15光年のガイア   作:ナカイユウ

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第十五話 提案

 「おかえり、ガイアくん

 

 もしもの話。学校や習い事、あるいは仕事が終わって家族の待つ家に帰って来て玄関を開けると伝説のアイドルが目の前にいて、“おかえり”と言ってくれたらどんな気持ちになるだろうか。メディアで見たりライブに行ったことのあるスーパースターに会えて嬉しい。あるいは一流芸能人のオーラに圧倒されてド緊張。なんて感じになるのだろうか?

 

 「・・・・・・は?」

 

 正解は、シンプルにめっちゃ恐い。

 

 「ごめん。びっくりさせちゃったね」

 「いや、あの・・・さすがにこれは意味が分からなさすぎるんですが」

 

 母上、または母上がいないときはお手伝いさんがリビングで夕飯の支度をしている上原家に帰って来たら、あの星野ルビーがいる。もしおれが推しだったら違った結果になっているかもしれないが、残念ながらそうではない俺からすれば圧倒的に恐怖の感情が勝ってしまっている。というかあまりに脈略が無さすぎてこんなの推しでも混乱する。

 

 「(隠しカメラは・・・)」

 「言っておくけどカメラはどこにもないよ?」

 

 ひとまずは自宅ドッキリを疑うことにして玄関の見渡し始めると、隠しカメラの存在を疑い出したおれに星野さんが優しく笑って言い放つ。B小町だった頃を彷彿とさせる明るい表情と、奥底に冷たさを感じるような不敵な声色と口ぶり。

 

 「・・・上原家(ウチ)に何かご用ですか?」

 

 顔を見て、これは演技じゃないなと確信しておれは星野さんへ理由を問う。

 

 「うん。フリルちゃんたちも交えてガイア君とお話ししたいことがあって」

 「何でここなんですか?」

 「う~ん、ちょっとお外では話せないような話。みたいな?」

 

 問いを投げたおれに、星野さんはあざと気にその理由を明かす。理由をもとに考える。星野さんが外では話せない話をするために、上原家へ訪問してきた意味。

 

 「()()()()、ですか?」

 

 ひとつの結論が、頭の中で浮かんだ。

 

 「ふふっ、君は本当に勘が鋭いね

 

 俺の眼を、宝石のような輝きを秘める優美なピンク色の瞳が穏やかに凝視して、伝説のアイドルと未だ語り継がれるその人は軽やかな足取りでリビングのほうへと足を進めて行く。このリアクションからして、星野さんが上原家を訪ねた理由はもう間違いない。

 

 でもどうして“あの映画”の話をするのにおれだけではなく母上もいる必要があるのか、それが読めない_

 

 「あっ、ガイアおかえりっ!」

 

 突然の訪問に呆気に取られっぱなしなまま靴を脱いで玄関を上がると、リビングからイブが出てきて嬉しそうに出迎える。

 

 「イブもこっちに来てたんだ」

 「うん。パパから今日はまた帰るのが明日になるからママのところに泊まってきてって言われたから♪」

 「前もあったなそんなパターン。てかいつもよりテンション高いな」

 「だって生の星野ルビーが(うち)にいるんだよ?普通にテンション上がるでしょ」

 「おれらの両親も負けず劣らずのスターなんだけどな?」

 

 何でイブまでこっちにいるのか、そもそもテンションが高いなと思ったが、10秒足らずで解決した。まあ確かに、不知火フリルと姫川大輝が育ての親という環境が当たり前すぎて麻痺しているが、星野ルビーが自分たちの家にいることはドッキリだとしても普通に凄すぎることだ。ややこしいのはこれがドッキリではなくホントだということだが。

 

 「ガイア、もうすぐご飯できるよ」

 

 そして母上に至っては、もはや星野さんがいることをさも当然のように受け入れて何食わぬ顔で星野さんの分を含めた夕飯を用意している。物心がつく前から戸籍上の親子としてずっと一緒に暮らしているが、一般人とはかけ離れたぶっとんだ感性を持つ母上のことは未だに偶に分からなくなる。

