【ORAS10周年記念】Re:Re:ポケットモンスター REALIZE   作:暁色の王冠

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激闘 ライブハウス②

 ジェノサイドは安堵した。同時に侮蔑の感情も催した。

それは、この後に放った言葉からも見て取れる。

 

「ヨシキ……ね。本名かな? まぁどうでもいいや。ズバリ聞くけど、お前が組織レシェノルティアのリーダーだな?」

 

「ったく……はぁ。情報掴んでんならそれくらい知ってるでしょ。なんでわざわざ訊ねてくるかな?」

 

 ヨシキは言いながら手に持っていた刀を振った。綺麗な楕円を描いたそれからは微かな風切り音が静寂な空間に響く。威嚇のつもりのようだった。

 

「それとも、わざと聞いて反応を伺おうとしたのかな?」

 

 当たりだった。

両隣に立っていた二人はギクリとした表情をしつつジェノサイドに目配せしたようだったが、肝心の彼本人が二人を見ることすらもしなかったので、発せられたであろうメッセージに気付かずに終わる。

傍から見れば、取り巻きが不審で思わせぶりな動きをしたという意味がありそうで何も無い、結局何をしたかったのかよく分からないまま時間を奪うという結果になってしまった。対照的にジェノサイドは顔色一つとして変わっていない。

 

「探り合いは重要だもんね、わかるわかる。でも、ボクはこうも思ったんだ。ジェノサイド、君は本当はこう訊ねたかったんじゃないかな? 『なんで組織の長自ら待ち構えているんだ』ってね。まぁ君が言うなよって話だけど」

 

 今度こそジェノサイドも多少ギクリとした不安を覚えた。その時だけ鼓動がやや早まるものの、ポーカーフェイスを意識しているためか昂りは徐々に失せてゆく。

 

「確かに、『お前が言うな』案件だな。だが、仮に俺がそう思ったとして、お前は何故そんな考えに至ったんだ?」

 

「そんなの……勘のいい君なら分かるはずだよ?」

 

「それもそうか」

 

 会話が、話が二人の間で勝手に完結している。

置いてけぼりにされて且つ状況の理解出来ないハヤテとケンゾウは。

 

「あのぅ……すいまっせんリーダー。どうも何が何だかサッパリで俺たち……」

 

 空気が読めていないのを自覚しつつ聞いてみることにした。その声はケンゾウのものだった。

 

「大学で受けた襲撃は」

 

 ジェノサイドはケンゾウの質問を無視する。我ながら部下には冷たいと若干の後ろめたさを覚えながら。

 

「どういう訳か全員が全員その組織のリーダーが俺にわざわざ突っかかって来た。ハッキリ言って普通の組織間抗争ではあまり見ない光景だ。お前が何か指図でもしたのか? 神東大学に俺が居るって情報を不特定多数にバラしたのはお前だって言うじゃないか」

 

「それは半分正解かなー? でもちょっと違う。もっと心理的なものだよ」

 

「心理的?」

 

「組織対組織で戦った場合、誰がその恩恵を最も受けることになると思う? ……結社を除いてね」

 

「そんなの……勝った組織に決まってるじゃないか!」

 

 ハヤテが語気を強めては割り込んだ。

 

「はい残念。まぁ、これまでずぅぅぅぅっと勝ち続けてきた組織ジェノサイドには分かりにくいのかな? 一番当てはまると思うんだけど」

 

「ハッキリしろよ。言いたいことさっさと言わねぇなら今この場で殺すぞ。俺もお前如き雑魚には時間掛けたくねぇんだわ」

 

「ハイハイ、わかったよ。正解は勝った組織での個人間の問題だよ。誰が今回の戦いで一番目立ったか、一番の功労者は誰か。そんな所だよ。大体組織の長が得られた利益の大半を掻っ攫うもんだけど、それを良く思わない構成員も現れたりするじゃん? すると、我先にと動く人間も出たりするじゃん? そうなると組織の長としては面白くないものだよ。だから……」

 

