テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
気付いたらまたこんな時間だし、職業につくだけで1話消費しちゃいましたごめんなさい・・・。
「それでは順番に、この水晶へ手をかざしてください」
上半球が覗いている受付のお姉さんが、水晶を挟むようにして設置されている台座へと案内してくれた。
そこへ冒険者カードとやらを差し込み、色々と説明してくれた。
ところでさっきからコウジュが上チチウエとかボソボソ言っているのだけど何それ。何故か少しわくわくする語感なんだけどもその辺り詳しく。
さておき、冒険者カードは冒険者が討伐した数を数えたり、それに伴った経験値などを蓄積してくれる機能があるそうだ。
そしてそれを使って最初に登録を行い、水晶を通して読み取った登録者のステータスに合わせて適性の有る職業を選び、自身を成長させていくのだとか。
ステータスによっては最初から高位職業に付ける可能性もあるそうだ。
レベルが上がれば経験値に伴ったポイントが与えられ、スキルを上げるために使えたりもするらしい。
そう、これだよ、こういうのを待っていたんだよ!
その気持ちはコウジュも同じようで、一目でわかるほどキラキラした目をしていた。無邪気か。
ともかく俺はやっとの異世界転生らしいイベントに胸を膨らませていた。
つい今し方コウジュと語ったように、ここで隠れた超ステータスやチートスキルなんかが発現すればそれはまさしくネット小説やアニメなんかであるような展開だ。
いや、いやいや、別にそこまで行かなくとも隠れた才能なんかが発揮されて、類い稀な成長を果たしていくなんてのでも良い。
職業は何が良いだろうか?
良い。
実に、良い。
そんなわくわくした気持ちを胸に、俺はお姉さんが準備を終えた水晶へと手をかざした。
淡く光り出した水晶に連動して、台座も震え出し、下部に取り付けられたスポイトのような物が置かれたカードへと光を当て書き込んでいく。
時間にして十数秒ほどだろうか。
思っていたよりもあっさりと終わり、気付けば輝いていた水晶は光を無くして静かになっていた。
それをお姉さんが手に取る。
「はい、終わりましたよ。えーっとサトウ・カズマさんですね」
「はい! それで、どうですかっ!?」
少し食い気味に声を出してしまい、お姉さんが若干身体を引いた。
いけないいけない、まだ慌てる時間じゃない。
俺は努めてニヒルに笑うと、お姉さんは何故か頬を引き攣らせながらも笑みを浮かべて俺のカードへと目をやった。
「ふむふむ、知力がそこそこ高い以外はどれも普通ですね。あ、でも幸運が非常に高いですね! これだけ高いと商売人なんかがお勧めですよ。・・・・・・冒険者にはあまり必要な数値ではないので」
後半になるほど目が俺から反らされていった。
待って、俺冒険者になりに来たんだけどなんで商売人勧められてるんだ!?
圧倒的なステータスは!? 秘められた才能は!?
思わず呆けてしまう俺。
そこへプフッと笑い声が聞こえた。
「商売人、商売人ですってよカズマさん」
「おい、いきなり冒険者人生否定されたぞ」
笑っている張本人、アクアへ不満をぶつけるように目を向けるが、口元を抑えて笑うばかりだ。
「まあまあ、幸運値も大事だって」
ポンポンと肩を慰めるように叩かれ―――身長の差が有るためちょっと頑張ってる―――たので反対側に振り向けば、コウジュが気にするなと笑みを浮かべていた。
釣られて俺も笑みを浮かべる。
「幸運値が低い所為でよく死ぬ知り合いが何人か居るから、幸運値は高いに越したことないって」
うん、待とうか。色々ツッコみたいから待とうか。
そもそもよく死ぬって何? 人間何回も死ねないと思うんだけど? というか何人も居るの? あと笑い話なのコレ!?
「まあ何が言いたいかというと、こと生存においてはLuck値が物を言う場合もあるんよ」
「そう言われればそうな気も・・・・・・」
「最善は命にかかわる状態にならない位に実力がある事なんだろうけどねぇ」
「おい」
はははっと朗らかに笑うコウジュ。
結局のところ直接関係するステータスじゃないんじゃないか。
でも、少し釈然としない部分はあるが不思議と説得力は感じた。
あと1ミリ傷がずれていたら死んでいた、なんてのは創作の中だけの話ではない。
そういう最後の最後で関わって来るのが“幸運”ということなのだろう。
あれ? でもそもそもそれなら俺は転生なんかしてない気がするんだけど?
