモロに受けてしまったフェイクシグルドは、その動きを硬直させた。
陰謀の末に忘れ薬を飲まされ愛する恋人のことを忘れさせられた挙句、そのことに気がついた恋人であるブリュンヒルデの死の宣告を恐れた王子グンナルの手によりシグルドは暗殺された。その伝承から由来するものか、夜叉鬼 フェイクシグルドもまたマリンカリンを筆頭にする各種精神属性の魔法が弱点であった。
「ビンゴ!!さあ、ようやくコレを試せる!!カス子ネキ、手を貸してくれるかい??」
「お、フリスビーニキから受け取った例の戦術支援プログラムか!!やるやる!!」
デビライザーにインストールされた試作型戦術支援プログラム【デビルCO-OP】により、弱点属性を突いた事によって発生した隙に対してこの場にいる最も多い属性のメンバーに対して有効な追撃方法が指示される。
全体的にCHAOSの者の多いとプログラムによって判定が下された事により、CHAOS側のスタンスで生きる者達によって行われた追撃__カス子ネキ本人とその人形、そして仲魔であるグラシャラボラス__元イヌガミの『飛丸』と、脳缶ニキと今この場に召喚されている愉快な仲魔達全員によって放たれた一見属性も攻撃方法もバラバラに見えたその攻撃は、このプログラムによってタイミングを合わせることで攻撃の属性の力を混ぜ合わせ、【万能】に近い力へと属性飽和を引き起こし変換させられた。その純粋な破壊の力により属性の耐性を無視して相手にダメージを与える仕組みである。
ペルソナ使いの戦い方の特色である総攻撃を悪魔召喚師でも再現出来ないかと考え、真・女神転生STRANGE JOURNEY、及びそのリメイク作品真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEYを参考に今回の依頼主のフリスビーニキが再現品として作った代物であった。
ガイア連合でも珍しい古典的サマナースタイルで戦う脳缶ニキにテストを任されたそれは、試作品とは思えない程に完全に動作し敵対者に対して破滅的な破壊を齎す。
『ガァァァァ!?』
ボコボコと無遠慮に撃ち込まれた攻撃を耐性を貫通した状態で無防備のまま受けてしまったフェイクシグルドはその白い甲殻を全身黒く焦がした。動こうとしても受けた魅了によって身動きが取れないため防御姿勢を取ることすら出来ず、ただ耐える事しか出来なかったのである。
「アタシはデバフ続行するわ!これで二回目!!」
『アオォォォン!!オレサマオマエマルカジリー!!』
「じゃ、ウチは今のうちに仕込みしておくわ」
魅了状態のせいで動けないフェイクシグルドに対して二回目の疑似ランダマイザ人形による演奏を行うカス子ネキに連動し、先程の追撃の際に飛び出したグラシャラボラスの『飛丸』がその牙をむき出しにして相手の体を【食いちぎり】食らおうと突撃していく。
そのスキにデュエリストネキは引いたカードから数枚を地面に突き刺し、次の行動へ対する仕込みを行っていた。
『グゥゥゥ……オオオオ!!』
『チィ、サスガニムボウビナマママルカジリハムリカ!!ナラハシカラカジラセロー!!』
『ガァァァ!?』
飛丸が近づいた事で生存本能が強く働いたのか、フェイクシグルドは身体の制御を少しだけ取り戻し無造作に暴れるものの、その動きは精彩を欠いたままであった。そのスキを見逃さす飛丸は犬型の体型を活かし人型の体型では到底取れぬ低姿勢でフェイクシグルドの脚の先に齧りつき、その指先を噛み千切った。
脚に走る激痛によって魅了が解けたフェイクシグルドはなんとか体勢を取り直そうと指が欠損した足を庇いながら一歩踏み出し飛丸に反撃を行おうとしたものの__デカラビアの十八番とも呼べる物理反射魔法【テトラカーン】*6によって反射された。
『ガァル!?』
「たしかにあの連撃は脅威だ。だから初動を潰させてもらった!!」
「そして足元に注意やで?トラップカードオープン!!落とし穴や!!」
『!?!?!?』
踏み出した床が急に硬さを失い、底なし沼のように足が床に沈んでしまったことによりフェイクシグルドは再び行動不能状態へと陥る事となった。
デュエリストネキが習得しているスキルは運に関わるスキルと、山札から引いた火、氷、雷のカードをコストに使用するカードゲームのようなスキルが殆どであり、この【トラップ:落とし穴】*7は後者のスキル群に属するものであった。相手の行動に反応して効果を発揮するトラップ系スキルの一つであり、その効果は名前の通り相手の近接攻撃に反応して相手の足元の硬さが失われることで発生する落とし穴を踏み抜くという単純な物である。しかしその単純さこそがこのスキルの脅威を物語っていた。
なにせ一つの手番が約10秒程度のやり取りで成り立っている対悪魔との戦闘において足元を崩されるということはほぼ一巡の手番を【行動不能】に追い込まれるという事と同義である。この瞬間、再びフェイクシグルドはボコボコにされるという運命が確定した。
「やるねぇデュエリストネキ!!じゃぁ、次は眠らせちゃおうか!!」
『はーい坊や。お望みの【ドルミナー】をお届けよー!!』
足が床に突き刺さった状態な為、当然の事ながら回避は不可能な状態でマリンカリンと同じ精神属性の魔法である【ドルミナー】の眠りを誘う霧をモロに受けたフェイクシグルドはその意識を失い、再び弱点属性を貫いたことで脳缶ニキの持つデビライザーに搭載されたデビルCO-OPが起動する!!
