魔法少女リリカルなのはStrikerS もう一人のストライカー 作:藤月沙月
『前略 ルーチェ、レオンへ』
メールソフトを立ち上げて、私は黙々とメールを打っていた。機動六課に配属されて二週間が経過したこと、訓練が想像以上に厳しいこと(これでまだ第一段階なんだってさ)、しばらくは24時間勤務だということを知らせておくために。
というのも、同期の中で陸士部隊に配属したのは私だけだから。周囲に知り合いも何もいないから、今まで以上に連絡をこまめに取り合って、常に状況を知っていたいから――そうレオンは教えてくれた。ついでに多分ルーチェあたりが中心になって、定期的に同窓会をやるのだろう。そのほとんどには参加できないだろうけど。っていうか同窓会ってそんなに頻繁にやるものだっけ?
(いつまでも子供扱いは勘弁してほしいけどなあ……)
まあでも、愚痴っていてもなにも変わらないわけで。ならその時間を有意義なことに費やすというのが筋だろう。
時は新暦75年5月。現在時刻、午前5時。日課のランニングを終えた私は、自室でシャワーを浴びていた。本来寮では二人一部屋が原則らしいのだが、スターズはスターズと、ライトニングはライトニングと各部隊毎だったりする。私の所属はロングアーチなので同じロングアーチ所属の人と組むはずだったのだが、フォワードを兼ねる私は殆どの時間を訓練に費やしている。そのため他のロングアーチの隊員では活動時間が合わないので一人部屋をもらったのだ。
(……何がいいって、こうして気兼ねなくシャワーを使えるってことだよね……)
士官学校時代も寮に入っていたけど、その時のルームメイトは友人でもあるルーチェ。時間外の自主訓練には寛容だったけど、やっぱり遠慮はあったわけで。それに比べてやや手狭でも、一人部屋は気楽でいい。
(それにみんなでお風呂って、あんまり好きじゃないし……)
というより、周囲――特にスバルやティアナとのスタイルの違いが気になってしまう。一年、二年ほどしか変わらないのに私の体つきは子供のそれだ。動きやすいからいいけれども、やっぱり気になる。
そして時刻は6時ちょうど。
「今日もやるぞー!」
「「おおー!」」
スバルの掛け声に声を合わせたエリオとキャロを微笑ましく思いながら、私はメールを保存し、送信予約をかけた。ちなみにこれから早朝訓練です。
◇
「はい、せいれーつ!」
白い防護服を身に纏ったなのはさんが号令をかける。集まった私たちは息も絶え絶えだ。
「じゃあ本日の早朝訓練ラスト一本、みんな、まだ頑張れる?」
そう聞かれて、無理ですなんて言えない。言えるわけがない。返事に満足したなのはさんは内容――
「私の攻撃を五分間被弾無しで回避するか、私にクリーンヒットを入れればクリア。誰か一人でも被弾したら最初からやり直しだよ。頑張っていこう!」
「このぼろぼろ状態で、なのはさんの攻撃を五分間……捌き切る自信ある?」
「「ない!」」
「同じくです!」
ティアナの問いに、私とスバルが被った。ちなみに私、訓練中は陸戦限定(飛行魔法使用禁止)なので、自信がある方がおかしい。というか、五分間もスタミナが持つかという話だ。
「じゃ、なんとか一発入れよう!」
即断即決、素晴らしい限りです。なのはさんが開始を告げ、アクセルシューターが飛んできた。
「全員、撤退回避! 二分以内で決めるわよ!」
「「おーっ!」」
声を合わせ、全員で攻撃を回避する。――が、そこから先が問題だった。
シルエット・スバルがなのはさんに突っ込み、シルエット・ティアナが狙撃(する振り)。なのはさんが気付かないはずがないからそれを囮にして、幻術で隠れていたスバルがなのはさんを攻撃する。残していた2発のシューターが彼女に向かうため、回避したスバルをティアナが援護しシューターを撃ち落とす。私は時折シューターをおびき寄せエリオとキャロに寄せ付けない。隙を突いて、キャロのブーストを受けたエリオがなのはさんに一発入れる――とシナリオとしては問題なかった。
問題はそれを実際に行ったときに、発生した。スバルのローラーが悲鳴を上げ、ティアナの援護が不発という異常事態が。
ウィングロードで逃げるスバルを、シューターが追う。なのはさんへのマークがなくなってしまった。キャロはブースト、エリオは攻撃の準備に入ってるから動けないし、動かすわけにはいかない。
「ロードカートリッジ……!」
カートリッジを三発ロードし、私もアクセルシューターを10発呼びだす。同時に8発をなのはさんへ放ち、突撃した。
「っ……!」
桃色のシールドに阻まれ、刃は届かない。いつくるか分からない視覚外からの攻撃にも気を抜けない。こうなったら……っ!