 

 「親父は仕事?」

 「仕事と()()

 「超人気俳優は大変だな」

 「あなたもいつかこうなるかもしれないよ?」

 「そんな甘くないっての芸能界は」

 

 ちなみに親父は今日も今日とて役者業と大人の付き合いで忙しく、安定の不在だ。

 

 「バッグ置いてくる」

 

 無事に仕事を終えて帰ってきたという生存報告もほどほどに、台本の入った必要最低限の手荷物を置きに2階の自室に向かう。

 

 「仲いいねみんな」

 「それが私たちの取り柄だから」

 「姫川さんもたまには真っ直ぐ帰ってくればいいのに」

 「仕方ないよ。姫ちゃんは根っからの仕事人間だし」

 「そういえばルビーさんってママとはどういう関係なんですか?」

 「高校からの友達だよ」

 「映画で共演したこともありましたよね?」

 「あははっよく知ってるねイブちゃん」

 「B小町のライブもネトフリで観たことあります!」

 「へぇ~それは嬉しいなぁ」

 

 階段を上がる途中で背後から聞こえてくる、いつもより騒がしいリビングの団欒。もう当たり前のように上原家の空気に溶け込んでいるようにすら思える星野さんが、微笑ましいような恐いような。

 

 「(本当に仲が良かったんだな・・・母上と星野さん)」

 

 星野さんの口から母上とたまに会ってランチをしていると聞いたときは、そんなこと全く母上は言っていなかったから信用しきれない部分があったが、心なしか普段より少し明るく聞こえる母上の声色が、()()()()()だと俺に伝えてくる。

 

 「・・・わっかんねえな」

 

 だから尚更、顔合わせの目途以外が一切不明瞭な五反田監督の映画の話を、大まかな事情を知っているとはいえわざわざ母上とイブを巻き込んでやる意味がまるで予想がつかない。

 

 

 

 こんなにも心の中が全く読めない人と一緒にカメラの前で演技をしながら映画(さくひん)を創っていくのは、なかなかにタフな日々になるだろう_

 

 

 

 「パエリアって久々じゃね?」

 「何だかんだ1年ぶりくらいかな」

 「へぇーそんな経つのな」

 

 星野さんのことについて頭の中で巡らせながら手荷物を部屋に置き、洗面所で手を洗うルーティンをしてリビングに戻る。ダイニングテーブルの上には、母上曰く1年ぶりに食卓に登場したというパエリアとシーザーサラダ、冷製のクリームスープが4人分にポンっと分けられて置かれていた。

 

 「サラダはあたしが作りました♪」

 「えっこれイブが作ったの?」

 「我ながらいい感じでしょ?」

 「普通に美味そうすぎるのだが」

 

 ちなみに副菜のシーザーサラダはイブが作ったという。星野さんが来るということで相当気合いが入っているのか、ミシュランから星を貰えるレベルで美味しい母上の手料理と見た目だけならかなりのいい勝負をしている。

 

 「てことはスープは」

 「ママだよ」

 「本当は私も手伝うつもりだったんだけどね~」

 「わざわざ来てくれたお客様に作らせるわけにはいかないからね」

 「なんかすいません」

 

 この流れだともしやと魔が差したら、イブに言葉を遮られる恰好で残りは母上のお手製だと明かされた。悪気は全くないけれど、何だか星野さんに無礼を働くようなことをしてしまった。

 

 「さあ、全員揃ったところで食べましょう」

 

 ということで食卓に野暮用で不在の親父以外の4人が揃って、母上の夕飯に舌鼓を打つ。さて、まあ味を知るおれからすればきっと大丈夫だろうが果たして星野さんは上原家の味をお気に召してくれるのだろうか。

 

 「うっっまっ!これレストラン開けるよフリルちゃん!」

 「赤坂か六本木のあたりに店出したら儲かるかな?」

 「母上、謙遜って言葉があるのは知ってるか?」

 「不知火フリルの経営するレストランって言うだけで大繁盛だよ☆」

 「星野さんもあんまり母上を図に乗らせないであげてください」

 