「組織の長があえて出張る……という事でしょうか? 大きすぎるリスクを負ってまで。全ては利益のため……?」

 

 確かに組織ジェノサイドではあまり見ない光景だった。自分で推理しておきながら、ハヤテは身震いする。

 

「そ。結局みんなお金が欲しいんだろうねぇ。相手がこの世界で最強で最もお金持ちの組織のジェノサイドだったら尚更でしょ。利益独占したいでしょ。その心理を利用してもらったよ。それで集まった連中が神東大学でのジェノサイド包囲網ってワケ! なんか大体がやられちゃったみたいだけど」

 

「そんで今度はお前自身が迎撃に、ってことだな」

 

「うん。ボクが手にする利益はボクだけのモノにしたいからね」

 

「そうかそうか。なら、さっさと死ね」

 

 ジェノサイドはそう言いつつ微笑をたたえた刹那、彼を中心に赤黒い光線が広範囲に放出された。対象は問わず、無差別に。

ゾロアークの"ナイトバースト"は狭い空間に広がる。そのせいで多くの備品に命中しては破壊し尽くす。ステージのライト、スピーカー、放置されたスタンドマイク、そしてさっきまでジェノサイドがシェルター代わりとしていたカウンターまでも。

 

 衝撃音はすぐに止んだ。コンクリートを破壊した際に弾けた振動を捉えつつ大量の埃を被ったケンゾウとハヤテががばりと煙の中から起き上がった。直撃を防ぐため咄嗟に伏せたようだ。

 

「ちょっ、リーダーァァ! 殺す気ですかい!?」

 

「あの……敵の油断を掻いた攻撃なのは分かりますが、僕らにも当たります。勘弁してください」

 

「あー、悪いお前ら。でもお前らなら避けられるだろうと思っていたから大丈夫よ」

 

 僕らが大丈夫じゃない、と言いたくなった感情をグッと抑えたハヤテは彼ら同様に入口を見つめる。そこにヨシキの姿は無かった。

 

「逃げられましたね」

 

「あぁ。"ナイトバースト"を放った瞬間、不自然な風があった。恐らくヨシキが何らかのポケモンで防いだんだろう。そしてその隙に姿を晦ました、と」

 

「どう見ます?」

 

「どう見るって言ってもな……。実力は大したもんじゃねぇな。普段安全圏から様子見しながら深部(ディープ)集団(サイド)の情報を売ってる奴だ。自身に危機が迫ったら一目散に逃げるタイプだろうな。その為に絶対に勝つ手段を講じる。だから銃刀法違反覚悟で刀突きつけてきたんだろう」

 

「それはつまり……実戦が苦手な可能性が?」

 

「有り得るだろうな。実力の無さを情報でカバーってか。まぁいい。要するにアイツとっ捕まえさえすれば勝てる戦いだ。奴が味方を呼ぶ前に三人で手分けして探すぞ。見つけ次第潰せ」

 

 二つの耳がそれぞれ「了解」という声を掴む。

三人はライブハウスから地上へ出るとそれぞれ異なる方角を目指して走り始めた。

 

 

 どれほど目を凝らしても、それらしい人物は見当たらない。

体力に自信の無いハヤテは早くもバテ気味になりながらも軽く走っては休み、走っては休みを繰り返していた。

 

(居ない……なぁ。格好も白のシャツに紺のデニムだったから普通と言えば普通だから上手く溶け込んじゃったかな? そう簡単に見つかる訳ないか……)

 

 不満を覚えたハヤテだったが、一番の特徴だけは忘れずにいた。

 

 ライブハウスには何も残っていなかった。自らのリーダーを切りつけた刀が、そこには無かった。つまりは、今も所持したまま逃げていることになる。

 

「このご時世に刀なんて持ってたら目立つし危ないよなぁ……」

 

 そんな事を思っていたハヤテは駅前まで辿り着くと偶然にもケンゾウと再会した。

まだ探し始めて三分は経っていない。

 

「ハヤテ! 奴は!?」

 

「居ないよ。そっちは?」

 

「ダメだっ!」

 