左手のデバイスの銃口をバリアに向ける。カートリッジロードと新たに8発の誘導弾を生成した。そしてそれを一つにまとめ上げ、再びカートリッジをロード……しようとした瞬間、スカッやシュカッという気の抜ける音が響いた。カートリッジ内の魔力が回った様子はない――炸裂不足だ。
「こんな時にぃ!?」
そしてその隙を逃がすなのはさんではなかった。戻ってきたピンク色の誘導弾が私へと飛んでくる。
「アクセル!」
高速移動魔法――ブリッツアクションで何とか回避し、距離を取る。マガジンごと取り換え、再びカートリッジをロードした。10発の魔力刃を生成し、環状魔法陣が取り巻いたそれを一斉に撃ちこむ。煙は上がるが、命中した様子はない。全部バリアで防がれたはずだ。――けれど今は、それでいい。
「我が乞うは、疾風の翼。若き槍騎士に、駆け抜ける力を」
《Boost Up Acceleration.》
ちょうどいいタイミングで、キャロのブーストが完了する。
「あの……っ、かなり加速がついちゃうから、気をつけて!」
「大丈夫! スピードだけが取り柄だから!」
不安げなキャロにエリオはそう答え、槍型デバイス・ストラーダを呼んだ。
煙が晴れ、ティアナの誘導弾とチビ竜・フリードの火炎弾、再生成した私のアクセルシューターがなのはさんに向かっては避けられる。
「エリオ、今!」
エリオ達に気づいたなのはさんが向かう。ティアナの声が響いた。
「いっ……けえぇぇぇぇ!」
《Speerangriff!》
直線的な軌道の攻撃。爆煙が辺りを覆った。バリアさえ破れたら確実に入ったはず……!
だが、煙から弾かれたようにエリオが姿を現した。
「エリオ!」
「外した!?」
煙の向こうから現れたなのはさんは、無傷だった。が。
《Misson Conplete.》
レイジングハートはそう告げた。ビルの窓枠に片手でぶらさがっているエリオを回収し、地上へ運ぶ。確かによく見れば、なのはさんが纏う白い防護服の左胸元の部分が僅かながら汚れていた。
「じゃ、今朝はここまで。いったん集合しよ?」
「「はいっ!」」
「さて、みんなもだいぶチーム戦に慣れてきたね」
防護服を解除して、陸士制服に戻ったなのはさんは笑った。
「ティアナの指揮も筋が通ってきたよ。指揮官訓練、受けてみる?」
「いえ、あの……戦闘訓練だけでいっぱいいっぱいです……」
ですよねー。
「キュウ? キュクルゥ?」
小さく鳴いて、フリードは辺りを見回していた。……ん? なんか焦げ臭い……?
「スバル、あんたのローラー!」
「へ?」
ティアナの言葉に、みんなが視線をローラーブーツに向けた。原因であるローラーブーツは火花を散らして、悲鳴を上げている。
「オーバーヒートかなあ……後でメンテスタッフに見てもらおう」
「はい……」
ローラーを抱えて涙目になったスバルになのはさんはそう言って、私とティアナに視線を向けた。
「二人のデバイスも、けっこう厳しい?」
……確かにここ最近、デバイスの調子は厳しくなっている。さっきみたいな炸裂不足は初めてだけど、騙し騙しの整備ではここら辺が限界だ。かれこれ4年ほど使ってるし……でも今からデバイスを換えるとなると一抹の不安が過る。
「みんな、訓練に慣れてきたし……そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えかなぁ……」
なのはさんが呟いた。……新デバイス?