 なんて不安は秒で吹き飛び、母上の作ったパエリアを口にした星野さんは瞳の中で星を輝かせる勢いで大絶賛してくれた。確かにこの様子だと母上と星野さんの仲が良いのも頷けるが、いい大人が2人して世間知らずな女子高生みたいな会話をしているのは、子供として見ていてまあまあ恥ずかしい。

 

 「てか、大の大人2人が子どもの前でなんつー会話してるんですか」

 「ごめんごめん、フリルちゃんのパエリアが美味しすぎてつい」

 「まあ、母上の手料理が店を出せるレベルなのはおれも分かります」

 「良かったねフリルちゃん」

 「英才教育が役に立ったわ」

 「何の?」

 

 それはそうと、母上の作る手料理は今日も最高に美味しい。

 

 「イブちゃんの作ったサラダもすっごく美味しい」

 「ホントですか!?」

 「言っとくけどドレッシングはイブが一から作ってるよ」

 「えっすごっ!」

 「緊張した~口に合わなかったらどうしようってずっと思ってたから」

 「イブこそ大人になったらレストランやれよ」

 「どーしようかなぁ。あたしの夢って第一希望が公務員だし」

 「公務員になりたいんだイブちゃん」

 「はい。5歳からの夢です」

 「めっちゃ大人びてるねぇ」

 

 パエリアを3口ほど食べて、見た目は母上の料理といい勝負なイブの作ったシーザーサラダを口へ運ぶ。星野さんがこれまた絶賛した通り、めちゃくちゃ美味しい。そりゃあ卵焼きがまともに作れない親父に料理を任せず自分で一から全部やりたくなるのも頷ける。

 

 「こんなに美味しいご飯を作ってくれる美人さんが2人もいるなんて、ガイアくんは幸せ者だね?」

 

 穏やかに団欒の時間が流れていく中で、母上の隣の椅子に座る星野さんが真正面のおれに微笑みながら聞いてくる。

 

 「そうですね。もう幸せ過ぎるって感じですね」

 「へぇ~、ガイアってそんなふうに思ってたんだ」

 「悪いか?」

 「ううん。超嬉しい」

 

 オーディションのときに感じたどこか踏み込めない壁があるような感覚はまるで無く、母上やイブと話しながらパエリアに舌鼓を打つ星野さんからは、かつて東京ドームの舞台に立ち幾万人の観客を魅了していたアイドルと同じ人だとは思えないほど、表面上で作られた笑顔と優しさでは生み出せない暖かみを感じる。

 

 「あははっ、仲が良いこと」

 

 何と言えばいいか、血が繋がっていないおれを当たり前のように家族として受け入れている上原家の日常(しあわせ)を垣間見て、俺には星野さんの表情が安心しているように視えた。

 

 

 

 「君は色んなものを背負い込んで、心の整理が出来ない中でも生きていく意味を探す道を選んだから、ここにいるんだね」

 

 

 

 それはまるで、オーディションの終盤にふと見せた()()()()()()()とよく似ていた_

 

 

 

 「そうだ。イブちゃんとガイアくんって同じ学校に通ってるんだよね?」

 「はい。コースは違いますけど」

 「学校は楽しい?」

 「めちゃくちゃ楽しいです」

 「ガイアくんは?」

 「おれもまあ、それなりに」

 「部活は何か入ってるの?」

 「イブがダンス部に入ってます」

 「ダンス部なんだ!」

 「7月の文化祭でデビューするんだっけ?」

 「デビューは大袈裟だよ。ただみんなの前で初めて踊るってだけ」

 「えぇ~それめっちゃ行きたいんだけど私」

 「えっ!?じゃあめっちゃ気合い入れて頑張ります!」

 「観に行くなら服装気を付けてね。ほら、ルビーって目立つから」

 「うん、オッケー」

 「(さすがB小町の元センターなだけあって説得力が半端じゃねえ・・・)」

 

