【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ 作:日λ........
呪殺無効の装備は色々とあるものの、それらの中で現代で装備して問題無い見た目のものは本当に貴重である。
例えば呪殺だけでなく精神攻撃を跳ね返すドルフィンヘルムという装備があるが……コイツは見た目がやばい。何せ名前の通りデフォルメされたイルカの形をしているのである。こんなもん四六時中着けていたら不審者扱い不可避である。
鎧とかもそうだ。現代に暮らす以上、まだ終末が来ていない今の環境下でそれらを身につけるのは不味いのだ。なのでムドによる暗殺などを警戒するなら隠して装備できるものこそが理想的な呪殺対策の装備である。
そういう意味ではナイトニキやロザリーが装備している鳥人の腕輪はかなり理想的な呪殺無効装備と言えよう。古めかしい装飾が施された腕輪といった見た目であるため、普通にファッションとして通用する。
しかしこれはナイトニキがガイア連合として地方の異界を鎮める依頼を受けた際に貰った報酬の品であり、掘り出し物の過去の遺産であるそうなので新規入手は困難であろう。
無いなら作るしかないかと技術部のメンバーに話しかけたものの、耐性持ちの装備品の製造は現状中々苦労しているとのことだった。
何せ呪いに対する専門家が少ない。ショタおじはシキガミの核の制作にめちゃくちゃ忙しいのでこれ以上働かせるのは流石に悪いし、我々ガイア連合のメンバーは転生者であり基本的には元は一般人出身が殆どな為この手の古くから続くカルトマジック系の魔法には明るくないのである。
なら現地の霊的組織と協力するかと言われたらそうも行かない。最近現地の霊的組織から受けた依頼を熟した者達から判明したことであるが、この世界の日本は戦争に敗北した際、メシア教の手先であったGHQに当時の霊的な守りを担当していたイタコや霊能力者、悪魔召喚士等を狩り出され皆殺しにされ、霊的な守りをめちゃくちゃにされている事が判明した。今残っている霊的な守りを担当している者達は資質がない為に見逃され、再起することを防ぐ為に組織の保全のみをさせられていた者達の子孫であったのである。通りでGPが上がることがあっても下がる事が無いわけだ。こんな状況でなんとか保たせていた方法も、主に生贄でなんとか鎮めるとかいう涙ぐましい手段であったという。
そんな彼らから更に奪う訳にはいかないし、霊的資質も立ち枯れ気味であるというので関わるメリットなど依頼として異界を制覇できることとそこから得られる素材等や、その手の業界のツテ等を得ることでガイア連合の社会との繋がりを深める事が出来る位であろうか。技術面でははっきり言ってあまり期待できないというのが現状であった。
が、何事にも例外という物は存在しているようだ。ボロボロにはされていたものの、確かに古くから続く知識を受け継いだ異能者の集団がつい最近、ガイア連合と交流を持つようになった。前世でも有名であった、恐山のイタコ達である。
「こんな感じでええんかエドニキ。頼まれてた【大和手甲】に、呪殺避けの式掛けておいたんだけども」
「お、どれどれ……よし、確かに『呪殺無効』の効果が着いてるぜ!!良い腕してるな」
「へへへ、呪いと人形に関しては任せとけ、って言いたい所だけどさー……ガイア連合だと、あたし位の術士も珍しく無いって話だし、もっと鍛えないとね」
「お邪魔するぜーエドニキ。例のマッピングソフトの調整が終わったからそのデータを渡しに……うん?新入りの人かな?」
GUMPの調整と出来上がったのために訪れた工房にて、見覚えのない少女を見つけた。
……何故だろう、初対面のハズなのに何故か何処かで見た事がある見た目をしている。ボロボロの黒いローブに身を包み全身に鎖のようなもので覆い灰色の髪をおさげ。そんなインパクト絶大な見た目をしている上、初対面の筈なのにである。矛盾しているが、どこで見たのか……ん?
