1−0。
まだ点は必要だ。しかし、失点はしてはならない。
紡久はそのために4−4−2というフォーメーションを使ったのには、わけがある。
まず1つ目は、守備ブロックを形成しやすいこと。守備時に埋めなければならないスペースを消しやすいことだ。
そして2つ目。かつてのバルセロナの監督であるバルベルデが使っていたものだ。
紡久は4−3−3のハイプレスをしようとしていたのだが、マイドールズ相手には通用することは無かった。そして、それは3人の前線が連動して、試合全ての時間を動き続けなければならない。そのことを考えてバルベルデは、そして今紡久はしなかった。
バルベルデは、当時バルセロナにいたフォワードのメッシとスアレスの運動量が落ちてることもあり、二人を前線の2に配置
して4−4−2を使ったのだ。バルベルデは守備時には前二人が消えた、殆ど4−4−0の形になる中でどうにかやっていたわけだ。
ナナニジの前線二人は、そんなメッシスアレスとは違い、まだまだ若く、走ることもできるのでバルベルデよりは難易度は低い。あと時のバルセロナと最も大きく違うことだ。
ちなみにナナニジ側が使わない理由は━━━━。
悠希「おりゃああああああ」
紡久「あの野郎……」
紡久は悠希がゴールキーパーに走っていっているのを見て呆れる紡久。
愛守香「えー。別にサボってるわけじゃないからいいじゃん」
紡久「確かにサボるよりはだけど見ろよあれ。ゴールキーパーがさっき悠希がいた場所の近くにいたセンターバックに出します。そこにニコルも来ません。からのフリーだから蹴る。蹴られたうちのセンターバックが苦労しますじゃん」
絢香「おもしろナイス」
京子「は、はい!」
愛守香「なるほどねえ」
都はボールをいったん晴菜へ渡す。
都「晴菜、こっちや」
都は少し開きながらボールを出す。貰う。そこで相手のサイドハーフが来るが、タイミングを図りながらボールを動かして、相手のタックルを交わして前の方へ。
ボールを貰った悠希は横パスで桜へ渡す。
桜はダイレクトで裏に抜けるニコルに出そうとする。
しかしゴールキーパーがそのボールをキャッチ。
ゴールキーパーはそのまま、前の方へ蹴る。それもジュンが上がって空いた、ナナニジの右サイドバックの方へ。
ジュン「く!」
紡久「ジュン! 全力で戻ればいい!」
カウンターだ。相手のサイドハーフがタッチライン際を独走する。そこに対応するのが京子だ。
京子「生かせません。良いですか、ここを抜こうとしても私という素晴らしいセンターバックがあなたの進路を防ごうと……」
しかし相手は斜めに出す。さすがに京子にはどうしょうもなく、そのパスを相手のトップ下が走り込んでくる。
巴「やらせませんわ」
そこに反応したのが巴。京子と絢香の間というセンターバック間を付かれだが、ボランチの運動量によってそこをカバーする。
トップ下はボールを貰って巴を抜こうとする。ボールをまたいで巴を股をぬいた。
巴「し、しま」
絢香「ふんっ」
絢香がカバーして取った。そのまま右サイドの奥の方へ移動していく。
このまま前の方のパスコースを探しているのだろうか。
紡久「京子! 心彩の左にいけ!」
絢香はやはり心彩にボールを出してビルドアップを始めるようだ。低い位置ならゴールキーパーも近くにいるので、更に一枚フィールドプレーヤーを増やすことと同じになる。安全にボールを回しやすくなる。
紡久「桜! 巴が開けたスペースを管理しろ! ジュンも、巴が降りて、そこに桜が行ったのならば、桜が開けたスペースを埋めろ」
的確に指示を出す紡久。
相手は敵陣深くにボールがあるということもあって、激しく圧力をかけてくる。
絢香は奥側の晴菜へボールを渡す。晴菜はそのまま前の方へ、紅葉に渡した。
敵が来る。少しジリジリと寄せてくる。紅葉はアウトサイドでちょんちょんと触りながら、様子を伺う。
しびれを切らしたのか相手が来るが、そこを紅葉が抜く。そして前へドリブル。前へ。相手の進行方向を塞ぐようにドリブルをする。中へ入る。
そこに反応して悠希が少し外に流れていく。
紅葉「悠希先輩!」
悠希は左サイドでボールを貰う。少し、ボールを貰って前へ進む。
そして右のアウトサイドでボールを前に出す。相手はそれに反応して体を前に出す。悠希はその途端に縦へ。ディフェンダーはその急激な重心移動に耐えきれずずっこける。キーパーが飛び出てくるが、それすらも見越したのか、ループでキーパーの上を通す。他のディフェンダーは何とか書き出そうと足を出すが、届かず。
ネットを揺らしていった。
2−0。