22/7 時計の時間   作:友だち

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立川絢香

バルセロナは伝統的に、4−3−3というフォーメーションを使っている。しかし、紡久は今回、17年から20まで率いたバルベルデ監督のように、4−4−2を作った。

 

 デイフェンスラインは右からジュン、京子、絢香、晴菜。

 

 中盤四枚はフラット(横一列)に、右から桜、巴、都、紅葉。

 

 最後に、フォワード二人は右からニコル、悠希。

 

 そして今日のゲームキャプテンは絢香だ。

 

 

 

 

 それは、前回の面談の時。

 

紡久「そうだ。麗華、次お前が出れないんだけど、キャプテンが誰がいい?」

 

麗華「そうね。私だったらねぇ……。じゃあ紡久は誰にしたいの?」

 

紡久「俺は悠希。やっぱり負けてるときに声出せるやつにしたいんだ」

 

麗華「確かにね。でも、キャプテンを悠希にするのは、少し悠希には荷が重いんじゃないかなと思ったわ。たった今思っただけだけど」

 

紡久「どうしてだ?」

 

麗華「悠希は私たちのエースストライカーだから。あれだけ点を取ってくれるだけでもありがたいのに、リーダーの私が出れないからじゃあ代理をすくにやって、てのも少し重圧を受け過ぎじゃないかな?」

 

紡久「確かになあ」

 

麗華「やっぱり私は、実力がある人に責任を押し付けるのは可愛そうじゃない? うちのグループだったら、歌も踊りもトークも上手いニコルにナナニジの全てを背負わせるのは酷だもんね」

 

紡久「じゃあ。誰にしたいんだ?」

 

麗華「そうね。私が悠希を却下した理由に年齢があるわ。ジュンと並んで最年少だしね」

 

紡久「となれば、最年長組の中で選びたいってことだな」

 

麗華「ええ。だから私は絢香を推すわ」

 

紡久「絢香か……。結構、なんていうんだろうかチャラチャラとはいえないし、フラフラともいえないし……」

 

麗華「ああ見えて、いざという時はやってくれるのよ。そうじゃない時はだらしないのよねえ」

 

紡久「じゃあ次の試合のキャプテンは絢香にしようか。流石に今回は麗華のいう“いざという時”だろ?」

 

 ということになった。

 

 そしてキックオフ。

 

絢香(全く、風紀委員が直々に私をご指名したって? ほんとふざけんじゃないぞ。ただでさえ横にいるおもしろのマネージメントしなきゃならならんのに)

 

 そうして絢香の方へボールが来る。

 

絢香(くっそ、やるしかないか)

 

 絢香は左側の晴菜へボールを出す。ボールを散らして相手の出方を伺う。

 

晴菜「あ……」

 

 晴菜は絢香に戻す。

 

 絢香は右の京子に出す。京子は前の方を見ながらボールを蹴る。前線のニコルへ。

 

 しかし、ボールを長く、相手ボールへ。

 

京子「ぐぬぬぬ……」

 

絢香「おい、おもしろ」

 

京子「な、何でしょうか?」

 

絢香「あまり敵は来てないから、ゆっくりいくぞ。確かに前線に体張れるエリザベスがいるしで、ある程度のロングボールは許される。だけどできる限り丁寧つないでいくっていうベースは変わらない。落ち着いていこうぜ」

 

京子「は、はいいいいいいいい。喜んで!」

 

絢香「それに、焼きもの」

 

晴菜「私ですか?」

 

絢香「良く前を見ろ。相手はそんなに来ないぞ」

 

晴菜「わ、分かりました」

 

 相手はボールを持つ。そこに2トップのニコルと悠希がかけに行く。相手は二人の間を通す。

 

悠希「やばっ」

 

ニコル「しまった!」

 

紡久「あいつら……。2トップのギャップをあんな簡単に取られるのは最悪だぞ……」

 

 相手のボランチはボールを持つ。そのまま右サイドへ。右サイドハーフは、晴菜とマッチアップ。

 

 その時、相手のセンターフォワードが降りてきた。

 

 右サイドハーフは左のアウトサイドで晴菜とデイフェンスを少し外し、向こう側の降りてきたフォワードへパスをした。

 

 しかし、その動きはこの試合におけるキャプテンは見逃さなかった。絢香はすぐさまラインを上げてカット。

 

 自分の足の遅さや体の弱さ。風紀委員の比べた対人能力の低さを理解している。ならば、蹴られる前にボールを前から刈り取ろう。そうやった前進守備が絢香は得意なのだ。

 

 そして彼女の特徴はもう一つ。

 

 絢香は前線へボールを出そうとする。しかし。

 

絢香「駄目だ」

 

 振り上げた足を戻し、今度はサイドの方へボールを戻した。

 

 ビルドアップの時に、最も頼りになるのが彼女だ。最終ラインからボールを繋ぐことに関して、絢香以上に安定させてくれる人材はナナニジ内にはいない。

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