カードバトルものが流行っているので、流行に乗ってみました。
よし…! 無事に起爆したか…
これでいいんだ… 俺の復讐はこれで終わるし… もう、カードバトルとやらにお前たちの魂を穢されることはない。
さてと、闇のバトルでも始めようか。
混乱してるのか? そのまんまだよ、闇のバトル。 法律で禁止された違法なバトルだ。 まさか、みんなから尊敬されるチャンプが世界大会の決勝で闇のバトルを挑んでくるだなんて思わなかっただろ。
何を企んでいるのか知らないがお前の野望を阻止するって? 無駄だよ。 生憎、俺は主人公に本拠地に乗り込まれてから慌てて準備するような、無計画なラスボスじゃないんだ。 一度言ってみたかったんだよ。 もう計画は実行したってな。
まだ分からないのか? こうして話している時点でもう手遅れだ。
いいだろう、教えてやる。10ギガトンの核爆弾を炸裂させて、外の世界を消し飛ばしたんだよ。念には念を入れて、幾つかの核を追加で起爆した。主要都市はもちろん、アフリカの奥地でさえ無事ではすまない。
ここはカードで全てが決まる世界だ。工場も全部カードで作れる上に、カードが絡まない攻撃には無警戒で助かったよ。
国を一つ消し飛ばした悪党を倒せば英雄。 なら、人類を滅ぼした巨悪ならどうなる? 既にお前が守るべき存在は全て消し飛ばした。 今や、お前は俺の英雄譚を飾るただのかませだ。
そう、その顔が見たかったんだ…!
俺が受けた苦しみを主人公サマにも味合わせたかった。 全てを奪われたこの苦しみを。
いいのか? ここでお前が勝ち、闇の空間から開放されても、火炎や放射能でお前は死ぬ。 死人が二人、無駄に増えるだけだ。
なぜかって? よりにもよって主人公である、お前がそれを言うのか? 無知ってのは怖いもんだな。
決して忘れはしない。 2026年12月10日18時32分だ。 世界はホビーアニメの物語に塗り替えられたんだよ。 俺を除く人類80億人余りがこの世界に殺されたんだ。
ああ…思い出すだけで、ふつふつと怒りが沸いてくる…
カードで全てが決まる世界… ふざけるな! 俺の生きていた世界は、カードの実力じゃなく、個人の能力が…行いが、評価される世界だったはずだ! カードが弱ければどんな美点でさえ即座に否定するこの世界は可笑しい! 俺が生きる世界は決してバトルの結果で黒が白になったりするオセロのような世界じゃなかった…!
カードはただの娯楽でしかなかったんだ。 俺たちはただ楽しくやってただけなのに、お前たちは争いの道具にするばかりか、カードバトルの名の下にカードを含めた全てを貶めたんだ!
人々の積み重ねた歴史を…努力を…勝負一つで踏み躙っていくカードバトルが憎い! 俺は友人も、家族も、世界でさえ…! 理不尽に全てを奪われた!
だから、俺は世界を奪ったんだ…!
ああ、そうだよ。 無自覚な収奪者に報いを受けさせるにはこうするしかなかった…! お前のようにな!
もう、分かってないフリをするのはやめろ。 お前はこの世界の元ネタになったホビーアニメの主人公なんだよ。 輝かしい勝利が約束された英雄。 80億の屍の上に慈愛の大切さを説く救世主だ。 お前は何も悪くはないかもしれないが、その在り方が俺の気に障るんだよ。
そうだ、それでいい。 これでこそ、俺の努力は報われるってもんだ。
あとは…意趣返しだな。 カードバトルというふざけた代物に人類の叡智が勝つ。 俺はそれを証明したかったんだ。
オマケで教えてやる。 暴れん坊で言うことをなかなか聞いてくれないお前と違って、俺のカードたちはこんな最低な悪事にも付き合ってくれたぞ。 でなければ、いくらループはめ殺し、ワンターンキル上等の俺たちで作り上げた害悪デッキであってもここまでは勝ち残れなかった。
ふう… もうそろそろ、闇のバトルで直撃を回避した連中も勝負が着いて、放射能でコロリと逝く頃合いだ。
数日分の食糧をここに持ち込んだ。 最後の人類として、ここから世界の終わりを見届けようじゃないか。