いつの間にか真っ暗な屋外に佇んでいたナギリ。
すると何かが近付いてくる音がする。
コロコロと、ゴロゴロと。
その正体と、近付いてきた目的は…。


Pixivにも載せてます。

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大事なキミよ、ボクといて

ふと気付けば見覚えのない空間に佇んでいた。

屋外のようだが特に建造物も明かりもなく、見渡す限り暗闇が広がっている。

地面は未舗装で、少しばかり足を動かすだけでところどころある小石混じりの砂利を踏みしめる。

「何処だここは。何故オレはこんなところに……?なんだ、この音は?」

キョロキョロ見渡していると、右方向からゴロゴロと音を轟かせながら何かが転がってくる。まるで大玉転がしで使用する大きいボールのような。

そのボールがすぐ目の前で止まったかと思うともぞもぞと動いて形を変えていく。それはボールなどではなかった。先程まで丸まっていたその身体を伸ばすと、サイズこそ違えど見慣れた愛らしい姿へと成った。

「ヌー!!ヌリヌリヌン(ギリギリさん)!」

「おぉ!丸!!…丸、だよな?なんか、大きいが…」

そうそれは自分(ナギリ)にとって最愛の友である、アルマジロのジョンだった。本当は触れ合いたいところだが何故かいつもより何倍も大きいため、抱えることも肩に乗せることも不可能だ。

「ヌリヌリヌン!!ヌッショヌ ヌヌヌ〜(いっしょに たべよ〜)♡」

巨大サイズのジョンはゴソゴソと背負ってきたバッグを漁ると、取り出した今川焼きを差し出してきた。もちろんこちらもジョンと同じく通常よりはビッグなサイズだ。

「ヒヒッ、オマエは今川焼きが好きだな〜。どれ、半分に切るか。しかしなんかお前同様にこいつもデカイな。……?なんだこの音は?また何か…」

バグっている大きさに首を傾げながらも差し出された今川焼きを分けようとしたところで、先程よりも重低感があるゴロンゴロンという轟音が後方から聞こえてきた。

そちらへ振り返ると、アルマジロ (ジョン)によく似た顔をしているが明らかに生身ではない機械の肉体を持つ生命体がこちらへ転がってきており、ナギリのすぐ傍で停止した。

ナギリにははっきりとそれ(・・)が何者かが分かった。

なんと目の前に現れたのは『アイジャ飯』の地雷ロボだった。

「は?!おまえ…もしかしてマルか…?あのマンガで登場したロボの…」

「ヌー!!ヌイヌヌッヌー!(会いたかったー!)」

ロボット特有の電子音ではあるが、この“マル”もジョン同様にマジロ語で会話ができるようだ。

「ヌー。ヌヌ、ヌイシーヌヌ ヌヌヌヌ!(これ、美味しいから食べてヌ!)」

そしてこちらも背負ってきた箱を下ろすと、作中にも登場した【バイオカジキ丼】を差し出してきた。現物は初めて見るが、掲載された『アイジャ飯』に描かれていたので姿形は知っている。殺し屋忍者とマルが食べ歩きするシーンが愛らしく美味しそうだと人気を博したものだ。

