テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouです。

表現の仕方がややこしかったら申し訳ないです。

ただ、やりたかったとだけ思って頂ければ(`・ω・´)


『stage17:プランB? プランBはなんだ?』

 

 

 やーやー、みんなお元気かな?

 俺は絶好調だぜ。

 なんでかって?

 そんなものは決まっている。

 俺の少女補正がとれたからだよ!!

 主人公補正とかヒロイン補正とか、サブカルチャーに浸っていれば聞くこともあるだろう単語だけど、ここまではた迷惑な補正は無いと思うよ。

 

 ふっふっふっ…。永かったぜ。

 苦節…そんなにはないけど、それでも気分的に永かった…。

 お仕置きなのは分かるけど、ひどい目にあった。

 

 

 さてさて、現状の話といこうか。

 今俺は、ライダーとセイバーの戦いが行われるであろうビル群の屋上に居る。

 よく見たら近くに、俺が『スピア・ザ・グングニル』で吹っ飛ばしたビルの屋上も見える。

 ニュースでは最近噂になっているガス漏れ事故に連なってガス爆発事故で処理されていた。 アーチャーが陣取っていたし、人気がないだろうとは思っていたが実際に居なくて良かった。

 あ、ちなみに修理費はアインツベルン持ちになりました。というか俺なんだけど、当然だよな…。

 モノメイトっていうポーション的なものをアインツベルン経由で売ることになったんだけど、使っても減らないから俺としては懐が痛むわけではないし助かった。

 ただ、イリヤが俺のお小遣い分までは売ってくれなかったからイリヤからのお小遣い制は継続だったりする。

 買い食いがあまりできない…。

 

 また反れたな。

 

 現在の時間は夜になって久しく、辺りに人の影は無い。

 ライダーが辺りに張っている人払いの結界の効果でもあるようだ。

 

 そんな中、俺はいくつかのビルにとあるモノを設置している。

 というのも、これからわかめ君をいじm…ゲフンゲフン、お仕置きする為に必要なものなのだ。

 まぁあまり引っ張っても仕方ないので言うと、中継用カメラやスピーカー、集音器なんかの役割を持つイリヤの使い魔を設置したりしている。

 

 あ、イリヤ? イリヤならマイルームだ。

 今は俺の目を通して現状を見てるんじゃないかな。

 何故かっていうと、マイルームというと修行をしたら何故か貰えたあれなんだけど、それがまた汎用性の高い謎空間だったんですよ。

 

 PSPo2ではゲーム内のお楽しみ要素の1つであるマイルーム。

 模様替えやルームグッズで内装を変えられて、プレイヤーのこだわり要素の一つとして存在していた。

 かくいう俺も、和風の内装にいくつかのグッズを置いて楽しんだものだ。

 ちーずくんとか、小夜ちゃん人形だとか、モトゥブパパガイっていう同じセリフを使いまくってると覚えるインコみたいなやつとかを置いてた。

 そのマイルームが、何故かチートツールの一つとして俺のもとに来たわけだ。

 

 マイルームというのはもともとの設定上だとコロニーの居住区域にある文字通りの自分の部屋だったわけだが、俺が貰ったものはどこにあるかはわからないが『どこでもドア』のカードを使ってならどこからでも行くことができる何かになっていた。

 窓から見える景色はゲーム通りに宇宙空間だし、ほんと良くわからない。

 ドレスルームや倉庫もちゃんとあって便利なのは便利なんだけどね。細かい所でトイレやキッチン、バスルームなんかも追加されてたりするし。

 

 で、話が長くなったけどその中に通信端末があったんだけど、それがまた便利でこれから使う予定のものだ。

 

 ご丁寧にその通信端末内にもヘルプがあったため見てみれば、マイルームは俺の能力の一部みたいなものらしく、俺の視覚を通して外を見ることもできるのだとか。

 その応用で、パスが繋がっているイリヤを通してその使い魔の視覚をモニターに出すなんてこともできるらしく、それを知ったから俺はイリヤの使い魔を設置している訳だね。

 モニターに映した映像をデータとして残せるし無駄に高性能なんだよ。

 あとはパートナーマシーナリーも居れば完璧だったんだけど、流石にそこまでは贅沢かな?