◇
フェイトさんと八神部隊長を見送って、私たちフォワード陣は寮のシャワーを浴びて早朝訓練でついた汚れを落としていた。
「えっとスバルさんのローラーとティアさんの銃、深琴さんの銃剣って、ご自分で組まれたんですよね?」
「うん、そうだよー」
「訓練校でも前の部隊でも、支給品って杖しかなかったのよ」
「うちでもそうでした」
念入りに体を洗いながら、デバイス自作組は振り返る。
「私はベルカ式な上に戦闘スタイルがあんなだし、ティアもカートリッジシステム使いたいからって」
「で、そうなると自分で作るしかないのよ。訓練校じゃオリジナルデバイス持ちなんていなかったから目立っちゃってね」
しかもデバイスは買うとなると非常に値が張るうえに、事件・事故防止のため身分証など様々な書類が必要となる。もちろん管理局局員や訓練校、士官学校の生徒はその条件もある程度緩和されるが、何より先立つものが「さらば諭吉!」レベルを超越しお年玉十年以上(一年につき数万から数十万もらうと仮定して)の金額が必要となる。カートリッジシステムなどの後付けや、私やスバルのように独特の戦闘スタイルを取るとなるとそれに合わせたチューンナップが必要となり、金額は跳ね上がる。
「あ、もしかしてそれで、スバルさんとティアさんはお友達になったんですか?」
「腐れ縁とあたしの苦悩の日々の始まりって言って」
本気で嫌そうだ。その状況に、私も思わず笑ってしまう。
「みんな、まだかなぁ……」
「クゥ……」
一人階段で待つエリオに同意するようにフリードが鳴いていることに気づかないまま。
◇
ミッドチルダ北部ベルカ自治領、「聖王教会」大聖堂。多くの信者とシスターが行き交うその場所に、モカ色のコートに身を包み、フードで顔を隠した八神はやてはいた。彼女を先導するように付いているのは、教会騎士の待機制服に身を包んだ中学生くらいの少年、
「19歳だ」
もとい青年だ。
「久しぶりやね、零」
「ああ、はやて」
青年・
「そういえばこの間……秋月深琴といったか? あの、インターミドル世界ランク10位の。そいつの個人訓練相手になってほしいとなのはに頼まれたんだが、俺でいいのか?」
つーか必要なくねえ? と零は呟く。
「そんなことあらへんよ。だいたいインターミドルのあれやって、ある意味偶然や」
言って、はやては深琴の伯父・
「近代ベルカ式主体ミッドチルダ式の混同ハイブリッド型の魔法体系は、数が少ないだけで取得は可能や。もともと近代ベルカ式は、古代ベルカ式をミッドチルダ式でエミュレートしてできたものやしな。……でも3年前には、特殊型とはいえ、深琴のような使い手はほとんどおらんかった。秋月教官は深琴が勝ち進んだのは、相手側の情報収集不足としてる。せやから世界本戦で早々に敗北してるんや。そもそも当時の深琴は魔法歴約一年の駆けだし魔導師。確かに約一年であそこまで動けたんやから才能とかもあるんやろうけど、あれが一般的な魔法体系なら都市本戦に進めたかも怪しいらしいよ」
「だから低い防御性能でありながら突撃して、ゼロ距離からのバスターか……それなら確かに相手も思わないだろうな。バリアのすぐ上から貫通魔法を放つなんて、正気の沙汰じゃない」
発射の反動で、最悪自身だってダメージを負ってしまう。線は悪くないのに焦りから危険なごり押しを繰り返すのは彼女の悪い癖だ。
「なら引き受けてやるさ。聞く限り、器用なのにごり押しの傾向がある以外には問題はなさそうだし」
「そう言ってくれると助かるわ」
言ってはやては、騎士団隊長カリム・グラシアの執務室に入って行った。その後姿を見送って、零は肩を竦めた。そして呟く。
「……クッキーでも焼くか」
◇
機動六課隊舎、メンテナンスルーム。そこに集まっていた私たちフォワード5人の目の前に、それらはあった。
