テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
気付いたらこんな時間、慌てて投稿です。
今回短めですがどうぞ!
「えっと、何か用があったりする?」
「・・・・・・別にそんなことはありませんが」
ご飯を二人で食べ終わり、漸く腹も満たされた俺は食後の運動も兼ねてクエストを受けに行くことにした。
宿屋のおばちゃんに礼を言い、宿を出たところでめぐみんと別れの挨拶をして俺は足を冒険者ギルドへと向けた。
歩きながら考えるのは少し前まで話していためぐみんについてのことだった。
というのも、最初の出会いこそあれだったがめぐみんとの会話は中々に楽しかったのだ。
確かに厨二病な部分はあるし隙あらば決めゼリフを言おうとするけど、知識が豊富でこの世界についての情報も色々教えてもらった。
中々に楽しい時間をそんなこんなで過ごした訳だが、あくまでもこれは食事時の他愛もない話だ。食べ終われば話も終わる。
だから食事が終わってそのまま解散・・・・・・と思いきや、なぜか後ろをずっと着いてくるめぐみん。
しれっと細道に入っても、着いてくる着いてくる。
いや別に着いてくること自体は良いんですよ。
ただじーっと、睨むまではいかなくとも目を細めつつ、用を聞いても先の答えが出るだけなんだ。
何、何なの、俺に何をしろと・・・・・・。
そう思いつつもスペック任せに置いて行くのも何だか罪悪感があるので仕方なく目的地である冒険者ギルドへと歩を進める。
暫くして、もう少しで冒険者ギルドに着くという所で後ろを歩くめぐみんが小さく「よし・・・」と何やら決心を付けた様な声を出した。
漸く訳を話してくれるのかな、と俺は彼女の方へと振り向く。
しかし彼女は今まさに何かを話そうとしている所だったらしく、口を開けた状態で俺と目が合ってしまった。
あ、いやごめんビーストだから聞こえるねん。
俺は脳内で謝りつつ、手でどうぞと続きを促す。
めぐみんは、少し頬を染めた後にコホンと小さく咳ばらいをし、改めて口を開いた。
「先程あなたは冒険者だと仰っていましたよね」
うんまあギルド前に居る訳ですしね、言わないけど。
言ったら絶対乳ビンタされるし。
「それに後衛魔法職が居ないとも言っていました」
そこまで言われ、彼女が何を言おうとしていたのかが漸く分かった。
「そこで物は相談なのですが、ここにアークウィザードであり強力な魔法を扱える者がいる訳ですが、これも何かの縁。あなたのパーティに入って上げようではありませんか!!」
バサァッとまたマントを広げながら言うめぐみん。
やっぱりそういうことだったか。
よくよく考えてみれば、食事中にめぐみんが一番食いついた話題もうちのパーティーについてであった。
どんな構成か、どんなクエストを受けているのか、幾つか聞かれたわけだが、勉強熱心だなーとか思う程度で流していたよ。
とはいえ答えは決まっている。
「いや大丈夫だよ」
「そうでしょうそうでしょう、何せアークウィザードですからね、どんなパーティでも引く手あま・・・・・・うん? 何だかイントネーションに違和感がありましたが、入って大丈夫ということですか?」
「あー、入らなくても大丈夫ってことなんだけど」
俺がそう言うと、めぐみんは腕を組みながら片手を口許に当て、悩みだした。
「・・・・・・あれ、おかしいですね、今のは加入の流れだと思ったんですけど」
そだっけ?
いやまあ俺一人だったなら確実にパーティは組んでたけどね。
でも今はカズマとアクア先輩が居るし、めぐみんとは組めないわけではないが組みづらいのだ。
そのことに頭を悩ませていると、めぐみんの声が震え始めた。
「あの、アークウィザードですよ? 上級職ですよ? 私、広範囲攻撃魔法とか使えるし、パーティーに1人居るだけで討伐クエストの効率がぐぐっと上がりますよ?」
気づけばちょっと涙目な上におろおろしているめぐみん。
ソレを見て焦る俺。
ちょ、ちょっと待って、何でそんなにうちに入りたいのさ!?