 

 まぁそんなわけで、イリヤはマイルームで待機してもらってるって訳さ。

 

 

 そういえば、空間移動『どこでもドア』についての説明がまだでしたね。

 といってもそれほど説明するほどのことも無かったりするんだけどね。

 

 カードを作る際に、既に在るドアを媒介にして能力を作ったからかどこにでも移動できるドアを作るのではなく、自分がドアとして認識したドアをどこでもドアっぽいものに変えるっていう能力になったみたいだ。

 だからドアからドアにしか移動できないという制限が意図せずして付いてしまった。 

 文字通りのどこでもって訳にはいかないし、微妙に使えない…。

 

 けどまぁ今回の作戦には充分有用だから無問題だね。

 

 

 

『コウジュ。来たみたいよ』

 

 作業を黙々と続けていると、別視点からの映像で見たのかイリヤが念話を入れてくれた。

 

 どうでも良いけど念話って着信音とかがある訳じゃないからいきなりで毎回びっくりする。今もちょとビクッとしてしまった。

 

『りょ、了解であります』

 

 ええ、全然声が高くなんてなってませんとも。

 念話なのに噛むとか器用なことするわねなんて言われたことありませんとも。

 

 誰に言い訳しているのか自分でもよくわからずに、作業を終えて俺は近くのドアを利用してマイルームへと移動した。

 

「お疲れ様コウジュ」

 

「ん、そっちこそ確認お疲れ…ってメッチャ寛いでますね。そのアイスはどうしたし」

 

「そこに入れてあるわよ? 食べる?」

 

「…いただきます」

 

 部屋の構造上、入り口からだとイリヤの後ろ姿しか見れなかったため画面をじっと見てるのかと思いきや、覗き込んだらアイスを食べていたイリヤ。

 聞けば部屋の端にある冷蔵庫にアイスを持ち込んだのかこちらを見もせず指だけで冷蔵庫を指した。

 食べて良いようだし、俺も作業で気分的に疲れたから一つご相伴に与っていただくことにする。 

 お、抹茶味あるじゃん。

 イリヤの好きな味ではなかった筈だし、態々入れておいてくれたのだろうスーパー○ップ抹茶味を取り出し、スプーンも持ってイリヤの座るモニターまで行く。

 

 モニターを覗けば、ライダーを探しに来た士郎とセイバーがビル街へと入ってきたところのようだ。

 道路できょろきょろしてるしライダーを探してるんだろうけど、傍から見れば不審者だねまったく。

 

 

「今更だけど上手くいくかなぁ」

 

「あなたが不安になってどうするのよ…」

 

「いやぁ、そんなこと言われてもさ。受験の時は落ち着いてできたのにいざ合格発表になると不安になったりするじゃん?」

 

「受験どうこうは私にはわからないけど、ケセラセラって言うでしょ? なるようにしかならないわ」

 

「たくましくなりましたねイリヤさん」

 

「誰の所為よ」

 

 ふと弱気になって零した言葉の結果、何故か最終的にジト目で見られた。解せぬ。

 まぁ原作イリヤのような天真爛漫さが無くなった原因の一部だって自覚はあるけどさ。

 

 一先ず、これ以上藪をつついて蛇を出す気も無いので改めて画面に目を戻す。

 

 画面を見れば、地上に居た士郎達をビルの上から奇襲するライダーの姿が映っていた。

 釘剣を構えて士郎を狙うがセイバーに見えない剣で弾かれ、相対している。

 しかし、真正面からセイバーのクラスと戦うのはさすがに不利だと思ったのか、蜘蛛のようにビルの壁面を登っていった。

 すかさずセイバーも壁面のでっぱり等を利用して追いかけていく。

 

「へ〜、ライダーって結構やるのね」

 

「うんうん。すごいよな、いろいろと…」

 

 イリヤは戦闘面に関して言っているのだろうけど、俺は違う部分に目を向けていた。

 

 いや、服とかね、きわどすぎない? 胸元丸見えだよ?

