バルセロナの黄金期。08−09シーズンからバルセロナのトップチームに就任したジョゼップ・グアルディオラ。愛称ペップ。彼が率いたバルサは、今後100年は語り継がれる伝説のチームになるだろう。
ペップバルサの中心メンバーを四人上げるとするならばどうだ。
まず、世界中の誰もが知っている“史上最高”、英訳して「greatest of all time」、頭文字を取って「goat」とも呼ばれる選手。そう、2021年夏にバルセロナを離れた、生ける伝説“リオネル・メッシ”だ。
二人目は、メッシが去ったあとのバルセロナのキャプテンを努める“セルヒオ・ブスケツ”
三人目は、2021年11月に、バルセロナの監督となった“チャビ・エルナンデス”。
最後は、日本のJクラブ「ヴィッセル神戸」に所属する“アンドレス・イニエスタ”。
彼らの技術、知識、創造性は、世界トップクラスであった。どんなときでもボールを繋げ、ゴールに結びつけることができる存在だ。
そして何よりこの四人。全てバルセロナの下部組織“ラ・マシア”から現れていることだ。移籍して来たのではない。バルセロナが育て上げた選手たちなのだ。
メッシですらもドリブルやシュートによくフォーカスされるが、サッカーIQも高く、それが年齢故の衰えが見られる今となっても、バロンドールの最終候補に躍り出る一つの要因だ。
後ろの三人は、スペイン代表でも活躍し、ワールドカップも獲ったこともある。
たが、紡久の率いたナナブンノニジュウニはどうか。悠希はサッカーの初心者たちも集まるこの大会の中で、メッシようにずば抜けた存在になる可能性は秘めている。個人技術の突出力は素晴らしいが、いかんせん彼と比べて頭が足りない。
だが、サッカーIQが足りないのは何も悠希だけではない。チャビ、イニエスタ、ブスケツ三人がやったポジションを努める桜、真紀、巴もだ。
インサイドハーフの二人は、チャビとイニエスタのように、どんな状況の中でもボールを繋げる力は持っておらず、ハイプレスをかけられたのであれば簡単に無力化される。桜と真紀は、鳥かごがチームの中でトップクラスにできた二人にも関わらず。
ブスケツのポジションをした巴に関しては、彼のようなボールを動かす力はない。得意の運動量で相手を潰すことに特化している。そこを見て、紡久は巴ボランチに置いたのだが、肝心のタスクはできなかった。
そんなはずはない。彼女たちもできるはずだ。そう思い、紡久はこれまでやってきた練習内容は変えなかった。前のほうが強力ならば、自ずとボールが持てて守備に追われない。「攻撃している間は、絶対に失点しない」。この考え方は、クライフが考えたものだ。紡久は、自分の信じたものを曲げることはできなかった。
紡久「そこ。巴動くな!」
巴「は、はい……?」
紡久「このスペースを開けたら、桜が受けたあと誰がパスを受けるんだ。桜の前には人がいたぞ。悠希に誰が出すんだ!?」
巴「確かに……そうですね」
都「気にすんなって? 巴はよう頑張ったとった。うちが保証したる!」
巴「あ、ありがとうございます……」
その様子を見た心彩とあかね。
心彩「なんか、ピリピリしてるにゃ……」
あかね「岬さん。聞いてますか?」
心彩「す、すいません。ぼーーとしてました」
あかね「全く……。現状あなたしかゴールキーパーはいないのですよ。集中してください」
心彩「わかりました……」
あかね「あ、来たようですね。普段は二人で練習したのですが、私はこのように松葉杖を使っています。なので、マネージャー先生をお呼びしました」
そうして来たのが、六番町学園における、ナナニジの担任の先生だ。
あかね「そういえば、先生は飛口さんを監督に及びなった理由は何なんですか? 他からコーチを呼べばいいのではないでしょうか?」
先生は話す。
あかね「なるほど。やはり一番は財政的な面ですか。普段からコーチをしている人を特別にお呼びするのですから、それなりに給料は必要ですね。対して一人の高校生を呼ぶのであれば、アルバイトほどのお金で十分というわけですか……」
あかね「では高校生の中からどうして彼を?」
先生が話す。
あかね「オーディションを行った結果、高校生の中で特にサッカーの知識があったのと、サッカーに対して強い意志を感じた、ですか。ま、何であれ、彼を信じるしかありませんね……」