審判がアディショナルタイムを第4審に示す。それを聞いた第4審がそれぞれのベンチに何分かを伝えにくる。
第4審「アディショナルタイムは一分です」
紡久「はい」
ニコル「そういえばアディショナルタイムって何? なんで前半後半に時間を追加されるの?」
愛守香「えーと。サッカーって実際オンプレーの時間は45分じゃないじゃん。ボールとりにいったり、怪我人運んだり。『空費された時間』って考えればいいかな?」
月渚「なるほどな。ああ、水すまぬな」
途中交代をした月渚が、スクイズを愛守香に返す。
スコアは1−4。すでにナナニジの勝利は確定している。ピッチの中では消化試合だという雰囲気が流れ始めていた。
紡久「おい! 集中しろよ!」
初戦で、前半後半計60分走り続けた巴はバテている。しかし、根性を振り絞って走る。敵のフォワードにボールが渡る。そのままドリブル。
絢香とマッチアップ。巴と挟むつもりだ。しかし、ボランチの右からボランチが走ってくる。彼らはまだ勝負を諦めていないのか、はたまたは最後の一点を取りに行くのか。
紡久「さくらーーーーーー!」
紡久が怒鳴りあげた本人の足は完全に止まっていた。眼の前にいた選手の動きは見ていたが、反応出来なかったのだろう。
そのまま麗華の絢香を抜けようとする。二人はそこに反応してパスコースを切ろうと動く。しかし、更にもう一人のボランチが絢香の左を走ってくる。桜への怒鳴り声に反応してなのか、そのボランチにマークをつこうとするが、ついていくことは出来ない。
フォワードは右側を走る敵にボールを出す。絢香とつぼみの後ろを狙う。ボールが通る。完全に抜け出された。
絢香もつぼみもそこまで走力は無い。お互いにポジショニング等でそこをカバーしているので、スピード勝負となると勝つことは難しい。
ゴールキーパーのあかねと一対一。あかねが飛び出す。シュートを撃たれる━━━━。
ボンッ!
「止めた!」
ベンチからの声が出る。しかし、再び相手が広いそうになる。もう一人の飛び出ていたボランチだ。麗華が体を張って止めようとするが、上手く体を前に入れられてしまった。そこに、体があたってしまい、フリーキック。
PKではなかったものの、かなりゴールから近い位置でのフリーキックだ。
ナナニジは壁を五枚設置。壁はニア側から、麗華、絢香、つぼみ、巴、桜の順番だ。また、壁が飛んだとき、その下を通されないよう壁の下側で寝転ぶ役として真紀。
真紀「何よこれ……。怖すぎでしょ……」
悠希も下がり、全員で守備をしている状態だ。相手はキーパーすらも上がってきている。ゴール前は22人がひしめく状態だ。
ピッ。
笛の音が鳴る。
キッカーが助走をして、蹴る━━━━!
あかねが再び弾く。しかし上手く弾けない。ほぼ真下へ。そこを相手が詰め寄り、ボールをゴールへ突き刺していた。
4−2。もちろん、もともと終盤に三点差をつけていたので、勝ち負けには、全く関係のない失点だ。
とはいえ、何とも後味の悪い勝利ではあった。