 スカート部分なんて今どきの子でもそこまで短くしないでしょって感じだし。

 ライダーさん見えてますよ!

 そして、プロポーション抜群なうえ、全体的にパッツンパッツンだし。

 しかも絶対領域まで形成されてるっていう念の入りよう。

 あざとい、実にあざとい。

 

 

 あ、重要な事をイリヤに言うの忘れてた。

 

 

「ちなみにメデューサさんです」

 

「メデューサ!? ギリシャ神話の!? そんな重要な事軽く暴露しないでよ!!」

 

「て、てへぺろ」

 

「コウジュ、暫く買い食い禁止」

 

「ひどい…」

 

 ちなみに、俺らはこんなにのんびり会話してますけど、目の前の画面内ではすごいハードなバトルが繰り広げられてます。

 

 ビルの側面を上に駆けながら互いの武器を何度も交わらせて激戦中。

 セイバーは窓とかのちょっとした引っ掛かりを利用しながら、ライダーは重力とか何それ美味しいの? と言わんばかりに壁に立ったりしながら攻防を繰り返しております。

 

 俺がやると勢い余ってビルの壁面とかでっぱりを力任せに壊してしまいそうだ。

 

 ってかさ、改めて言うけどライダーがエロい。

 服はさっきも言ったように勿論のこと、動きの一つ一つがマジでエロい。

 何だっけ、女豹のポーズ? とか、どこのグラビアアイドルだよって感じのを攻撃の端々に入れてくるんだよ。

 さりげなく、それも流れるように。

 

 計算しつくされた動きなのだろうか、それとも生まれもってああいう動き方になってしまうのだろうか。

 変なところが気になって、ついつい画面を食い入るように見つめてしまう。

 

 

「コウジュ……?」

 

 底冷えのするような声でイリヤが話しかけてくる。

 いつから見ていたのか、俺に鋭い目を向けていた。

 

「な、なに?」

 

「大きいことがそんなに偉いの…? ライダーも、あなたも…」

 

「な、何の事を言ってるんだ? いまいち要領を得ないんだけど……」

 

「……いいえ、なんでもないわ。忘れて」

 

 あ、そういうことか。

 

「イリヤ、ステータスだ希少価値だっていう言葉もあるし…ひぁ!?」

 

 某貧乳少女の言葉を教えてあげようとしたら、言い切る前にすごい目でイリヤに見られた。

 思わず声を上げて後ろに飛び退く。

 

「コウジュ、忘れてって言ったわ」

 

「はい」

 

「コウジュ、ハウス」

 

「わふ」

 

 

 よくわかりませんが出番まで黙ってることにします。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 学校での慎二とライダーの所業を見逃しておくことが出来ず、セイバーと共に冬木市を歩き回った。

 明るい内から行ったにもかかわらず、手がかりも掴めなかった為そろそろ打ち切ろうかとビル街を歩いていると違和感に気付いた。

 遅い時間とはいえ、人気が全く無いのはおかしい場所の筈なのだ。

 そう疑問に思ったと同時に、セイバーが俺の前へと飛び出た。

 ライダーだ。 

 ライダーは上空から俺を狙いに来ていたのか、代わりに前に出たセイバーを上から刺し貫こうと身体の全てを乗せて振り下ろしていた。

 しかし1合剣を交えただけで、その後すぐにライダーは踵を返しビルを駆け上がって行った。

 セイバーも続くようにビルを駆け上がって行ったが、俺にはそんな真似は出来ないので慌てて階段を探しにビルへと入った。

 入ってから気付いたが、人気の無いビルなのだから鍵が開いていないかと思ったが人払いの結界が使われているのか人気が無いだけで中への侵入は容易だった。

 エレベーターもあったが、階数表示ははるか上。

 待っている時間も惜しいため階段を駆け上った。

 