 ハヤテのその反応にケンゾウは首を横に振ったかと思うと今度は頭を抱えだした。相変わらず感情表現が激しい男である。

 

「だーっ! ちくしょう! 逃げ足早すぎだろ! 人間の癖してスカーフでも巻いてんのかあの野郎」

 

 冗談にしか聞こえない冗談ではあるようだが、その顔は本気だった。ハヤテはそんなギャップに戸惑いつつ状況の整理を試みる。

 

「と、とりあえず……まずは考えよ?」

 

「お、おう」

 

 冷静さを取り戻した二人は歩きつつ駅へと向かう。ケンゾウはハヤテの歩行ペースに合わせる。

 

「リーダーが"ナイトバースト"ぶっ放してライブハウスを出たのが丁度三分前かな。それからすぐ皆と別れて駅周辺を探ってみたけどヨシキは見つからずじまい。そこでケンゾウは僕と会った。それが今。そうだよね?」

 

「だが……三分しか経っていないんだからよ、まだそう遠くには逃げていないはずだぞ」

 

「うん。それこそ、こだわりスカーフ巻くかポケモンで逃げるかしないとね。それに僕、見たんだ」

 

「なにを?」

 

「刀だよ。あいつは最初から最後まで刀を持ってたでしょ? それがライブハウスの中では見当たらなかった。ここまで探している間にも見つからなかった。だから多分、今も抱えながら逃げてると思う」

 

「おいおい、そんなモン持ち歩いていたら目立つだろ。物騒だし」

 

 ケンゾウは言いながら指をポキポキと鳴らし始めた。彼の格好はタンクトップにカーゴパンツである。麗しい肉体が曝け出されているため、人が見れば彼も十分物騒ではありそうだったが、その自覚は無いようだった。

 

「う、うん……その通りだよね。注目も浴びるし通報だってされかねない。交番もすぐ近くにあるし、僕らから見ても目印にもなるよね。でも、それらを解消する方法があるとしたら……」

 

「あるとしたら……?」

 

 何も思い浮かばないケンゾウはオウム返ししては一息入れて背伸びをした。

何も意識しないまま、眼前に広がる青空を眺める。

 

「んー、俺には分かんねぇな。こうして空を眺めることしか……。んん!?」

 

 突然ケンゾウの声が裏返る。

不自然に叫ぶ形となったのでハヤテも驚きはしたが、ケンゾウと空を交互に見ては何か思い付いたらしかった。

 

「今なんか見えたような……」

 

「ケンゾウ! 多分それがヨシキだよ! ポケモンに乗って空から逃げる事が出来れば刀持っていようが目立つことは無いし地上を注視している僕らの目も欺ける! 今君が見たのはポケモンだったかな?」

 

「いや、そこまでは……。でもなんか飛んでたな」

 

 確認はいらない。ハヤテはすぐにスマホを用意して電話をかける。相手は当然ジェノサイドだ。

 

「もしもし! リーダーですか!? ヨシキは今駅から見て北側の上空にいます!」

 

 簡潔に済ませる。それだけ言っては通話を切った。ジェノサイドが電話に出たことは分かっているので、あとはすべて任せてしまえばそれでいい。実際ジェノサイドはそれを聞いて嬉しい報告であると内心喜んだ。

 

「俺を乗せろ、リザードン!」

 

 迷いは無かった。

ボールからポケモンを出すと颯爽と背に乗り、言われたように北の方角目指して飛んだ。

 

 駅からかなり離れた位置まで走っていたジェノサイドは、駅の真上まで来るとスピードを緩めるように指示をしつつ指定された方向へ意識を集中させるが、それらしい影は見えない。

再び見失ったジェノサイドは再度ハヤテへと連絡を入れる。

 

「すまん、今駅の真上から北に向かって飛んでいるが姿が見えない。本当に北だったか?」

 

「えーっと……確かにさっきケンゾウがそっち方面を見ながら発見したらしいのですが……。よっぽど速いポケモンじゃないとそんな離れてないと思います。もしかしたら、上空からだと分かりにくい場所に隠れている可能性もありそうですね。建物の陰とか、高架下とか。僕たちもそれを意識しながら探してみます」