というかこれ誤解が発生してるやつだ!
俺は慌てて何故断るのかを説明する。
「た、タイムだめぐみん! 待ってホント、あれだよ? 別にめぐみんがうちのパーティに入るのが嫌とかじゃないんよ?」
「・・・・・・では何故?」
うぅ、そんな目で見ないでほしい。いじめてる気分になってしまう。
めぐみんはその背丈ほどもある杖を抱き込むように持ちつつ、少し俯きながらもこちらの様子を伺うような見方をするものだから涙目なまま上目遣いという状態だ。
元々めぐみんはその大きな杖や帽子に反して、身体つきは低身長なうえに握れば折れてしまいそうな程に華奢だ。
ぶっちゃけて言えば可愛い。
いやね、そろそろ忘れられてそうな気がするけども中身は男だからね、こういう子を見ると放って置けないのだ。
・・・・・・ちょっと違うか、こう、父性的な?
兎も角今は何故めぐみんをパーティーに誘い辛いかだ。
「簡潔に言うと、めぐみんに申し訳ないからというのが一番なんだよ」
「それなら私の気持ち次第ってことですよね? ならば問題ないのでは?」
うん、分かってたけどやっぱりうちに入りたいんだな。
分かった、分かったから頬を膨らませてこっち見ないで。
俺はハァと一つ嘆息して続きを話す。
「うちのパーティはまだ冒険初心者なんだ。まだジャイアントトードを倒すので精いっぱいなんだぜ? まあとある理由から変なこだわりを無くせばジャイアントトードくらい幾ら来ても問題ないけど、主軸となる子には順当に成長してもらいたいんだ。でもめぐみんは上級職だし、引く手数多なアークウィザードなんだろう? そんな子をうちで燻らせるのは只々申し訳ないんだ」
俺がそう言うと、めぐみんは難しい顔をした。
そして少し何かを考えていたかと思うと視線をこちらへと戻した。
「全く問題がありませんね」
「いやいやいやいやいや」
何を以てしてこの子は問題ないと言っているんさ!?
何かの縁と彼女は言ったけど、確かに俺自身“縁”というモノは大事だとは思うけどさ!
受付嬢さんが言ってたけどアークウィザードって魔法系の最高位職なんだろ?
むしろこの街じゃなくて最前線に行けば引く手数多とか聞いたんだけど?
まあそれを言い出したら俺自身がそうで、というかその話を聞いたのも俺とアクア先輩がソレに当たるからではあるんだけどさ、ほら俺達は事情が事情だし、俺は結構カズマを気に入っているから付き合っていくつもりなだけだ。
でもめぐみんはそうじゃない。
この若さで最高位職になったくらいなんだから才能に溢れる才女なんだと思う。
さっきも広範囲攻撃魔法が使えると言っていたくらいだ。
そんな彼女をジャイアントトード狩りが暫く中心となるであろう俺達のパーティに入ってもらうのはどうなのだろうかとやはり思う。
とはいえ最後は彼女の意思次第ではある。
正直に言えば俺は彼女の事も気に入っているし、まだ色々と話したいとは思う。
パーティには無理でも、個人的に討伐クエストへ一緒に行きたいと思っていたくらいだ。
だから結局のところ気になるのは、何故彼女がそこまでしてうちのパーティに入りたいかってことだ。
そんな俺の困惑を見て取ったのか、めぐみんはウッと小さく呻く。
そして俺から目線を反らし、まるでどこかに回答が落ちていないかとあちこち探すかのようにキョロキョロと少しした後、観念したかのようにに今度は彼女が溜息を吐いた。
