本当に申し訳ございません。
実況「あっと! 蓮ノ空はまさかの棄権だ!」
蓮ノ空が降参したことはすぐに実況を通してこの場の全員に伝えられる。恋が倒れてしまうのも見たからか、会場はかなりざわついていた。
選手A「お、おい。あの嬢ちゃん、大丈夫なのか?」
選手B「というか美野良のキーパーがやってるやつ、見たことあるぞ! 『ハーデスト』の選手が使ってくるやつじゃねえかぁ!」
選手C「つまり美野良は『ハーデスト』に…? 多分助っ人のアイツらも『ハーデスト』の奴らだ…」
選手D「こ、殺される…みんな、殺されるよぉ…」
「わあああああっ!!」
「きゃああああっ!!」
論前のアナザーミキシマックスを見て、美野良に『ハーデスト』が絡んでいることを察する観客の選手達。次は自分達だと怖くなって、悲鳴を上げながら一目散に逃げだす。
竜平「《
エマ「果林ちゃん、どこの世界でもダメだね…ホント」
ミント「…」
観客や他校の選手が逃げ出す中、座ったまま動かない『ハーデスト』の者たち。蓮ノ空の選手達を、そして《真蹴球戦士》を見下ろしながら、それぞれ言葉を発するのだった…
10ばん「あ! 他の選手が逃げ出した!」
9ばん「なんだよぉ~! せっかく後半や他の試合で暴れてやろうって思ったのによォ~!」
監督「まったく臆病な奴らじゃなぁ~…」
イベントを混乱に追いやった美野良は、ベンチでその様子に文句を言っていた。そんな中、その混乱に導く力を与えた者がやってくる。
竜平「…」
監督「おお竜平。助っ人くれて感謝するぞ~。おかげで暴れられたわい」
竜平「そうですか…では今度はこっちがメンバーを。論前くんをスカウトしたい」
10ばん「ろ、論前をー!?」
竜平「別に良いじゃないか。お前達にとっては足を引っ張る存在なんだろう?」
竜平は論前を『ハーデスト』にスカウト。その後半ば強引に交渉を進め、最終的に論前をスカウトが決定した。
「うわあああーーっ!!」
歩夢「あ…あ…」
花帆「た、大会が…」
恋がタンカで運ばれていく中、逃げ惑う他校の選手たちを見上げることしか出来ない花帆と歩夢。その眼は『ハーデスト』に所属していることりや千砂都と同じくらい光を失っていた…
竜平「無様だな、《真蹴球戦士》共」
歩夢「…!」
そこにフードを被った竜平が現れる。前に同じ感じの選手を見た歩夢には『ハーデスト』の者であることが一発で分かる。
竜平「どんなすごい力を持つのかと思えばこれとは…まったく期待外れだ。特戦隊が負けた以上、泳がせておくしかないと思ったが、それは見当違いだったようだな」
竜平「準備が整い次第、『ハーデスト』をそちらに向かわせる。お前たちにはそれが最後の試合になるだろうな。ははは…」
歩夢「ぇ…」
歩夢に、蓮ノ空にとっての絶望の宣告。《真蹴球戦士》の力を見せても酷いザマだったせいで、竜平にその程度の力とみなされてしまったようだ。
歩夢「そんな…私の力で…花帆ちゃんを助けられるはずだったのに…」
花帆「歩夢ちゃん…」
自分の力で花帆を助けるつもりだったのに、それができないばかりか無力さを示して『ハーデスト』に攻め込まれてしまう。ただでさえチームがまとまっておらず、梢や恋もケガをした今『ハーデスト』に攻められたら確実に負ける。自分のせいで蓮ノ空が『ハーデスト』に支配されてしまうようなものであった…
歩夢(私…バカだった…自分の力さえあれば花帆ちゃんを救えるなんて思いこんで、何も考えずに突っ走ってただけだったんだ…)
歩夢「うわああああああああああ――――――!!!!」
―医務室廊下―
花帆「…」
なんとか医務室まで歩いた花帆。歩夢はあの場から動くことが出来ず、俯きながら1人で梢が運ばれた部屋の前までたどり着くのだった。
ガチャ…
花帆「…!」
梢のいる医務室の扉が開く。中から出てきたのは梢と同じ蓮ノ空の制服を着た、2年生の生徒だ。
「あなたが今、梢とチームを組んでいる子だね。梢が待ってるよ」
花帆「あの、ええと…あたし…」
自分のせいで梢をケガさせてしまい、未だに表情が曇っている花帆。センパイは天使のような笑顔で語り掛けてきて、今の花帆にとっては罪悪感が出るほど眩しい。
「がんばってね、サッカー」
花帆「あ…あの、ありがとうございます…」
センパイに励まされて、花帆は申し訳なさそうに感謝を伝える。いつまでもここにいるわけにもいかない。センパイはその場を後にし、花帆は梢がいる医務室に入った…
―医務室―
梢「大げさに包帯を巻いてもらったけれど、大丈夫よ。ひねっただけだから。少し安静にすれば、すぐによくなるって」
花帆「…」
会場で起きた騒ぎに反して、これといって大きなケガはしていなかった梢。しかし今の花帆にはそれを安堵することも出来なかった…
梢「ごめんなさい」
花帆「え?」
