【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ 作:日λ........
日本で最も有名な霊験あらたかな霊山、富士山。その富士山に霊的に隠された形で建てられたその神社は今、かつての静かさが嘘のように個性豊かな様々な者達が訪れていた。
クセの強い銀髪のロン毛の作画が天野喜孝な少年。
黒いボロ布と鎖を身に着けた少女。
見事に鍛え上げられた筋肉の上に白スーツを身に纏った疵面の男。
なんか二足歩行の豆柴で可愛いやつ。
どこかで見た度し難い仮面を被った集団。
笑顔が胡散臭いサングラスと特徴的な髭の男。
緑色の長い髪を平紐で縛り、長いおさげにした髪型と差し色に黄色を入れた青い服と、頭巾姿が特徴的な少年。
白い肌に灰色の髪、真っ赤な瞳の学生服の美少年。
金髪にエルフ耳の美形であるのに関わらず格好が半裸なせいで台無しにしている蛮族。
広間になっている場所の中心で子守歌を歌っている人魚。
などなど、年齢層も見た目も純日本人から外人、人の形から逸脱しているデビルシフターやデビルアームズ、デビルチルドレンに悪魔人間等々などてんでばらばら。混沌の坩堝たるガイアの名に相応しい面々が揃っていた。
そんな光景を前に目を白黒させるトーコさんの姿を見て、自分はこの光景の異様さに慣れきってしまっていたと改めて気がついた。自分の場合、PC開発はショタおじからの直接の依頼だった事とショタおじ本人が居なければ進めることが不可能な作業が多かった事から星霊神社に半分住み着くような形で開発を進めていた為、修行に来る他の俺らとの距離は非常に近く彼らの変化も日々眺めていたので逆にその異様さに気が付かなかったのである。
今自分はトーコさんと共に星霊神社へと足を運んでいた。ナイトニキとモモメノさんは喫茶店の食品の在庫の仕入れを済ませてから来るとのことなので後から修行用の異界の前で合流する予定である。
「本当に話に聞いた通りじゃないどうなってるのコレ。半年前も確かにニーサンとかそっくりさんは居たけど、ここまでじゃ無かった筈なのに……」
「おっ、フリスビーニキじゃん。そっちのセーラー服のおねーさんは新人さん?」
「いや、ガイア連合入りに関しては自分と同じ最古参の霊山オフ会組だよ彼女。ただ、覚醒した後ずっと東京で活動してたようでこっちの変化に驚いてるんだ」
「あー、そういう。話を聞く限りだと半年前まではここまで濃い面子揃ってなかったって話だし驚くよねこんなん。っと、知り合いだけで話し合ってて悪いね。僕はタカダチ・ゼット。ちょっと前までメシアン共のクソ天使に脳みそだけ培養液に詰められて缶詰にされてたから皆からは脳缶ニキって言われてるよ!よろしくね」
あっ、エゲツない情報の濁流にトーコさんの表情が宇宙猫になってる。ゼット君はその辺の遠慮がねぇからなぁ……この過去が一切精神の折り目になってないのは凄いと思うんだが、ちょこちょこ自分の過去を軽く扱って他の面々を絶句させるんよねこの子。
「それでさフリスビーニキ。頼んでたソフトの翻訳ってもう済んでる?そろそろ自分も手持ちのマッピングソフトが欲しくてね」
「ああアレか。出来てるがちゃんと稼働するかは実際試してみないと分からんぞ?デビライザー側の調整はいつもどおり自分で頼むぜ」
「ありがとうフリスビーニキ。僕もやろうと思えば出来無くはないけどソフト面に関してはフリスビーニキ程専門家じゃないから時間がかかり過ぎたり、元のソフトから完成度が下がったりして困ってたからなぁ」
「出力方式はデビルカード?他の物にも出来るけど」
「僕の場合はカードが使い慣れてるからカードでお願い」
「はいよー。ちょっと待っててくれ」
懐のホルスターからGUMPを引き抜き、ハッキングスキルを使う際に現実に具現化している半透明のプラグ付きケーブルをGUMPの接続端子に差し込む。