「・・・・・・分かりました。分かりました正直に言いますよ」
「いや別に言いにくいことなら構わないけど」
「ある意味言いにくいことですがそうじゃありません。単純に私の魔法は威力、範囲ともに大きすぎるのでパーティを組んでくれる方が居ないのです」
ムスッとした表情でそう告げるめぐみん。
ああなるほど。
俺はめぐみんの話を聞き、その気持ちがよく分かってしまった。
何故ならそう、
うんまあ別に自分に才能があるとかそっちで言ってるんじゃない。
火力の方だ。
何せ俺はエネルギーだけは大量にある火薬庫のような物だ。
今でこそ制御出来てきてはいるが、それでも広域範囲攻撃になると加減がし辛い。
・・・・・・ごめんなさい調子に乗りました。出来ません。
コホン、兎も角俺はマルチターゲッティングなんぞ性に合わないので、諸共一帯を吹き飛ばしてしまう。
つまりめぐみんも、そういうことなのだろう。
「何ですか、その温かい目は」
「いやなんでも無いよ」
そりゃ温かい目にもなるというものだ。
まさか、類友を此処で見かけることになるとは。
今の俺は先程までの彼女に申し訳ない気持ちとかは全くない。
よくあるだろう? 気が合わないと思っていた他人が、実は自分と同じ趣味を持っていたと分かった瞬間に何故か仲間意識を持っちゃうやつ。めぐみんは最初から気が合わないというわけではなかったけどさ。
そんなわけで、今めぐみんに対していだいている感情は親近感というやつだろう。
最前線の方が向いてる? 他のパーティなら引く手あまた?
うるせぇ!! 大艦巨砲主義の何が悪い!! 広域殲滅とか男の浪漫だろうが!
「歓迎しよう、盛大にな!!」
「あの、そこまで手のひらを返されるとちょっと気になるのですが。というか私が他パーティに誘われないというのを聞いて何でそんなに嬉しそうなんですか!!」
「くふふ、気にするな友よ」
俺はきっと満面の笑みを浮かべている事だろう。
だってナカーマだよ?
今まで幾つかの世界を渡り歩いてきたけど、基本的に俺と同じような火力極振りな仲間はいなかった。
騎士王には『あ、一緒に闘う場合は鞘を持たせてくださいね』とか言われるし、AUOは何故か火力勝負になるし、燕返しをしちゃうNOUMINさんはスッと気配遮断で離れるし、槍ニキには普通に殺す気かとか言われるし、魔女嫁さんはそもそも戦闘中は近寄らないし、そもそもイリヤなんて『被害が大きくなるだけなんだから大人しくしてて』とかって反抗期だし!!
そんなわけで、先程までとは打って変わって俺はめぐみんがうちのパーティに入ることに賛成となった。手のひらドリルかな?
「何だか腑に落ちませんが、よろしくお願いします」
だが、それが後の悲劇を生むことになるとは、俺は思いもしなかった。
◆◆◆
「我が名はめぐみん!! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法たる爆裂魔法を操りしものッ!!」
「お、おう」
突如コウジュが連れて帰って来たその少女は、俺達を見るなりそう名乗って来た。
その勢いに、お茶を飲みながらのんびりしていた俺とアクアは咄嗟に反応ができなかった。
アクアなんか何も話さずそのままお茶を飲むのを再開したぞ。
いや待て待て待て、どういうことなの?
何でこの幼女はいきなり幼女をまたつれてきたの? 類友なの? というかめぐみんってなんだよあだ名?
