この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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すいません!この一年余りにも忙しすぎて放置してしまいました。
何とか時間が作れたので少し短いですが投稿させていただきます。
次回で今度こそ酒場編が終わり怪物祭編にようやく突入です。……多分。
長々と続けてしまい申し訳ありません。


この美の女神に説教を!

「──さて、では改めて……今回の酒場破壊と、この俺佐藤カズマに対しての深刻な人権侵害+風評被害についての責任の所在について話し合いを行いたいと思います。……まあ誰が一番悪いかなんて一目瞭然な訳なんですけどね。聞いてますかフレイヤ様?」

 

「……………………………」

 

悲しき戦いを終えた後の酒場はそれはそれはもう酷い状態であった。

 

一言で言えばただの更地、建て直すにしても相当な時間とお金が掛かるであろう事は明白である。

 

……店主さん、本当にすいませんでした。

 

これも全部目の前のクソったれ駄女神が悪いんです!ちゃんと反省させるので勘弁して下さい!!

 

俺はそうして心の中で今は亡き店主さん(ロキ達が避難させてたらしい)に全力で土下座をかましながら、これからどう話を着地させるか考えを巡らせ始めているのだが……。

 

「……ねえカズマ?私は一体いつまでこの体勢で居続ければ良いのかしら?私は仮にも美の女神なのだけれど?そんな私にこんな……あんまりだと思わない?」

 

反省の証として『私は頭パッパラパーの露出狂変態駄女神です。脳みそ空っぽの脳カラです』と書かれたプラカードをぶら下げ正座させられているフレイヤが、悲壮感漂う涙目でちょくちょく文句を言ってきてうるさくて集中出来ない。

 

…………て言うかなんでこいつが被害者面してるんだよ!舐めやがって!!

 

俺は真の男女平等主義を担うもの……相手に非があるなら例え泣き喚こうが一切の容赦なく徹底的に毟り取ってやる……!

 

「か、カズマ……もうそろそろ、その……いいんじゃないかな?ほら!フレイヤ様も反省しているみたいだしさ!!」

 

「ベル……!ふふっ、良いのよ……だって今回は私が悪いもの……庇ってくれてありがとうね……貴方はとても優しい子だわ……私のものにしたくなっちゃいそう……なんてね」

 

「ええっ!?そ、それはそのっ……困りますっ」

 

「あら、随分と可愛い反応をするのね。……益々欲しくなっちゃうわ」

 

やっぱ絶対反省してないだろこの女!!

 

可哀想な女アピールしてベルとイチャイチャしたいだけじゃねえか!!

 

「『フリーズ』」

 

「ひゃんっ!?ちょ、ちょっとカズマ!いきなり何をするのかしら!?無抵抗な女性に対してこの仕打ちはあんまりだと思うのだけど?貴方には常識と言うものがないの?」

 

………………………………………ほーん?

 

「お前がここに来てやらかした所業を一から十まで全部思い出して、まだ同じセリフが言えるんなら謝ってやるよ。……おいコラお前に言ってんだぞ自称美の女神何目逸らしてんだぶっ飛ばすぞ」

 

「……そ、それはそうとして話を一旦戻しましょう?責任の所在について、だったわね」

 

自身の不利を悟ったのか露骨に話を逸らし始めるフレイヤ様。

 

そんな世にも珍しい彼女の姿を遠くから面白おかしく眺めていたロキが、ニヤニヤしながらこちらに近付いてきて。

 

「責任の所在言うたらやっぱフレイヤ、お前が一番悪いんちゃうか?なんせカズマを魅了さえしなければこんな大惨事は起こらへんかったわけやしなぁ?」

 

「……この場をセッティングした貴女にも多少の責任はあると思うのだけれど?」

 

「それは流石に責任転嫁がすぎると思うで?……まあ頭空っぽの脳カラ女神にはちと理解が難しい話やったかもしれんな……ごめんな?頭パッパラパーやもんな?これからは気を使ってもっと分かりやすく会話したるわ。……ぶはっ!」

 

「くっ……!ロキ、覚えていなさい……!!」

 

「おお任せとき!ウチはあんたと違って脳みそ空っぽやないからな!ちゃーんと覚えといてやるわ!!脳みそあるからな!!あんたと違って!!脳カラ女神のフレイヤ様に万歳や!!!!あっはっはっはー!!!!」

 

ロキさんも中々の口激力をお持ちですね。

 

「………胸が空っぽの貴女に言われたくないわ」

 

「はぐっ!?」

 

思わぬ反撃にその可哀想な胸と同じくその場に沈没する女神様。

 