頭を下げる梢。花帆には当然どうしてそうなるのかが理解できない。
梢「あなたの大切な試合を、台無しにしてしまって」
花帆「どうして、梢センパイが、謝るんですか。二人で思いっきり、伝統の必殺技をきめるはずだったのに…。迷惑かけたのは、あたし、じゃないですか…」
梢「私が、もっと上手にあなたを助けられていたらよかったのだけれど。それができなくて、あなたにも迷惑をかけてしまったわ」
花帆「そんな! センパイはあたしをかばってくれて! だから、あたしのほうこそ、ほんとに、ごめんなさい!」
梢が申し訳なさそうにしているのに我慢できず、花帆も頭を下げる。そんな中、梢が気になっていたことを聞きだす。
梢「あなたの足は、どうしたの?」
花帆「これは…」
花帆「…センパイの言いつけを破って、夜中にも、練習をして。ずっと足首に違和感があったんです。でも、そんなの練習が足りないからだって、無視して…きょうも、試合が始まればきっと、気にならなくなるだろう、って…」
梢「…なるほどね」
花帆「ごめんなさい! ほんとに、あたし…」
梢「…」
花帆「梢センパイに、迷惑かけたくなかったんです…あたし、できてないことがまだまだあって…下手なままじゃ、だめだから、もっといっぱい練習して、もっともっと上手にならなきゃって…梢センパイも、さやかちゃんも、心配してくれていたのに…」
足のことをようやく正直に話した花帆。梢は心配と悲しみを表情に出しながら、その話を聞き、その後口を開いた。
梢「今回は、大事には至らなかったけれど。一歩間違えれば、あなたが大怪我するかもしれなかったのよ。それは、わかっているわね」
花帆「本当に、ごめんなさい! 恋センパイが大怪我して、歩夢ちゃんも今までにないくらい悲しんで…! ぜんぶあたしのせいで…ぜんぶ、ぜんぶあたしが悪いんです!」
花帆「ごめんなさい、センパイ、ごめんなさい!」
他のメンバーに起こったことまで抱え込んでしまう花帆。あまりの罪悪感に耐え切れなかったのか、飛び出すように梢の前から去ってしまう。
梢「待って、日野下さん――」
―グラウンド―
歩夢「ハア…ハァ…」
花帆が去り、美野良のメンバーや竜平、観客が全員去ってもその場にうずくまっていた歩夢。余程精神的なダメージが大きいようだ…
さやか「歩夢さん」
歩夢「さやか…ちゃん…」
そんな中、さやかに後ろから声をかけられる。綴理も一緒にいた。
さやか「監督が歩夢さんのことを呼んでいますよ。葉月先輩が運ばれた部屋に来て、とのことで…」
歩夢「…」
歩夢は俯いて黙り込んでしまう。彼女も罪悪感が激しく、とても他の人間に合わせる顔がないようだ。
さやか「歩夢さん…悔しい気持ちは分かりますけど、それなら尚更他の方と一緒に、反省点を共有しないとだめですよ」
歩夢「…さやかちゃん…そうだよね、ごめんね…」
さやかに諭されてなんとか冷静さを少しだけ取り戻す。よろけながらも立ち上がり、恋のいる医務室に歩みを進めるのであった…
―医務室―
圭助「みんな、集まったようだな…」
歩夢「…」
歩夢が医務室に入ったところ、既に《真蹴球戦士》達と圭那が座っており、全員集合していた。ケガをした恋はベッドに仰向けに倒れており、まだ意識が回復していないようだ…
圭助「早速、今日の試合の振り返りをする…病院だから怒鳴ったりはしないが、キツイことはたくさん言うから覚悟してくれ…」
海未「はい…」
医務室で大きな声を出すわけにはいかないので、静かに話を進める圭助。この静かさが、冷たく言い放たれるかの如く突き刺さるように感じた。
圭助「今日の試合だが…先に言っておくと本当に酷い。相手が強すぎるのを考慮しても、連携は前より乱れてるし、ケガ人にシュートを担当させるし、これでは練習の成果なんて発揮できない」
レアン「ケガ…?」
圭助「やはり気づいていないようだな…日野下と朝香は足をケガしていたぞ」
絵里「そんな…果林、そんなこと言っていなかったじゃない…」
塔子「どおりでシュートがきまらないわけだよ…」
果林「…」
花帆の他にも果林も試合前からケガをしていたようだ。もう隠しようがないので、果林は正直に話す。
果林「3日前から、ずっと足に違和感があったのよ…でも、初めての大会だから気が上がって、それで乗り切っていたのよ…」
海未「私とレアンの練習について行っていると思ったのに…どうしてそんな無茶を…」
圭助「それは他でもない、キミとレアンが原因だ」
海未「え…」
圭助「圭那から練習の様子は聞かせてもらった。キミ達2人が相当ギアを上げて練習していたみたいじゃないか。そして日野下をはじめとした他のメンバーもそれに引っ張られて、自分の限界を超えて練習してケガをするメンバーが出てしまったんだ」
海未「…私の練習方法が、そんな悪影響を…しかし、花帆には自己管理をするようにも言ったはずです…」
