愛守香「それにしても、こうもベンチがガランとするとはなー」
かすか「雲があまりない空みたい……」
ベンチにいるのは、ナナニジのベンチメンバー四人と、監督の紡久、マネージャーの愛守香の6人のみ。
コロナにかかっていないが、怪我をしたあかねは、ベンチメンバーにすら入ってないので、向こうのスタンドで観戦だ。
そんなガラガラのベンチで、さらにそれぞれ距離をおいて座っているので、なんだか寂しさを感じている。
紡久「感染対策めちゃくちゃしとけって、ナナニジの担任の先生にめちゃくちゃ言われたからな」
陽夏莉「それにしても驚きました。先生のあの目はファッションじゃ無かったんですね!」
愛守香「あれはくまくま。ていうか何であれがファッションと考えたのか理解が出来ない……。紡久がウイ○レにこれまで10万課金したことくらい理解出来ない」
紫苑「じゅ、十万……」
鈴音「“推し”……。それは身を焦がす程に尊く光り輝く存在よ……。己の全てをなげうってでも、この手にしたいものがあったということね……。でも見習いマスターに10万って禁忌に触れそうね」
紡久「おい玉蟲。俺の金使いに文句を言うな」
愛守香「それで、通信対戦に負けたときは、こうやって携帯を机に打ち付けてガンガンガンガンガンガンガンガンって」
紡久「おい、やめろ!」
鈴音「なるほど。つまり我らがマスターはそのことになると狂戦士〈バーサーカー〉になるということね」
紡久「うるさい! 出るかどうかも分からないのにお金を使って当てたときの感覚をお前たちは知らんから言えるんだ!」
陽夏莉「多分こういう人は将来パチンコで破産するんでしょうね」
相手は4−2−3−1。そしてどうやら、右サイドバックを上げて、3−2−5に近い形を作ってくるようだ。
絢香「やっぱり相手のフォワードは強力だな。背が小さいやつをそこのポジションに置くとこなんてウチしかいないんじゃないか……」
これまで3試合戦って、これで4戦目。戦ってきた相手のセンターフォワードは全て背が高く、強力なものだった。
となれば、最低一人でも対人能力が強い選手がひとりいる。絢香もまぁまぁ強いが、フィジカル的な関係もありまだまだ不十分。そして何より足が遅い。ナナニジのメンバーの中では、みうに次いで足が遅い。
ちなみに足の速さは、
悠希
麗華
ニコル
ジュン
みかみ
あかね
桜
つぼみ
都
絢香
みう
の順番だ。
そして後輩たち。一番足が速いのは巴だが、次に足が足が速いのが、京子となっている。
そして、後輩たちは
巴
京子
鈴音
真紀
陽夏莉
紫苑
晴菜
紅葉
月渚
心彩
かすか
となる。
当然、全体的な足の速さは身長に比例する。
京子は麗華ほど対人能力に特化しているわけではないか、相手の強いフォワードを止められるようになるのが主な仕事だ。
都がボールを持つ。そこに敵がやってくるが、ボールを上手く動かしプレッシャーをかわす。
そこに右サイドから桜が中央へ。狙いは、センターバック二枚と、ボランチ二枚が作る四角形の真ん中だ。
そして桜が開けたスペースに、ジュンが走り込む。都は右サイドのジュンへボールを出した。
ジュンはボールを持つが、相手に詰め寄られる。
ジュン「ぐっ!」
そしてすぐにカウンターだ。
ボールを取った左サイドバックば、同サイトハーフへボールを渡す。そのまま走る。ジュンは戻るが、流石に追いつけない。
そのまま敵チームはラインを上げて攻めに出る。
絢香「たこ焼きコンビはボランチ二人を見ろ! 焼きものは必ず後ろのマーク確認! おもしろはそこ絶対に抜かれるな」
京子「了解しました〜〜」
京子はそこから来る相手と並走する。スペード勝負を仕掛けてくる。しかし抜き去られない!
(配信で見た相手の3番ほどじゃないけど速い!)
サッカーは選手と選手の相性がとても重要だ。紡久は、ジュンに大きく攻めるように指示をした。
だが同時に大きくスペースを開けてしまう。ならば、そこをカバーする選手が必要となっているわけだ。そこで選んだのが、リーダーよりはだが、対人能力が強い京子というわけだ。
並走したところで、相手とボールの間に体を入れて取る。ゴールキーパーの心彩にボールを戻した。
もう一度ナナニジボール。心彩は、逆サイドの晴菜へボールを出す。
晴菜は絢香へ。
絢香は京子へ。
しかし、相手のスライドが追いついてしまい、はめられかけていたその時、京子は前へボールを蹴った。
京子「はわあああああああああ」
変な声を出して。
そのボールは相手の最終ラインをも超える。そしてその先には走り込む悠希の姿が。
京子が出したのはスルーパスで、ナナニジのストライカーがそのパスに反応したのだ。
が、キーパーへボールだ。
悠希「ぐあ〜」
悠希「京子! オッケーだ。続けてくれ!」
京子「は、はい!」
このロングパスは麗華があまり持っていないものだ。このロングパスは今の右センターバックにとっての大きな武器となっている。これを使わない手はない。例えチームのコンセプトとは相反するものであっても、一つのオプションとして使えるのならば、それはチームにとって重要な存在になりうるのだ。