テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
やはり今日になってしまいましたね。
「くははははは! どうした雑種!! 貴様は龍ではなく蚊蜻蛉だったのか!?」
「誰がだクソッタレ!」
冬木の空を、俺は再び龍翼で飛んでいた。
しかしこの前のイスカンダル戦と違って俺は追われる側だ。
追うのは勿論、英雄王ギルガメッシュ。
奴はヴィマーナに乗り、俺のすぐ後ろを着いて来ている。
ドッグファイト・・・・・・。
ライダー戦以上の機動を行っている今は正にそういうべき状況だ。
それにしてもヴィマーナ上の物理法則どうなってんの?
AUOはヴィマーナ上の玉座みたいなところに座って腕を組んでいるだけなのに何故かそこから揺らぎもしない。
俺だってそれなりの速度が出ている上に、ギルガメッシュが放ってくる宝具群を避けるためにヒラリヒラリと複雑な軌道を描いている。
インメルマンターンやらカットバックドロップターンやら色々有るらしいが、それどころじゃない程に迫り来る宝具群を遮二無二避けた。
それはもう板野サーカスの様相だ。
俺の場合、無理矢理空中に魔力を固めてそれを蹴ったり殴ったりしながら鋭角に角度を付けることも出来なくはないので、英雄王の宝具群も避けることは出来ている。
だというのにヴィマーナが慣性ドリフトとかしてくる所為でホント振り切れない。
そしてその上で優雅に座りながら腕を組み高笑いするギルガメッシュ。
いやマジで何でお前自身に慣性が掛かってないのさ!!
こちとら無理な軌道に内臓が持って行かれそうだってのに!!!
「それ、次だ」
「っ!!?」
ギルガメッシュが片手を上げるのに合わせてその周囲に黄金の波紋が産まれる。
そしてそこから覗く、数を増した宝具群。
それを見た瞬間に、自身の背筋が凍る。
“神殺し”だ。
見える全てにその概念が宿る原点達だと理解してしまった。
何故見ただけで理解してしまうのかは簡単だ。エミヤアーチャーから『
そうでなくともあれらから感じる驚異は尋常ではない。
しかしそれが故に、その見える武器たちが俺を殺し得るものだと
これは俺の能力の弊害だ。
それが自身にとって脅威であると理解してしまった以上、
例えば幻術でそう見えていたとしても、俺の場合実際の脅威となってしまう。
ただ、それは俺を殺せるというだけだ。
勿論放たれる武器の全てがそれぞれ別の物だからその度に殺される訳だが、俺の命には限りが無い。
だから少なくともこの聖杯戦争で負けることはない。
原作においてセイバーが士郎が投影したカリバーンを使って一度にいくつもの命を奪い、ストックを殺し尽くしたり何故か出来ていたが、例えそれをされたとしても俺は乗り越えることができる。
不死に合わせて転生による死を乗り越える力。
何度でもコンティニューできるそのチートが俺を生かし続けてくれる。
だからたった今放たれたこれらに当たろうとも、実質的効果は無いと言える。
しかし、だ。
そんな俺でも負ける可能性は多分に在る。
「ちっ、ルゥカ!!」
「フハハハハハハ!!!! 舞え!! 踊れ!!! 無様に泣き叫べぇっ!!!」
先程までとは違って
ただ強力な武器ならばかすったところで意味が無い。
しかし先の理由で、掠るだけでも致命傷。最悪解呪した上での回復が要る等も考えられる。
だからここは迎撃!!