やめよう、考えだしたら悲しくなってきた。
「ま、まあ、レベルを上げれば転職が可能ですし! 一先ずは現状なることが可能な“冒険者”としてご活躍していただくというのが良いかと思いますよ!」
「・・・・・・ハハッ」
お姉さんの必死の慰めに、夢の国の住人でもないのにネズミーな声が出てしまった。とても乾いたモノだったけど。
おい待てコウジュまで目を反らすんじゃない。
ジト目でコウジュを見ていると、アクアが俺の横をスッと通り水晶の前まで歩いて行った。
その顔は自身に溢れていて、ステータスを計る前から何故かドヤ顔だ。
イラッとするも、実際腐っても女神だしなぁ等と考えていると、水晶が光り出す。
そして受付嬢さんが目を見開き驚いた。
「ええええええ!? 知力が低いのと幸運が最低レベルなのを除けばすべてのステータスが大幅に平均値以上ですよ!?」
「ん? それは凄いの? 凄いってことよね?」
「それは勿論!! これだけのステータスがあれば、知力の関係で魔法使い系の職業は無理ですが、それ以外の職業ならなんだってなれますよ! ソードマスター、クルセイダー、アークプリースト、例えそれらの上級職でも最初からなることが可能です!!」
「流石は私! 女神という職が無いのが残念だけど、私の場合仲間を癒すアークプリーストかしら」
待って、そういうのって俺の役目じゃないの?
見ろよ、この無性に腹の立つドヤ顔。
俺は
おいおい神様よ、何か間違ってないかい?
・・・・・・そうだった。この神様を選んだのがそもそも間違いだった。
「えっと、次は俺で良いんだよな?」
「はい、構いませんよー」
「うぅ無駄に緊張するぜぃ・・・・・・」
俺が現在の境遇に泣きそうになっていると、今度はコウジュが前へと出た。
今の所、感性も近いし親身に色々言ってくれるコウジュには感謝をしている。
先程も登録料金を借りたところだ。
あくまでも、借りたところだ。
コウジュ自身は良いよ良いよなんて言ってくれていたが、幾ら相手が神様といっても見た目幼女なのに施しを受ける訳にはいかない。
アクアはあらそう悪いわねーなんて言っていたが、俺は見た、コウジュが何とも微笑ましい目で見ているのを。
あれはそう、孫にお小遣いをあげるおばあちゃん的な目だ。仕方ないわねぇ的な。
何やかんやあって学校は行ってないしバイトもしていないのに、笑みを浮かべて渡してくれるお年玉の罪悪感と軍資金が手に入ったことへの喜び。
思わずそれを思い出してしまった。
まあそんな理由もあって必ず返すと約束したのだが、そのコウジュもやはり女神ということなのだろうか。
光り出した水晶が導き出した結果を見て、お姉さんが驚愕していた。
「そんな!? 二人続けてこんなステータスが見られるなんて!! 魔力と知力はそこそこですが、筋力に敏捷、耐久が見たことも無い数値ですよ!!! 特に筋力!!」
うん、そうだよな。
コウジュも女神だもんな。
見習いがどうとか言ってたけど、近接職って言ってたもんな。
というかその見た目でムキムキか?
ムキムキなのか?
そんなコウジュを見ればお姉さんに持て囃されて頭を掻きながら照れている。
アクアを見れば、周囲の冒険者にステータスやいきなりアークプリーストになったことで歓声を浴びて、鼻高々にポーズを取っている。
高ステータス近接職に、高位回復職。
そして俺は冒険者。
ああ、うん、そんな気はしてたけどさ。
見たらわかる、俺要らんやつや・・・・・・。
◆◆◆
「
ステータスを計り、聖杯戦争時と似たようなステータス比になった訳だが、この世界だと数値式になっているから分かり辛いなぁ。
まあでも
あの時表示されていたのは――――
≪バーサーカー≫
真名:コウジュ/???
属性 混沌・善
筋力: A
魔力: C
耐久: C(D~A)
幸運: E(?)
敏捷: A
宝具: EX
○クラススキル
獣化(凶化): B~A+
○保有スキル
獣の本能: A+
幻想を現実にする程度の能力: EX
○宝具
ポケットの中の幻想(ファンタシースターポータブル):対人(?)宝具
―――だったけど、今のステータスをこれに無理矢理合わせると――――、
筋力: A+++
魔力: C
耐久: A+
幸運: C
敏捷: A
知力: C
――――こんな感じになるだろうか。
まあこんなもんか、というのが正直な感想だ。
知力はそもそも元が一般人だからね。
覚えるのは得意だけど、その応用となるとどうも苦手だ。
あ、無理矢理当て嵌めただけで、最低ランクをEとした場合の割り振りだから誤差は当然あると思うけどね?