空間転写型のディスプレイの仕組みを応用し、周囲の空間に五芒星形の魔法陣をMAGで書き込み、自身の持つ情報を『悪魔の肉体と同じ方法でカードの形』に出力する。今回の場合はデビライザーの出力方式である魔界言語に変換した【マッピングソフト】と、オマケにこの前完成したインストールソフト【エネミー・ソナー】と【ヒロえもん】を同じように変換したものを【デビルカードとして出力】する。GUMPに内蔵された生体マグネタイトバッテリーからそこそこの量のマグネタイトが消費されると、形を与えられた情報はカードとして物質化しはじめ、これらの実行する為に
そうしてすべての工程が終了すると展開されていた五芒星の魔法陣が消え、魔法陣があった場所にはピカピカと光り輝くカードがゆっくりと3枚回転しながら宙に浮いていた。その三枚のカードを手に取り、眼で視てどれがどれだかを判別する。
分かりやすいようにそれぞれのカードの絵を地図のマークと、真・女神転生でエネミーを表すマーカーだったオニマークと、コインのマークに書き換えておく。元々GUMPの中に入っていたアイコンを転写する程度の作業だったので手にしたカードにプラグを差し込んで即座に両面同じ絵柄だったカードの片面がそれらに書き変えた。
「よし これが【マッピング・ソフト】のデビルカードだ。これがベースになるから一番始めにコレをデビライザーに指してインストールしてくれ。その後に、こっちがおまけのインストールソフトの【エネミー・ソナー】と【ヒロえもん】だ。どっちも最近完成したソフトだが、使い勝手を確かめて貰いたいから渡しとくな。後でメールで説明書を送るから、使ったあとに感想を返信で送ってくれると助かる」
そう言ってゼット君にデビルカード化した各種インストールソフトを渡す。
何故わざわざプログラムをMAGまで使ってデビルカードに変換してるのかといえば、デビルチルドレン達が使うデビライザーはGUMPによく似た形をしているが『厳密には機械ではなく悪魔に近い擬似生命体』だからである。錬金術により作られ、プログラムのようなもので動いているという話だが当然のことながら半分ナマモノなので人の作ったプログラムなんて動く訳がない。なのでプログラムそのものを魔界言語に翻訳した上で覚えさせる工程に加えて悪魔合体に近い形でデビルカードを消費する事になったのである。ナマモノならナマモノらしい解決方法があるって事だな!!
「……かっこいいねそれ!!初代デビルサマナーのOPを思い出すわ。ありがとうねフリスビーニキ。コレで今までただの光線銃としてしか使えなかった形だけのデビライザーがようやくそれっぽく使えるかも。ヴィネコンも必要になりそうだからそっちも準備しないとなー」
「まあ、何か不具合が出たら教えてくれ。デビライザーそのものに関しては専門外だが、今回の依頼で前払い分の報酬としてもらった機械言語翻訳版ネクロノミコンのお陰で、ソフトの魔界言語への変換は可能になったからな。インストールソフトが欲しくなったら言ってくれ」
ゼット君……脳缶ニキの用意してくれた機械言語翻訳版ネクロノミコンはショタオジのチェックが入った上で所持がOKとされた珍品だ。某N関連の知識がわざと抜けている形跡があったり、外なる神関連の記載が情報汚染が無い純粋な読み物であったりする割に、人の為になる知恵や力は持っているチグハグな品である。加えて機械言語=ベーシック言語かつ一応本になっていて紙ではあるがページはパンチカードになってるというキワモノである。
魔界言語やルーン文字等のオカルト言語の翻訳元が欲しかったので何かいいものがないか探していたらこんなのあるぞーと本屋をしているゼット君がデビライザーへのインストールソフト対応化を条件に渡してくれたのだ。パンチカード読み取り機の購入と設定にはちと手間とお金が掛かったが、その価値はある情報源であると言えよう。電子変換が難しい?情報を出力出来たら直接見て自力でデータ化余裕なので問題ない。