「ははは、フリスビーニキはサマナー冥利に尽きる最高のプログラムを開発してくれたなぁ!!流石にこれはテンション上がるわ!!カス子ネキ!!この追撃、ペルソナ使いの総攻撃と同じ原理でバラバラな属性攻撃をまとめて一つにする事で万能属性に変換して相手の耐性関係なくダメージ与えるようにしてくれるからとにかく威力のある技ぶち込んで問題ないっぽい!!」
「マジでぇ!?そりゃいい事聞いたわ!!サブウェポンとしてぶちこんでおいた【
「あちゃぁー……ご愁訴さんやな。こうなったらもう止まらへんわ。流れ出したエネルギーと同じようなもんや」
この場にいるメンバーで唯一アライメントがNEUTRAL属性であるが故に追撃に参加していないデュエリストネキが傍から見てそうボヤいた。
実際問題、普段は色々と属性相性やらなんやらを考えつつ殴らなければ手痛い反撃を食らうのが悪魔との戦いである。考えること自体は楽しい部分もあるが思う存分ブッパ出来ないストレスというものはこの界隈誰でも抱えるものである。
そんな中で追撃時限定とはいえキチゲを開放して思う存分ブッパしていいぞ!!となったならそりゃ感じるストレスも相まって誰もがブッパ厨の猿になるというものであった。
ペルソナ使いのメンバーはこの快感を独占していたのかと羨ましく感じる程に、カス子ネキと脳缶ニキは抱え込んではいるものの普段はあまり使えていない現時点でいい火力を出せる仲魔や人形のスキルや魔法をバカバカとブッパした結果__
『___……』
結果として、飽和した破壊の力は施設一帯ごと辺りを消滅させるほどの破壊力を撒き散らしてしまった。
その破壊力は現時点のデビルCO-OPによって出せる最高威力を叩き出し、夜叉鬼 フェイクシグルドを断末魔の声すら上げる暇すら与えず、跡形もないほどに消滅させ、地下施設が崩れる事が無かったのが奇跡と思える程に施設に大損害を与えたのであった。
「敵悪魔の反応消滅確認ヨシッ!!」
「周囲の敵対反応無し確認ヨシッ!!」
「「よっしゃー!!僕(アタシ)らの勝ちぃー!!」」
「ちょっと二人ともヤリ過ぎじゃボケーッ!!施設の破壊は最低限にって言われてたやんけー!?」
景気のいい音を鳴らしてハイタッチをする二人に対し、施設に撒き散らされた無残な破壊痕を見たデュエリストネキはそう叫んでツッコんだ。
「あっ。し、しまった!!楽しくてつい……!!」
「……まあ、そういう部分含めてのテストだから……!!このプログラムのテストを頼まれたのもフリスビーニキだし、多分大目に見てくれるとはおもう……たぶん。まあ、あとで皆に詫びは入れないと駄目だろうね……やらかしたなぁ」
「……まあ、こないなけったいなもんを事前に渡してくれたフリスビーニキにも責任あるかぁ。追撃に参加できてたらウチもやらかさへん自信は無いもんなぁ……後で一緒に謝るさかい、二人ともごめんなさいしよなー?」
((……めちゃくちゃ面倒見良いな、この娘……))
この手の楽しいものを手にしたときの黒札(俺ら)の自制心に期待する方が間違っているというものであった。見た目こそ厳ついやつから変なやつまで揃っているが、頭基本的に首領のショタおじ含めて精神はヒーホー族。楽しい事には弱い()
まあ反省してるだけ良かろうとデュエリストネキは面倒くさいことは一旦後回しにして、足を先にすすめる事に決めた。先に進むことを二人に提案し、三人は今の追撃によって破壊された施設を通り抜けて、道なりに施設を進んでいく事を再開するのであった。
「ここが最深部か。コンピューターのメインフレームのようだが……やけに静かだな」
「オペレーションルームっぽい所はすでにもぬけの殻だったし、多分例の主任含む研究員この奥に全員潜んでるんだろうけど……」
それにしてはあまりにも静かに過ぎた。サーバーとそれを冷やす冷却装置の稼動音のみが辺りには響いており、辺りに人の気配は感じ取れない。感覚が鋭利になっている覚醒者の感覚であるのに関わらずだ。
「嫌な予感がしてきたぜ……こういう時は大抵メシア教の奴らはろくでもないことしてきてたからな……生贄を使ってまで天使を召喚するとか、暴走させた悪魔にもう全員食われてたりとか……」
「やめてくれよ霊視ニキ。対メシアンの最前線に立ってるアンタがそれを言うと割とシャレになってねぇって……」