さておき次の魔力は『幻想を現実にする程度の能力』依存だったし、どうしても瞬間的に莫大な量を使ったり、器を越えた量を使うというのは出来なくなっている。
そう、出来ないのだ。
だから創造系のことは出来ないため、無い物を有る状態には出来ない。
それでも回復速度は早いため、全く魔法系の技術が使えない訳じゃないけどね。
十分破格と言えるだろう。
何せ機能や権能レベルのことは出来ないが、
それにそもそもの基礎スペックとして、今までに喰らったものや経験したものがある。
筋力と耐久なんて赤龍を喰った加減か凄いことになっている。
耐久に関しては英霊達の攻撃力には割りと抜かれちゃうレベルの防御力だけどさ・・・・・・。
ま、まぁ、スキルに関しても色々覚えてるからそれで十分だ。
『無限の剣製』、『王の財宝』、『燕返し』、『必滅の黄薔薇』、『王の軍勢』、各英霊達から覚えたものだけでもこれだけある。瞬間魔力量の関係でぶっぱなす系は難しいけど。
それにこれ以外でも細かくあげれば幾つもある。
翼や炎のブレス、獣化、方法はまあさておき気配遮断、どこでもドア、マイルーム、各種武器、あと不老不死。自分でも忘れそうになるけど。
ただスケープドールに関してはどうやら創造の“機能”依存だったようで、ちょいとばかし扱いが難しくなった。
知っての通り俺の力、
その本質は、アンジュちゃんとそのお兄さんが持っていた“機能”『創造』と『保管』。
俺が最初から持っていた武器や道具は、それらを形にしやすい様に渡されていただけ。
そしてもちろんスケープドールもその内の一つだ。
恐らくPSPo2関連の道具に上乗せして能力を使う場合はただその能力を使うのに比べて使いやすくされているのだとは思う。唯の感触的なものだが。
そこに好きなゲームデータということでイメージのしやすさが上乗せされ、実際の現象として発揮することが出来ていたのだと思う。出来ると出来ないの差はやはりイメージの差に依存していた訳だ。
とかく、そういった背景もあってスケドも“機能”依存だ。
だから、機能も権能も制限されている今ではスケドの使用も出来ない。
スケドは身代わりアイテムでも蘇生アイテムでもなく、あくまで転生させるアイテムだ。
新しい身体を再構成するだけの能力が無ければ、文字通りの人形でしかない。
この“俺”は転生という過程を能力として発揮できないというわけだ。
まあ、誰かを“転生”させることが出来ない訳ではない。
それがカズマが転生させる時のあれこれに関わってくるわけだが、この“俺”が出来ないならば出来る“俺”が事前に準備させておけばいいというわけだ。
何故か身体が縮むだけじゃなく、無くなった部分を補完するということで俺の力から補填するからか転生の中に
その所為か、今の所この特典は要らないと関わった人皆が言うんだけど、どなたかいらっしゃいませんかねぇ。結構ハイスペックな身体が付いてくるからおススメなんだけど。てか仲間増えてほしい。
・・・・・・ゲフンゲフン、さて、話は長くなったがそんな今の俺がなるべき職業だ。
「バーサーカーは少し特殊ではありますが時折見かける上級職業ですね。ただ他の二つは聞いたことがありません。ごく稀に発現するという、ユニーク職業というものかもしれませんね」
「ほうほう」
俺が悩んでいると、上乳上みたいになってる胸部の受付嬢さんがそう言ってくれた。
それにしてもユニーク職業なんてのもあるのか。
何とも心惹かれる語感だ。
厨二心が中々抜けきれない身としてはそういう特別感って心惹かれるものが有る。うんまあ季節限定とか限定10個とかって単語には厨二関係なく元々弱いけどさ。
ただ、そういう特別なものってのには往々にしてデメリットもあるもんだ。
ゲームで言えば、ユニーク職とかはレベル上げがかなりマゾい作業だったり、
しかし、多分だけどこの二つはこの世界で言うユニーク職というものではない気がする。
ある意味では、この世界唯一の職業となるかもしれない。
けど俺は、“アルターエゴ”という単語に聞き覚えがあるのだ。
アルターエゴ、それは
うむ、ぶっちゃけこれFate世界の概念だよね?
確か初出は『Fate/Extra—CCC』だったかな?