 そして今、漸く屋上への扉へと辿り着いた。

 

 超高層ビルとまでは行かないまでもそれなりの高さだ。

 息も絶え絶えに、ドアを開ける。

 

「士郎!? 何故来たのですか!!」

 

 入るなり、セイバーからそう言われる。

 しかし放っておけるわけがないだろう。

 確かにマスターとサーヴァントの関係とはいえ、任せきりにできるものでもない。

 何か出来ることがあるかもしれないと俺は登って来たんだ。

 だから、何かできることはないかと改めて屋上を見渡すが、おかしい。ライダーが居ない!?

 

 そう思うのも束の間、セイバーへと何かが空から落ちてきた。 

 

 何とかセイバーが避けて、その何かはすれ違うように再び空中へと戻ったが、ソレは睥睨するように空中に止まり、こちらを見つめた。

 ソレがライダーだったようだ。

 ライダーは翼が生えた白馬、いわゆるペガサスに跨り手綱を引いていた。

 

「残念でしたねセイバー。これであなたの勝ち目も潰えましたよ」

 

「ふ、既に勝ったつもりかライダー。些か気が早いのではないか?」

 

「何とでも」

 

 短くライダーとセイバーが言葉を交わすが、途切れてすぐに、またライダーは堕ちるようにこちらへと突っ込んでくる。

 今度は何度も、何度も…。

 セイバーも負けじと回避や、見えない剣での攻撃を繰り返すが何せ早い。

 完全に弄ばれているような状態だ。

 おそらく、あれがライダーの宝具なのだろう。

 あのセイバーが手も足も出ないなんて…。

 

 

 

 

 なんとか、何か俺にできることはないのか!?

 

 

 

 

 

 

 

『あーあー、マイクテスマイクテス』

 

 

 

 

 突如、声が辺りへと響いた。

 どこか幼い、けどしっかりと通るこの声には聞き覚えがある。

 

「コウジュ…? どこかに居るのか…?」

 

 気づけば、セイバーと空中のライダーも止まって辺りを警戒していた。

 しかし何かが起こるでも誰かが来るでもなく、声は続けて辺りに響くだけだった。

 

『聞こえてるかな? 聞こえてるっぽいね。よかったよかった』

 

 どうやってかこちらを確認しているのか、こちらが何かを返すまでもなく自分で納得しているコウジュ。

 

『ああ、良い所を邪魔して悪いねー。けどさ、ライダーにはちょっと用があってね。邪魔させてもらうよ』 

 

「何のつもりだバーサーカー!」

 

 声からセイバーもコウジュであることが分かったのか、事の如何を聞こうと声を上げる。

 しかし、その声にもコウジュは飄々と返す。

 

『だから用があるのさ。私的な用事なんだけどね。正確にはライダーのマスターにだけどさ。そこに居るのは分かってんだよ間桐慎二』

 

 慎二に? コウジュが?

 

 詳しいことは分からないが、慎二は何かをしてしまったのだろう。

 短い間しか言葉を交わしていないが、だからこそなのかわかる。

 今までコウジュと交わした言葉の中には決して無かった怒りが、飄々とした口調の中に見え隠れしていた。

 

『というわけでだ、ちょいと今からは俺のターンだ。良かったら聞いてってくれ』

 

 先程まで混ざっていた怒りは消え、今度は笑いを押さえきれないといった声でコウジュはそう言った。

 

 何が始まるんだろうか?

 

 

 

『コウジュと!』

 

『イリヤの!』

 

『『真夜中ラジオ!!!』』

 

 

 

 

 

 

 はっ?