「……世界樹の迷宮のカースメーカー♀?」
「……ナナドラのサイキッカー♂?」
「「……えっ!?」」
「いやお前ら、自分の見た目の元ネタに気がついて無かったのかよ」
まあ俺みたいに超有名な奴じゃ無いから案外自分自身の見た目が誰かに似てるとか、気が付かないかもしれないけど。そうエドニキは一人呟いた。
「っと、失礼。自分はフリスビーニキと名乗っている者だ。サイキッカー?と言う割にはなんかハッキングとかデジタルな感じの力を使っているが、まあ見ての通りガイア連合所属の転生者の一人だよ」
「うわぁ見事なルル山ボイス……デジタルな力って事はハッカー、かな?あたしは……丁度いいや。気がついたからコレからあたしはカス子ネキって名乗る事にするよ!よろしくねフリスビーニキ!!」
「ああ。よろしくカス子ネキ。ここにいるってことは新しく入ってきた技術班志望の人なのかな?それとも新しい装備を求めてきたのかい?」
コレが恐山の切り札の一人であり、俺らと同じ転生者でありながら現地の霊的組織で働いていたカス子ネキと自分が出会ったキッカケであった。
「うーん、まあ、どっちでもある、かな?あたしは人形使いでねー。オマケに呪いとかの専門家でもあるから、こっちの技術も学んで自分の力に出来たらいいなーと思って先ず初めに修行がてら自分の得意分野の呪い避けとか作って納品したりしてるのよ」
「おお、凄いじゃないか!自分も今ムド無効にできる防具を求めているんだが、入手の手立てが無くてね……そういった装備を求めている人は沢山いるから、大変ありがたい事だと思うよ」
「えへへ、そう言ってくれると嬉しいなー。そういうフリスビーニキも技術部なの?」
「あー、こいつは凄腕のプログラマーだよ。ガイア連合が設置してるパソコンあるだろ?アレの本体の設計と、OSと掲示板のサイトと専用ブラウザは殆どコイツが作ったもんだよ」
「マジで!?あの文明の光を!?あたしゃアレにめちゃくちゃ感激してたんだけど!!」
目を輝かせてぴょんぴょん跳ねるカス子ネキのチラチラ見える生足から目を逸らしつつ、返答する。
「ちなみに今はコイツのシステムの調整とソフトを組んでる途中だよ。代名詞の悪魔召喚プログラムこそ入っちゃ居ないけどな」
そう言ってフードの中に収めているガンホルスターから、GUMPを引き抜き引き金を引いて変形させる。
ガチャガチャと変形するのは強度的に問題になるように思えるが、その辺りは所有者の生体マグネタイトを循環させる事で強度を上げる鉱石を使用した特殊合金を本体に使用し、モニター部は空間投射型にして液晶を使わず全面その合金にすることで解決している。今はまだ中身のプログラムが未完成なので色々と不完全であるが、いずれスプーキーズのそれにも匹敵するような物に仕上げてみせる予定である。
「GUMPまで……ガイア連合の技術部ってすごい所なんだな。めっちゃワクワクする!!」
「皆各々のロマンばっか追ってるバカ揃いだけどな。でも、カス子ネキみたいな子にそう言ってもらえるなら技術者として嬉しいよ。ようこそカス子ネキ、技術部へヨーソローってな。オレ達は君が来るのを歓迎するぜ?」
そうして案内がてら技術部の面々をカス子ネキに紹介するなど友好を深め、本来の目的だったGUMPのマッピングソフトの入ったUSBメモリをエドニキに渡して自分はその場を去っていった。
やっぱ後輩が入ると嬉しいものだよな。年下だと尚更ね?
後日、カス子ネキから楽しませてもらったお礼の贈り物として呪殺無効耐性を持った防具である【大和手甲】を受け取り、そのお礼として新しく組んだ生体マグネタイト発電対応型の小型のノートPCを自分も送った。喜んでもらえると嬉しいのだが。