そんな疑問が矢継ぎ早に脳裏に浮かぶが、どうやら彼女はふざけている訳でも何でもなく、それが彼女たちの一族の素らしい。
―――紅魔族。
それがコウジュの連れて来た少女・・・・・・めぐみんの一族の名なのだとか。
紅魔族は生まれつき高い知力と魔力を持ち、魔法使いへの適正が高い一族で、名の通り紅い目が特徴的な一族のほぼすべてがアークウィザードだというとんでもない種族なのだそうだ。
それらの情報は珍しく役に立ったアクアから齎されたのだが、おいなんでそこのケモ幼女は俺と一緒になってへぇ~なんて関心した声を上げてるんだ。
兎も角めぐみんもまた、自己紹介通りにアークウィザードという魔法使い系の最上級職についており、爆裂魔法とかいう範囲攻撃魔法が得意なのだそうだ。
その辺りの説明を受けた後、コウジュは少し照れくさそうにしながらこちらへとダメかな?なんて首を傾げる。
「ちょっとしたご縁があってさ、パーティを探してるってことだったから連れてきちゃったんよ」
「よくやったわコウジュ!! アークウィザード、それも紅魔族の子だなんてそう簡単に勧誘できないのにやるじゃない!!」
「でしょう!? いやもうね、運命感じちゃいますよね!!」
コウジュの言葉にアクアがすかさず褒める。
でも確かに、アクアの説明通りなら生まれながらに高位魔法使い職へなれることが決まっているようなすごい一族だ。
そんな子がこの初心者の町に居て、しかもパーティを探している?
いやいや美味い話が過ぎないか?
しかし俺がそんな風に訝しんでいるなど露知らず、コウジュとアクアはやんややんやとその幸運に喜ぶ。
ふと俺は件の少女めぐみんへと目を向けた。
「・・・・・・」
あれー? 思いっきり目を逸らされたんですけどー?
ま、まあ、その辺の判断は一度戦闘を行ってからでも良いだろう。
それにアクアはともかくコウジュの目をあまり疑いたくはない。
だから一先ず俺は『保留』という選択肢を取った。
別に彼女がパーティに入ること自体に文句は無い。
寧ろパーティのバランス的に歓迎すべきところだろう。
前衛が二人に後衛回復職が一人、ある意味バランスは取れているのかもしれないが、今後も戦闘を続けて行くというのならば後衛魔法職は必須だろうと俺のゲーム脳が訴えている。
だからつい、見てから判断しようなどと判断してしまったのだ。
「まあ今日はもう中途半端な時間だし、明日またジャイアントトード討伐を受けるつもりだからそこでめぐみんの実力を教えてくれよ」
「望む所です。我が爆裂魔法をその目に刻み込んであげましょう」
ふっふっふ、なんて意味深に笑うめぐみんに、これまた濃いのが来たなぁと内心で笑ってしまう。
でもまあ不思議と今のパーティに彼女が加わっても違和感が無いような気がしていた。
ぶっちゃけて言えば、厨二病っぽいところを気にしなければこれまた美少女と言っても過言ではない位の女の子だ。
着々とうちのパーティの女子率、しかも美少女ばかりが増えて行っているわけだ。
一部“黙っていれば”と注訳が付く奴も居るが、男としてこの状況はウェルカムというやつだろう。
これぞ異世界転生物の醍醐味だ。
そんな俺の細やかな欲望が、幽かに叫ぶ俺の予感を無視させてしまった。
それが後の悲劇を生むことになるとは、俺は思いもしなかった。
いかがだったでしょうか?
すいません、気付いたら素で寝落ちしてました・・・。
とりあえずキリも良い所だったので短めですが投稿をば。
ぶっちゃけ次に起こる大参事への前振りでしかないですが、ここからカズマさんがくz・・・ゲフンゲフン・・・欲望に忠実になっていっちゃう感じでしょうか(遠い目
さておき次話は近いうちにまた出せると思います。
不定期更新が続きますが、お許しいただければ幸いです。
それでは皆様また次話にてお会いしましょう!!
P.S.
最近某殺人光線もかくやという熱線が太陽から降り注いでいますが皆さま体調はいかがでしょうか?
頭痛や意識がふわふわする様な眠気、変な汗の掻き方などはありませんか?
熱中症の前段階とはいえ結構生活に支障をきたす場合もありますので、お早めに御体を大事にしてくださいね!
熱中症になった時点で一線を越えていますので、危険信号が出たらすぐにお気を付けを!!