 

「おう、頼ん……うおおっ!」

 

 不意に上がったジェノサイドの叫び声でハヤテは耳が痛くなり、反射的にスマホを遠ざけた。が、最悪の事態が過ぎり、彼も電話越しに叫ぶ。

 

「リーダー! 大丈夫ですかリーダー! 何かありましたか!?」

 

「……俺は大丈夫だ。すまん、今は切る」

 

 そう言われては一方的に通話を切られる。

何が何だか分からないハヤテは無我夢中で駅まで走った。さっきまでバテていたのを忘れるかのように。

 

「おい、どうしたんだよハヤテ!」

 

「いいから! こっち!」

 

 二人は駅まで戻っては空を見上げた。そしてジェノサイドの身に何が起こったのかを理解した。

 

 一瞬だが油断した。

通話のためジェノサイドは丸腰だった。そこを背後から、エアームドに乗ったヨシキが突撃して来る。

リザードンはそれを本能的に避けた。そのリザードンの動きに驚いたジェノサイドが叫んだだけであったのだ。

 

 ジェノサイドは改めてヨシキを確認する。

白のシャツ、紺のデニム、そして手に持つ刀。

 

「あー、びっくりした」

 

「第一声がそれ?」

 

 ヨシキは自由奔放にして余裕だが注意散漫なジェノサイドの姿を見て呆れつつ怒りを覚えた。

 

 お前みたいな未熟者が最強になれるのか、と。

 

「エアームド、"ドリルくちばし"」

 

 ヨシキは暗に特攻を命令する。

鋭く尖らせた嘴が、風に乗った形で迫る。

しかし、ジェノサイドはその顔に変化を見せない。

 

「かわせ、リザードン」

 

 造作もない事だった。リザードン程度の速さならば簡単に避ける事が出来る。

 

「そう言えば、お前に言いたい事がもう一つあったわ」

 

「なんだい?」

 

 二人は空の上で静止したまま、距離を空けているにも関わらず会話をし始める。

 

「お前は、どんなポジションに着いているんだ? 普通、深部(ディープ)集団(サイド)の情報なんて掴めるはずが無い! 答えろ、お前の背後に居る人間は誰だ、結社の人間か!?」

 

「ねぇ何!? 遠くて声が聞こえない!」

 

 聞こえないフリか、本当に届いていないのか。丁度そんなタイミングで風が強まりだした。

埒が明かない。そう判断したジェノサイドはリザードンに命令する。

 

「"だいもんじ"」

 

 リザードンの口から炎が吐かれると同時にエアームドは動いた。気付かれたらしく、折角放った炎は何も無い所で散る。

 

「唇の動きで分かるんだよそんなの! 本当に君は不意打ちが好きなんだね!?」

 

「テメェに言われたかねぇ!!」

 

 今度はリザードンがエアームドに向かって急接近し始める。

はじめこそはその速度に目が追いつかなかったヨシキだったが、相手の目当てがエアームドの撃破ではなく、自分自身だと察すると突如として急降下するよう命じた。

 

 彼とエアームドは地表スレスレまで下る。

人が多い地上ならば遠慮の無い攻撃は出来ないという彼なりの予測だった。

 

 その光景を今まさにケンゾウとハヤテは目撃していた。

互いに技を放ったかと思うと、エアームドが高度を下げる。すると、それに応じるかのようにリザードンも同様に急降下しだした。

 

「おい……まさか……」

 

 ケンゾウはその光景を見て不安を抱いた。

ジェノサイドの性格を彼なりに理解しているためだ。

その通りで、ヨシキとエアームドは彼を煽るかのような振る舞いで地上を歩く人々の頭上ギリギリを走ったり、突然車道に躍り出てはそこを走る自動車の前方へ飛んだり、すれ違う自動車同士の間を抜けたりと危険な動きを繰り返す。