「うわぁ、これが……」
「あたしたちの新デバイス、ですか?」
ストラーダとケリュケイオンは変わらないが、私とスバル、ティアナのものは見慣れないものだった。ティアナのものは、カードのような形状。私とスバルのものは大きめのクリスタルのような形状だ。色はスバルが青色で、私のが淡紅色。
「そうでーす! 設計主任、私! 協力、なのはさん、フェイトさん、レイジングハートさんとリイン曹長!」
「い、いいんでしょうか……もらってしまって……」
「もちろんですよ!」
ふわり、とリイン曹長が私の肩に降りた。
「部隊の目的に合わせて、そしてエリオやキャロ、スバルにティア、深琴……個性に合わせて作られた、文句なしに最高の機体です!」
五機のデバイスが、宙に浮かぶ。
「この子たちはみんな、まだ生まれたばかりですが、いろんな人の思いや願いが込められてて、いっぱい時間をかけてやっと完成したです」
そしてデバイスたちは、それぞれの主の元へ向かった。
「ただの道具や武器と思わないで大切に、だけど性能の限界まで思いっきり全開で使ってあげてほしいです!」
「この子たちもね、きっとそれを望んでるから」
淡紅色のクリスタルを手にとって、触れる。
「……よろしくね」
そう呟くと、まるで応えるようにクリスタルが煌めいた。
「まず、その子たちみんな、何段階かにわけて出力リミッターをかけてるのね。一番最初の段階だと、そんなにびっくりするほどのパワーが出るわけじゃないから、まずはそれで扱いを覚えていって」
「で、各自が今の出力を扱いきれるようになったら、私やフェイト隊長、リインやシャーリーの判断で解除していくから」
「ちょうど、一緒にレベルアップしていく感じですね」
シャーリーの説明になのはさんが補足し、リイン曹長が続ける。現在は機能の説明だ。五枚のモニターにはそれぞれ私たちのデバイスのデータが表示されている。
そしてこの出力リミッターについて、ティアナが口を開いた。なのはさんたちにも、同じもの――けれどデバイスだけでなく、彼女たち本人にもかかっていることを。
「まあ私たちだけじゃなくて、深琴もなんだけどね」
元々時空管理局の部隊は、保有できる戦力(魔導師)の上限が決まっている。高ランクの魔導師を一部隊に集めることの防止策だ。けれどその判断は魔導師ランクのため、上限ぎりぎりになるようリミッターをかけてランクダウンさせることでクリアできる。もちろんリミッター解除は上司――隊長陣は八神部隊長、八神部隊長は部隊後見人のクロノ・ハラオウン提督とカリム・グラシア理事官の許可が必要で、滅多におりないし回数復活の申請は非常に通りにくいというものだ。
ちなみにこの出力リミッターは、なのはさんの言葉通り、私も該当している。というのも入局前にA+ランクを取得してしまったから、他の部隊との兼ね合いで。今年度入局した局員でAランク以上は私一人だけだから。この場合は『新年度入局員規定』が0.5ランク分の魔力限定という形で適用されている。残りの分は先ほどの保有戦力分に引っかかるためである。同じ魔法でもこれまでよりロードするカートリッジの個数が増えたのはそのためだ。申請先はなのはさんかフェイトさん、もしくは八神部隊長。
「うちの場合だと八神部隊長が4ランクダウンで、隊長たちはだいたい2ランクダウンかな。で、新人規定やその他で深琴が1ランクダウン」
八神部隊長はSSランクだからシングルAランクに、隊長たち――なのはさんはS+だから2.5ランクダウンでAA。そして私はA+だからB+。
「深琴さんもですか?!」
「えっと、深琴さんはA+だから……B+ランクって……ええっ!?」
「私たちとあまり変わらないの!? あれで!?」