 そんなこんなで、星野さんが加わった食卓の空気に流されて、おれは映画の話などすっかり忘れて母上とイブが作った夕飯をメインディッシュにイブが7月の文化祭で初めて人前でダンスをすることや、芸能活動と並行して学校に通っているおれの近況とか、言ってしまえばここで振り返るほどでもない程度の他愛のない話で盛り上がった。

 

 「ごちそうさま」

 「あ~美味しかったぁ」

 「やっぱりママのご飯が世界で一番だね」

 「それは違いない」

 

 気が付けばあっという間に夕飯を食べ終えてしまった。星野さんが初めて加わった食卓はとにかく賑やかで、家族の温もりというものを肌で感じるみたいな至福があった。母上と2人だけの日常にはすっかり慣れたとはいえ、やっぱり少しうるさいくらいの騒がしさでしか得られないものがこの家にはある。

 

 「(・・・って、五反田監督の映画の話は??)」

 

 無論ここまで、()()にすら入っていない。

 

 「それでルビー。私たちに話したいことって何?」

 

 ようやく我に戻り思い出したところで、おれが言おうとしたことをほぼそのまま母上が代わりに星野さんへ聞く。忘れてはいけないのは、星野さんはただ上原家へご馳走に来たわけではなく、話したいことがあるから来たということだ。

 

 「あ、そうだ・・・みんなの話に夢中ですっかり忘れてた」 

 「張本人が忘れてどうするんですか」

 

 と言いつつ、当の本人もすっかり忘れていたようだ。このときおれは一瞬だけ思った。もしかしたらこの人、天然ボケかもしれないと。

 

 「えーっとですね。単刀直入に言えば、今から私が話すのはガイアくんが主演で出ることになった五反田監督の次回作についての話です」

 「なんでルビーが緊張しているの?」

 「だってせっかくイイ感じになってた空気をしんみりさせたくないし~」

 

 少し緊張気味に本題を切り出して母上からツッコまれ、自分勝手にごねる星野さん。そんなに上原家が心地よかったのかは知らないが、心なしか幼児退行を起こしている気がしなくもない。

 

 ただやっぱり、これが果たして本当の感情なのかが俺にはどうしても分からない_

 

 「まだちょっと()()()()が多くて詳しいことは話せないんだけどね・・・・・・実はその映画に私も出演することが決まっているんだよ」

 

 一呼吸分の深呼吸をして、なるべく場がしんみりしないようにと言わんばかりに明るめな声色で星野さんはおれたち家族へ話し始める。

 

 「・・・え、ええっ!!?」

 

 案の定、この中でただ一人だけ一般人のイブは目を見開き両手で口を押えて慄くようなリアクションで驚く。

 

 「ガイアと、ルビーさんが共演って・・・・・・やばたにえんにも程があるでしょ」

 「やばたにえん?」

 「お母さん(わたし)が小学生くらいのときに流行ってた言葉ね」

 「どこで覚えてきたそんな古い言葉」

 

 無理はない。ただでさえ表舞台から姿を消していた星野ルビーが再びスクリーンへ帰って来るというだけでも目玉が飛び出るくらいの大ニュースだというのに、同じ日に生まれた弟の共演者となるわけだから当然だ。

 

 「というか星野さんが出ること話しちゃって大丈夫なんですか?母上や親父はまだしも、イブは普通の中学生ですよ?」

 「もちろん無問題だよ。偉い人には片っ端から話つけてきた」

 

 とはいえ一般人のイブにリークされたら洒落にならないレベルのカミングアウトをして大丈夫かと思うところだが、星野さん曰く監督サイドとは話をつけてきたらしい。しかし、何だかおれの知らないところで色々と物事が進んでいる気がする。というか間違いなく色々と進んでいる。

 

 「これ、絶対秘密にしたほうがいいやつだよね?」

 「うん。間違って友達とかにバラしちゃったら笑えないから☆」

 「は、はいっ」

 「あんまりイブを怖がらせないでください。一般人なんで」

 「ごめんね。でも万が一のことがあるからさ」

 

