22/7 時計の時間   作:友だち

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エースの背番号

薫子を探すこと10分。

 

 みうとニコルは会場周りを探す。重度の方向オンチである薫子のことを考え、絶対行かないだろうというところまで探すようにする。

 

 そしてようやく━━

 

みう「見つけた」

 

 二人が見たのは、道端の人に道のりを聞いている丸ノ内薫子の姿だった。

 

みう「丸ノ内さん━━━━!」

 

薫子「あなた達は━━!」

 

ニコル「文野さんと君島さんがあなたを試合に出そうと必死になって探してるわ。会場まで案内するからついてきて」

 

薫子「あぁ。ごめんね。迷惑かけちゃって。方向教えて貰ったら一人で向かうから」

 

みう「じ、実はシュシュの二人から……その……必ず連れてくるようにって言われて…………ごめんなさい!」

 

薫子「あはは。そんなに私信用されてないんだ……」

 

ニコル「じゃあ私は別方向に探しに行った二人と、あなた達のチームに合流出来たことを走って伝えてくるから。滝川さん。あなたは確実に丸ノ内さんを連れてきなさい」

 

みう「う、うん……(といってもほんの数百メートルだけど……)」

 

そうしてこの場を駆け足で離れていったニコル。この場には、みうと薫子の二人だけ。二人は会場に向かう。

 

薫子「ところでナナニジのみんなは、どうしてこの大会に参加することになったの?」

 

みう「悠希ちゃんが、出たいって」

 

薫子「ミコの代わりにライブに出てくれた子ね。やっぱりサッカーやってたんだ」

 

みう「はい」

 

薫子「滝川さんは、この大会にとんでもない賞金がかけられていることを知ってる?」

 

みう「一億、でしたっけ? 家族の生活のためにアイドルになった私からしたら想像できません」

 

薫子「そうね。その額はアイドルグループにとってはとんでもない額よね。専門のトレーナーも呼べる。海外へのロケだって行けれる。もちろん今はご時世がら難しいけどね。それに、国立だって簡単に使わせてもらえるわ」

 

みう「そんなに……」

 

薫子「ねえ滝川さん。今、ヨーロッパのほうのサッカークラブには、莫大な資金力を持つクラブがあるの。例えば、マンチェスターシティだったり、パリ・サンジェルマンって言うところだったり。そのお金は、何を売って入ってくるところだと思う?」

 

 いきなり知らない単語(というかチーム)が出てきて慌てるみう。

 

みう「え…………。えっと…………。ツナ……?」

 

薫子「ツナじゃないかなあ〜。答えは石油。中東の資産家が、そのクラブを買って、莫大な資金を使わせてあげてるの」

 

みう「知りませんでした」

 

薫子「まあ私も最近知ったんだけどね。まあ、そんなやり方、不快に思う人も当然出てくるわ。例えば、サッカーに対しても強い伝統があって、びっくりするほど今な財政難なバルセロナのファンとかは特にね……?」

 

みう「バルセロナ……?」

 

薫子「滝川さんは、バルセロナは聞いたことあるの?」

 

みう「うん。どこかで、どこかで聴いたことある……。それも、最近……」

 

薫子「メッシっていえばわかるかしら」

 

みう「あ━━━━」

 

薫子「さすがにメッシとくれば滝川さんでも知ってるようね。最近ニュースでやってなかった?」

 

滝川「8月ごろにニュースで聞きました。内容は全然覚えてなくて、悠希ちゃんが珍しくずっとテレビを見ていたのを覚えています。多分サッカーに関わることでは相当大きなことだったんですね……」

 

薫子「そうだね」

 

薫子「ところで滝川さんは何番なの?」

 

みう「じゅ、十番……」

 

薫子「いいじゃない。私もよ。スターの番号よ。センターに相応しいじゃない」

 

みう「……」

 

薫子「どうしたの?」

 

みう「この番号も、センターのポジションも、望んで得られたものじゃありません。私が『じゃあエースの番号だから頑張れ』って言われても、私には不可能です」

 

薫子「そうよね。実際誰がエースだなんて、自分が望もうが望まいが、他から決められるものだもの。私なんて、アイドルになることすらも、人に決められた。その人にはきっと、想像以上の羨望と期待が寄せられる。その時の感情は本人じゃなきゃ分からないものなのかもね」

 

みう「そうですよね……」

 

みう「そういえば、そっちの監督はどんな人なんですか?」

 

薫子「実は、こっちの監督は私たちと同じ高校生らしいの。あっちのほうがもともと決めていたらしくて……」

 

みう「実はこっちも…………」

 

薫子「へえ、そうなの? 私たちも一緒よ。どんな監督なの……」

 

みう「サッカーのことについてとても詳しくて、情熱のある人です。私たちの特徴をしっかりと見抜いてくれています。だけど……」

 

薫子「だけど……?」

 

みう「戦術に対して、すごいこだわりを感じるんです。自分はこのサッカーをする。これ以外絶対にやらないって、ものすごい固まったものがあるように思えます」

 

薫子「そう━━━━。あら、そろそろ見えてきたわ。ミコも奈々もいるようね━━━━。って、揉めてる━━?」

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