圭助「練習を周りよりやっていないと、その分置いていかれると考えるものだ。ましてや日野下はそれを、身を持って経験している。だから、ちょっと言われただけじゃ止まれないんだ…」
果林「確かに…私もそう感じて無茶をしてしまったわ。花帆ちゃんであれば、尚更そうなってしまうわよね…」
海未「そんな…私が花帆と果林先輩を無茶させて、ケガさせたようなものではないですか…」
レアン「ごめんなさい…」
自分達が悪い意味で花帆や果林を引っ張っていたと気づく2人。ケガをさせる結果になってしまったことに、頭を下げて謝るのだった。
圭助「それはちゃんと日野下にも言うんだぞ。…それに、どうしてそうしてしまったのかもな」
絵里「どうして…?」
圭助「乙宗や夕霧も押さえて、練習を頑張っていたんだろう? そこまで頑張ったことにはきっと理由があるはずだ」
ここまで練習を頑張った理由がきっとあると考えた圭助。その予想は当たっており、2人は理由を話し出す。
海未「ことりを…救いたかったんです…そのためには『ハーデスト』に何としても勝たなければならない…私自身、鍛えることが大好きだったので、それで調子に乗って練習をエスカレートさせてしまいました…皆がそれに引っ張られて、無茶をしてしまっていることにも気づかず…」
レアン「昔から、宇宙一のサッカー選手になるのが夢で…周りのことも気にしないで、1人でずっと頑張ってしまってた…」
圭助「そうか…」
塔子「2人の気持ちも分かるよ…大切な人は絶対に助けたいし、サッカーが大好きならとにかくがむしゃらに特訓したい」
海未「塔子も、大切な人を『ハーデスト』に…?」
塔子「ううん。前にエイリア学園と戦った話をしたでしょ? その時にお父さんが攫われて、助けるためにとにかく練習をがんばったんだ」
塔子は自分の経験を話す。この世界に来る前、父親を助けるためにエイリア学園と戦い、がむしゃらに特訓を続けてきた過去があった…
塔子「あの時も、最後には元々仲間だったメンバーが敵になっちゃってさ…今になって、キャプテンの気持ちが分かる気がするんだ…」
圭助「人間、みんなが強いわけじゃないし、誰しも悩みを持っていたり、間違えたりするんだ…だからこそ、みんなにはもっと仲間のことを見て欲しいんだ」
四季「仲間のことを、見る…」
圭助「そうだ。最初に指摘してきたことを思い返してみてくれ…連携が上手くいかなかったことや、今まで日野下や朝香がケガしていたことに気づけなかったのも、全部みんなが自分のことしか見ていなかったからだ…」
絵里「確かに…もっとみんなのことを見ていれば、そういうことになるのは防げたかもしれないわね…」
圭那「私達みんなが、今日の大会をめちゃくちゃにしてしまったってことだよ…」
圭助「そうだな…いいか、大切な人を助けたいなら、宇宙一のサッカー選手になりたいなら、負けたくないなら、仲間のことをしっかり見るんだ…!」
圭助はみんなの願いをもとに念を押す。それぞれ目的の違うところはあるだろうが、いずれにせよその目的を達成する一番の近道と言っても過言ではない。
圭助「しかし俺も偉そうに言えた立場じゃないな…」
海未「そ、それはどういうことですか…?」
圭助自身も、また自分を責めていた。海未にとってはどうしてそうなるのか分からなかった。
圭助「思い返せば出張に行く前、園田はとても焦っているかのような顔つきだった気がするんだ…」
海未「そ、それは結果論なのでは…」
圭助「そんなことはない。ことりさんの一件があったんだ。少し考えれば、1週間も放っておくのはまずいと分かったはずなのに、気にせず自分の仕事に行ってしまった…俺もまたみんなのことを見れていなかったってことだ…」
圭助「そして何より…《真蹴球戦士》の力についてキミ達にちゃんと教えていなかったことが最大のミスだ」
歩夢「ぅ…」
四季「…」
《真蹴球戦士》という言葉に胸が張り裂けそうになる2人。力を覚醒させたが、むしろそれが最悪の結果を招いてしまった。
圭助「俺の注意不足のせいで…《真蹴球戦士》の力を最悪のものにしてしまって、本当に申し訳ない…」
そう言って頭を下げる圭助。そして、《真蹴球戦士》の力が最悪の形になってしまった理由を、語り始めるのであった…
お知らせ
《蓮ノ空×イナイレ~英雄たちのヴィクトリーロード~》にて、こちらの作品の子がコラボさせていただけました!
今回出てきた、あのセンパイがこっちにやってくるみたいです。是非ともご覧ください!
https://syosetu.org/novel/344975/138.html
これからの作者の創作、どれが一番楽しみ?
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