私の飛行許可が降りないのは陸戦フォーメーションの訓練中ということもあるけど、このリミッターの問題もある。リミッターは操作技術などには影響しないものの、そもそも飛行魔法自体が先天資質でAランク以上を必要としているから、B+ランクに落とされた今の私じゃ危険すぎる、そして問題が発生しても今まで通りにすぐ対処ができるわけじゃないということだ。
と、逸れた話を戻して、新デバイスの説明は続く。
「新型もみんなの訓練データを基準に調整してるから、いきなり使っても違和感はないと思うんだけどね」
端末を弄りながら、シャーリーは続けた。
「午後の訓練の時にでもテストして、微調整しようか」
「遠隔調整もできますから、手間はほとんどかからないと思いますよ」
「便利だよねえ、最近は」
「便利です」
肩を竦めたなのはさんに対し、リイン曹長は諸手を挙げて喜んでいる。
「あ、スバルの方はリボルバーナックルとのシンクロ機能も上手く設定できてるからね」
「ほんとですか!?」
「持ち運びが楽になるように、収納と瞬間装着の機能もつけといた」
スバルの戦闘スタイル――シューティングアーツはローラーブーツ系デバイスとナックル型デバイスによる格闘技法だ。いつもはブーツとナックルを持ち運んでいたけれど、これで楽になる。とても嬉しそうだ。
が、そんな時間は長く続かなかった。アラートが鳴り響き、一級警戒態勢を知らせる。
「グリフィス君!」
『はい。教会本部から出動要請です』
『なのは隊長、フェイト隊長、グリフィス君。こちらはやて』
グリフィス准陸尉が説明する前に別のモニターに八神部隊長の姿が映った。
『教会騎士団調査部で追ってた、レリックらしきものが見つかった。場所はエーリム山岳丘陵地区。対象は山岳リニアレールで移動中』
「移動中……って!?」
「まさか……」
リニアレールのシステムがハックされ、制御不能に陥っている可能性は十分考えられ……。
『そのまさかや。内部に侵入したガジェットのせいで車両の制御が奪われてる。リニアレール車内のガジェットは最低でも30体。大型や飛行型の未確認タイプも出てるかもしれへん。……いきなりハードな初出動や。なのはちゃん、フェイトちゃん、行けるか?』
そのまさかだった。
『私はいつでも』
「私も」
『スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、深琴! みんなもオッケーか?』
「「はいっ!」」
背筋を伸ばし、声を揃える。部隊長は僅かに頬を緩め、指示を飛ばした。
『シフトはAの3、グリフィス君は隊舎での指揮。リインは現場管制。なのはちゃん、フェイトちゃんは現場指揮。……それと深琴』
「はい」
『いきなりやけど、能力限定を0.5ランク分だけ解除する。飛行型のガジェットがいたら、なのは隊長、フェイト隊長と一緒に制空権の確保を』
「了解!」
0.5ランク分……これで何とかシングルAランクにはなる。飛行魔法も問題ないはずだ。
『ほんなら……機動六課フォワード部隊、出動!』
「「はいっ!」」
フォワード陣となのはさん、リイン曹長を乗せたヘリが現場へと向かう。
「新デバイスでぶっつけ本番になっちゃったけど、練習通りで大丈夫だからね」
「エリオとキャロ、フリードもしっかりですよ!」
「危ない時は私やフェイト隊長、リインがちゃんとフォローするから……おっかなびっくりじゃなくて、思いっきりやってみよう!」
現場に到着するまでの時間、私はシャーリーから受け取った新デバイス――ローゼンクランツのデータを頭に叩き込む。新デバイスで初戦闘、そして初飛行。――今の私は、どこまでこの子の力を引き出せるのだろう。どこまで戦えるのだろう。
呼吸を整え、私は淡紅色のクリスタルを握りしめた。