グループステージ最終節は、ワールドカップ同様に、同時刻に行われる。
そして、ナナニジの試合、ナナニジと2位を争うサンジュの試合は同会場で、隣のコート同士で行われている。
だからベンチ側は、ちろちろと隣の試合を見ることになる。
今現在は共に0−0だ。
晴菜「どうしよう…」
自分は試合に入れていないことに気がつく。こっちのチームは点を取ろうと激しく攻め立てているのに、何故かその気持ちに入らない。
その理由はわかる。自分の失敗が怖いからだ。裏を取られたり、一対一で抜かれたり取られたりしたのならば━━。
ここがつぼみならば、軽く「大丈夫っしょ!」などといって、しっかりとラインを上げて積極的にボールを奪いに行くはずだ。
気が引けてしまう自分とは違う。
すると、相手ボールが飛んでくる。
晴菜「ふっ!」
ジャンプしてヘディングをする。
晴菜「しまった!」
ボールが真上に飛んでくる。相手のサイドハーフがやってくる。
それでもこっちがボールを先に触れるだろうが、相手が猛突進でこっちに向かってくる。
相手に驚きながらも、左のインサイドでセンターバックの絢香へ。
晴菜「あんな強そうな人を止めるなんて難しいよお」
そう思っていると、もう一度ボールが来る。こぼれ球がこちらに流れてきた。そして、もう一度こちらへボールが来る。
晴菜はかわし、前にいる紅葉へボールを出す。
紡久「晴菜いいぞ」
すると、監督の方から何とお褒めの言葉を頂いたのだ。
晴菜「え?」
つぼみ「晴菜っちねぇ。つぼはもっと自身持ってっていうんだけどなかなか直らなくてね〜。アイドルとしての活動は大分楽しそうに出来てるんだけどね〜」
紡久「そうなんだよな。あいつよく見てたらやっぱり自身無さげにプレーするからなあ」
つぼみ「じゃあさじゃあさ。試合中に褒めてあげるのはどうかな?」
紡久「褒める?」
つぼみ「一回褒められたら自信つくっしょ。つぼがね、晴菜っちすごいぞっていってあげたらどんどん良くなっていったもん」
紡久「確かに。やってみるか」
つぼみ「あと、できる限り細かくいってあげたほうがいいと思う。“超いい感じ”とか“すごすぎてウケる〜”とかだったらとりあえず褒められてる感凄くて、逆にさがっちゃうあるんだよね。逆に、紡久っちは晴菜っちのどんなとこがいいと思う。つぼに比べて」
紡久「まず相手をよく見てる。正直つぼみは完全にノリで守備してることが多すぎる」
つぼみ「駄目?」
紡久「駄目に決まってるだろ。相手を見たらこっち来るとか、何となくわかることを、そんなことを遥かに無視した何となくでボールを取りにいってる。相手にぶつかれたらつよいけど、そうじゃない相手とやったらヤバイぞ」
つぼみ「そうか〜〜。じゃあ晴菜っちはそういうことは得意なの?」
紡久「そうだぞ。しっかり受け身になれるところは受け身になれるからな。あと、お前よりも足元はあるな」
紡久「それでいいぞ! お前がしっかり相手をいなせたところ」
晴菜「は、はい!」
晴菜(そ、そうだ。ジュン先輩が言ってた。私は月渚ちゃんみたいになれないって。だから私は、私も、自分なりに頑張らないと!)
都がボールを持つ。桜が中に入ってくる。その時、相手のボランチが一人、桜に連れられて少し下がる。そのことにより、都へのプレッシャーが少し縮まる。
都はボランチ間にパスを通した。その先には悠希が。
悠希は後ろからフォワードが近づいて来ているのを感じ取り、パス。その先には桜が抜け出している。
しかし、パスは相手の足にあたり上の方へ。しかし、悠希はそのボールに食らいつく。近くのディフェンダーを背負う。体格差もあり、よろけながらもシュート!
いい軌道だ。キーパーは飛ぶが取れない。そのままゴールの枠内へと思いつつも枠だ。クロスバーにあたり、上の方へ。
そこを桜が詰めにいくが、立ち上がったキーパーがキャッチ。そのまま持ったままで仲間の上がり、フォーメーションを整えを待つ。
そして蹴る。ボールは中央の巴のところへ。
巴「いかせませんわ」
と、飛ぶが勝てず。しかしそれでも競り合いに完敗したというわけではなく、相手はボールを上手く頭に当てられず後ろのほうへ。
が、そのボールはアンラッキーなことにもナナニジの後ろのほうへ。晴菜の後ろのほうへ回っていった。
それを見て両チームはボールが流れた方へラインを移動させる。
晴菜は後ろを見る。やはりついてきている。自分たちが後ろ向きになっている。ここは強く圧力をかけ、プレスをしたほうがいいからだ。
そのまま足を振ってゴールキーパーの心彩に戻そうとしたのだが━━━━。
やっぱりやめだ。晴菜はボールを自分の背中、相手のゴールの方へ足裏で移動させた。後ろから来た相手はまんまと騙され、晴菜と入れ替わる。
なぜなら、出したところで心彩のところへボールがいくと完全に相手は詰め寄っていて、パスを貰った心彩は蹴るしかなかったからだ。
それでは駄目だと思い、相手をこうしていなすことはできたのは、紡久の声掛け。そして、声掛けを提案したのはつぼみのおかげ。
晴菜のことを認めてくれる人はいる。そして、晴菜見えないところで多くの力が彼女に力を与えてくれているのだ。