ちゃんと出来てない上にうろ覚えなのだが、その中で出てきたとあるキャラ達がそれに当たったはずだ。
その子達も、原典から生み出された存在で、尚且つそこに幾つかの神格を継ぎ接ぎされて異例のサーヴァントとして霊基を得ていた筈だ。
他にも、アンジュちゃん曰くのゲート世界でちょっとだけやったFGOで出てきたタマモキャットというキャラも、FGOだとクラスがバーサーカーになっていたけど元は“玉藻の前”から分かたれたアルターエゴ・・・・・・タマモナインの内の一基とされていた筈。
そう考えると、今の俺はアルターエゴと言えなくはないと思うのだ。
本体から生み出された存在だし、かと言ってコピーでもないし。
だから今回、新たな
もう一つの『フォーリナー』に関しては正直よく分からん。
ただ嫌な予感はする。
直訳すれば“異邦人”とか“来訪者”って意味があったと思うけど、あまり好ましくない表現だった筈だ。
日本語で言う所の“外人”みたいなニュアンスだったと思う。
別にその単語自体に嫌な予感がした訳じゃない。
何となく、ただ何となく、第六感的なサムシングが囁くのだ。やめとけって。
「ふむ」
改めて考える。
バーサーカー、アルターエゴ、フォーリナー。
どれが良いだろうか。
実質2択だけど。
いつもの流れならバーサーカーだ。
けれど、この世界で狂戦士に関するスキルを取ると狂化方面で強化されそうだ。
かといってアルターエゴがどんな職業になるかが分からない。
「う~ん」
悩む。めっちゃ悩む。
首を傾げながら暫く悩む。
ふと、かなりの数の視線を感じたのでそちらを見る。
するとこの場に居る人々、カズマ達を含めて俺の動向を見ていた。
ナズェミテルンディス!!
いやまあアクア先輩がアークプリーストになった時も大歓声だったし、二人目の上級職候補ともなれば皆が固唾を飲むのも仕方がないか。
「よし決めた!」
『おおおお!!!!』
俺の言葉に皆が声を上げる。
「俺はアルターエゴになるよ」
俺は渡されたカードで、決定を押した。
斯くして、俺たちは冒険への第一歩を踏み出した。
冒険者、アークプリースト、アルターエゴ。
何とも異色のパーティーの出来上がりだ。
だけれども、ここが一つの出発点。
少しばかり予定とは違ったが、どうも俺はワクワクする気持ちを抑えきれずに居る。
これから俺は『冒険』をするのだ。
これまでに色々あったが、根本はやはり男だ。
むしろワクワクしない訳がない!!
さぁ始めようか二人とも!
俺達の冒険はこれからだ!!!!
・
・
・
「ごめん、無理☆」
初心者冒険者の習わしとか諸々の理由があって最初の宿は馬小屋の一部を借りようという話になったのだが、ほんとごめん、ビーストな俺に馬小屋生活は無理だ。
というわけで早速離れ離れになることになった。
いかがだったでしょうか?
ほんとごめんなさい、アルターエゴになるだけでこんなにかかるとは思いませんでした。
あと、感想でも(読ませては頂いているんです。返せていなくてごめんなさい)バーサーカーではないかと予想された方が多かったのですが、今回は今のコウジュの成り立ちからアルターエゴにさせて頂きました。wikiとかとも睨めっこしましたが、資格はあると思うのでこうなった次第です。
バーサーカーも悩んだんです。結構ギリギリまで。
ただそうなると止めてくれる人が居ないので仕方ないんです。
バーサーカーじゃないからって狂化しないとは言ってませんしね(目反らし
さておき、こんな形に相成りました。
ステータスに関してはくどい感じもするとは思いますが、感想で頂いたのと、自身でも改めて表記しないといけないなぁとは思っていた為中に入れさせていただきました。他作者様みたいに別話で出したり後書きに入れても良いかなとは思ったのですが、今度は文字数が少なかったりどこに入れるかが悩ましくて・・・・・・。
何かおかしな点がありましたら、別途また教えて頂けるとありがたいです!
そういえばあともう一つ、お気づきかもしれませんが諸事情により月曜深夜に投稿させて頂くことが基本になると思います。火曜夜になったりもするかもしれませんが。
とりあえずはまた暫くは毎週投稿をさせて頂こうとは思います。落としたらごめんなさい。
では、今日はこの辺で!!
またお会いしましょう!!!
P.S.
そうそう!
FGOの次イベにもアルターエゴが出るそうですね?
皆!石は持ったか!! 行くぞおおおおおおおおお!!!