向かってくるのは剣に槍に斧にと節操無しだ。
ただ分かるのはその全てが神話級の遺物であり宝物、そして神殺しの概念を持つこと。
そしてそれらを一つでも喰らえば、残る全てが雨あられと自身へ降り注ぐ。
剣が来る。
避ける。
槍が来る。
払い除ける。
斧が来る
叩き伏せる。
次々に俺へと迫り来る武器群を、時に躱し、時に弾き、俺は空を駆け巡り避ける。
しかし――――、
「ぐぅっ!!?」
「愚かだな!! それは武器越しに触れるだけでも貴様を焼くのだ!!! これで――――何・・・・・・?」
「・・・・・・フフンだ」
俺が何本目かに叩き落とした剣が、ルゥカが触れた瞬間に弾かれると共に雷を放ち、それがルゥカから腕を辿り仕舞いには俺の腕を焼いた。
しかも雷は其れに留まらず、まだ俺を焼こうとする。
ギルガメッシュは止めと言わんばかりにまた宝具を放とうとするが、俺は其れより先に溢れさせた泥を鎌状にして腕を自ら切り離す。
イメージの問題として影から泥を生成することが多いが、そもそもが“泥”は俺の一部なのだからこんな事も出来る。
ただし滅茶苦茶痛い。
イメージの問題といったが、やはり俺の能力上イメージに綻びがあると形状にも綻びが出来る。
影以外から出そうとすれば、刃を作成すればぶっちゃけ切れ味がそれほど良くない。
だから腕を斬った時なんて模造刀で無理矢理叩き切ったようなレベルだから馬鹿みたいに痛い。
改めて認識したらちょっと視界がぼやけた。
いや泣いてないですから。
だがそうもしてられないので、すかさず回復させる。
杖を出す時間すら惜しいので、
半分龍化もしている為にガラス程度は飴玉を砕くようなものだが、それでものど越しは最悪だ。
しかし回復薬は回復薬。
瞬時に右腕の感覚が甦り、狂おしいまでの痛みが消える。
「まるで蜥蜴の尻尾切りだな」
「はん、何とでも言え。こっちは勝ちさえすればイイんダよ!」
・・・・・・おっと、すこし感情の抑制が外れかけた。
久し振りにかなりの痛みを感じたし、狂化側へ感情が動きそうになってしまった。
危ない危ない。
狂化して勝てる相手なら幾らでもするのだが、ギルガメッシュ相手にそれは分が悪すぎる。
英雄王ギルガメッシュ。
人類最古の叙事詩『ギルガメシュ叙事詩』に記される世界最古の英雄にして、古代ウルクにおける半神半人の王だ。
かつて世界の全てを手中に収めたとされており、俺を追うギルガメッシュもそれに準えた宝具を所持している。
それこそが
奴がかつて手に入れた宝物庫そのものを宝具として所持しているのだ。
王律鍵と宝物庫がセットになって初めて意味があるのだがそれはさておき、問題は奴の宝物庫にはありとあらゆる宝具の原点が収められているという点だ。
つまり、
そして実際にそれらを以て奴は数ある苦難を乗り越えてきた。
その中には神殺しも当然の様に含まれており、対神装備など幾らでもある。
英雄殺しの英雄。
そうとも呼ばれる由縁だ。
特にサーヴァントとして呼ばれた英霊はクラスや伝承に基づき存在が確立してしまう。
自身の死因となった物がそのまま弱点となってしまうのだ。
ギルガメッシュはそれに対応する宝具を使うだけで、敵を倒せる。
それを普段からしないのは英雄王たる彼の矜持から生まれる慢心が故だが、俺に対してそれは無いようだ。
実際に、先にも言ったが俺を殺すだけでは勝つことができない。
だがこいつはそれにも対応できてしまう。
方法は二つ。
意識ごと封印するか、殺し続けるか。
そして奴は、両方を選んだようだ。
当然、言うは易し行うは難しだ。
しかしそれを出来てしまうのが英雄王。
神殺しに続いて、新たに宝具群が射出された。
その内容は不死殺しに封印用の儀礼剣にと大盤振る舞いだ。
思わず涙が出てくる。
・・・・・・いや泣いてないけどね。
とはいえここらでどうにかしないと、事態は動かない。
いつまでもドッグファイトしてても状況は好転しない。
それどころかギルガメッシュが当たらないことにぶちギレて冬木市ごと吹っ飛ばす可能性すらある。
そろそろこっちも仕掛けるべきだろう。
丁度、海上なことだし。
俺は持っていたルゥカを消し、次の武器を呼び出す。
「神杖ツクヨミ、神杖ウズメ」
両の手に現れる、それぞれ違う短杖。
短杖系Sランク武器である神杖ツクヨミとウズメ。
ツクヨミの見た目は中々に表現しにくいのだが、簡単に言えば江戸時代の火消しで使われた纏に似ている。
しかし似てはいるがやはりそこは高ランク武器、先端の飾りの根元には半透明の帯が幾本も垂れさがり、荘厳さを醸し出している。
ウズメはまた一段と言い表しにくく、短い持ち手の先端にヤオロズの仮面等が阿修羅像のごとく3枚取り付けられており、それらを囲うようにフォトンの帯が舞っている。
それらを俺は手にし、同時に自身の獣化を進める。狂化の手前と言っても良い程に。
本来ならばそれは自殺行為だ。
英雄王を前にして無策で突っ込むなど暴挙としか言いようがない。
しかしそうではない。
確かに問答無用で破壊を撒き散らす暴走状態は威力だけを見れば強力ではある。
だが、それでは英雄王からすればデカいだけの的にしかならないのだ。
だから、暴走の手前、それが一つの答え!
「グルァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「はっ、益々雑種らしい姿になったではないか!」
「ヌカせ!! そウ言ってラレるのも今ノ内ダ!!! 思考ト反射の融合!! 味わッテミろ!!」
通常よりはやはりというべきか思考に靄が掛かっているような状態である。
だけどこれだけ思考が成立しているならば十分だ。
そして同時に、超直感的なレベルの本能(反射)で対応も出来ている。
思考と反射の融合。
これだけ聞けばどこぞの超兵を思い出すかもしれないが、まさしくそれなのだ。
迫り来る宝具群を、反射的に避けつつも意識でもしっかり捉え、邪魔になりそうならば短杖で無理矢理弾く。
それでも足りない場合は、短杖にセットしてあった
とはいえ、あまり多用したい姿ではないな。
控えめに言っても今の俺はキメラの様相を呈しているのだから。
今、俺は翼と尾だけであった龍化を手に鱗や額に角が出るまでに広げ、しかし獣耳はそのままに、足はまさしく獣の姿となるように獣化も行っている。
顔も、造形は変わらずとも髪の先端は黒化しているし角は生えて犬歯は伸びている。瞳孔も縦に割れ龍の眼となっているだろう。
お蔭で服の一部が破けた。
魔力で治せるとはいえちょっと勿体ない気がしてしまうのは未だに貧乏性が治っていないからだろうか・・・・・・。
しかしながら獣や龍としての本能を呼び起こしてはいるが理性は無くしていなかったりする。
そしてそれこそがツクヨミの
“人の理性を高める力”。
当初は何の意味があるのか分からなかったが、今となってはこれほど有用な武器も無い。
これさえあれば堕ちずに狂化が出来る。
とはいえデメリットが無い訳ではない。
それの所為で今まで使えなかったが、そのデメリットもライダーからのラーニングで克服することが出来た。
本来はその為に覚えた訳ではないのだが、思わぬ副次効果というやつだ。
さておき、そのデメリットというのが理性を高めると獣化が解除されてしまう事。
うむ、全く以て意味が無いよね。
強制的に杖の使用者を
しかも暴走状態まで行けば杖の使用が脳裏に浮かばないため、本当に使いたい時には使えないという仕様だ。
だがそのデメリットを、『王の軍勢』からのラーニングで覆すことが出来た。
正確には王の軍勢自体から覚えた訳ではないのだが、ヒントを得ることが出来た。
更にそこへ神杖ウズメだ。
こいつの
「全てを避けた・・・だと・・・・・・?」
―――羽衣を纏ったかのように身軽になる事。
よって今の俺は、理性を保ったまま本能的な獣化の特性と膂力を使え、しかも身体能力に対する速度補正も得ている状態。
この状態ならば、追われるだけの状態を脱することができる!!
「ッルアァァアアアアア!!」
「ちっ」
先程までと違い、無理な体勢で身体を捻ろうが曲がろうが身体そのものが肉食獣のそれに近くなっているため内臓へのダメージなどを気にする必要も無い。
しかも、翼で速度を得つつ、宙を無理やり蹴ることでの再加速や加減速も先程以上に行えるため、宝具の隙間を縫うのも容易い。
俺を貫かんと放たれる宝具の弾幕。
それらが先程までと違いとても遅く感じる。
ギルガメッシュの宝具群は確かに強力だ。
一撃一撃が重く致命傷、しかも一つ喰らえば後は軒並み叩き込まれ、そのまま無力化されるであろうことは想像に難くない。
しかしよく言うだろう。
当たらなければどうということはない。
「チェッくだギルガメッシュ!!」
ドン、とヴィマーナ上へ無理矢理乗り込む。
その俺を見て、ギルガメッシュは面白くなさそうに舌打ちをする。
まぁ当然だろう。
こいつは自身の宝物を自身以外が手に付けるのを極度に嫌う。
今俺がこうしてヴィマーナへと足を付けているのもかなり気に入らないのだろう。
ただ、気に入らないだけでブチギレていないのは不思議だ。
先程までの猛攻も止み、ギルガメッシュは『王の財宝』からの射出を止めていた。
そして睥睨するように、俺へとただ静かに目を向けていた。
そんなギルガメッシュを不思議に思っていると、やつは不愉快そうに鼻を鳴らした。
「ふん、貴様は我が宝物に乗り込んでおいて何を呆けている」
「もっトキレるかト思ったからサ」
「何を言うかと思えば・・・・・・。だがそれは簡単だ。我は神族が嫌いではあるが、挑む者は嫌いではない。須らく挑戦する者を受け入れるのもまた王の度量よ。そして貴様は我が眼前に立った。それだけでも評価に値する」