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「あ、驚いてる驚いてる」

 

「それはそうでしょう。というかほんとに私もやるの?」

 

「いやもう言ってるじゃん。というかこの声も入ってるから」

 

「ああ、そうだったわね」

 

 画面の中で驚きを隠せていない士郎達。

 そりゃ戦ってる途中でこんな戯言が始まったら誰でも困るよね。

 でも自重しない。自重なんぞする気はない。

 とことんまでやるって決めたからな。

 

 だから、隠れてるつもりのそこのワカメ。

 覚悟しろ。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

『ごほん。さて、今夜も始まりました。真夜中ラジオ! パーソナリティーは私、コウジュと!』

 

『イリヤスフィール・フォン・アインツベルンでお送りするわ』

 

『まぁ今夜もなんて言っても今日が最初で最後なんですけどね』

 

『あなたがやりたいって言い出したからやることになっただけの番組ですものね』

 

『辛辣だなぁ。でもそんなマスターが私は嫌いではありません!』

 

『冗談言ってないで、早く進めなさいよ』

 

『おお怖い。じゃぁさっさと進めていきましょうかね!』

 

 え、なんか始まったんだけど、俺はどうしたら良いんだろう。

 セイバーとライダーも警戒したまま動かないし、このままこれを聞く流れなのだろうか?

 

 とりあえず様子見をするしかないか…。

 

『えぇー、それではさっそく、お便りコーナーに行きますね!』

 

『第一回と言いつつお便りが来ているという仕込まれ感がどうしようもないのだけど、がんばればーさーかー』

 

『わーお、投げやりな応援ありがとう! でもがんばるよ! という訳で一人目の御便りです。H村原学園1年生、Aちゃんからのお便り。

えー、部活の先輩がいつも部活仲間の同級生の男子を苛めています。皆の前で笑いものにしたりしてかわいそうです。怖い噂もある先輩なのでどうしたらいいかわかりません。教えてください…っと。うーん、悪いやつも居たものですねー』

 

『そうね、死んだ方が良いんじゃないかしら?』

 

『いやいやーそれがですね、独自ルートで調べた結果なんですが、その一年生の子って苛めたっていうその先輩の妹さんに手を出そうとしてそうなったらしいんですよー。それも法律に引っかかる方法で手を出そうとしたらしくて』

 

『あら、そうなの? 中々妹思いじゃない』

 

『人目のあるところでは妹に対して強く当たったりするのにツンデレですねー』

 

『誰が得するのか分からないツンデレだけどね』

 

『あ、そういうときは誰得? って略すのが良いですよ!』

 

『分かった。覚えておくわ』

 

 慎二だ。多分慎二だ。

 後半を聞くと疑ってしまうが、慎二のことを言ってるのだろう。

 

『さてさてー、次の御便りに行きましょう。H村原学園2年生、Bちゃんからのお便り。

とある男子に言い寄られて困ってます。その男子は同級生なんだけど、とにかくいろんな女子に手を出してます。友人に聞けば、お金持ちだし結構顔も良いし付き合っても直接手は出してこないらしいので、おごってもらったり、付き合った経験が無い子が練習相手として付き合うなんてこともあるようです。校内では密かに声を掛けられることが一種のステータスになったりもしているようです。私は恋愛経験もないし、その人が好きという訳ではありません。どうすればいいでしょうか?ってことらしいですねー』

 

『その男子、俗に言う財布ってやつなのかしら?』

 

『だめですよーイリヤさん。ほんとのことでも、一応お嬢様なあなたがそんな言葉を使ったら』

 

『あなたの所為なんだけどね』

 

『あはは、これは痛いところを突かれました! さておき、その男子は相当女癖が悪いですが適当に誤魔化しておけば勝手に次のところへふらふらと行くので大丈夫ですよー。暴力的な意味での手は出してくるかもしれませんが、上手く煽てると良いらしいです。実際そういう方がたくさんいらっしゃるようですね』

 

『ああ、都合のいい男ってやつなのね』

 

