ナナニジのコーナーキックも簡単に跳ね返された。
そうして後半10分。相手は交代枠を二枚変えてきた。相手の猛攻は留まることを知らない。そればかりか、この交代でさらに圧力をかけてくるだろう。
晴菜「まだ十分……」
ニコル「感覚じゃあ、もう前半終わってたわよ……」
ジュン「私、狙われてる……。るーちゃんならもっとうまくやってたよ……」
麗華「ジュン! 集中しなさい!」
ジュン「うん。でも、まだ勝ってる。三点差だ……」
相手は今度はナナニジの左サイドへ。
つぼみ「みかみっち中切って!」
左サイドはみかみとつぼみが協力してパスコースを切りながら牽制する。それでも相手が無理やりパスを通そうとするので、みかみの足に当たりスローイン。
紡久「ボールが持てない……」
ベンチいる監督はかなりご立腹のようだ。
かれこれ後半の支配率は、ナナニジは確実に相手より低い。40%もあるかどうか。
60はゆうに超えていたであろう前半とは全く違う。
相手のスローイン。つぼみを背負う相手は、投げた味方に落とす。そして━━━━。
絢香「蹴ってくるぞーーーー!」
ゴール前に放り込みをしてきた。ゴール前でボールに頭を当てようと相手は走り込んでくる。
麗華が追いついて、敵フォワードと共にジャンプ。そこにあかねも来て、ボールを弾こうと手を前に出す。
ボールが来る前にぶつかる。
あかね「な━━━━」
あかねはボールに触ることが出来なかった。ボールに触ったのは相手だ。後ろにボールを残す。ぶつかった三人はその場に倒れる。
麗華「やば━━━━!」
あかね「ぐっ……!」
そこにボールを持ったのは…………相手だった。撃たれて、無人のゴールに入っていった。
3−1。
一点返された。
「よっしゃーー」
「あと2点返すぞーー!」
ゴールを決めた選手がすぐさま、ゴールに入ったボールを取りに行き、取りに行く。
ピーーー!
ふと、笛の音がなる。
麗華「あかね? あかね?」
あかね「右足が……。捻りました……」
麗華「そ、そんなぁ」
紡久「心彩!」
心彩「はい!」
再び怪我人が出て動揺するナナニジ。先程には、ビッグセーブを見せたあかねの姿を思い出す。あと10分強。耐えきれるのかどうか心配になってくる。
駆けつけたマネージャーの愛守香が、あかねの右足の紫色のスパイクとソックスをぬがす。
愛守香「多分そこまで酷くないかもしれないけど……。月渚ちゃんは打撲のはずだから、1、2週間で済む。でも多分あかねちゃんはもっとかかる……」
桜「じゃああかねちゃんは━━━━」
愛守香「分からない。もしかしたら……。もうこの大会には出ることはできないかもしれない」
みかみ「嘘やろ。ねーちゃんもう出られへんのか……」
愛守香「多分……」
麗華「ごめん。あかね……。私がもっとしっかり競っていれば……」
あかね「いえ。あの時、あなたが競ってくれなければ、あの選手はボールを後ろに逸らしてそのままゴールに入っていたでしょう。それなのにも関わらず飛び出ていたのは私の判断ミスです。最悪なことに、先程のセーブで少し自身の能力を過信していたのかもしれません……」
つぼみ「そんなことないよ……。あかねっちはやってくれたよ」
あかね「ありがとうございます。では、佐藤さんと立川さんは肩を貸してください。ゆっくり丁寧にしてください。時間稼ぎにもなります」
第四審「ナナブンノニジュウニ1番OUT。13番IN」
そうして心彩が入ってきた。
大会のグループステージは5チームの総当たり戦で全5節。そうなれば、1節ごとに1チームは試合がない。
1節の試合がないチームが、初戦に向かおうとアップをしている。
その監督。柏木育秀(かしわぎいくひで)。育秀はふと、ナナニジのゲームを見ている。彼もまた、凌駕と同じ、ナナニジの監督をしている紡久の知り合いだ。
育秀「紡久。大丈夫か…………」