テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
性懲りもなく、再び投稿させていただきました。
多趣味と言うか移ろい易いためどこかで私を見かけたこともあるかもしれません。
今回、色々と切っ掛けもあってハーメルン様の方で再び筆を執らせていただきました。どうか暖かい目で見ていただけると幸いです。
あらすじにも書きましたがここにあるものはリメイク版で、今の私の表現力だとどうなるかを見ていただければいいなと思います。成長できてるといいなぁ…(遠い目
また、現在オンラインゲームの方が主流であるにも関わらずポータブルの設定を使用させていただいているのは大人の事情です。つ、ツッコんだら負けってやつです。
リアルな時間軸的に入っていたらおかしいネタが入っているのも諸事情というやつです。主に私の怠慢ですが…。
というわけで、こまけぇこたぁいいんだよ! ってノリでも大丈夫な方!!
どうぞ色々とよろしくお願いします。
『stage1:召喚されました』
「時間ね・・・」
自らの内に眠る魔力を喚起させ、予め用意していた魔術陣へと流していく。失敗は許されない。するつもりもない。
丁寧に、正確に、そして迅速に、陣の中央に置かれた大剣へと目をやりながら意識を集中させていく。
場所も時間も自らのスペックも、全てを最高の状態で用意した。出きる限りの準備は行ったはずだ。
その最たる物が眼前の、今回の儀式において要となる大剣だろう。
岩をそのまま切り出したような無骨な大剣。斧剣と言い変えても良いだろうそれは常人ではとうてい持ち上げることすら不可能であろう重量を誇っている。この場所へと運ぶだけでも容易にはいかなかった。
“剣”と呼ばれるものであるのに持ち上げることすら困難とはどういうことかと疑問が浮かぶだろうがそれは仕方がない。答えは簡単、常人ではないものが使っていたからだ。
これの本来の主は英雄ヘラクレス。
ギリシャ神話に登場する半神半人の英雄で、数多くの伝説を残す英雄の中の英雄だ。
その英雄を、私は今から召喚する。
それは私が、聖杯戦争と呼ばれる文字通り聖杯を掛けて争う大規模儀式に参加するためだ。
『聖杯戦争』―――。
『聖杯』と呼ばれるあらゆる願いをかなえる願望器を賭けて、7人の魔術師がそれぞれサーヴァントを召喚して殺しあうデスゲーム。サーヴァントにはクラスが存在し、セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの7クラス。そしてクラスに応じて過去、現在、未来において英雄と呼ばれ、死後英霊となった者が召喚される。
どのクラス、どの英雄が召喚されるかは基本的にはランダム。だけど、例外はある。
その英雄に関係する物を召喚の儀式の際に媒体として使うこと。それが召喚したい英雄になじみ深いものならそれだけ召喚の確率は上がる。アーサー王ならエクスカリバー、クー・フーリンならゲイ・ボルグといった感じだ。
もちろん英雄にも強さの位はある。強さの基準は、英雄そのものの力と、知名度。召喚した時点で聖杯戦争に勝てるかどうかが決まると言っても過言ではない。故に、この媒体として用意するものはとても慎重に選ばなければならない。
その点ヘラクレスは実力、知名度共に最高位と言える。
私は・・・、私のためにも、何よりも母のためにも聖杯を手に入れる。そして冬木市に行き、
―――アイリスフィールは失敗だった―――
―――おまえの父は我々を裏切ったんだ。聖杯も得ず、ここに帰って来なかったのが何よりの証拠だ―――
―――お主は捨てられたのだ。養子をとってのうのうと奴は生きておるぞ―――
―――アインツベルンの本懐を遂げよ―――
―――お主まで失敗すれば、まさしくアイリスフィールの生は無意味になるな―――
違う!
違う違う違う!!!
そんなことがある訳が無い!!! 裏切られたなんて信じない!!
でも……。
いや、ダメよ弱気になっては…。自らの力で決着をつけるって決めたじゃない。あの人が
言ったことなんて、今は忘れないと……。
「…っ」
ズキリと頭の中で痛みが走る。しまった、意識がそれたせいで術式に乱れが生じた。
大丈夫。少しずれただけ。この程度ならすぐに立て直せる。
術式を再構成、魔力の流れも綺麗に整えていく。
内心でため息をついてしまう。何をやっているんだろう私は。
しかし一度考えてしまうと、なかなかその思考のループからは抜け出せない。これではダメだ。振り切ってしまおう。
場は整った。多少の寄り道はしてしまったが、あとは実行する所まで来た。だから歌うように、願うように、言葉を紡いでいく。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公―――」
正直に言えば、アインツベルンの悲願など二の次だ。ただただ私は“イリヤスフィール”としてこの聖杯戦争に参加したい。
「―――閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する―――」
私は私だ。ホムンクルスと人間の間に生まれた半端ものなんかじゃない。アインツベルンの道具でもない。ただ私は、私を、私として見てくれる誰かを―――。
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者―――」
よし、あとほんの少しだ。手ごたえはある。あと少し詠唱を続ければ良いだけ。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!!」
召喚陣から漏れる光が増えていき、目を開けていられないほどになっていく。
成功した! これで目的を達成することが出来る!!
そこで私はミスを犯してしまったことに気付く。気を抜いてしまったのだ。全ての詠唱を終えたからといって、儀式が終わったわけではないのに。
同時に、先ほど洗い流したつもりでいた、以前に剣のごとく自らを抉った言葉の続きを思い出してしまう。
―――お前は最高傑作だ。聖杯たる役目を果たせ―――
私は物なんかじゃない!! 私は、私は!!!
…ズキリ。再び頭の中で痛みが走る。
全く私は何をやってるんだろうか。大事な儀式なのに、失敗するわけにはいかないのに…。
そもそも魔術を行使する上で気を他にやるなど……。
しかし今更遅い。
初心者でもあるまいに、苦手分野とはいえ力任せに魔力をつぎ込んでしまうなんて。しかもあの時私は何を思っていた? 何を願っていた?
小聖杯たる私が召喚される者に対して何かを願っては術式が歪んでしまう。
英雄の中の英雄たるヘラクレスを、更に強化するためにバーサーカーのクラスで呼ぼうとしていたのに、私は押さえきれない気持ちのままに、『全てをブチ壊す何か』を願ってしまった。
魔術陣から生れ出る光が、目も開けられないほどに強くなった。そして魂のどこかで、ナニかと繋がった感覚が生まれる。
どうやら良くも悪くも召喚には成功したようだ。問題は目的通りの相手を召喚できたかどうか。
極光とも言える眩さが消えていく。細めた視界の中に人影が映る。
結果は―――
―――現実は非情であったようだ。
「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌!!」
「え?」
「あれ、外した?」
これ、駄目なやつだ…。
天国に居るであろうお母様、申し訳ありません。この戦い、われわれの敗北です。
だって目の前に居るの、私と変わらない幼女なんだもの…。
いかがでしたでしょうか?
とはいえまだ一話。
イリヤの性格に多少…、ちょっと…、サムタイムズ違和感があるかもしれませんが、ここではほぼこんな感じです。
それでも良ければ続きもどうぞよろしくお願いします。