22/7 時計の時間   作:友だち

13 / 42
最後の瞬間だとしても

審判がアディショナルタイムを第4審に示す。それを聞いた第4審がそれぞれのベンチに何分かを伝えにくる。

 

第4審「アディショナルタイムは一分です」

 

紡久「はい」

 

ニコル「そういえばアディショナルタイムって何? なんで前半後半に時間を追加されるの?」

 

愛守香「えーと。サッカーって実際オンプレーの時間は45分じゃないじゃん。ボールとりにいったり、怪我人運んだり。『空費された時間』って考えればいいかな?」

 

月渚「なるほどな。ああ、水すまぬな」

 

 途中交代をした月渚が、スクイズを愛守香に返す。

 

 スコアは1−4。すでにナナニジの勝利は確定している。ピッチの中では消化試合だという雰囲気が流れ始めていた。

 

紡久「おい! 集中しろよ!」

 

 初戦で、前半後半計60分走り続けた巴はバテている。しかし、根性を振り絞って走る。敵のフォワードにボールが渡る。そのままドリブル。

 

 絢香とマッチアップ。巴と挟むつもりだ。しかし、ボランチの右からボランチが走ってくる。彼らはまだ勝負を諦めていないのか、はたまたは最後の一点を取りに行くのか。

 

紡久「さくらーーーーーー!」

 

 紡久が怒鳴りあげた本人の足は完全に止まっていた。眼の前にいた選手の動きは見ていたが、反応出来なかったのだろう。

 

 そのまま麗華の絢香を抜けようとする。二人はそこに反応してパスコースを切ろうと動く。しかし、更にもう一人のボランチが絢香の左を走ってくる。桜への怒鳴り声に反応してなのか、そのボランチにマークをつこうとするが、ついていくことは出来ない。

 

 フォワードは右側を走る敵にボールを出す。絢香とつぼみの後ろを狙う。ボールが通る。完全に抜け出された。

 

 絢香もつぼみもそこまで走力は無い。お互いにポジショニング等でそこをカバーしているので、スピード勝負となると勝つことは難しい。

 

 ゴールキーパーのあかねと一対一。あかねが飛び出す。シュートを撃たれる━━━━。

 

 ボンッ!

 

「止めた!」

 

 ベンチからの声が出る。しかし、再び相手が広いそうになる。もう一人の飛び出ていたボランチだ。麗華が体を張って止めようとするが、上手く体を前に入れられてしまった。そこに、体があたってしまい、フリーキック。

 

 PKではなかったものの、かなりゴールから近い位置でのフリーキックだ。

 

 ナナニジは壁を五枚設置。壁はニア側から、麗華、絢香、つぼみ、巴、桜の順番だ。また、壁が飛んだとき、その下を通されないよう壁の下側で寝転ぶ役として真紀。

 

真紀「何よこれ……。怖すぎでしょ……」

 

 悠希も下がり、全員で守備をしている状態だ。相手はキーパーすらも上がってきている。ゴール前は22人がひしめく状態だ。

 

 ピッ。

 

 笛の音が鳴る。

 

 キッカーが助走をして、蹴る━━━━!

 

 あかねが再び弾く。しかし上手く弾けない。ほぼ真下へ。そこを相手が詰め寄り、ボールをゴールへ突き刺していた。

 

 4−2。もちろん、もともと終盤に三点差をつけていたので、勝ち負けには、全く関係のない失点だ。

 

 とはいえ、何とも後味の悪い勝利ではあった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。