初陣
《アイドル・ワールドカップ》の参加チームは全20チーム。最初は4ブロックに分かれ、5チームで総当たりのリーグ戦を行う。そうして各ブロックごとの上位2チームが、最後の決勝トーナメントに進むことができる。決勝トーナメントは、全8チーム。1度負ければ、その時点で大会終了だ。
試合までの残りの一週間。ナナニジメンバーとその後輩たちは、戦術練習に取り組んだ。
そして迎えた初戦……。
スターティングメンバー
紡久は、フォーメーションとして、4−3−3をとった。これは、バルセロナが伝統的に使っているフォーメーションだ。
スターティングメンバーは以下の通り、
♯1 丸山あかね
♯3 佐藤麗華
♯4 立川絢香
♯6 藤間桜
♯7 柊つぼみ
♯8 神木みかみ
♯9 東條悠希
♯14 五十嵐真紀
♯16 蓮沼巴
♯20 若泉月渚
♯21 七崎紫苑
となった。
ゴールキーパーはあかね。
センターバックの二人は右側に麗華、左側に絢香だ。
サイドバックは、右側に月渚。左側につぼみ。
ボランチに(またの名をアンカー)巴。
インサイドハーフは右側に桜。
左側に真紀。
ウインガーは右側に紫苑。左側にみかみだ。
そして、ゴールに一番近い中央のフォワードは悠希。
これが、紡久の選んだ一番最初の11人だ。
スターティングメンバーたちは、ベンチに建てられたテントの下で試合の準備を進める。
つぼみ「それにしても合田っちも太っ腹だね。ユニフォームから何まで負担してくれて」
桜「そうだね。しかもユニフォームは試合ごとに変わるんだってね」
最初のユニフォームは薄い青色がベース。襟元は濃い青色になっている。1STシングル《僕は存在していなかった》の衣装がもとになっていることはすぐに分かった。
対してゴールキーパーの服装は二種類の緑でデザインされている。すなわち、1STアルバム「ヒヤシンス」がもとになっている。
スパイクはメンバーカラーと統一。向こう側でみかみが履き直しているスパイクの色は、ピンクだった。
各々が初戦に向けて気持ちを作る。
麗華「ふう」
絢香「何緊張してんだよ」
絢香は麗華の左腕を左手で掴んだ。そこには、キャプテンマークが巻かれていた。
麗華「するわよ。リーグ戦といっても四試合しかないんだし……。一回の負けの影響は大きすぎるし」
絢香「ま、それもそうだな。硬くなり過ぎないように気をつけようぜ」
麗華「あなたは柔らかすぎるのよ!」
試合直前まで戦術の確認をするあかねは、紡久と話し合っていた。初日から、かなりの信頼を置かれているようだ。
そして悠希は━━。
グラウンドをじっと見ていた。これまでずっと土で練習して来たが、試合は常に芝で行うのだ。向こう側ではベンチメンバーがボールを蹴っていた。
周りに観客席はあるものの、中高生が練習に使ったりすることもある小さなグラウンド。しかし応援してきてくれているファンはいない。コロナウイルスの感染拡大を防ぐための無観客試合となっている。
だが決勝トーナメントへ駒を進めればどうか。プロが試合するような大きなスタジアムで戦うし、観客も入ってくるだろう。
絶対にゴールを決める。そうしてナナニジのみんなを、国立へ連れていくのだ。
ベンチメンバーたちがスターティングメンバーを送り込む。
みう「真紀ちゃん頑張ってね」
真紀「ありがとうございます」
ジュン「るーちゃんも、楽しんでいってね」
月渚「うむ。大変だが力の限りやってみよう」
都「やったれ巴! 浪花の力を見せたれ!」
巴「私大阪出身じゃないんですけどね……」
桜「紫苑ちゃんも一緒に頑張ろうねって大丈夫?」
紫苑「あたしなんかあたしなんか。地面の草がお似合いですよ……」
桜「そんなことないよ。紫苑ちゃんはきっと桜の花のように輝けるよ!」
紫苑「そうでしょうか……」
そんな二人の前に陽夏莉が現れた。何やらスクイズを持って。
陽夏莉「そんな紫苑さんの前に陽夏莉が素晴らしい“水”を用意してきました。これを飲めばいい感じの気分になって自身を持ってプレーできますよ!」
紫苑「ほんと。嬉しいなぁ」
おばけみたいな笑顔で飛びつくように飲もうとするけれども━━。
紅葉「普通に犯罪ですよ!」
陽夏莉「いや、ただの水です」
紅葉「だったらそれなら……」
ニコル「良くないわよ! 八代さんあなた……! ナナニジに麻薬売買者がいるみたいな噂流れたらどうするのよ! そういう狂気的ネタは、藤間さんみたいに撮影中でしなさい!」