22/7 時計の時間   作:友だち

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アクシデント

前半を3−0で折り返した。ナナニジのベンチの雰囲気はとてもいい。紡久は、ボードを見ながら、後半の手を考えている。

 

愛守香「みんな。後半も頑張って!」

 

つぼみ「後半ももっと点取ろう!」

 

 

 

 そんな感じでしていると。

 

「もっと集中しろ!!」

 

 向こうのベンチから怒声が聞こえてきた。

 

都「なんやなんや?」

 

晴菜「怒ってますね……。向こうの監督」

 

サンジュの監督「お前たち! 負けたいのか? 勝ちたくないのか? ここ負けたらほぼ終わりなんだぞ!」

 

 向こう側の大声が聞こえている中、紡久が後半の指示をし始めた。

 

紡久「いいか。相手はここを……」

 

みう「これで終わり……」

 

 

 

 

 後半が始まる。

 

 紺色のジャージに、紺色と空色のチェック柄のパンツ。間違いなく「シャンプーの匂いがした」衣装が元になっている。

 

「みんないくよ!」

 

 向こう側のキャプテンが手を叩きながら、チームを鼓舞している。

 

絢香「集中するぞ。風紀委員」

 

麗華「わかってるわよ」

 

 全員位置についた。後半はナナニジボールから。

 

 悠希は相手チームを見た。

 

悠希「なんか……。相手こっち側によってないか?」

 

 相手チームはフォーメーションなどないかのようにセンターラインに詰め寄っていた。

 

 笛の音が鳴る。

 

 ピーーーー。

 

 悠希は麗華に下げる。その瞬間、後ろにいた敵チームが一斉に前に走り出す。

 

 突進のようなプレスをかけてきたのだ。

 

麗華「うわっ。ちょ……!」

 

 麗華はびっくりしてしまい、絢香に思わずボールを出す。

 

絢香「お前……!」

 

 絢香はすでにプレッシングのはまりどころだ。繋げないと判断したのか、ボールを蹴ってしまう。そのボールはタッチラインを割って、相手のスローインだ。

 

絢香「おい。しっかり見て出せ!」

 

麗華「ごめん。びっくりしちゃって……」

 

絢香「全く……」

 

 相手はスローインですぐさま再開する。後ろの味方に投げる。そして蹴る。

 

月渚「面倒だな……」

 

 飛んでくるボールの起動を読み、うまくヘディングで合わせてクリア。もう一度スローインだ。

 

 近くにいたフォワードがすぐさまボールをとって再開しようとする。サイドハーフにボールを渡す。サイドハーフはトラップをしてそのまま走る。

 

 月渚を抜く。そのままサイドを駆け抜ける。

 

月渚「まずいな……」

 

 瞬く間の攻撃。麗華が月渚に近い位置ではないので、サイドの奥まで運ばれてしまう。ようやく追いつきそこで一対一。

 

麗華「やられない! って、ああ!」

 

 相手は麗華にボールを当ててピッチに出す。コーナーキックだ。

 

 サンジュチームの殆どがナナニジのゴール前に集まる。

 

「ここで決めよう!」

 

「うん!」

 

「絶対当てよう!」

 

 そういう気持ちが相手のチーム内に満盈している。このままだとヤバいというのは次第に気づき始めている。

 

 相手のキッカーはすぐにボールをコーナーへ置きに行く。

 

 コーナーキックの時の圧が、心なしか、いや確実に前半より強い。必ず当てるというような執念というものを感じる。

 

 笛が鳴って蹴る。ニアにボールがくる。あかねは取れない。ゴール前に走ってきたサンジュチームがマークについていた真紀を振り切り、ヘディング!。

 

 ミートし、ナナニジのゴールへ飛んだ。

 

真紀「やば……!」

 

 ダン!!

 

 しかし、あかねが腕を伸ばし止めた。チームを救うビッグセーブだ。

 

 しかし、あかねは倒れ、そこに相手が詰め寄る。

 

月渚「まずい!」

 

 

 ボールをクリアしようと、月渚が走る。相手も必死に足を伸ばす。月渚は左足で前にボールを蹴ろうとする。そして何とかボールを掻き出す。その後選手と交錯して倒れた。

 

 クリアしたボールは少し斜め前にそれる。敵の右サイドバックに渡る。

 

つぼみ「オッケー!」

 

 と、した所で笛がなった。何だろうか、と思い後ろを向く。

 

つぼみ「えぇ。そんな……」

 

 眼の前に映ったのは、倒れている月渚の姿だった。

 

 さっきの交錯で腿に相手の足が当たったのだろうなあ。そこを抑えながらゴールポストの下でうずくまっている。

 

紡久「愛守香!」

 

愛守香「分かってる!」

 

 応急セットを持ったマネージャーが月渚のもとへ急ぐ。

 

 痛みもいったん和らいでいたのか、月渚は愛守香にパンツをずらして、当たったところを見せた。

 

愛守香「あ〜〜。腫れてる……」

 

 月渚の右腿は紫色に変色している。内出血。打撲だ。

 

月渚「すまんな……。どうやら私は出来そうにない」

 

麗華「分かったわ。お疲れ様、月渚」

 

 それを聞いてベンチに向かってバツマークを見せた。

 

紡久「ジュン!」

 

ジュン「わ、わかった」

 

 後輩の怪我に動揺しているまま、ビブスを脱いで両ベンチの間にいる第4審の方へ向かう。

 

 ピッチ内では、愛守香が一旦ピッチの外へ月渚を出して応急処置を始めた。

 

 ジュンはまだ交代手続きをしていて、ピッチには立てない。その間にフリーキックで始めなければならない。

 

 ナナニジは突然のアクシデントに集中力を切らし始めていた。

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