……正直もう少しこのやり取りを見ていたい気持ちも若干あるが、いい加減収集をつけて話を纏めないといつまで経っても帰れない上に、何だかんだで借金全額押し付けられるいつもの流れが訪れるに決まってる。

 

経験に裏打ちされたそんな嫌な予感から全力で目を逸らす為にこの大事件の着地点、借金全額負担+かつてダクネスにやらせたメイド服を着用させてのご奉仕を命じようとフレイヤに……。

 

「おい脳カラ駄女神、今回の件についてだ……が…………?」

 

──伝えようとする寸前で、脳裏に過ぎる危機感知センサーがかつてないほど全力で警鐘を鳴らし始めたので、一旦立ち止まり思案する。

 

……あれ?ちょっと待てよ?

 

……冷静になって考えてみると、このクソボケアホ女神は腐っても都市最強のファミリアの主神な訳で、そんな彼女にこんな事を仕出かしたとバレたら俺は間違いなく殺されるのでは?その上、メイド服ご奉仕やら借金全額負担なんてさせたらそれこそ……。

 

……よし、俺はクールで賢い男だ。一時の激情に流されて破滅に向かっていく馬鹿な奴等とは違うのだ。ここは一回冷静になって……。

 

「さっきから脳カラだの駄女神だのちょっと酷いんじゃない?……貴方も似たようなものでしょうに良く言えるわね?さっきまでの醜態を忘れたのかしら?ふふふ……学習能力皆無なのね?クズマさん(笑)」

 

……………………。

 

「ちょっ、フレイヤお前なんで煽るん?マジでリアルに頭沸いとんのか?」

 

「いいじゃない少しぐらい。……私の今の状態を見なさい?こんな屈辱味わった事がないわ」

 

「自業自得の究極系やろ……」

 

「よくよく考えてみると、サトウカズマの本質が邪神より邪神してるのが悪いんじゃない?……つまり私は何も悪くないわ!魅了されただけでああなっちゃう彼が悪いのよ!!」

 

…………………………………。

 

「うわぁ……ウチも大概やと思っとったけど、下には下がおるもんやなぁ……最強やん」

 

「うるさいわよ!さあカズマ!いい加減私を解放しなさい!!」

 

……………………………………成る程、それがフレイヤ様の答えと言うわけか。

 

そう言う事ならこっちも遠慮はいらないな。

 

「……ああ分かった。そんなに解放して欲しいんならとっとと解放してやるよ」

 

「……あ、あら?随分と優しいじゃないの」

 

絶対何かしらの罰が下ると思っていたのに、あっさりと許されて困惑するフレイヤ。

 

そんな彼女を尻目に佐藤カズマは淡々と口を開き。

 

「ただその代わり、これから安心してこの都市で暮らしていけると思うなよ?」

 

「……えっ?」

 

「俺の全てを賭けて、お前の女神としての尊厳を地の底まで叩き落としてやる。……ゴブリンの方が美の女神より美しいって言われる日が来るかもな!精々楽しみにしてろよこのクソッタレ女神がっ」

 

「ごめんなさい!調子に乗っちゃったのは謝るからそれだけは勘弁して下さいカズマ様っ!!」

 

「(フレイヤがゴブリン以下に成り下がるなんて流石に有り得へんやろと言い切れんのがカズマの恐ろしい所やな……)」

 

天界きっての厄介女神達を心底震え上がらせる男など、数多の世界を探してもそうそう存在しないだろう。

 

……流石はその手段の選ばなさで、ピーキーな性能をしている仲間達と共に、今まで誰も倒せなかった魔王軍幹部や大物賞金首をぶっ倒し、遂には魔王をもおちょくりつつ討伐してしまったカズマさんである。

 

「か、カズマ……なんだか可哀想だからそろそろ許してあげようよ……気持ちはちょっと分かるけどさ……」

 

この場における唯一の良心、ベル・クラネルが余りにもあんまりな女神様の姿を見かねて、助け舟を出してあげるが……。

 

「いいかベル。こう言う馬鹿はな、一回甘やかすと性懲りも無くまた同じ事をするって相場が決まってんだよ。……だからここはこの駄女神の為にも心を鬼にしてだな……」

 

「で、でもやっぱり可哀想だよ……て言うか何させるつもりなの?」

 

「一糸纏わぬ姿でこの都市を全国行脚させた後に、ファミリアの名前を『脳カラパッパラパーティーフレイヤちゃんの駄女神ほーむ♡』に改名させる」

 