「こ、これは、たしか【バイオカジキ丼】とかいう…?食べるのは構わないが…ちとサイズがな…」

「オヌヌイッヌイ、ヌヌヌヌシーヌ。(お腹いっぱい食べてほしいんだヌ)」

こちらのマルもジョンと似たりよったりのビッグサイズ。当然ながら取り出した丼茶碗もとても大きなサイズ。そしてそこにたっぷりご飯と具材が盛られている。

差し出されているナギリは大食いでも何でもない為、流石にこれを食べれば他の(・・)ものは入りそうにない。

「ヌヌヌヌ ヌンヌ ヌヌヌーヌヌ、ヌヌリ(・・・)ヌ!ヌ?(食べたらヌンと遊ぼうヌ、二人(・・)で!ね?)」

そうウインク混じりに誘うマルに、「ヌッ!?」と呟きムッとした様子のジョンはナギリへの視線を遮るようにマルの前に立ちはだかる。

「ヌリヌリヌンヌ、ヌンヌ ヌイヌヌ オヌヌヌヌ ヌヌ!ヌヌヌ、ヌンヌ!(ギリギリさんは、ヌンの大事なお友達なの!だから、ヌンのモノ!)」

そう高らかに主張するジョンにマルは首をカクカクと横に振る。

「ヌヌヌヌ イヌヌヌ、ヌンヌ ヌヌヌヌヌ。ヌヌヌーヌン ヌヌヌ、ヌンヌヌ!(この人がいたから、ヌンは生まれたヌ。パパ同然なのだから、ヌンのだ!!)」

そう主張する二人は何故かズンッと体躯が若干巨大化した。

「…?オイ、お前たち、今大きくっ…」

「ヌリヌリヌン、ヌンヌヌヌ ヌヌヌヌヌヌヌヌヌ ヌヌヌ! ヌン(・・)ヌ ヌーヌーヌヌン!(ギリギリさん、ヌンのこと助けてくれたことあるヌ!ヌン(・・)のヒーローだもん!)」

そう鼻息荒く自慢気に主張するジョン。それに比例するかのようにまたズズンッと身体が大きくなる。どうやらやはりナギリの気の所為ではないようだ。

そんなジョンに対し、鼻を鳴らしてマルも胸を張る。

「ヌンヌッヌ、ヌンヌッヌ ヌヌヌヌヌヌ ヌヌヌヌヌヌッヌヌン!ヌンヌ(・・・)ヌーヌーヌヌン!!(ヌンだって、ヌンだって爆発の運命から助けてもらったもん!ヌンヌ(・・・)ヒーローだもん!)」

そう大声で主張するとこちらもまたしてもググンと巨大化した。

グヌヌと悔しそうなジョンは相手が持っているものをピッと指差す。

「ヌ、ヌイヌイ ヌヌ ヌイシーヌヌヌ?(だ、大体それ美味しいのかヌ?)」

「ヌ?オヌヌヌヌ ヌヌイヌ ヌヌ ヌヌンヌヌ ヌーッヌヌ ヌイシーヌ!!(ヌ?お魚と野菜に醤油ベースのタレが絡んでて、とーっても美味しいヌ!!)」

マルの頬を赤く染めながらのその言葉にジョンは思わずヨダレが出そうになる。

「ヌイシーヌヌヌー……………ッ!!(美味しいのかヌ……)」

ハッと我に返るとぶんぶん頭を振り煩悩という名の“食欲”を払い除ける。

「ヌンヌヌ ヌリヌリヌンヌ オヌイヌヌ ヌヌヌヌ!(ヌンのは、ギリギリさんとの思い出の味だヌ!)」

ジョンはそう奮い立つようにしっかりと主張をすると同時にナギリの腕へ抱きついた。

「ヌヌヌ、ヌンヌ ヌヌ!!(だから、ヌンとなの!)」

「!  ヌヌヌ、ヌンヌ(違う、オレとだ!)」

負けじとナギリにマルも抱きついてきた。

ナギリを取られまいと抱きつく2匹。

「お、お前ら、ちょ、ちょっと……ま、うわぁ!!」

圧迫してくる2つの巨躯に挟まれ、思わず脱出しようともがくが………

 

 

そこでハッと目を覚ました。

「うわぁっ…っっ、…ま、丸…?」

ガバっと起きあがるとそこにあるのは紛れもない自室。

目覚まし時計の針は起きるには早すぎる時刻を指していた。

「ハァ、なんだ夢か…。もう少し寝るか………」

再び横になった振動で、すぐ近くに居た丸電球がコロンと転がる。

そのままの勢いでナギリの胸元まで到達すると、丸電球はほんのり点灯し、ほくそ笑む。

 

「ぬひひっ、ぬんぬ♪」


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