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夕方になり大学の講義が終わる。大学に残る理由も特にないため足早に大学を後にする。
季節は梅雨ということもあり、午前中の雨からか湿気がねっとりと体にまとわりつくのを感じる。
(さっさと家に帰ってシャワーでも浴びるかな。)
午後からは特に雨が降る予報にはなっていなかったが、この気持ち悪い蒸し暑さを手っ取り早く取り除きたい。
そう思い近道のために帰宅ラッシュのせいで賑わってくるであろう商店街を避け、裏道を通っていく。
(今日こそは降られずに帰れそうだな。)
すると
ぽつ ぽつ
と小雨が顔に当たる。
嗚呼またか、そんな風に思っていると雨脚は次第に強まっていく。仕方なく近くの神社の手水舎に雨宿りをするために慣れた足取りで向かう。
もう何度目だろうか。今年の梅雨に入ってからというもの近道をするためにこの道を通ろうとすると毎度雨に降られる。
幼少期のころは雨が降っただけで喜んで溜まった水たまりで遊んだりしたものだが、もう俺は大学生だ。
髪のセットだってするし服にだって多少の気は使う。
そうなってくると雨なんてものは喜ばしいどころか鬱陶しいものに変わってしまった。
手水舎についたころには雨脚はもっと強まっていた。
梅雨どき特有の蒸し蒸しとした陰鬱な空気を吹き飛ばすような雨。俺を手水舎に閉じ込めるための檻の様にも思えてしまう雨。
そんな事を考えていると不意に後ろから声が聞こえる。
「やぁ少年。また雨に降られてしまったようだね。」
振り返るとそこには一人の女性がタオルで頭を拭きながら立っていた。
タオルで少し隠れてはいるがそこからでもわかるすべてを飲み込んでしまいそうな深海のような青みがかった黒髪。
俺の返事を待つように上下する瞼と長いまつげ。
そこから覗く髪色に似た深海のような瞳。
それとは対照的に病的なまでに白い肌に血の通っていないようだがぷっくりとした潤いのある唇。
美人かさておき街中で見つけたら10人中11人が振り返るか容姿をしているコイツだがいくつか欠点がある。
「おいおい少年。ここ数日よく合うわけだし、無視は無いんじゃあないかい。」
ひとつは馴れ馴れしいこと。そして癖の強い喋り方。
もうひとつは…
「おーい少年。せっかく綺麗なお姉さんがこのつまらない雨宿りを面白くしてやろうと話しかけてやってるんだぞ。」
急に近づいてきて話しかけてくる。思わずその呼びかけに答えるために少し上を向いて目を合わせてしまう。
「あ、ご、ごめんボーとしてたわ」
少し後ずさりしてしまう。
「お、やっと反応してくれたねぇ。じゃあ今日はどんな話をしようか。」
もうひとつは平均的な女性よりも、いやそこら辺の男なんかよりも明らかに身長が高いことである。