「僕の欲しかった【ヒロえもん】まで用意してくれたの、ホントにありがとうフリスビーニキ。いやー、封魔管式での悪魔召喚を覚えれば行けると思ったら駄目だったからね。デビライザーでの悪魔召喚はまさかの古典的なソロモン式悪魔召喚術を見た目ハイテクっぽくしてる代物だったとは思わないじゃん??なんか錬金術の類も必要そうで暫くはCALL!!すら無理そうなのやっぱ……つれぇわ……」
「言えたじゃねぇか……まあアレだけ管での悪魔召喚術頑張って覚えてたのに技術系統違うからデビライザーでは無理でーす使えませーんは素直にキツイよな。原作再現出来るようになるの応援しているぞ」
どうやらGUMPによるデビルカードの出力動作と理想のデビライザーのCALLの動きが重なって心の声が幾分か漏れたようだ。いくら苦行に耐えれる精神してても努力の方向性が根本から間違ってました!!逆方向にダッシュし直せ、は流石に辛いものがある。掲示板だとなんでもない感じに書き込んでいたが書き込んでる時点で結構心にキテたのであろうと察した。ショタおじの元で結構封魔管使った召喚術練習してたの見てたからね……無駄にはならんだろうが本来の目的には使えないのは辛いよな
今回のおまけのインストールソフト2つはヘーキな顔してるけど内心ちょっと凹んでるであろうゼット君を励ます為に用意した物でもある。
「……仲間内で素直に僕のやる事応援してくれるフリスビーニキみたいな人珍しいんだよねぇ。まあ確かに僕性格そんな良くない自覚あるよ?悪魔相手にハメたり交渉したり協力したりしてるしさ。でも僕が話したり提案すると明らかに皆身構えてるのはなんでなんでぇ……?」
「そこは自業自得としか言いようがないわ。オレがそうしない理由は単にオレが受けた修行をベースに改良した地獄の修行ハードコースを二回も受けた後輩だからってだけなんだよなぁ……普通ここまで悪魔との距離が近いのは皆身構えるってそりゃ」
時間が足りないから上手く当たりそうな死因をごちゃまぜにして総当りにしつつ時間圧縮するわ!!とショタおじから無慈悲を食らって、地獄巡りで死に続けた末での過労死が原因で覚醒したのがオレである。そしてゼット君はその改良版の修行を手違いで二回も受けてしまったらしい。アレを突破して精神が無事ならば滅多なことで精神を悪魔に乗っ取られることは無いだろうと判断しているのもあるが、同じような経験をしている後輩にとは仲良くしたいという気持ちから割と彼とは距離が近かったりする。
まあ後輩とは言うけど、とっくの昔にレベルの面では抜かされてるから大した先輩面は出来んのだけどね。哀しいねバナナ味。
そんなふうに二人で話していると、宇宙猫状態から復活したトーコさんがゼット君に話しかけてきた。
「……ごめんなさい。急に衝撃的な話されたからちょっと受け入れるのに時間が掛かったわ。私はトーコ。ガイア連合東京支部の提携企業『ノーデンス・エンタープライゼス』の社員よ。よろしくねゼット君」
「……ノーデンス?あれ、それって確かこの世界のSE●Aがやらかしてコケた時に買収してスポンサーの位置に収まって監視しつつゲーム開発存続させた会社じゃ」
「うん。うちの会社の社長もガイア連合の仲間の一人なの。見た目はその、異世界おじさんそっくりだったわ。経歴もそっくりの魔界帰還者だったのよね……」
「「なん……だと……!?」」
この世界のドリキャスが矢鱈と普及していて他のハードといい勝負していたり、初動生産がしっかり出来ていたり性能維持したままコストダウン出来てたりしてたのってそういつことだったのか……?!とゼット君と共に衝撃の事実を知り、驚愕した。
この世界のSE●Aの未来は明るいなーと話し合っていると、でも終末が来るんだよなぁと三人でため息を着いた。
堅物そうで今のガイア連合に馴染めるか不安だったけど、この様子なら案外トーコさんは慣れれば平気かもしれない。そう思いながら、オレは他の知り合いとトーコさんの顔合わせを続けていった後、エドニキに呼び出されて一旦その場では別れ、後で修行用異界の前でナイトニキたちと一緒に合流するという流れとなった。
どうやらオレの専用シキガミがようやく完成したとの事だった。とても楽しみである