「っと、すまねぇ無神経だったな」
「いや、いい。たしかに最悪の状況は想定しておかないとな……いざその時になって動けなくなるよりはマシなはずだ」
ナイトニキは霊視ニキの謝罪を受け取りつつも言外に気にするなと伝えて、周囲を見渡した。
すると視界の端に、何か変なものが転がっているのを見つける。目を凝らしてよく見るとそれは靴であった。作業員が忘れていったのだろうか__そんな胡乱な考えは、その靴に近づいた瞬間消えて無くなった
「皆気をつけろ……!!コレをやった何者かが何処かに潜んでいるぞ」
それは靴ではあった。だが、靴の中に千切れた足首があるとなれば、それは単なる忘れ物ではなく何者かの殺しの痕跡でしか無かった。
そうして先に進んでいくにつれて、その異様な光景が露わになって行くこととなった。明らかに濃くなっていく血の匂い。何かに怯える表情で絶命した研究員の死体。人では不可能な力で、無理やりねじ切られたようなバラバラ死体に、無理矢理引きずられた事で血のシミと成り果てたズタボロの人の身体が何かを描くように散乱していたのであった。
「……殺されてそう時間はたって無いわね。死体がまだ温かいわ」
ロザリーはその死体達を見て、そう結論付けた。人の身体の専門家であるヒーラーであるロザリーは、検死までとは行かないもののいつ死んだのかの推察位は行える人材であった。
「新しい悪魔を呼び出したけど、制御しきれなかったとか、か?」
「もしそうだとしたらハルカラさんの安否が心配だな……急ごう。形跡から見るに、奥にコレをやった奴がいるのは間違いない筈だ」
その凄惨な光景を見て、オレ達は脚を早めた。絶対に間に合わせるとそう誓いながら。
「ふふふ、待っていたわよガイア連ご……ッ!?ま、まさかあなた達……!?」
その女はオレとトーコさんの見るや否や、そのポーカーフェイスを崩した。
……生憎、オレは写真以外でその面を拝んだ覚えは無いんだが……
「ここに来る途中で無残な死体の山を見つけたが……アレをやったのはお前か?」
「っ!!……ふふふふふ、ええ、そうよ??とあるお方から私は力を授かって……再び生まれ変わったのよ!!」
そう叫ぶとその女__『日暈 ナツメ』は周囲に力による衝撃を撒き散らすと、一瞬にして人の姿を捨て、全身に触手のようなものを身に着けた人型のバケモノへと変化した。
それは悪魔化ウィルスによる人の悪魔への変身でもなく、悪魔に肉体を蝕まれたことにより乗っ取られた訳でもなく、文字通り変異というべき醜悪な変化であった。
「霊視ニキの嫌な予感は的中したな……悪魔に成り果ててしまっていたか!!」
「いや……何だコイツは……!?肉体の構成に生体マグネタイトの反応が一切無いぞ!?」
霊視ニキが眼で見てアナライズをかけるが、その解析結果に驚愕する。
肉体に一切の生体マグネタイトが含まれていないのである。悪魔であれば必ず持ち合わせているその特徴が無い事は即ち、目の前にいる化物が悪魔ですらない正体不明の怪物である事を示していた。
【人 竜 ミズチ】が現れた!!
かの絶対捕食者の復活に、星は悲鳴を上げている!!
……足元に、不気味な色の花々が咲き始める!!研究員の屍を糧にして、フロワロの侵食が始まった!!
「でも、まだこの力は完全ではない……なので、少し先にお暇させてもらおうかしら」
「待て!!」
「待てないわね__22秒前に既にゲートは開いているわ!!」
その女はそう言うと、足元を中心に血で描いた魔法陣のようなものが発光した。よく見ると背中から無数に生えた触腕の一つが、人一人が入れる程の大きさの試験管のような物を抱えている__それの中身がハルカラさんであることを確認までは出来たものの、魔法陣の光が強く発光すると同時にあの女もろとも一瞬で姿を消してしまった。
「……やられた!!クソォ!!」
「どこに向かったか解析出来ないか?!フリスビーニキ!!」
「ちょっと待ってくれ!!今この魔法陣の全体図を解析する!!しかし……この花は何なんだ!?強い毒性を持ってるぞコレ!?あまり皆触れないでくれよ!!」
あと一歩、あと一歩の所で取り逃がした彼らは逃げた相手の行き先を現場にあるものから調べ始めた。
急に咲き始めた紫色や青色の極彩色で彩られた不気味な花々が、まるで彼らをあざ笑うかのように残される光景が、あまりにも悪趣味に写った。