「鬼畜にも程があるっ!?やめてあげて!お願いだから!!」

 

「………はぁ、ベルがそこまで言うなら仕方ねえなあ……おいフレイヤ、ベルに感謝しろよ」

 

「ベル……!ありがとうね……!!」

 

自身のファミリアの名称が、今後一生神々に揶揄われ続けるとんでもないものになりそうだった事態を止めてくれた優しい少年に、涙を浮かべながら感謝するフレイヤ。

 

……因みにロキはそうなった場合を想像して静かに笑い転げていた。

 

「……結局、この責任は誰が取るの?」

 

「「「「………あっ」」」」

 

そんな中、ここまで静かに静観していたアイズが口を開く。

 

「……普通にもうフレイヤでいいだろ、全部こいつが悪いんだし」

 

「女性に全ての責任を押し付けるなんて……随分と小さい男ね、サトウカズマ」

 

「………『フリー………」

 

「ごめんなさい!何でもないですっ」

 

「ぶふっ!?おまっ、どんだけ脳味噌空っぽやねん!?学べやこんアホっ!!!!」

 

学ばないにも程があるアホなフレイヤ、略してアホイヤに思わず吹き出しツッコミを入れるロキ。

 

「フレイヤ様……もう僕は知らないですからね……」

 

「ちょっ、ベル!?女性を見捨てるなんて貴方らしくないわよ!?」

 

「いやなんかもう……自業自得じゃないですか……流石に庇いきれませんよ」

 

「そ、そんな…わ、私の……私のベルが……!!」

 

「む……ベルは貴女の物じゃない。……ベルは私の英雄だから」

 

フレイヤの発言が彼女の逆鱗に触れたのか、頬をぷくっと膨らませ、即座にベルの腕を掴み取り己の元へ引き寄せるアイズ。

 

「あ、アイズさんっ!?」

 

想い人のそんな行動に赤面しながら慌てふためくベル・クラネル。

 

そんな光景を見せられてフレイヤは──。

 

「……もう天界に還ろうかしら」

 

──死んだ目で割と洒落にならない事を呟いていた。

 

まあ無理もないだろう。

 

何せアイズより前から目をつけていた、透明な輝かしい魂を持つ優しくて暖かい愛し子に見捨てられた上、目の前で初々しいイチャイチャを見せつけられているのだから。

 

……ぶっちゃけただの自業自得なのだが、そこについては突っ込んではいけない。

 

「ベルの奴、イチャコラしやがって……!」

 

ラブコメみたいなやり取りをしている仲間の姿に対して、思わず悪態を突いてしまうカズマを見やり。

 

「まあまあ落ち着きーやカズマ!あんぐらい微笑ましいもんやん?あんたにもその内良い出会いが……あるとええなぁ……うん、まあ頑張りーや?」

 

神として慰めの言葉を投げかけてあげようとするロキだったが、この男のアレな部分を色々見てしまっている影響で、その可能性の余りの低さを痛感し、憐みの視線と共に肩をポンっと……。

 

「う、うるせーよ!くそっ、俺にだって『帰ってきたらもっと凄い事をしましょうね』とか!『いっそ、ここで二人で、大人になってみるか……?』とか!!言ってくれる女の子達も居るんだからな!?」

 

「……………うん、そうやな……例え妄想でも、カズマがそう信じるならそれは真実や……ウチは応援するで……」

 

──そんなカズマの必死な弁明を、かつてヘスティアが向けてきた心底可哀想なものを見る様な視線を向けつつ、背中をサスサスと摩って慰めてあげるロキ。

 

「だから妄想じゃねえって言ってんだろ!何で誰も信じてくれないんだっ!?そんなに俺にヒロインが居るのが不思議か!?」

 

「カズマにヒロイン?……ふふっ、そんなもの存在するわけないじゃない」

 

ベルが他の女とイチャイチャしてるのを見てやさぐれた心を癒す為に、再びカズマを煽り出す学習性能皆無なアホイヤ。

 

「『フリーズ』!!!!」

 

「んひゃぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」

 

「あっひゃっひゃっ!!!!ホンマ学ばんなフレイヤ!!!!不変にも程があんで!?」

 

「か、カズマ!?何やってんのっ!?……フレイヤ様もいい加減学んでくださいよ!!」

 

「………話、全く進まない…………」

 

─────いつまで経っても終わらないこのやり取りに、この美の女神もしかして相当なアホなんじゃないかと思ったベルとアイズなのだった。




フレイヤ様のキャラがどんどん迷子に……フレイヤ様ファンの方には申し訳ない限りです。
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