そして、それを見たジェノサイドとリザードンは彼と全く同じ軌道をなぞって後を追う。

 

「無茶っすよリーダー! こんな街中でドッグファイトなんて危険すぎるっす!」

 

 当然だがケンゾウの声はジェノサイドには届かない。その叫びも虚しく、二人は街を駆ける。

 

「ケンゾウ……? リーダーは?」

 

「ダメだ。奴と追っかけっこ始めちまったようでどっか行っちまったよ。ああなると熱くなって周りが見えなくなるしよぉ……」

 

 ハヤテはそれを聞いて大きく溜息をついた。

 

「またか……。ああなるともう手は付けられない。街に被害が及ぶかもしれないから最後まで他人のフリしてようか……」

 

 彼ら二人の間では定番のやり取りである。

 

 エアームドは車道ギリギリを通過する。

リザードンはそれを追い、走行中の軽自動車と歩道橋の隙間をくぐり抜ける。

強い風を浴びながら目の前を走る敵を強く捉える。近くを迫る人や車はお構い無しだ。だが、それでもそれらに当たることは無く、躱し続ける。

 

 視界が突如として開ける。死角の一切が存在しない大空の真ん中へ放り出された。

西日の強い光に目を奪われ、つい目を瞑ったその瞬間を。

 

 エアームドは旋回してこちらへ迫って来た。追い風も相まって凄まじい速度だった。

今から避けるには間に合わない。何かしらの技を放とうにも指示と実行のタイムラグが生じることで追い付く事が出来ない。

 

 ジェノサイドは悟った。すべてを理解した。誘導されたと。

 

(この状況を作るために、今まで逃げ続けて誘ってたわけか……)

 

 そう思い、ジェノサイドは両目を瞑った。

 

 このままではエアームドは自分と激突する。リザードンは平気だろうが生身の人間である自分はただでは済まない。ここで死ぬだろう。

同じ生身の状態であるヨシキも同等だが、エネルギーの向きが違うし、頑丈なエアームドに乗っている。恐らくだが死ぬのは自分だけだ。

敗北を受け入れる。

 

 かのように見えたジェノサイドは忽然と姿を消した。文字通り、その瞬間に。

 

「な……に……? 今のは……?」

 

 勝利を手にする思いだったヨシキは瞬時になんとも言えない不安に駆られる。

目の前に居たはずのジェノサイドの姿が見えなくなった。

だが、その理由はすぐに判明した。

 

 その真下。

ジェノサイドは落下していた。

よく見るとリザードンの姿が無い。一瞬の隙にボールに戻したかもしれないが、とてもそうには見えない。

一切の防具を身に付けて居ないその体が、地上に向け落ちている。

 

「血迷ったのか!? どちらにせよ君は死ぬ……」

 

 言いかけたその時。

本来ならば掛からないはずの陰が、その身を覆った。

今ある上空に、遮蔽物などあるはずが無い。航空機が飛ぶ高高度を飛んでいる訳でも無い。

今ヨシキは有り得ない現象に遭遇してしまう。

同時に、不自然な熱も感じた。

陽射しの割には強く、熱い。

まるでBBQをしている時に感じるそれのようだった。

間近故に地肌を触る熱。浴びる炎。

その感覚に近いものだった。

 

 恐怖を覚えたヨシキはゆっくりと見上げる。

するとそこには、今まさに"かえんほうしゃ"を打つその瞬間のゾロアークの姿があった。

 

「なっ、ゾロアーク!? ばっ、……さっきまでリザードンに乗っていたはずなのに!! まさかずっとリザードンに化けたゾロアークに乗って飛んでいた!? いや、有り得ない! ゾロアークは重さまでは変えられないはず……っ!」

 

 訳の分からないヨシキであったが、この時になって初めて彼はジェノサイドが最強たる理由を知った。

 

「途中までは本物のリザードンだった……? でも、どこからゾロアークが……? どこまでが幻で、どこからが現実? 分からないっっ、君の強さは……その本質は……っ!」

 

 直後にして、その身を爆炎と轟音が包む。

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