『イリヤさんしーっ! どこかで聞いてるかもしれないからしーっ! せっかく髪によさそうな髪質なのにショックで抜けちゃう!!』

 

 えっと、なんだか知り合いに似たようなことをしている奴が居たような気がするんだが…。

 

「ブフっ…しつ、れいっ……クフ…」

 

 慎二、ライダーに笑われてるぞ…。

 

『まぁそれはさておき、次の御便りに行ってみましょう! 次の御便りはH村原学園1年生、Cちゃんからです。とある2年の先輩のことなんですが、自分が罰として言われた掃除とかをその先輩が友人と言い張る方によく押し付けています。押し付けられた先輩は別に同じ部活という訳でもないし可哀そうです。どうすればいいでしょうか?』

 

『やっちゃえばーさーかー』

 

『いやいや、これにも実は裏があるんですよ』

 

『あ、そうなんだ』

 

『それがですね。これも独自のルートから得た情報なんですが、先輩君は普段その友達を良い様に利用しようとする輩がいると、裏で制裁を加えてるそうなんですよ』

 

『へー、良いとこあるじゃない』

 

『だからその先輩君はいつも助けてやってるんだからこれくらい良いだろう? って感じに用事を押し付けるわけですね。あと、こいつを良い様に使っていいのは俺だけなんだからな! ただ頼むなら許してやらんこともない的なことを言っていたと目撃情報があったりします』

 

『うわー…』

 

 慎二…、お前ってやつは…。

 

 

 

 

 

『さてさて、次の御便りはH村原学園女教師Tさんからです』

 

『これで最後なのね』

 

『ういうい。では行きますね。えー、うちの士郎に手を出す不逞の輩が居るのですが、ヤっていいですか? 好きな子に意地悪する小学生みたいです! とにかく許せないのがこの前、士郎の手を傷つけたこと。美味しい料理が出来なくなったらどう責任を取ってくれるんだぁ! だってさ。イリヤ裁判長、判決は?』

 

『ぎるてぃ』

 

『ということらしいので、お仕置きだ。』

 

 うん、何だろう…。

 慎二も苦労してるんだな…。

 って、いやいやいや、そういうことではなくてだな!

 

 しかし、困惑する俺たちを余所にコウジュは続ける。

 

『まぁあれだ、精神攻撃は基本なんだ。恨むなら俺をやる気にさせた自分を恨むがいい』

 

 先程までと違い、今のコウジュはやけに晴れやかな声をしている。満足したといった感じだ。

 ここまで慎二の所業…でいいのか? それをどうやって調べ上げたのかがかなり謎だが、慎二の近くに居た俺にはいくつか心当たりがある。

 確かに最近は変な頼み事は無かったのだ。

 物を直したり掃除したりというのは好きな方だから別に構わないんだが、やけに頼まれる時期があったのは確かだ。

 しかしそれもすぐに無くなってしまった。

 今の、コウジュが話していたことが真実ならそれは慎二が…?

 まぁ今でも変な頼み事はあるんだけど、数はかなり減ったものだ。

 この間は、営業時間中のレンタルビデオ店に借主の代わりに延滞料金を払いに行くというものだったんだが、中身は絶対見ずにどうしても頼むと真剣な表情で言われたものだから断り切れず代行した。店員さんの目が痛かったことからかなり長期の延滞をしていたってだけが原因ではないのは察することができるけどさ…。

 

 っと、思考がずれてる。

 

 さておき、コウジュが最初にそこに居るのは分かってると言っていたが、なるほど確かに今のように煽れば慎二は必ず出てくるだろう。あいつプライドが高いからなぁ…。

 

 

 

 

「あることないこと言うんじゃない!! 僕が何したって言うんだ!」

 

 

 慎二…、見事に釣られたなお前…。

 

 




いかがだったでしょうか?

とりあえず、精神攻撃は基本らしいのでやってみました。
クスリと少しでもしてもらえたらいいなぁ…。

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