 幸いなのは、こう見えてイブはちゃんとすべきところは抜かりないからリークの心配はまずしなくて大丈夫そうということか。

 

 「ということで話を戻すけど、今回のことはどうしてもフリルちゃんとイブちゃんの意見も必要だから、こういう形で私のほうから()()させていただきます」

 

 アイドル時代さながらの笑顔で一般人のイブへ軽く圧力をかけると、星野さんは()()という前置きをして続きを話し始めた。

 

 「続きを話せる範囲で話すとするなら、今回の映画でガイアくんと私は親子の役で共演することになったんだけど・・・」

 

 

 

 ☆★

 

 

 

 「本当にいいのか?」

 

 業界人御用達と言われる高級中華料理店の個室の席。自分(おれ)から見て左斜め前に座る映画監督が俺と右隣の椅子に座る小説家の男へ問いかける。

 

 「はい。遅かれ早かれ()()()()()()()()()()が白日の下に晒されるときが来ることは分かってますから、あくまで俺はガイアがどちらの選択をしようが意思を尊重するつもりでいます」

 

 円形のテーブルを囲んで座る新たな映画のために再び手を組んだ監督とプロデューサー、そしてガイアが師と仰いでいる芸能事務所の社長の3人へ順々に目を配せながら、出演者として関わることになった俺は問いに答える。いつかはツケを払わなければいけなくなる日が来ることを覚悟していた俺にとっては、()()()からの提案を受け入れるのに迷いはなかった。

 

 「ただ問題は、こいつが受け入れてくれるかどうかですが」

 

 今回の件で重要なことは俺たちではなく、ガイアたちがどうしたいかだからだ。

 

 「僕も大輝さんと同意見です。どうせ今回の映画で全てをバラすくらいなら、2人には身体だけでなく心という意味でも親子になってもらいたいので」

 「それをお前が言うな」

 

 この映画で原案と脚本協力で携わるレオもまた、()()()が決めたことだからととっくに受け入れている。紛いなりにも父親代わりとなって嫁と協力してイブと共に育ててきた俺からすればナメてんのかと言いたくなる言い分だが、目的が同じである以上はこっちも言える義理はない。

 

 「僕は信じています。この映画が1()()()()()()()()()()()()に幸せな未来を壊された全ての人を救うための鍵となることを・・・」

 

 食べかけの中華料理を囲む俺たち4人へ向けて、レオは死んだ弟とよく似た碧い瞳を輝かせながら容赦のない誹謗を交えて自らの願望を明かす。

 

 「少なくとも1人は傷つくことになるだろうけどな?」

 「そうなったら相応の報いは受ける覚悟です」

 

 その願望によって必ず傷つくことになる人がいることを確認のために聞くと、レオは覚悟の決まった眼と表情で微笑んだまま躊躇いもなく自分が報いを受けると言い切る。場を凌ぐ為だけのハッタリなんかではない純粋無垢な感情に、救ってくれなかった身内と社会に壊れされた心を抱えたままここまで来てしまったこいつの生い立ちを改めて思い知る。

 

 「星野アクアが死んだのは・・・・・・()()()()でもあるので

 

 

 

 全ての元凶が弟と共に死んでも、取り遺された俺たちの苦しみに終わりはない_

 

 

 

 「しかしいざ()()するとなると、マスコミの連中が厄介なところだよなぁ」

 「まあそこは“我らがボス”の東雲さんがどうにかしてくれますよ」

 「どこぞの二組の夫婦のせいでこのところは胃薬が手放せないがね」

 「それについては謝ります」

 「ところで有馬さんの帰国は間に合いそうですか?」

 「向こうでの撮影も無事予定通りに終わり、明後日には帰れるらしい」

 「あははっ、早速会うのが楽しみですね」

 「一番の当事者なくせに相変わらずお気楽だなお前は・・・」

 

 ともあれ、現時点において事は順調に進んでいると言えよう。

 

 「何としても終わらせよう。俺たちの代で」




あけおめです。そしてことよろです。
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