おお、何やらあの英雄王から評価を貰えた。
基本的に在り方は俺と全く噛みあわないけど、公式チートとも言って良い英雄王からのこの言葉は素直にうれしい。
第5次聖杯戦争では結局最後まで大人ギルガメッシュとはわかり合うことが出来てなかったし、少しばかりむず痒いものが有る。
とはいえ、このまま終わりというわけではない。
何せこれは聖杯
どちらかの勝利が必要となる。
「だけド、勝つノハは俺ダ。そうシナケけれバ意味ガ無いンだ」
そう、意味が無い。
ぶっちゃけて言えば、ただ願いを叶えるのならばこんな事をする必要は無いのだ。
聖杯は持っている。無限の魔力がある。
だけど俺はこんな事をやっている。
それには当然意味がある。
神としての権能を使わないままにこんな事をしている意味が。
そんな決意を胸に秘めてギルガメッシュを見ていると、彼は鼻で笑った後に静かに口を開いた。
「たわけ、だから貴様は雑種なのだ」
「何・・・・・・?」
「この我が貴様の企みを見抜いていないとでも思ったか?」
その言葉に、俺はドキリとする。
表情には・・・・・・出ていない筈だ。
杖から得られる理性が感情を抑制してくれている。
だけど、本当に知られているとしたら不味い事になる。
それこそ、ギルガメッシュだけには絶対に知られる訳にはいかなかった秘密だ。
それをまさか知られた?
いやでもどうやって・・・・・・?
千里眼スキルでも恐らく俺は読めない筈。
中間管理職の女神さんでも俺を読もうとすれば攻撃として認識されるだろうからって言っていたし、俺達の企みを“見る”ことなんて出来ないはずなのだ。
見ることが出来たとしても俺自身がラーニングしてしまうから分かるはず。
そう思っていると、それもお見通しなのか獰猛な笑みを浮かべながらギルガメッシュは口を開いた。
「我を侮るなよ雑種。この程度の事、貴様以外からでも読み取れる」
いやいやいや、幾らなんでもこの秘密が予測できるとかそれ自体が未来予知レベルのスキルだっての。
・・・・・・ってそうだ。そういえば英雄王の先読みは既に未来予知レベルだって何かに書いてあったっけか。
でもだからってこれが分かるとか、ははは、ナイナイ。
幾らギルガメッシュが千里眼持ちで、某ゲームで持ちキャラにすると全部分かってしまう状態のチートキャラになっていたりしても流石にそれは、無いって。
そもそもの伝承としてもギルガメッシュは夢などを用いて未来予知をしたりするなんてことが残されていたりはするが、それはやはり未来であって、現在の俺の事が見えている訳ではないはずだ。
だからほら、やっぱりバレている訳が―――
「貴様、この世界を特異点化したな?」
――――思っきりバレとるがな。
いかがだったでしょうか?
少し短めですが、キリが良かったのでこの辺りで。
そして次回はイリヤの方という感じにしようかと思っています。
さておき、漸く伏線回収に漕ぎつけることが出来ました。
しかしもちろんこれが全てではないです。
まぁこれもどうせ読者の皆様からすれば『特異点化』という単語だけで今後の展開とか全部曝け出されちゃうんだろうなぁ・・・(遠い目
ああいや勿論嫌なのではないですよw
ただ、私の伏線張りが拙すぎるというだけでw
でも一度くらいは「ちくしょう!そう来たかやられたぜ!」的な感じに驚かせたいものです(*´ω`*)ハヤレ
それにしても、うちの主人公段々邪神チックな姿になって行くんだけどなんででしょうか。
遂には特異点作っちゃうし。
正統派TSチート幼女だった筈が、どんどんSAN値チェック必要な系統に寄って行っている気がします。
まぁ、それでもかまわんって方は「是非も無いよネ!」と言ってくだされば更に凶悪になりますよ!(え
というわけで今回はこのあたりで。
また次回ですが、次は元の日曜夜に投稿できたら良いなと思っております。
そして明かされる衝撃の真実ゥ!はもう一つ向こうか、上手く行けば次話が長くなるかもと言ったところでしょうか。
ではでは、また次話もよろしくお願いします!!
P.S.
今回沖田さんは回さず、復刻の次のイベントで新たなサーヴァントが来てくれると信じて石は更に貯金中・・・・・・。
魔神セイバーとかマジで来てくれないかな!!
P.S.2
マシュ私服普通に可愛いと思うんだけど、駄目ですかねw
イラストでロマンがいつかの為にとマシュの為に準備してあった説大好きなんです・・・;;